セルヒオ・ラミレスにセルバンテス賞
2017年 11月 21日 コメントは受け付けていません。
スペイン語圏で最も栄えある文学賞「セルバンテス賞」の2017年度の受賞者が、ニカラグアの作家セルヒオ・ラミレスに決まりました。小社はラミレスの代表作『ただ影だけ』を2013年に刊行しております。この機会に、ぜひお読みください!
ただ影だけ
《フィクションのエル・ドラード》セルヒオ・ラミレス(著)
寺尾隆吉(訳)
判型:四六判上製
頁数:328頁
定価:2800円+税
ISBN:978-4-89176-950-5 C0397
装幀:宗利淳一
好評発売中!
アイロニーと距離感、内面性とユーモア。
セルヒオ・ラミレスは銅のような三面記事から
言葉と想像力で黄金を生み出す錬金術師だ。——カルロス・フエンテス
1979年、ソモサ独裁政権の崩壊を目前に控えたニカラグア、ソモサの私設秘書官として権力の影で活動していたアリリオ・マルティニカは海からの逃亡を企てるも革命軍に捕らえられ、独裁政権の悪行に加担した嫌疑で民衆裁判にかけられる……
証言、尋問、調書、供述、手紙。事実のなかに想像を巧みに織り交ぜ、鮮烈な描写と圧倒的な語りの技法のもとに、歴史的事件の裏側をフィクションの力で再構築する現代ラテンアメリカ文学の新たな傑作。
【著者について】
セルヒオ・ラミレス(Sergio Ramirez)
1942年、ニカラグアのマサテペに生まれる。1964年、レオン国立自治大学法学部卒業。ジャーナリズムや教育関係の要職をこなした後、70年代半ばから反ソモサ独裁ゲリラ組織のサンディニスタ民族解放戦線(FSLN)を支援する。84年〜90年はサンディニスタ政権の副大統領としてダニエル・オルテガ大統領を支えた。95年、サンディニスタ刷新運動を率いて大統領選挙に出馬するも敗北、以後文学活動に専念。
主な著作には、『天罰』(1988)、『海がきれいだね、マルガリータ』(1998)、『先と一の死』(2004)、『空が泣いている』(2008)などの小説のほか、回想録『さらば、仲間たちよ』(1999)などがある。
【訳者について】
寺尾隆吉(てらおりゅうきち)
1971年、愛知県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。現在、フェリス女学院大学国際交流学部教授。専攻、現代ラテンアメリカ文学。主な著書には、『魔術的リアリズム――二〇世紀のラテンアメリカ小説』(水声社、2012)、『ラテンアメリカ文学入門――ボルヘス、ガルシア・マルケスから新世代の旗手まで』(中公新書、2016)。主な訳書には、カルロス・フエンテス『ガラスの国境』(水声社、2015)、アレホ・カルペンティエール『方法異説』(水声社、2016)などがある。