12月の新刊:ジェイムズ・ジョイスと東洋――『フィネガンズ・ウェイク』への道しるべ
2018年 1月 15日 コメントは受け付けていません。
ジェイムズ・ジョイスと東洋
『フィネガンズ・ウェイク』への道しるべ
山田久美子(著)
判型:A5判上製
頁数:338頁
定価:4000円+税
ISBN:978-4-8010-0315-6 C0098
装幀:齋藤久美子
12月25日発売!
ジョイス研究の新たな指針
多文化都市トリエステ、パリで見聞した東洋と日本文化、そして多言語はジョイスの作品にどのような影響をあたえたのか。イエズス会の宣教、フェノロサの漢字論、エズラ・パウンドの夢幻能等様々にアプローチすることで、『フィネガンズ・ウェイク』にみられる日本や日本語との関わりを多面的に読み解く。
【目次】
はじめに
第一章 東洋とオリエント 「西と東からのアプローチ」(FW 604.26)
一、『太陽を追いかけて』 失われたタイトルページ
二、アイルランドとオリエンタリズム
三、「この手の稲妻よ、わが言葉となれ」とフェノロサの漢字論
第二章 ショーン・ザ・ポストと東洋宣教 「西が東を揺り起こすだろう」(FW 473.22-23)
一、ジョイスと東方教会
二、教育宣教修道会イエズス会
三、アイルランドの司祭職
四、中国でのアイルランドによる宣教活動
五、ショーンの東へのミッション
第三章 イッシーと東洋趣味の舞台 「踊りながらダンスから帰宅する娘たち」(FW 602.32-33)
一、踊る娘と父親 「ポップ」の創造
二、『アラジン』の変遷
三、1900年パリ万国博覧会の川上貞奴と不破伴左衛門
四、ジャポニスムの歌劇と『フィネガンズ・ウェイク』
五、夢幻能「杜若」
第四章 シェム・ザ・ペンマンと「消えることのないインク」(FW 185.26)
一、エジプト神話と『フィネガンズ・ウェイク』
二、消えることのないインク
三、マロン派ローマ・カトリック教会の典礼とショーンの出立
第五章 『フィネガンズ・ウェイク』の日本語 「もしそれが日本語音ならば」(FW 90.27)
一、一人称代名詞の自己と他者
二、『フィネガンズ・ウェイク』の日本語研究
三、ジョイスの情報源
四、日本における『フィネガンズ・ウェイク』受容
五、知覚と実在 「パドロックとブックリーお喋り」(FW 611.2)
おわりに
注
主要参考文献
人名索引
事項索引
あとがき
付録 『フィネガンズ・ウェイク』の日本語語彙研究
【著者について】
山田久美子(やまだくみこ)
1953年、東京都に生まれる。上智大学フランス語学科卒業。広島大学大学院英語学英文学専攻博士後期課程中退。アイルランド国立大学ダブリン校英語・演劇・映画研究専攻博士課程修了。博士(Ph. D., University College Dublin)。現在、立教大学異文化コミュニケーション学部教授。専攻、アイルランド文学、日米欧文化交流史。主な著書に『異界へのまなざし――アイルランド文学入門』(鷹書房弓プレス、2005年)、主な訳書にチャールズ・A・ロングフェロー『ロングフェロー日本滞在記』(平凡社、2004年)などがある。
【関連書】
ブルームの歳月 ジョン・マッコート/宮田恭子訳/7000円+税
『ユリシーズ』と我ら デクラン・カイバード/坂内太訳/5000円+税
ジョイスをめぐる冒険 夏目博明/4000円+税