1月の新刊:21世紀のソシュール
2018年 1月 29日 コメントは受け付けていません。
21世紀のソシュール
松澤和宏(編)
判型:A5判上製
頁数:340頁
定価:5000円+税
ISBN:978-4-8010-00323-1 C0010
装幀:宗利淳一
1月27日発売!
ソシュールの〈ためらい〉
ラング/パロール、シニフィアン/シニフィエ、〈言語論的転回〉……フランス現代思想の潮流とともに喧伝された「ソシュールの思想」とは、膨大な草稿を残した言語学者の企図にかなっていたのだろうか。『講義』成立の背景とその功罪、理論的虚構としての〈ラング〉の限界と〈パロール〉の可能性、神話・伝説研究にみられる歴史観、アウグスティヌスからデリダまでの言語思想史上のメルクマール、認知言語学との類縁性、日本語学との邂逅……言語によって世界を整理区分するのではなく、むしろどこまでも曖昧になってしまうことに遅疑逡巡するソシュールが浮かび上がってくる。
【目次】
まえがき 松澤和宏
ソシュール、『一般言語講義』、一般言語講義 ダニエル・ガンバララ
ソシュールと『一般言語学講義』について 加賀野井秀一
言語の性質をめぐるソシュールの逡巡 ルイ・ド・ソシュール
ソシュール的恣意性の深淵とラングの言語学 松澤和宏
ソシュールの一句をめぐって 野村英夫
記号と概念 宮原勇
ソシュールと比較言語学 吉田和彦
ソシュールの伝説・神話研究 金澤忠信
アウグスティヌスとソシュール 須藤英幸
《arbitraire》は「恣意的」か:予備的考察 小野文
ソシュールからバンヴェニストへ イレーヌ・フノリオ
認知文法からみたソシュール 野村益寛
意味と意義 中田光雄
差延、あるいは差異の亡霊 宮﨑裕助
20世紀日本語研究と記号の恣意性 釘貫亨
ソシュールと国語学 阿部宏
【編者について】
松澤和宏(まつざわかずひろ)
1953年生まれ。パリ第8大学博士課程修了。現在、名古屋大学大学院教授。専攻、近代フランス文学、言語思想史、生成批評。主な著書に、『生成論の探求』(名古屋大学出版会、2003)、『テクストの解釈』(編著、水声社、2012)、主な訳書に『フェルディナン・ド・ソシュール「一般言語学」著作集Ⅰ 自筆原稿『言語の科学』』(岩波書店、2015)などがある。
【関連書】
テクストの解釈学/松澤和宏編/6000円+税
ソシュールのアナグラム/ジャン・スタロバンスキー/2500円+税
《力》の思想家ソシュール/立川健二/4000円+税
意味と脱‐意味/中田光雄/4000円+税(予価) *近刊