4月の新刊:芸術と労働
2018年 4月 2日 コメントは受け付けていません。
芸術と労働
白川昌生+杉田敦(編)
判型:A5判上製
頁数:236頁
定価:3000円+税
ISBN:978-4-8010-0325-5 C0070
装幀:宗利淳一
3月30日発売!
芸術は経済を、経済は芸術を欲望してもいる。
現代社会における芸術活動について、美術作家、批評家などが様々な視点(フィールドワーク、作品制作、討議等)から捉え、芸術、労働、社会との関わりを考察し、これからの関わり方、意識、行動を喚起する論集。
【目次】
はじめに 白川昌生
Ⅰ 提起
労働と芸術の暗闇 白川昌生
「誰もが芸術家」というディストピア 菅谷奈緒
労働者としての芸術家、芸術家としての労働者 毛利嘉孝
Ⅱ 検証
アートマネジメントと、非物質的労働の価値 吉澤弥生
芸術労働とオリンピック
――面従腹背のゆくえ 渡邊太
アートプロジェクトをめぐる協働のかたち
――地域活動と大地の芸術祭サポート活動のあいだ 兼松芽永
働くことと生きること、演劇のミッション 藤原ちから
Ⅲ 想像
かまがみのいわれ 山本高之
人間になるための労働――討議 杉田敦+白川昌生
帝国の教育制度 藤井光
Ⅳ 懐疑
配慮の分有、脆弱さのネットワーク 田中功起
「人間の終焉」のあとで
――動物・芸術・人工知能 清水知子
暗黙の共謀 杉田敦
おわりに 杉田敦
【編者/執筆者について】
白川昌生(しらかわよしお)
一九四八年、北九州市に生まれる。国立デュッセルドルフ美術大学卒業(マイスター)。美術作家。現在、
群馬県立女子大学、前橋工科大学等の講師を勤める。主な著書に『日本のダダ 1920-1970』(編著、書肆風の薔薇/水声社、一九八八/二〇〇五年)、『美術、市場、地域通貨をめぐって』(二〇〇一年)、『西洋美術史を解体する』(二〇一一年)白川昌生 ダダ・ダダ・ダ』(共著、二〇一四年、いずれも水声社)などがある。
杉田敦(すぎたあつし)
一九五七年、北海道に生まれる。名古屋大学理学部物理学科卒業。美術批評家。現在、女子美術大学教授。主な著書に、『ナノ・ソート 現代美学、あるいは現代美術で考察するということ』(彩流社、二〇〇八年)、『リヒター、グールド、ベルンハルト』(みすず書房、一九九八年)、『inter-views 語られるアート、語られる世界』(美学出版、二〇〇一年)などがある。オルタナティヴ・スペース art & river bank を運営し、『critics coast』(越後妻有アートトリエンナーレ)、『Picnic』(増本泰斗との協働)、『ナノ・スクール』(blanClass)など、プロジェクトも手がける。
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菅谷奈緒(すがやなお)
一九八一年、千葉県に生まれる。女子美術大学大学院立体芸術専攻修了。美術作家。主な展覧会として『青森EARTH2014』(青森県立美術館、二〇一四年)、「ホーム/アンド/アウェイ」(アートラボはしもと他、二〇一六年)などがある。
毛利嘉孝(もうりよしたか)
一九六三年、長崎県に生まれる。ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジMA、PhD 取得。現在、東京藝術大学大学院教授。専攻、社会学、文化研究・メディア研究。主な著書に『ストリートの思想――転換期としての一九九〇年代』(日本放送出版協会、二〇〇九年)、『増補 ポピュラー音楽と資本主義』(せりか書房、二〇一二年)、主な訳書にポール・ギルロイ『ブラック・アトランティック』(共訳、月曜社、二〇〇六年)などがある。
吉澤弥生(よしざわやよい)
一九七二年、長野県に生まれる。大阪大学大学院人間科学研究科修了。現在、共立女子大学文芸学部准教授。専攻、芸術社会学、文化研究。主な著書に『芸術は社会を変えるか――文化生産の社会学からの接近』(青弓社、二〇一一年)、『社会の芸術/芸術という社会――社会とアートの関係、その再創造に向けて』(共著、フィルムアート社、二〇一六年)などがある。
渡邊太(わたなべふとし)
一九七四年、大阪府に生まれる。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。博士(人間科学)。現在、大阪国際大学講師。専攻、文化研究、宗教社会学。主な著書に、『愛とユーモアの社会運動論』(北大路書房、二〇一二年)、『既成概念をぶち壊せ!』(共著、創元社、二〇一六年)などがある。
兼松芽永(かねまつめい)
一九七八年、東京都に生まれる。一橋大学大学院社会学研究科総合社会科学専攻(社会人類学)博士課程修了。専攻、文化人類学、芸術の人類学。二〇〇〇年から「越後妻有アートトリエンナーレ大地の芸術祭」が開催されている、新潟県十日町市に住まい、二〇〇八年より継続的にフィールドワークを実施。現在は東京を拠点に、研究・論文執筆活動にあたる。
藤原ちから(ふじわらちから)
一九七七年、高知県に生まれる。立教大学法学部政治学科卒業。批評家、アーティスト。主な著書に『演劇最強論』(共著、飛鳥新社、二〇一三年)、主な作品に『演劇クエスト』シリーズ(横浜、マニラ、デュッセルドルフほか、二〇一四年―)などがある。
山本高之(やまもとたかゆき)
一九七四年、愛知県に生まれる。チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインMA 修了。美術作家。主な展覧会に「コチ・ムジリスビエンナーレ」(アスピンウォールハウス、二〇一六年)、「ものがたりのかたち」(せんだいメディアテーク、二〇一五年)、「未見の星座」(東京都現代美術館、二〇一五年)、「ゴービトゥイーンズ」(森美術館、二〇一四年)、「想像しなおし」(福岡市美術館、二〇一四年)などがある。
藤井光(ふじいひかる) 一九七六年、東京都に生まれる。パリ第八大学美学・芸術第三博士課程DEA 修了。美術作家・映画監督。主な作品に「爆撃の記録」「日本人を演じる」「ASAHIZA」などがある。「日産アートアワード2017」グランプリ受賞。
田中功起(たなかこおき)
一九七五年、栃木県に生まれる。アーティスト、ARTISTS’ GUILD、基礎芸術。主に参加した展覧会にミュンスター彫刻プロジェクト(二〇一七年)、ヴェネチア・ビエンナーレ(二〇一七年)などがある。二〇一三年ヴェネチア・ビエンナーレ日本館展示で特別表彰受賞。主な著書に『Precarious Practice』(HatjeCantz, 2015)、『共にいることの可能性、その試み、その記録――田中功起による、水戸芸術館での、ケーススタディとして』(グラムブックス、二〇一六年)などがある。
清水知子(しみずともこ)
愛知県に生まれる。筑波大学大学院文芸・言語研究科修了。博士(文学)。現在、筑波大学人文社会系准教授。専攻、比較文学、文化理論。主な著書に『文化と暴力――揺曳するユニオンジャック』(月曜社、二〇一三年)、『21世紀の哲学をひらく』(共著、ミネルヴァ書房、二〇一六年)、訳書にスラヴォイ・ジジェク『ジジェク自身によるジジェク』(河出書房新社、二〇〇五年)、ジュディス・バトラー『アセンブリ』(共訳、青土社、二〇一八年)などがある。
【関連書】
贈与としての美術 白川昌生/2500円+税
美術・マイノリティ・実践 白川昌生/2500円+税
美術・記憶・生 白川昌生/2500円+税