4月の新刊:《図案対象》を読む――夭折のアヴァンギャルド画家、久保克彦とその時代
2018年 4月 10日 コメントは受け付けていません。
《図案対象》を読む
夭折のアヴァンギャルド画家、久保克彦とその時代
黒田和子(著)
判型:A5判上製
頁数:総159頁(本文143頁+別丁図版16頁)
定価:2500円+税
ISBN:978-4-8010-0331-6 C0071
装幀:宗利淳一
4月7日発売!
太平洋戦争下の中国戦線で26歳の若さで戦死した知られざるアヴァンギャルド画家久保克彦の畢生の大作《図案対象》とそれに至るまでの作品と思考の歩みを、シュルレアリスム、構成主義をはじめとする同時代のヨーロッパ美術との関連のうちに位置づける稀有な試み。
画家と世界との間には、呼気と吸気があると言う。すなわち、画家が世界の相貌(かお)を見、世界のある相貌がある画家を要求すると言う。二十世紀初頭の、怒濤のようなヨーロッパの美術界の潮流を受け止め、無謀な戦いに巻き込まれていく中で、それらを自らのものとし、表現し、そして征った久保は、世界の相貌から見つめられてこの作品を残したのに違いない。時代と作家との相関関係なしには、この作品は考えられないのではないだろうか。(本文より)
【目次】
はじめに
第Ⅰ章 出自と生涯
1 出自
2 上京、川端画学校、そして東京美術学校へ
第Ⅱ章 東京美術学校時代のポスター作品
1 時代的背景
2 《ベートーヴェン 第七交響曲》ポスター
3 《防諜》ポスター
4 《銅鐵回収》ポスター
5 《硝子花瓶・設計図解》ポスター
第Ⅲ章 《図案対象》について
1 《図案対象》の構想
2 第一画面、第二画面について
3 第三画面について
4 第四画面、第五画面について
第Ⅳ章 オブジェについて
註
図版一覧
あとがき
久保克彦の作品(別丁図版)
【著者について】
黒田和子(くろだかずこ)
1931年、東京に生まれる。久保克彦の姪。慶応義塾大学文学部史学科を通信教育課程で卒業。主な著書に、『浅野長政とその時代』(校倉書房、2000年)、主な論文に、「糸割符制度の起源についての試論――輸出銀からのアプローチ」(『歴史評論』2004年6月号)、「正保四年の南蛮船来航事件――江戸と現地での対応」(『日本歴史』2006年3月号)などがある。久保克彦関係のエセイ、論文には、「昭和十七年、叔父が残した卒業制作」(『芸術新潮』1999年8月号)、「『図案対象』に就いて」、「『輓馬の歌』」(ともに、 木村亨編『久保克彦遺作画集』私家版、2002年)などがある。
【関連書】
日本のダダ 1920-1970 白川昌生編/3800円+税
村山知義とクルト・シュヴィッタース マルク・ダシーほか/2500円+税
シュルレアリスム美術を語るために 鈴木雅雄+林道郎/2800円+税
ルネ・マグリット 国家を背負わされた画家 利根川由奈/4000円+税
マルセル・デュシャン論 オクタビオ・パス/宮川淳・柳瀬尚紀訳/1500円+税