5月の新刊:最初の物語《ブラジル現代文学コレクション》
2018年 5月 18日 コメントは受け付けていません。
最初の物語
《ブラジル現代文学コレクション》
ジョアン・ギマランイス・ホーザ(著)
高橋都彦(訳)
判型:四六判上製
頁数:271頁
定価:2200円+税
ISBN:978−4−8010−0294−4 C0397
装幀:宗利淳一
5月下旬発売!
古代から現代の言葉にいたるまで広範な語彙を駆使し、新語の創造、あるいは語順の転倒や独特な電報的な構文など、さまざまな言語的革新に挑む「ブラジルのジェイムス・ジョイス」が描く、〈死〉と〈不滅〉についての21の物語。
【目次】
喜びの縁(ふち)
「名うての」
ソロッコ、母、娘
あの世からきた女の子
ダゴベ兄弟
第三の川岸
精神的な奇術
いかなる男も女もいない
運命
原因と結果
鏡
無と人間の条件
ビールを飲んでいた馬
眩いばかりに色白の若者
ふたつのハネムーン
大胆な船乗りの出立
慈善を施す女
狂騒
物質
タランタアン、俺のボス……
梢(こずえ)
訳者あとがき
【著者について】
ジョアン・ギマランイス・ホーザ(João Guimarães Rosa)
1908年、ブラジル南東部地方ミナスジェライス州の農牧畜の町コルジスブルゴに生まれ、1967年、同国リオデジャネイロで没した。外交官で作家。ベロオリゾンチで医学を修め、故郷の町で開業医となった後、軍医将校としても医療に携わったが、幼児期より強い関心を抱き、習得していた多くの外国語を活かし、1934年に外務省に入省。海外勤務や国内で要職に就くかたわら、創作活動を行う。代表作は『大いなる奥地』(1956。『世界文学大系八三』中川敏訳、筑摩書房、1976)、短・中篇集は『舞踏団』(1956)、短篇集は『サガラーナ』(1946)、『最初の物語』(1962)など数は多くないが、故郷のミナス地方の奥地の豊饒な自然、動植物相を背景に、ジェイムス・ジョイス並の実験的な技法を駆使して語られる物語は、欧米で特に評価が高い。1946年、『サガラーナ』はフェリペ・ドリヴェイラ賞を受賞。1961年、『大いなる奥地』を含め、それまで上梓された作品全体にブラジル文学アカデミーの「マシャード・ジ・アシス賞」が受賞された。
【訳者について】
高橋都彦(たかはしくにひこ)
1943年、東京都に生まれる。東京外国語大学大学院外国語研究科(ロマンス系言語専攻)修士課程修了。拓殖大学名誉教授。専攻、ポルトガル語学・文学。主な訳書に、クラリッセ・リスペクトール『G・Hの受難/家族の絆』(共訳、集英社、1984)、フェルナンド・ペソア『不安の書』(新思索社、2007、これによりポルトガル大使館ロドリゲス通事賞受賞)、ジョルジ・アマード『老練な船乗りたち』(水声社、2017)などがある。
【関連書】
エルドラードの孤児/ミウトン・ハトゥン/武田千香訳/2000円+税
老練な船乗りたち/ジョルジ・アマード/高橋都彦訳/3000円+税
家宝/ズウミーラ・ヒベイロ・タヴァーリス/武田千香訳/1800円+税