5月の新刊:アイルランドの創出――現代国家の文学

2018年 6月 5日 コメントは受け付けていません。

アイルランドの創出アイルランドの創出
現代国家の文学
デクラン・カイバード(著)
坂内太(訳)

判型:A5判上製  
定価:8000円+税
ISBN:978-4-8010-0345-3 C0098
装幀:齋藤久美子
5月25日発売!


アイルランドを創出したければ、まず最初にアイルランド人を作り出さねばならない。
植民地化、ジャガイモ飢饉、アイルランド語の衰退、文芸復興、イースター蜂起、異境流浪……。ジェイムズ・ジョイス、サミュエル・ベケット、オスカー・ワイルドそしてスウィフト、イェイツ、グレゴリー夫人、ボウエンらの作品を読み解き、アイルランドの成り立ち、あり方、その未来を歴史、政治、社会、宗教、文学、演劇など多角的に捉えた斬新な考察。

目次
序章
第一章 アイルランドという名の新たなイングランド?

アイルランドはイングランドの無意識か?
第二章 オスカー・ワイルド――アイルランド人としての芸術家
第三章 ジョン・ブルの別の島の人々――バーナード・ショー

アングロ・アイルランド――女性の果たした役割
第四章 風習悲劇――サマヴィルとロス
第五章 グレゴリー夫人と帝国の男たち
 
イェイツ――ライオンの顔を覗き込みながら
第六章 幼年時代とアイルランド
第七章 形式への国家的切望

原点への回帰?  
第八章 脱英国化
第九章 国民性か、世界主義か?
第十章 J・M・シング――未来を思い出す

革命と戦争
第十一章 蜂起  
第十二章 大衆が蜂起を修正する
第十三章 世界大戦とアイルランド人の記憶

世界はかけ離れて?  
第十四章 アイルランドと、帝国の終焉

様々なアイルランドの創出  
第十五章 アイルランドを書き、イングランドを読む
第十六章 様々なアイルランドの創出
第十七章 反旗を翻して様式へ――イェイツの詩学
第十八章 最後の幻影 ――『ヴィジョン』
第十九章 ジェイムズ・ジョイスと神話的リアリズム

性の政治学
第二十章 エリザベス・ボウエン――反逆する洒落者
第二十一章 父と息子
第二十二章 母と娘

プロテスタントの復興  
第二十三章 プロトリックとカテスタント
第二十四章 聖女ジョウン――フェビアン協会のフェミニスト、プロテスタントの神秘主義者 
第二十五章 螺旋階段
第二十六章 宗教文学――ベケットとその他の作家たち

未発達  
第二十七章 周縁と中心
第二十八章 フラン・オブライエン、マイルズ、『貧乏の愚痴』
第二十九章 帝国の言葉の逆襲――ブレンダン・ビーアン
第三十章 ベケットの笑いと忘却のテクスト
第三十一章 ポストコロニアル・アイルランド――「揺れる大地」

復興と再生
第三十二章 圧迫のもとで――一九六〇年から一九九〇年の作家と社会
第三十三章 翻訳するフリール
第三十四章 伝統を翻訳する

アイルランドを再び創出する  
第三十五章 アイルランド学を想像する

原注
訳注  
索引

訳者あとがき


著者について
デクラン・カイバード(Declan Kiberd)  
1951年、ダブリンに生まれる。アイルランド国立大学ダブリン校アイルランド文学・演劇学専修の学科長を長らく務めた後、現在はノートルダム大学で教鞭を執る。アビー劇場評議員、ケンブリッジ大学マグダレン・カレッジのパーネル記念特任教授、デューク大学及びソルボンヌ大学客員教授などを歴任。主な著書に、本書、Inventing Ireland: The Literature of the Modern Nation(1995)の他に、Irish Classics (2000)、The Irish Writer and the World (2005)、 Ulysses and Us: The Art of Everyday Living(2009. 邦訳、水声社) After Ireland (2017) などがある。ペンギン二十一世紀クラシックス・シリーズの『ユリシーズ』の注釈版(1992)を編集してもいる。

訳者について
坂内太(さかうちふとし)  
1965年、神奈川県に生まれる。アイルランド国立大学ダブリン校(UCD)アイルランド文学・演劇学専修博士課程修了。PhD。現在、早稲田大学文学学術院教授。専攻、アイルランド文学、演劇論、身体表象論。主な論文に、“Staging Bankruptcy of Male Sexual Fantasy: Lolita at the National Theatre”(Ireland on Stage: Beckett and After, Carysfort Press Limited, 2007)、“Not I in an Irish Context”(Samuel Beckett Today / Aujourd’hui, Brill; Rodopi, 2008)、主な訳書にデクラン・カイバード『「ユリシーズ」と我ら――日常生活の芸術』(水声社、2011)などがある。

関連書
『ユリシーズ』と我ら デクラン・カイバード 坂内太訳/5000円+税
ブルームの歳月 ジョン・マッコート 宮田恭子訳/7000円+税
ベケットを見る八つの方法 岡室美奈子・川島健編/4500円+税
戦争・詩的想像力・倫理 伊達直之・堀真理子・佐藤亨・外岡尚美/3500円+税

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