7月の新刊:異貌のパリ 1919-1939――シュルレアリスム、黒人芸術、大衆文化
2017年 7月 30日 コメントは受け付けていません。
異貌のパリ 1919-1939
シュルレアリスム、黒人芸術、大衆文化
澤田直(編)
ミシェル・ポワヴェール+鈴木雅雄+エルザ・アダモヴィッチ+千葉文夫+昼間賢+パスカル・ブランシャール+永井敦子+河本真理+星埜守之+柳沢史明+荒このみ+ミカエル・フェリエ+ヤニック・セイテ(著)
判型:A5判上製
頁数:275頁
定価:4000円+税
ISBN:978-4-8010-0277-7 C0090
装幀:宗利淳一
好評発売中!
祝祭空間としてのパリ
狂乱の20年代から暗雲が漂う30年代にかけて、サブ・カルチャーがパリに雪崩れ込んだ……。写真、映画、黒人芸術、ジャズ、ダンスといったそれらは、ハイカルチャーとどのように邂逅し、またすれ違ったのだろうか。思想と芸術の豊潤なる交雑とその可能性を探る。
【目次】
序 両大戦間期パリの魅惑——思想と芸術が交錯する地点で 澤田直
第Ⅰ部 イメージをめぐって
シュルレアリスムと写真——アンチモダンの前衛? ミシェル・ポワヴェール(長尾天訳)
「森のなかでのように、夢のなかでのように」——シュルレアリスムと匿名的閉鎖空間 鈴木雅雄
シュルレアリスム本——詩人と画家は対話する エルザ・アダモヴィッチ(永井敦子訳)
マルセル・デュシャン/ローズ・セラヴィの3D映画 千葉文夫
書物への写真、書物から写真へ——ロジェ・パリーを例として 昼間賢
第Ⅱ部 シュルレアリスムとその外部
1931年パリ国際植民地博覧会と両大戦間フランスにおける異国趣味空間の演出 パスカル・ブランシャール(三浦信孝訳)
「植民地博覧会に行くな」——1930年から40年代のシュルレアリスムと植民地表象 永井敦子
〈オブジェ〉の挑発——シュルレアリスム/プリミティヴィスム/大衆文化が交錯する場 河本真理
シュルレアリスムと日本の〈前衛〉——瀧口修造を中心に 星埜守之
第Ⅲ部 黒いパリ
カール・アインシュタインによる《アフリカ美術研究のための方法》の探求 柳沢史明
ジョセフィン・ベイカーと「ニグロ・レヴュー」 荒このみ
ジャズ——「驚きのサウンド」と誤解 ミカエル・フェリエ(黒木秀房訳)
パリ、ハーレム・ルネサンスの飛び地 ヤニック・セイテ(昼間賢訳)
参考文献
年表
人名索引
編者あとがき
【著者/執筆者/訳者について】
澤田直(さわだなお)
1959年生まれ。パリ第一大学博士課程修了(哲学博士)。立教大学教授、日仏会館理事。専攻、現代哲学・フランス語圏文学。主な著書に、『〈呼びかけ〉の経験』(人文書院、2002)、『新・サルトル講義』(平凡社、2002)、『サルトル読本』(編著、法政大学出版局、2015)、主な訳書に、サルトル『言葉』(人文書院、2006)、フィリップ・フォレスト『さりながら』(白水社、2008)がある。
ミシェル・ポワヴェール(Michel Poivert)
1965年生まれ。パリ第1大学博士課程修了(美術史博士)。パリ第1大学教授。専攻、美術史・写真史。主な著書に、L’image au service de la révolution (Le Point du Jour Éditeurs, 2006), La photographie contemporaine (Flammarion, 2010), Brève histoire de la photographie (Hazan, 2015)がある。
鈴木雅雄(すずきまさお)
1962年生まれ。パリ第7大学博士課程修了(文学博士)。早稲田大学教授。専攻、シュルレアリスム研究。主な著書に、『シュルレアリスム、あるいは痙攣する複数性』(平凡社、2007)、『マンガ視覚文化論』(編著、水声社、2017年)、主な訳書に、ジョルジュ・セバッグ『崇高点』(水声社、2016)がある。
エルザ・アダモヴィッチ(Elaza Adamowicz)
1947年生まれ。ロンドン大学クイーン・メアリー校名誉教授。専攻、ダダイズム・シュルレアリスムを中心とする20世紀フランス文学と映像文化。主な著書に、Surrealist Collage in Text and Image : Dissecting the Exquisite Corpse (1998, 2004), Ceci n’est pas un tableau : les textes surréalistes sur l’art (2004), Bunuel/Dali : Un Chien andalou (2010) がある。
千葉文夫(ちばふみお)
1949年生まれ。パリ第1大学博士課程修了(哲学博士)。早稲田大学名誉教授。専攻は、20世紀フランス文学・イメージ論。主な著書に、『ファントマ幻想』(青土社、1998)、『クリス・マルケル 遊動と闘争のシネアスト』(共著、森話社、2014)、主な訳書に、『ミシェル・レリス日記』(みすず書房、2002)、『マルセル・シュオッブ全集』(共訳、国書刊行会、2015)がある。
昼間賢(ひるまけん)
1971年生まれ。早稲田大学大学院博士課程単位取得退学。立教大学兼任講師。専攻、フランス両大戦間の文学・文化。主な著書に、『写真と文学』(共著、平凡社、2013)、『移動者の眼が露出させる光景』(共著、弘学社、2014)など、主な訳書に、アンドレ・シェフネル『始原のジャズ』(みすず書房、2012)、ピエール・マッコルラン『写真幻想』(平凡社、2015)がある。
パスカル・ブランシャール(Pascal Blanchard)
1965年生まれ。パリ第1大学博士課程修了(歴史博士)。歴史家、CNRS研究員、Groupe de recherche Achac 共同代表者。専攻、植民地問題・移民問題。主な共著に、La République coloniale(Hachette Pluriel, 2006; 『植民地共和国フランス』岩波書店、2012), Vers la Guerre des identités? (Découverte, 2016)がある。
永井敦子(ながいあつこ)
1961年生まれ。アンジェ大学博士課程修了(文学博士)。上智大学教授。専攻、20世紀フランス文学。主な著書に、『クロード・カーアン』(水声社、2010)、『別冊水声通信 ジュリアン・グラック』(共著、水声社、2011)、主な訳書に、ジュリアン・グラック『ひとつの町のかたち』(書肆心水、2004)、『街道手帖』(風濤社、2014)などがある。
河本真理(こうもとまり)
1968年生まれ。パリ第1大学博士課程修了。博士(美術史学)。日本女子大学教授。専攻は、西洋近現代美術史。主な著書に、『切断の時代——20世紀におけるコラージュの美学と歴史』(ブリュッケ、2007)、『葛藤する形態——第一次世界大戦と美術』(人文書院、2011)、『現代の起点 第1次世界大戦 第3巻 精神の変容』(共著、岩波書店、2014)、『パリⅡ』(共著、竹林舎、2015)がある。
星埜守之(ほしのもりゆき)
1958年生まれ。東京大学大学院博士課程中退。東京大学教授。専攻、フランス文学・フランス語圏文学。主な著書に、『ジャン゠ピエール・デュプレー』(水声社、2010)、主な訳書に、アンドレ・ブルトン『魔術的芸術』(共訳、人文書院、1997)、パトリック・シャモワゾー『テキサコ』(平凡社、1997)がある。
柳沢史明(やなぎさわふみあき)
1979年生まれ。東京大学大学院博士課程修了。博士(文学)。東京大学人文学社
会系研究科助教。専攻、美学芸術学。主な論文に、『「ニグロ芸術」の形成及びその受容』(博士論文、2014)、Le renouvellement des arts africains et l’administration coloniale : le casde Georges Hardy, Aesthetics, No. 19, 2015, pp. 27-38、主な著書に、『パリⅡ』(共著、竹林舎、2015)、『ブラック・モダニズム』(共著、未知谷、2015)がある。
荒このみ(あらこのみ)
1946年生まれ。東京大学大学院博士課程修了。博士(文学)。東京外語大学名誉教授。専攻、アメリカ文学・文化。主な著書に、『歌姫あるいは闘士 ジョセフィン・ベイカー』(講談社、2007)、『アフリカン・アメリカン文学論――「ニグロのイディオム」と想像力』(東京大学出版会、2004)、主な訳書に、マーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ』(岩波書店、全6巻)、『アメリカの黒人演説集』(岩波書店、2008)、『トニ・モリスン事典』(雄松堂出版、2006)がある。
ミカエル・フェリエ(Michaël Ferrier)
1967年生まれ。パリ第4大学博士課程修了(文学博士)。作家、中央大学教授。専攻、セリーヌをはじめとする20世紀フランス文学。主な作品に、Sympathie pour le Fantôme (Gallimard, 2010), Mémoires d’outre-mer(Gallimard, 2015) など、主な著書に『フクシマ・ノート——忘れない災禍の物語』(新評論、2013)がある。
ヤニック・セイテ(Yannick Séité)
1962年生まれ。パリ第7大学博士課程修了(テクストと資料の科学博士)。パリ第7大学准教授。専攻、ルソーをはじめとする啓蒙思想。主な著書に、Du livre au lire : La nouvelle Héloïse, roman des lumières(Honoré Champion, 2002), Le jazz, à la lettre : La littérature et lejazz (Presses Universitaires de France, 2010) がある。
長尾天(ながおたかし)
1980年生まれ。早稲田大学大学院博士課程修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員PD、成城大学講師。専攻、二十世紀美術史、イメージ論。主な著書に、『イヴ・タンギー アーチの増殖』(水声社、2014)、『語るタンギー』(編訳、水声社、2015)がある。
三浦信孝(みうらのぶたか)
1945年生まれ。東京大学大学院博士課程満期退学。中央大学名誉教授、日仏会館副理事長。専攻、フランス文学・思想。主な著書に、『現代フランスを読む——共和国・多文化主義・クレオール』(大修館書店、2002、『自由論の討議空間——フランス・リベラリズムの系譜』(編著、勁草書房、2010)、主な訳書に、ブリュノ・ベルナルディ『ジャン゠ジャック・ルソーの政治哲学』(編訳、勁草書房、2014)などがある。
黒木秀房(くろきひでふさ)
1984年生まれ。立教大学大学院博士課程修了。博士(文学)。立教大学兼任講師。専攻、哲学・フランス思想。主な論文に「ドゥルーズ「フィクション」の問題——ドラマ化を中心に——」(『フランス語フランス文学研究』第108号、2016)がある。