3月新刊:ヴェネツィア、最初のゲットー

2016年 3月 29日

ヴェネツィア、 カバー
ヴェネツィア、最初のゲットー
アリス・ベッケル=ホー(著)
木下誠(訳)

判型:四六版上製
頁数:240頁
定価+税:2800円+税
ISBN:978-4-8010-0152-7 Cコード:C 0022 好評発売中
装幀者:齋藤久美子


著者/訳者紹介:
アリス・ベッケル=ホー(Alice Becker-Ho)  1941年、上海に生まれる。作家。シチュアシオニストのメンバーとして、ギー・ドゥボールと行動をともにし、後に結婚。主な著書に、『隠語の王者たち』(1990)、『隠語の本質』(1994)などがある。

木下誠(きのしたまこと)  1956年、鳥取県に生まれる。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。現在、兵庫県立大学教授。専攻、フランス文学。主な訳書に、ギー・ドゥボール『スペクタクルの社会』(ちくま学芸文庫、2003)、『セガレン著作集 第1巻 記憶なき民』(水声社、2003)、ジル・マンスロン『ヴィクトル・セガレン伝』(水声社、2015)などがある。


内容紹介:
隔離から共生の《ゲットー》へ

ユダヤ人迫害の象徴として流布する《ゲットー》は、その誕生の地である都市国家ヴェネツィアでは、経済と文化の花開く、国際交流の拠点だった。古代ローマから現代にいたる様々な書物を引用しながら、都市文化、ユダヤ人の来歴、ゲットーの成り立ちを論じ、《ゲットー》の語源を探求する。《ゲットー》を理解を刷新する一冊!


目次:
まえがき
第1章 都市の土台
第2章 国際色豊かな街
第3章 ユダヤ人共同体――追放に次ぐ追放
第4章 都市国家ヴェネツィア
第5章 ユダヤ人ゲットー
第6章 失われたゲットーを求めて

 

3月新刊:18世紀ロシア文学の諸相

2016年 3月 29日

18世紀ロシア文学の諸相

18世紀ロシア文学の諸相
ロシアと西欧 伝統と革新
金沢美知子(編)
執筆者=三浦清美/鳥山祐介/大塚えりな/安達大輔/豊川浩一/田中良英/矢沢英一/大野斉子/金沢友緒/長縄光男/乗松亨平/三好俊介/中神美砂/ナターリヤ・ドミトリエヴナ・コチェトコーヴァ

判型:A5判上製
頁数:408頁
定価:5500円+税
ISBN:978−4−8010−0155−8 C0098 好評発売中
装幀者:西山孝司

内容紹介:
ロシア文学は18世紀にはじまる──
西欧化政策を推進したピョートル一世と啓蒙主義を標榜したエカチェリーナ二世の2つの治世に挟まれた,壮大な謎・未知の領域である〈18世紀ロシア〉を「プーシキンから始まる」ロシア文学という偏頗な文学史観に疑問を呈しつつ,さまざまな角度から考察する。

《本書は,ここ十数年の18世紀ロシア文学をめぐる仕事に現れた新たな動向を日本のロシア研究の中に位置づけることを目的とし,さらにその先へと研究が発展することを願って,出版される。さまざまな角度から18世紀理解のための視点と情報を提供し,18世紀ロシア文学の諸相を描き出すという構想のもとに編纂されている。》(「序文」より)

目次:
序文

第一部 近代ロシア文学の形成過程

ロモノーソフの神、デルジャーヴィンの神(三浦清美)
ロモノーソフと修辞学的崇高──18世紀ロシアにおける「精神の高揚」の様式化(鳥山裕介)
フョードル・エミンとロシア最初の書簡体小説──現実の様式化へ向けて(金沢美知子)
カラムジンの『ロシア人旅行者の手紙』における虚実(大塚えりな)
カラムジンの初期評論における翻訳とその外部(安達大輔)
ロシア・センチメンタリズムに見る「死への憧憬」と「離郷願望」(金沢美知子)

第二部 文学をとりまく環境
18世紀ロシアにおける国家と民間習俗の相克──シンビルスクの「魔法使い(呪術師)」ヤーロフの裁判を中心に(豊川浩一)
18世紀初頭におけるロシア君主の日常的儀礼とその変化(田中良英)
イワン・ドルゴルーコフの回想記から見えてくるもの(矢沢英一)
フォードル・エミンと18世紀ロシア(金沢美知子)
女帝の身体(大野斉子)
ロシアで翻訳された最初のゲーテ文学──О.П.コゾダヴレフと悲劇『クラヴィーゴ』(金沢友緒)

第三部 18世紀ロシアへの視点
『ペテルブルグからモスクワへの旅』をめぐって──ラジシチェフ・プーシキン・ゲルツェン(長縄光男)
ベリンスキーとロシアの18世紀──「ロシア史」はいかに語られるか(乗松亨平)
ヴラジスラフ・ホダセヴィチと18世紀ロシア──評伝『デルジャーヴィン』をめぐって(三好俊介)
E・R・ダーシコヴァに関するロシアにおける研究と動向について(中神美砂)

結語

プーシキンスキー・ドームの18世紀ロシア文学研究部門──その歴史と現在(ナターリヤ・ドミトリエヴナ・コチェトコーヴァ)

編者あとがき

 

3月新刊:二人の若妻の手記≪バルザック愛の葛藤・夢魔小説選集2≫

2016年 3月 29日

ベンヤミンの墓標_原注21
二人の若妻の手記
オノレ・ド・バルザック(著)
加藤尚宏+芳川泰久(訳)

判型:四六判上製
頁数:365頁
定価:3500円+税
ISBN:978−4−8010−0142−8 C0397 好評発売中!

内容紹介:
恋を夢見、ともに少女時代を過ごした修道院を去ることとなったルイーズとルネ。恋愛と政略という、互いの対照的な結婚生活を手紙で綴る、書簡体小説の名作!

表題作ほか、堅物の夫人に誤って届けられた恋文をめぐる騒動を描く「女性研究」の二篇。

訳者について:
加藤尚宏(かとうなおひろ)  1935年、東京に生まれる。2015年、東京で没する。早稲田大学卒業、同大学大学院博士課程修了。早稲田大学名誉教授。専攻、フランス文学。主な 著書に、『バルザック 生命と愛の葛藤』(せりか書房、2005)、訳書に、オーウェン『黒い玉』(1993)、バルザック『村の司祭』(1975、ともに東京創元社)などがある。

芳川泰久(よしかわやすひさ)  1951年、埼玉県に生まれる。早稲田大学卒業、同大学大学院後期博士課程修了。現在、早稲田大学文学学術院教授。専 攻、フランス文学。主な著書に、『闘う小説家 バルザック』(せりか書房、1999)、『歓待』(水声社、2009)、『謎とき「失われた時を求めて」』 (新潮社、2015)などがある。

関連書:
バルザック愛の葛藤・夢魔小説選集1  偽りの愛人  私市保彦・加藤尚宏・澤田肇・博多かおる(訳) 3000円+税
バルザック愛の葛藤・夢魔小説選集5  三十女  芳川泰久+佐野栄一(訳)  3000円+税

 

3月新刊:田中青坪——永遠のモダンボーイ

2016年 3月 24日

ベンヤミンの墓標_原注26 田中青坪
永遠のモダンボーイ
アーツ前橋(編)

判型:B5判並製
頁数:104頁
定価:2000円+税
ISBN:978-4-8010-0153-4 C0070
装幀:宗利淳一
好評発売中!



田中青坪という日本画家を知っていますか。
群馬県前橋市に生まれ大正・昭和と日本美術院を中心に活躍し、モダニズムを追究した作風を展開し、晩年は深い自然観照による風景画を制作した。絵具を塗り重ねながらもすんだ色彩は青坪の特徴で、その代表作『春到』『花による少女』『浅間』シリーズなどを生地での初回顧展開催により、およそ70年にわたる画業をたどる。
2016年3月19日から5月17日までアーツ前橋で開催の「田中青坪——永遠のモダンボーイ」展の公式図録。

目次
ごあいさつ
展覧会によせて 後藤純男
父、青坪との思い出 福田仁
文雄から青坪へ―—初期作品をめぐって 野地耕一郎
図版
落款印譜
資料
田中青坪——その生涯と作品 辻瑞生
作家の言葉
作品評
年譜
水戸偕楽園・好文亭の襖絵制作
主要参考文献
作品一覧

テキスト執筆者について
後藤純男  日本美術院同人理事
福田仁   田中青坪長女
野地耕一郎 泉屋博古館分館長
辻瑞生   アーツ前橋学芸員

 

2月新刊:映像アートの原点 1960年代《水声文庫》

2016年 3月 15日

書影

タイトル:映像アートの原点 1960年代
サブタイトル:東京、ニューヨーク
飯村隆彦(著)

判型:四六判上製
頁数:240頁
定価:2500円+税
ISBN:978−4−8010−0154−1 C0074 好評発売中!
装幀者:宗利淳一

内容紹介:
実験映画の勃興
日本の,という以上に,世界の実験映画の新しい地平を切り開いてきた著者が,自らの原点としての《1960年代》を,興味深いエピソードとともに語りつくす。

目次:
まえがき/Ⅰ 実験映画前史──大学卒業まで/Ⅱ 初期作品について──60年代前半/Ⅲ アメリカへ渡る/Ⅳ ヨーロッパを巡る/Ⅴ アメリカの実験映画作家たちとの周辺/Ⅵ 2014年のヨーロッパ/1969年のウィーン/註/バイオグラフィー/フィルモグラフィー/ビデオ、LD、CD-ROM、DVDグラフォー/フィルム、ビデオ、CD-ROMインスタレーション/パフォーマンス/あとがき

著者ついて:
飯村隆彦(いいむらたかひこ)   一九三七年、東京に生れる。慶應義塾大学法学部卒業。一九六〇年から、実験映画の制作を始め、一九六六年以降、主として、アメリカ、ヨーロッパで作品活動。ベルリン、シラー大学、ニューヨーク州大学、大阪芸術大学、名古屋造形芸術大学等で映画学を講じる。現在、実験映画作家、ビデオ作家として活動。主な著書には、『芸術と非芸術の間』(三一書房、1970)、『ヨーコ・オノ』(文化出版局、1985年/水声社、2001)、『パリ=東京 映画日記』(書肆風の薔薇/水声社、1985)、『映像実験のために』(青土社、1986)等がある。

飯村隆彦の本:
ヨーコ・オノ──人と作品/2200円+税
パリ=東京 映画日記/2500円+税


 

2月新刊:めずらしい花 ありふれた花

2016年 3月 15日

めずらしい花 ありふれた花
タイトル:めずらしい花 ありふれた花
サブタイトル:ロタと詩人ビショップとブラジルの人々の物語
カルメン・L・オリヴェイラ(著)
小口未散(訳)

判型:四六判上製
頁数:368頁
定価:3500円+税
ISBN:978−4−8010−0131−2 C0098 好評発売中!
装幀者:宗利淳一

内容紹介:
〈魅惑の都市〉に翻弄されて──
フラメンゴ公園造成を発案したロタとアメリカの桂冠詩人ビショップ。そそり立つ岩と雲流れる家,秘めやかな「家庭」,愛の暮し。家は建築賞,詩集はピュリッツァー賞に輝くが,公園事業がふたりの距離を生む。1950-60年代の軍政に向かう不穏な国で,政治的後ろ楯と仲間を失い,ロタは詩人との絆に賭けて渡米するが……。闇に埋もれた先駆的女性の一生を蘇らせ,詩人の飛躍を促したブラジル生活を,親友たちの証言で初めて公にした二人の評伝!

目次:
1章 一九七八年、ボストン/2章 おお、旅人よ/3章 みだらな花柄/4章 昔シナの王さまがおったとさ/5章 一九九四年、リオデジャネイロ/6章 日々の暮らし/7章 八百屋が幸運をつれてくる/8章 美しき椰子の木の国/9章 ドナ・ロタ/10章 ウアーイ――なぜ?/11章 大型倉庫/12章 赤裸の犬/13章 メルドー/14章 まばゆい月明かりの夜/15章 ブブブ・ノ・ボボボ/16章 財団/17章 大きな期待は大きな落胆に通じる/18章 カモンイスの棍棒/19章 ロレーナ産の風狂木/20章 筋を通している暇はない/21章 三流遊園地/22章 落日/23章 一九九四年、リオデジャネイロ/24章 一九七八年、ボストン/訳注/文献/あとがき

著者ついて:
カルメン・L・オリヴェイラ(Carmen L. Oliveira)
リオデジャネイロ生まれ。アメリカ合衆国インディアナ州ノートルダム大学大学院修了、文学専攻。軍政時代に大学での教職を辞し、作家・翻訳家として新聞『グロボ』『エスタード・ヂ・サンパウロ』、雑誌『ブラーヴォ!』などに寄稿。著書に小説Trilhos e quintais (1998)、短編集Diga toda a verdade—em modo oblíquo (2012)、論考にビショップ学会(1998)での発表「輝けるロタ」(”Luminous Lota,” L. Menides /A. Dorenkamp (eds.), In Worcester, Massachusetts, Peter Lang, 1999)、ブラジル国際関係センター学会(2001)で文化のアイデンティティとグローバリゼーションを論じた ” Jack Soul Brasileira — identidade cultural e globalização”(Globalização, democracia e desenvolvimento social, CEBRI, 2001)など。現在サンパウロ州在住。

訳者について:
小口未散(おぐち みちる)
一九五〇年東京生まれ。東京外国語大学フランス科卒、同大学院修了。岩波書店で編集に携わるかたわら詩人ビショップを研究。論考にアメリカの学会(1998)で発表した”The Art of Naming,” L. Menides /A. Dorenkamp (eds.), In Worcester, Massachusetts, Peter Lang,1999)に基づく「名づけるというわざ――夜のポエティックス」(『文学空間』V-No.4、二十世紀文学研究会、風濤社、2007)、「エリザベス・ビショップの家」(『詩と思想』、土曜美術社出版販売、1999)。訳書に『エリザベス・ビショップ詩集』(世界現代史文庫32、土曜美術社出版販売、2001)。ほかに散文「村里にて」(『文学空間』V-No.8、同前、2011)の訳がある。

 

3月の新刊:ヴァルター・ベンヤミンの墓標《叢書 人類学の転回》

2016年 3月 9日

Benjamin
ヴァルター・ベンヤミンの墓標
マイケル・タウシグ(著)
金子遊・井上里・水野友美子訳(訳)


判型:四六判上製
頁数:392頁
定価:3800円+税
ISBN:978−4−8010−0160−2 0010 3月25日発売!
装幀者:宗利淳一


内容紹介:
《叢書 人類学の転回》第3回配本
21世紀の文化人類学界に強烈なインパクトを与えた人類学者であり、現代における最も重要な「移動するエッセイスト」でもある著者の初の邦訳がついに刊行!

ゴンゾー人類学者による、ビートニク小説のようにも読める民族誌的試論集

ベンヤミンが没したフランスと国境を接するスペインの町ポルトボウについてのエッセイにはじまり、コロンビアの農民詩、悪魔との契約、〈海〉が消えていったいきさつ、シャーマンの身体の特質、宗教や道徳上の侵犯、ニューヨーク市警察の横暴、〈花〉と〈暴力〉との関係、について刺激的に語る。


目次:

著者ノート
第一章 ヴァルター・ベンヤミンの墓標――非宗教的な啓示
第二章 アメリカの構築
第三章 太陽は求めず与える
第四章 浜辺(ファンタジー)
第五章 直感性と信仰と懐疑――もうひとつの呪術論
第六章 侵犯
第七章 NYPDブルース
第八章 花言葉


著者・訳者紹介:
マイケル・タウシグ(Michael Taussig) 1940年、オーストラリアのシドニーに生まれる。南米のコロンビアやベネズエラのアマゾン地域を専門とする文化人類学者。現在、コロンビア大学教授。主な著書に『ラテンアメリカの悪魔と商品の物神崇拝』(未訳、1980)、『シャーマニズム、植民地主義、ワイルドマン』(未訳、1986)、『模倣と他者性』(井村俊義訳、水声社近刊、1993)などがある。

金子遊(かねこゆう) 1974年、埼玉県で生まれる。映像作家、批評家、民族誌学者。現在、慶應義塾大学環境情報学部ほか非常勤講師。「弧状の島々 ソクーロフとネフスキー」で三田文学新人賞(評論部門)受賞。著書に『辺境のフォークロア』(河出書房新社、2015)、編著に『吉本隆明論集』(アーツアンドクラフツ、2013)、『国境を超える現代ヨーロッパ映画250 移民・辺境・マイノリティ』(河出書房新社、2015)などがある。
井上里(いのうえさと) 1986年、宮崎県に生まれる。早稲田大学第一文学部総合人文学科卒業。現在、法政大学社会学部非常勤講師。専攻、アメリカ文学。主な訳書に、ジョアンナ・ラコフ『サリンジャーと過ごした日々』(柏書房、2015)などがある。
水野友美子(みずのゆみこ) 1983年、富山県に生まれる。ロンドン大学ゴールスミス・カレッジ・メディア&コミュニケーション学部修士課程、一橋大学大学院総合社会科学専攻人間行動研究科修士課程修了。専攻、アートの人類学・映画学。共訳書に、ニコラス・キャンピオン『世界史と西洋占星術』(柏書房、2012)などがある。

関連書
マリリン・ストラザーン 大杉高司・浜田明範・田口陽子・丹羽充・里見龍樹訳『部分的つながり』3000円+税
エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロ 近藤宏・里見龍樹訳『インディオの気まぐれな魂』 2500円+税
アルフォンソ・リンギス 小林徹訳『変形する身体』2800+税
ピエール・クラストル 渡辺公三訳『国家に抗する社会』 3500円+税

 

『『フランケンシュタイン』とヘルメス思想――自然魔術・崇高・ゴシック』刊行記念

2016年 3月 6日

田中千惠子×高山宏「はじめて語られる異貌のフランケンシュタイン像」

『フランケンシュタイン』は、近代の科学的唯物論に対抗するヘルメス〈知〉の復権であり、精神的魔術の文学である――

マッド・サイエンティストといわれてきたフランケンシュタイン博士とは、じつは錬金術を愛する、アグリッパ的自然魔術の継承者であった。彼の錬金術・魔術はヘルメス思想の伝統に深く根ざしている。

『フランケンシュタイン』と錬金術・魔術、ヘルメス思想との深いつながりを、膨大な資料と論証を用いて初めて解明した『『フランケンシュタイン』とヘルメス思想——自然魔術・崇高・ゴシック』が刊行されました。本書は、日本では未紹介のアグリッパ『隠秘哲学について』から薔薇十字主義にいたるまで、『フランケンシュタイン』にまつわるさまざまな魔術的な表象・思潮を丹念に拾いあげながら、フランケンシュタイン博士の人体創造の全貌を明らかにしています。
さらに本書は、欧米の現代エソテリシズム研究を日本で初めて概観・紹介しており、エソテリシズムと文学の関係についても知ることができます。

・錬金術・魔術、神秘主義の視点から『フランケンシュタイン』やロマン主義を見ると何がわかるのか?
・エソテリシズム、ヘルメス思想はどう繋がるのか?
・現代のエソテリシズムの研究はどんな状況なのか?

このようなファウスト的学知をめぐる問題にお答えするため、著者の田中千惠子先生と、その恩師である学魔 高山宏先生をお迎えして、縦横無尽に『フランケンシュタイン』や文学をエソテリックに語りあっていただきます。同時に、現代欧米で盛んに行なわれているエソテリシズム研究の刺激的な現場についても紹介していただきます。

田中千惠子(たなか・ちえこ)
首都大学東京大学院博士後期課程修了。非常勤講師等を経て、ロマン主義文学・現代文学とエソテリシズム思想との関係を研究。主要論文に、‘‘Frankenstein and Hermetism’’、「メアリ・シェリー、孤独な魂の飛翔——The Fields of Fancy におけるプラトン主義的探求」などがある。

高山宏(たかやま・ひろし)
英文学者・批評家・翻訳家。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京都立大学教授、首都大学東京都市教養学部教授、明治大学国際日本学部教授を経て、大妻女子大学比較文化学部教授。マニエリスムから精神史に至るまで、文学・芸術・思想・表象をめぐる分野横断的研究は他の追随を許さない。著書に『アリス狩り』『世紀末異貌』『超人高山宏のつくりかた』『近代文化史入門』、訳書に、バーバラ・M・スタフォード『ヴィジュアル・アナロジー』、エリザベス・シューエル『ノンセンスの領域』、ウィリアム・ウィルフォード『道化と笏杖』など。

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日時:2016年3月26日(土)12:00~14:00(11:30開場)
場所:本屋B&B(世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F)
入場料:1500yen+1drink order
お申込み先:http://bookandbeer.com/event/20160326_frankenstein/
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2月新刊:近代日本とフランス象徴主義

2016年 2月 19日

ピクチャ 1近代日本とフランス象徴主義
坂巻康司(編)

執筆者=渋谷裕紀/堀まどか/大出敦/柏倉康夫/田口亜紀/西岡亜紀/岩津航/釣馨/野村喜和夫/森本淳生/立花史/寺本成彦

判型:A5判上製
頁数:408頁
定価:6500円+税
ISBN:978−4−8010−0151-0 C0021 好評発売中!

装幀者:西山孝司

 

内容紹介:

フランス象徴主義はなぜ、かくまで日本にとって重要だったのか?

上田敏が『海潮音』を発表してから100年経った今もなお、日本の文壇/論壇/詩壇に影響を与え続けているフランス象徴主義は、いかにして本邦に移入されてきたのか? 明治大正における初期の受容(蒲原有明/野口米次郎/P・クローデル)からマチネ・ポエティクの時代(中村真一郎/福永武彦/加藤周一)、そして近代日本文学における創造的な受容(萩原朔太郎/梶井基次郎/中原中也)から象徴主義の克服(小林秀雄/田辺元/寺山修司)を経て現代までを総覧し、その意義を究明する。

19世紀末に生じたフランス象徴主義という芸術思潮は、日本においてもけっして過去の遺物ではなく、むしろ現代に生き続けている大きな文学の潮流の一つであるという事がはっきりと見えてくる。今日、フランス象徴主義について考えることは、いま現在、生きている文化を考えることなのだ。現代に生きるフランス象徴主義、その意味を探るのがこの論集の眼目なのである。》(本文より)

 

目次:

第一部 明治大正期における受容

 

蒲原有明におけるフランス象徴詩の受容――『有明集』「豹の血」を視点として(渋谷裕紀 )

野口米次郎の象徴主義――日本文化に見いだされた象徴主義(堀まどか )

魂と形相――クローデルの日本体験(大出敦 )

堀口九萬一と大學のフランス詩訳(柏倉康夫 )

 

第二部 マチネ・ポエティクの時代

 

定型詩からフィクションへ――中村真一郎におけるネルヴァル(田口亜紀 )

福永武彦におけるボードレール――研究と創作のあいだ(西岡亜紀 )

加藤周一とヴァレリー――知性の仕事としての象徴主義(岩津航 )

 

第三部 創造的受容――ボードレールとランボーの場合

 

萩原朔太郎とボードレール――感覚と声の詩学(坂巻康司 )

梶井基次郎におけるボードレール(釣馨 )

ランボー受容史――中原中也から私の詩作まで(野村喜和夫 )

 

第四部 象徴主義の超克?

 

〈球体〉脱出のもうひとつの道――小林秀雄における象徴主義の超克(森本淳生 )

マラルメ研究史のなかの田辺元――『ヴァレリイの芸術哲学』から『マラルメ覚書』へ(立花史 )

寺山修司におけるロートレアモン――書物からスクリーンへ、スクリーンから街へ(寺本成彦)

 

  参考文献  

    【資料】フランス象徴主義移入の百年  

   編者あとがき

 

2月新刊:ニボアンヌ

2016年 2月 19日

ニボアンヌ
ニボアンヌ
上島周子(著)

判型:四六判上製
頁数:274頁
定価:2500円+税
ISBN:978−4−8010−0145−9 C0093 好評発売中!

内容紹介:冒険を愛する女子のための、南仏(プロバンス)生活のススメ

『ロシュフォールの恋人たち』『シェルブールの雨傘』『地下鉄のザジ』……
フランス映画に恋するあまり、映画美術界の第一人者ベルナール・エヴァンにファンレターを送ったアキコ。文通の末、いよいよ憧れの地プロバンスを訪れることに……。
フランス語レベル:1=ニボアンヌの主人公が繰り広げる、爆笑ユーモア日記小説!


著者について:
上島周子(うえしまちかこ)  蠍座。好きな作家はレーモン・クノー。好きな言葉は「冒険」で、最も好きな夢想は「魂の大冒険」である。『ニボアンヌ』が初の小説。

 

1月新刊:三十女≪バルザック 愛の葛藤・夢魔小説選集5≫

2016年 2月 19日

バルザック30女
三十女
オノレ・ド・バルザック(著)
芳川泰久+佐野栄一(訳)

判型:四六判上製
頁数:340頁
定価:3000円+税
ISBN:978−4−8010−0145−9 C0397 好評発売中!

内容紹介:恋に盲目になるあまり、懸念する父親を振り切って、無能で上辺だけのデグルモン大佐と結婚したうら若き娘ジュリー。次第に夫の本性に気づき、絶望しきっていた彼女だが、心の底では本当の愛を求めていた。二人の男と出会い、恋をするが、不幸な結末を迎える。さらには自らの過去の因果で、その愛娘に不幸がふりかかるのを防ごうとするが……。六部構成で、波乱万丈の女の人生が壮大に語られる表題作と「家庭の平和」の二篇。

訳者について:
芳川泰久(よしかわやすひさ)  1951年、埼玉県に生まれる。早稲田大学卒業、同大学大学院後期博士課程修了。現在、早稲田大学文学学術院教授。専攻、フランス文学。主な著書に、『闘う小説家 バルザック』(せりか書房、1999)、『歓待』(水声社、2009)、『謎とき「失われた時を求めて」』(新潮社、2015)などがある。
佐野栄一(さのえいいち)  1951年、北海道に生まれる。青山学院大学卒業、同大学大学院博士課程単位取得退学。現在、流通経済大学教授。専攻、フランス文学。主な著書に、『バルザック「人間喜劇」ハンドブック』(藤原書店、2000、共著)、『バルザックを読むⅡ 評論篇』(藤原書店、2002、共著)などがある。


関連書:
バルザック愛の葛藤・夢魔小説選集1  偽りの愛人  私市保彦・加藤尚宏・澤田肇・博多かおる(訳) 3000円+税

 

2月の新刊:オーラルヒストリーとは何か

2016年 2月 2日

オーラル


アレッサンドロ・ポルテッリ/朴沙羅訳

判型:A5判上製
頁数:449頁
定価:7000円+税
ISBN:978-4801001480 C0021 好評発売中!

装幀者:宗利淳一

 

内容紹介:

語られた記憶を、歴史として書く――。
第二次世界大戦後のイタリアと、戦間期のアメリカの知られざる一面を描きつつ、口述資料の考察に新たな視点と方法をもたらした、オーラルヒストリー研究の基本文献。

【目次】

日本語版への序文
はじめに

第1章 ルイージ・トラストゥッリの死

Ⅰ 方法論をめぐって

第2章 調査 対等な関係を求める実験として
第3章 オーラルヒストリーとは何か
第4章 「私の生きた時代」――オーラルヒストリーにおける時間の役割

Ⅱ 二つの産業文化

第1部 テルニ イタリア、ウンブリア州
第5章 世界の分割――文化が移り行くときの音と空間
第6章 ユークロニアの夢――労働者階級の記憶とありえたかもしれない世界
第7章 町いちばんのゴミ屋さん――労働者ヴァルテロ・ペポローニの人生とその時代
第8章 ある工業都市のスポーツ・労働・政治
第9章 民謡の類型学
第2部 ハーラン アメリカ、ケンタッキー州
第10章 模範的家父長制――企業城下町から組合事業所まで
第11章 中立なんてありえない――ハーラン郡炭鉱労働者のストライキにみる文化的階級闘争

Ⅲ 学際的方法

第12章 法が口述されるとき――「四月七日事件」
第13章 『アブサロム、アブサロム!』――オーラルヒストリーと文学

語り手
原註
訳註
初出一覧

ポルテッリの「オーラルヒストリー」研究と戦後イタリア(伊藤公雄)
訳者あとがき

【著者について】
アレッサンドロ・ポルテッリ(Alessandro Portelli)  一九四二年、ローマに生まれる。シエナ大学、ローマ大学ラ・サピエンツァ校で研究・教育活動に従事。専攻は、アメリカ文学。主な著書に、They Say in Harlan County (New York: Oxford University Press, 2010). The Order Has Been Carried Out (New York: Palgrave Macmillan, 2003). The Battle of Valle Giulia (Madison: University of Wisconsin Press, 1997). The Text and the Voice (New York: Columbia University Press, 1994). Biografia di una città (Torino: Edizioni Einaudi, 1985). Veleno di piombo sul muro (Bari: Edizioni Laterza, 1969)などがある。

【訳者について】
朴沙羅(ぱくさら)  一九八四年、京都府に生まれる。京都大学文学研究科博士後期課程単位取得認定退学。博士(文学)。現在、日本学術振興会特別研究員、京都大学人文科学研究所所属。専攻、社会学・移民研究。主な論文に、「「お前は誰だ!」――占領期における「不法入国」と「朝鮮人」の定義をめぐって」(『社会学評論』第六四巻二号、二〇一三年)などがある。

 

1月の新刊:コスタグアナ秘史 《フィクションのエル・ドラード》

2016年 1月 26日

コスタグアナ秘史 カバー

コスタグアナ秘史《フィクションのエル・ドラード》シリーズ

フアン・ガブリエル・バスケス 著
久野量一 訳

判型:四六判上製
頁数:328頁
定価:2,800円+税
ISBN 978-4-89176-959-8 C0397  好評発売中!
装幀=宗利淳一


新しいラテンアメリカ文学の最も創造的な声。
(マリオ・バルガス・ジョサ)


「ジョゼフ・コンラッド、あなたはぼくを盗んだ、あなたはぼくの人生を排除した……」

コンラッドが描き出した架空の国コスタグアナ、しかしそれは、歪曲されたコロンビアの歴史だった…… 『ノストローモ』創作の陰に隠蔽されたコロンビア人の影を浮かび上がらせ、語られなかった物語、語られなかった歴史を南米側から暴き出す、現代ラテンアメリカ文学の傑作。


【著者/訳者について】
フアン・ガブリエル・バスケス(Juan Gabriel Vásquez)
1973年、コロンビアに生まれる。ロサリオ大学法学部卒業後、ソルボンヌ大学へ進学。ラテンアメリカ文学で博士号を取得。ヴィクトル・ユゴーやE・M・フォースターの翻訳、さらにジョゼフ・コンラッドの伝記などを執筆。その後、スペイン(バルセロナ)で長篇小説『密告者たち』(2004)、『コスタグアナ秘史』(2007)、『物が落ちる音』(2011)を発表。『物が落ちる音』でアルファグアラ小説賞などいくつかの文学賞を受賞。書き溜めていた文学論をまとめたものとして、『歪曲の芸術』(2009)がある。現在はボゴタに居を定め、最新作として『名声』(2013)がある。

久野量一(くの・りょういち)
1967年、東京生まれ。東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程単位取得退学。現在、東京外国語大学大学院総合国際学研究院准教授。専攻はラテンアメリカ文学。主な訳書には、フェルナンド・バジェホ『崖っぷち』(2011年、松籟社)、ロベルト・ボラーニョ『2666』(共訳、2012年、白水社)、『鼻持ちならないガウチョ』(2014年、白水社)などがある。

 

1月の新刊:小島信夫長篇集成③ 抱擁家族/美濃

2016年 1月 26日

小島長篇集成3カバー
小島信夫長篇集成③ 抱擁家族/美濃

編集委員=千石英世・中村邦生
編集協力=柿谷浩一
解説=小池昌代
月報=加賀乙彦・疋田雅昭・猪俣和也

判型:A5判上製
頁数:504頁
定価:定価7000円+税
ISBN978-4-8010-0113-8 C0393 好評発売中!
装幀=西山孝司

家族とは、互いがこうして変化していくのを、つぶさに観察し眺めている、眺めさせている、誠に残酷な装置である。けれどわたしは笑ってしまう。書かれた内容に笑うのではない。隠してしかるべきものをわっと広げる、その所作に目を奪われて。家族の内側にあるものを、著者はこうして、外へ外へとまくりあげる。この書法によって、不倫や死という悲劇にも、笑いが生まれ、時には、その笑いが狂気に接近する。(小池昌代「解説」より)

著者生誕100年&没後10年記念出版!
小島信夫のすべての長篇小説を網羅するシリーズ、第6回配本。
新居の建設、妻の情事と死、後妻との結婚――執拗なまでに〈家庭〉を維持しようとして自己喪失の危機に追いこまれていく男の悲喜劇を、日米関係に対する巧妙な諷刺とともに綴る、著者の代表作にして戦後日本文学における問題作『抱擁家族』、故郷岐阜にまつわる歴史や風土を織りこみながら、実名人物の登場、語り手の小説空間からの退場など、虚実の混淆した実験的な作品世界の創出によって小説の新しい可能性に挑む『美濃』を収録。

★内容見本は全国の書店にて配布中です。小社へ直接ご請求いただく場合は、郵便切手82円分を同封の上、【〒112-0002 東京都文京区小石川2-10-1 水声社営業部・小島信夫係】までお願いいたします。

【次回配本】
⑦菅野満子の手紙 解説=近藤耕人 予価8000円+税

【小島信夫の本】
《小島信夫短篇集成》全8巻 セット定価60000円+税
《小島信夫批評集成》全8巻 セット定価60000円+税

小説の楽しみ 1500円+税
書簡文学論 1800円+税
演劇の一場面 2000円+税

未完の小島信夫 中村邦生+千石英世 2500円+税
小島信夫の読んだ本 小島信夫文庫蔵書目録 昭和女子大学図書館編 5000円+税
小島信夫の書き込み本を読む 小島信夫文庫関係資料目録 昭和女子大学図書館編 5000円+税
水声通信②/小島信夫を再読する 1000円+税

 

12月の新刊:スペインとスペイン人

2015年 12月 25日

スペイン人 書影
スペインとスペイン人——〈スペイン神話〉の解体
フアン・ゴイティソロ(著)
本田誠二(訳)

判型:四六判上製
頁数:248頁
定価:3000円+税
ISBN:978−4−8010−0149-7 0022 好評発売中!
装幀者:宗利淳一


内容紹介:

失われた〈スペイン史〉を取り戻す――

15世紀からはじまるスペイン黄金時代において、一枚岩の〈スペイン性〉なるドグマがつくられる……旧キリスト教徒という特定の血統にのみ与えられたこの神話は一方で、8世紀におよんで共存したイスラム教、ユダヤ教を迫害し、歴史的真実を抑圧することとなる……書くことの自由を求めてあえて「永遠の少数者」たらんとした亡命作家による、スペイン史の〈他者〉を根底から見つめなおす比類なき文明論。


目次:

序文(アナ・ヌーニョ)

はじめに
ホモ・ヒスパニクス——神話と現実
ユダヤ的〈伝染〉
キリスト教騎士
スペインの原罪
ドン・キホーテ、ドン・フアン、そしてセレスティーナ
啓蒙の世紀?
ゴヤの世界
スペインにおける聖書
工業化への第一歩
ウナムーノとカスティーリャの風景
ヘミングウェイ氏は闘牛を見にいく
一九三六〜一九三九年のカインとアベル
ジェラルド・ブレナンはわれらの戦後を分析する
スペインはもはや〈一味違う〉国ではなくなった
《未来に向けて》

訳者解説



著者・訳者紹介:
フアン・ゴイティソロ(Juan Goytisolo) 1931年、バルセローナに生まれる。作家。フランコ時代の検閲によって自身の作品がスペイン国内で出版禁止にされていたことにより、1957年、パリに亡命する。1969〜75年までアメリカ各地の大学で教鞭をとった。長年の輝かしい業績から、1985年にはエウリパリア賞、2015年にはセルバンテス賞を受賞。主な作品には、『身元証明』、『ドン・フリアン伯爵の復権』、『土地なきフアン』『マクバラ』、『戦いの後の風景』などがある。戦場ルポルタージュ、文芸評論、文明論的エッセーなど多彩な才能を発揮し、ブランコ・ホワイトの紹介者としても名高い。自伝的作品として、『密漁区』、『タイファの王国にて』などがある。

本田誠二(ほんだせいじ) 1951年、東京に生まれる。現在、神田外語大学教授。専門は、スペイン文学、スペイン黄金世紀の文学・思想。歴史学者で文芸評論家のアメリコ・カストロの日本における最初の本格的紹介を行う。主な著書には、『セルバンテスの芸術』(水声社)、主な訳書には、セルバンテス『ラ・ガラテア/パルナソ山』(行路社)、アメリコ・カストロ『スペイン人とは誰か——その起源と実像』(水声社)などがある。


関連書
アメリコ・カストロ『スペイン人とは誰か——その起源と実像』本田誠二訳 8000円+税
アメリコ・カストロ『セルバンテスへ向けて』本田誠二訳 10000円+税
本田誠二『セルバンテスの芸術』 5000円+税

 

12月新刊:散文

2015年 12月 25日

書影(散文)
タイトル 散文
サブタイトル 
桑原喜一(著)

判型:A5判並製
頁数:208頁
定価:2500円+税
ISBN:978−4−8010−0130−5 C0092 好評発売中!
装幀者:齊藤久美子



内容紹介:
見せかけの時代に向けられた,鋭敏な眼差し
「愛猫」「キラキラネーム」「少年時代の追憶」から「3.11」「原発」「三本の矢」に至るまで,迫りくる危機のなかの「日常」を透徹した,ときにユーモラスな眼差しによって描き上げる36の詩篇。


紙切れの文字を渡す
投函することはなかった

文字は文字のままで
言葉が届かない

ただの紙切れで
言葉は届かない

余分な月の
十一月 水は冷たい

欄干から
紙切れを飛ばす

貧しい言葉があり
稚拙な時が流れた

葉擦れの わずかな
切り口が傷むように

宙吊りの数刻が
つたなく復活する
(「閏月」より)


目次:
畑のパッチワーク/備忘録、三月/メール/四十九日法要句/「無主物」/野に、花
/虫干し/シロ クロ/キャッチボール年代記/時分の自分/夢に、釣る/箱庭療法/その歌、その声を想い起そう/「ニーチェの馬」を観た/迷惑な話/発声練習/とうだいもとくらし/はだれ雪の記憶/烏鷺有漏/堅いから、やわらかい殻、/カタリ/ハンドリング/サアちゃんの半眼/殺、/本日休業/鴉に念ずる/助詞の運用/種子/欠片・磁場/皇帝ダリアが霜枯れる/閏月/首振り人形の鬱屈/名の来歴/啄木鳥は笑う/蚊の、つぶやき/些事、標本箱、〈わたし〉という

著者について:
桑原喜一(くわばらきいち)
水声社の詩集:
ピエリアの薔薇/沓掛良彦/5000円+税
夜のガスパール/アロイジウス・ベルトラン/及川茂訳/4000円+税
ビリティスの歌/ピエール・ルイス/沓掛良彦訳/6000円+税
マチネ・ポエティク詩集/福永武彦・加藤周一・原條あき子・中西哲吉・窪田啓作・白井健三郎・枝野和夫・中村真一郎/4000円+税
夏の遺言/山崎剛太郎/3000円+税
薔薇の柩(付・異国拾遺)/山崎剛太郎/2500円+税
果実の重み/佐岐えりぬ詩集/ベルナル・シトロエン仏訳/3500円+税
果実の重み(特装版)/佐岐えりぬ/ベルナル・シトロエン仏訳/20000円+税
わたしの庭はわたしに似ている/川田靖子/2500円+税
私は母を産まなかった──ALLENとMAKOTOと肛門へ/ヤリタミサコ/2000円+税
青葦/春日井建/4000円+税
桧扇〔ひおうぎ〕/鹿島由紀子/3000円+税
扇面流図〔せんめんながしず〕/鹿島由紀子/3000円+税
夢中夢〔むちゅうむ〕/馬場駿吉/3000円+税

 

12月新刊:小島信夫長篇集成② 墓碑銘/女流/大学生諸君!

2015年 12月 22日

小島長篇2

編集委員=千石英世・中村邦生
編集協力=柿谷浩一
解説=石原千秋
月報=福間健二・中村三春・猪俣和也

判型:A5判上製
頁数:816頁
定価:定価10000円+税
ISBN978-4-8010-0112-1 C0393 好評発売中!
装幀=西山孝司


「日本軍」も「軍人勅諭」も彼を「日本人」にはできなかった。しかし、彼は「アメリカ人」になったわけでもない。そう、『墓碑銘』は「人種」という概念自体を異化したのだ。その意味で、このうえなくラディカルな小説だった。(石原千秋「解説」より)

 

著者生誕100年&没後10年記念出版!

小島信夫のすべての長篇小説を網羅するシリーズ、第5回配本。

日本軍としてアメリカ兵と闘う日米混血兵の揺れるアイデンティティを追い、人種と階級、生と性を問う『墓碑銘』、青年期の作者の実体験と現実の人物をモデルとして、最愛の兄の死、年上の女への憧れをみずみずしく描く青春小説『女流』、そしてテレビドラマ化もされた本格娯楽小説『大学生諸君!』……著者の成長と挑戦を標す作品群。

 

★内容見本は全国の書店にて配布中です。小社へ直接ご請求いただく場合は、郵便切手82円分を同封の上、【〒112-0002 東京都文京区小石川2-10-1 水声社営業部・小島信夫係】までお願いいたします。

 

【次回配本】

②抱擁家族/美濃 解説=小池昌代 予価7000円+税

 

【小島信夫の本】

《小島信夫短篇集成》全8巻 セット定価60000円+税

《小島信夫批評集成》全8巻 セット定価60000円+税



小説の楽しみ 1500円+税

書簡文学論 1800円+税

演劇の一場面 2000円+税



未完の小島信夫 中村邦生+千石英世 2500円+税

小島信夫の読んだ本 小島信夫文庫蔵書目録 昭和女子大学図書館編 5000円+税

小島信夫の書き込み本を読む 小島信夫文庫関係資料目録 昭和女子大学図書館編 5000円+税

水声通信②/小島信夫を再読する 1000円+税

 

12月の新刊:変形する身体《叢書 人類学の転回》

2015年 12月 22日

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変形する身体
アルフォンソ・リンギス(著)
小林徹(訳)

判型:四六判上製
頁数:287頁
定価:2800円+税
ISBN:978−4−8010−0137−4 0010 好評発売中!
装幀者:宗利淳一

内容紹介:
《叢書 人類学の転回》第2回配本
旅する哲学者リンギスの待望の新刊!

概念としての《人間》を超えて、新しい《人類学》、新しい《人間学》に向かって――

動物と人間、男性と女性、大人と子供、有機体と無機体、現代と古代、個体と液体、生と死といった既存の分類法を巧みに越境し、現代における《身体》のあり様や倫理的行為のあり方までをも根底的に問う、人類学的エッセイ。

目次:

導入
不連続性
人類――未熟、共生、先祖返り

華やかさの進化
カドリーユ
どう感じるか、どう見えるか

分断
社会的身体
芸術の生理学
透明性

つながり
食欲
フェティシズム

ポトラッチ
肉体の取引
善い行い

原註

訳者あとがき

著者・訳者紹介:
アルフォンソ・リンギス(Alphonso Lingis)  1933年、リトアニア系移民の子としてアメリカ合衆国に生まれる。哲学者。ペンシルヴァニア州立大学名誉教授。専攻は、現象学、実存主義、現代哲学、倫理学。世界各地に長期滞在しながら、哲学的かつ文化人類学的な著作を発表し続けている。主な著書に、『汝の敵を愛せ』(中村裕子訳、洛北出版、2004)、『異邦の身体』(松本潤一郎ほか訳、河出書房新社、2005)、『何も共有していない者たちの共同体』(野谷啓二訳、洛北出版、2006)、『信頼』(岩本正恵訳、青土社、2006)などがある。

小林徹(こばやしとおる)  1975年、東京都に生まれる。パリ第1大学パンテオン・ソルボンヌ校大学院哲学研究科博士課程修了。現在、慶應義塾大学文学部非常勤講師。専攻は、フランス現代哲学。著書に、『経験と出来事――メルロ=ポンティとドゥルーズにおける身体の哲学』(水声社、2014)がある。

関連書
マリリン・ストラザーン 大杉高司・浜田明範・田口陽子・丹羽充・里見龍樹訳『部分的つながり』3000円+税
エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロ 近藤宏・里見龍樹訳『インディオの気まぐれな魂』 2500円+税
ピエール・クラストル 渡辺公三訳『国家に抗する社会』 3500円+税

 

11月新刊:アナトールの墓のために

2015年 11月 20日

アナトール書影
アナトールの墓のために
ステファヌ・マラルメ+ジャン=ピエール・リシャール(著)
原大地(訳)

判型:四六判上製
頁数:288頁
定価:3000円+税
ISBN:978−4−8010−0138−1 C0098 好評発売中!

内容紹介:
「ユゴーは幸福にも娘の死について語ることができた。
私にはそれができない」

病により八歳で夭折したアナトール。息子の死に衝撃を受けたマラルメは、千々に引き裂かれる思いを書き遺した……。
作品としてまとめられることのなく、またその存在が長らく知られることもなかったそのテクストと、文芸批評の泰斗リシャールの、魂をゆさぶる小論による双頭の書。

目次:
前書き ジャン=ピエール・リシャール
ステファヌ・マラルメとその息子アナトール ジャン=ピエール・リシャール
第一章 我々はアナトール・マラルメについて何を知っているか
第二章 作品の計画・構造と形式
第三章 作品の計画・舞台と人物
第四章 作品の計画・思想と主題
第五章 本手稿の出版に関して
『アナトールの墓』のための覚書 ステファヌ・マラルメ
訳者あとがき

著者について:
ステファヌ・マラルメ(Stéphane Mallarmé)  1842年、パリ生まれ。1898年に没する。フランス象徴派を代表する詩人。教師として生計をたてながら、詩の可能性と不可能生を探究し、数々の詩作や批評を行った。主な著書に、『骰子一擲』(思潮社、1991)、『マラルメ全集』(全5巻、筑摩書房、1989―2010)などがある。
ジャン=ピエール・リシャール(Jean-Pierre Richard)  1922年、マルセイユ生まれ。作家、批評家。エコール・ノルマルに学び、アグレガシオン(教授資格)を取得。パリ第四大学ソルボンヌ校教授等を務めた。主な著書に『マラルメの想像的宇宙』(水声社、2004)、『フロベールにおけるフォルムの創造』(水声社、2013)などがある。

訳者について:
原大地(はらたいち)  1973年、東京生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科単位取得退学。パリ第4大学にて博士号取得。現在、慶應義塾大学商学部准教授。専攻、フランス語・フランス文学。著書に、 Lautréamont : vers l’autre (L’Harmattan, 2006)、『牧神の午後──マラルメを読もう』(慶應義塾大学教養研究センター選書、2011)、『マラルメ 不在の懐胎』(慶應義塾大学出版会、2014)などがある。

関連書:
マラルメの想像的宇宙 ジャン=ピエール・リシャール 9000円+税
ロラン・バルト 最後の風景 ジャン=ピエール・リシャール 2000円+税
フローベールにおけるフォルムの創造 ジャン=ピエール・リシャール 3000円+税
*
マラルメ セイレーンの政治学 ジャック・ランシエール 2500円+税
マラルメの現在 大出敦編 6000円+税
マラルメ 書物と山高帽 立仙順朗 4000円+税
ステファヌ・マラルメ ギィ・ミショー 2800円+税
マラルメと音楽 絶対音楽から象徴主義へ 黒木朋興 7000円+税
世紀末の白い爆弾 ステファヌ・マラルメの書物と演劇、そして行動 中畑寛之 8000円+税
〈彼女〉という場所 永倉千夏子 12000円+税
『イジチュール』あるいは夜の詩学 佐々木滋子 7000円+税
祝祭としての文学 佐々木滋子 5000円+税

 

11月新刊:ミヒャエル・ハネケの映画術

2015年 11月 20日

ハネケ書影
ミヒャエル・ハネケの映画術——彼自身によるハネケ
ミヒャエル・ハネケ/ミシェル・スィユタ/フィリップ・ルイエ(著)
福島 勲(訳)

判型:A5判上製
頁数:432頁
定価:3800円+税
ISBN:978−4−8010−0139−8 C0074 好評発売中!
装幀者:宗利淳一

内容紹介:
生い立ちから最新作『愛、アムール』まで!
『ファニー・ゲーム』で物議を醸し、『愛、アムール』で新たな境地を拓いた鬼才ミヒャエル・ハネケ。カンヌ映画祭で栄誉あるパルム・ドールを二回にわたって受賞した、数少ない監督の一人であり、アウシュヴィッツ以降の芸術を追究しつづけるハネケの創作の秘密をあかす、貴重なインタビュー集。

本書刊行に合わせて、11月21日より東京のシアター・イメージフォーラムにて「ミヒャエル・ハネケの映画術」も開催されます。
日本初上映のハネケについてのドキュメンタリーを始めとして、『ファニーゲーム』『ピアニスト』などの代表作も上映されますので、皆様ぜひお運び下さい。


目次:
はじめに
第一章 青年時代——ラジオでのデビュー
第二章 演劇時代
第三章 『その後に……』、『粗大ごみ』、『湖へ通じる三本の道』
第四章 『レミングたち』第一部、第二部
第五章 『変奏』、『エドガー・アランは誰だったか?』、『フラウライン』
第六章 『ある殺人者のための追悼文』、『反乱』、『カフカの「城」』
第七章 『セブンス・コンチネント』、『ベニーズ・ビデオ』、『七十一フラグメンツ』
第八章 『キング・オブ・フィルム/巨匠たちの六十秒』、『ムーア人の頭』、『ファニーゲーム』、『ファニーゲームU.S.A.』
第九章 『コード・アンノウン』、『ピアニスト』
第十章 『タイム・オブ・ザ・ウルフ』、『隠された記憶』
第十一章 オペラ劇『ドン・ジョヴァンニ』——映画の教え
第十二章 『白いリボン』
第十三章 『愛、アムール』

フィルモグラフィー
文献一覧
図版一覧
謝辞
訳者あとがき

著者について:
ミヒャエル・ハネケ(Michael Haneke)  1942年生まれ。オーストリア出身の映画監督。舞台演出家からキャリアを始め、テレビ映画を経て、1989年に『セブンス・コンチネント』で劇場用映画デビュー。『ベニーズ・ビデオ』(1992)、『ファニーゲーム』(1997)といった問題作で映画界に衝撃を与え続け、『ピアニスト』(2001)ではカンヌ映画祭三冠に輝く。『白いリボン』(2009)と『愛、アムール』(2012年)では、カンヌ映画祭パルム・ドール連続受賞を果たす。
ミシェル・スィユタ(Michel Cieutat)  ストラスブール大学で長年教鞭をとるとともに、フランスの映画雑誌『ポジティフ』の批評家を務める。ハリウッド映画の表象分析や映画史を論じる。著書に『アメリカ映画の主要テーマ』(Les grands thèmes du cinéma américain, Editions du Cerf, 1988),『交差する視線――アルパチーノとデ・ニーロ』(Pacino, De Niro, Regards croisés, Editions Dreamland, 2001)等がある。
フィリップ・ルイエ(Philippe Rouyer)  映画史家・批評家。パリ第一大学で映画分析を講じる。『ポジティフ』誌の編集委員であり、テレビ(カナル・プラス)やラジオ(フランス・キュルチュール)でも映画番組を担当。著書に『映画入門』(Initiation au cinéma, Editions Edilig, 1990),『スプラッター映画 流血の美学』(Le cinéma gore : une esthétique du sang, Editions du Cerf, 1997)等がある。
訳者について:
福島勲(ふくしまいさお)  1970年、埼玉県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、北九州市立大学文学部准教授。専攻、フランス文学・思想。著書に、『バタイユと文学空間』(水声社、2011)、『トラウマと喪を語る文学』(共著、朝日出版社、2014)、『フランス文化読本』(共編著、丸善出版、2014)等がある。