芸術選奨受賞報告

2015年 6月 23日

写真(野村)
芸術選奨受賞報告

弊社から2014年4月に刊行されました、『諷刺画家グランヴィル テクストとイメージの十九世紀』が、「文学と視覚芸術にまたがる豊穣な研究成果」であるとして、著者の野村正人氏に第65回芸術選奨評論等部門文部科学大臣賞が与えられました。(授賞式:2015年3月18日、於、都市センターホテル)
選考委員、文化庁の皆様をはじめ、このたびの選考に関わられた皆様に感謝申し上げます。

諷刺画家グランヴィル――テクストとイメージの19世紀

野村正人
A5判上製/424頁/定価=6000円+税
装幀=宗利淳一
978-4-8010-0029-2 C0098 好評発売中



挿絵画家として戦うこと

19世紀の視覚文化を体現した諷刺画家グランヴィル。観相学、骨相学の影響下、獣頭人間を使った政治や社会風俗を諷刺する肖像画や風俗画から、ロマン主義 的挿絵本、『寓話』『ガリヴァー旅行記』等の挿絵の制作にいたるまで、徹底して挿絵画家で有り続けたのはなぜなのか? グランヴィルの作品世界を読み解 き、出版・文化史的観点から考察する。

「グランヴィルが文章と挿絵を同時につくる企画に関心を持っていたのは[……]文章にたいする挿絵の従属性を乗り越えようとする信念を持っていたからであ る。挿絵は文章の添え物にとどまったり、先行する文章の意味を説明する役割に甘んじたりするのではなく、ひとつの独立した創作物であるべきであり、また、 ともすれば軽視されがちな挿絵画家は芸術家として評価されなくてはいけない、と考えたのである。」(本文より)

【目次】
序章 グランヴィルの生涯
第一章 フランスの出版文化とその背景
第二章 顔――内面を映す鏡  変身の中間状態
第三章 政治諷刺の経験
第四章 ラ・フォンテーヌ『寓話』の挿絵
第五章 グランヴィルと『動物たちの私的公的生活情景』
第六章 『もうひとつの世界』の挿絵
終章 最後のグランヴィル

補遺 
図版一覧

文献一覧
人名索引
あとがき

【著者】
野村正人(のむらまさと) 1952年、愛知県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程(仏文学)満期退学。ギュスターヴ・フローベール『ボヴァ リー夫人』についての研究でパリ第4大学博士号取得。東京農工大学工学部教授(同大学名誉教授)を経て、2005年より、学習院大学文学部フランス語圏文 化学科教授。主な著訳書に、アラン・コルバン『時間・欲望・恐怖――歴史学と感覚の人類学』(共訳、藤原書店、1993)、『言葉と〈言葉にならぬもの〉 との間に』(共著、行路社、1995)、パトリック・バルビエ『カストラートの歴史』(筑摩書房、1995)、ベルナール・コマン『パノラマの世紀』(筑 摩書房、1996)、エミール・ゾラ『金』(藤原書店、2003)、『ロラン・バルト著作集6 テクスト理論の愉しみ』(みすず書房、2006)などがある。

 

5月新刊:綺想の風土 あおもり

2015年 6月 23日

綺想の風土
綺想の風土 あおもり
黒岩恭介(著)

判型:A5判上製
頁数:247頁
定価:3500円+税
ISBN:978−4−8010-0103-9 C0070 好評発売中!
装幀者:宗利淳一

内容紹介:
青森に生まれ、異彩を放った芸術家や作家たち。
青森県近代文学館の館長を務めた著者が、彼らの残した作品に直に触れることによって得た、新たな発見や豊かな経験について丹念につづった批評、エッセイを集成。

目次:
第一章 津軽綺想の源流 建部綾足
第二章 近代ジャーナリズムの先駆者 陸羯南とその周辺
第三章 陸奥の詩人 菊岡久利
第四章 昭和を生きた青森の異才たち
第五章 棟方・太宰・寺山
第六章 青森で出会ったアーティストたち
第七章 あおもりあれこれ

著者について:
黒岩恭介(くろいわきょうすけ) 1950年、福岡県に生まれる。東京大学文学部美学藝術学科卒業。北九州市立美術館学芸員、青森県美術館整備・芸術パーク構想推進室整備推進監、青森県近代文学館館長を経て、現在、九州造形短期大学学長。主な著書に、『黒の迷宮から』(アキラ イケダ ギャラリー、2009)、『発見する力』(水声社、2010)、『ロマン・オパルカ 無限への歩み』(アキラ イケダ ギャラリー、2014)、共著に、『ジャクソン・ポロック』(講談社、1994)、共訳書に、フランク・ステラ『ワーキング・スペース』(福武書店、1989)、などがある。

関連書:
発見する力/黒岩恭介/4000円+税

 

《小島信夫長篇集成》(全10巻)刊行開始!

2015年 6月 15日

人間の生への深い洞察と、独特の浮遊感を孕んだ文体、そして小説の可能性への飽くなき挑戦によって古今に類例を見ない実験的な作品世界を創造し、日本の現代文学に新風を吹き込んだ小説家、小島信夫。
このたび、生誕100年(2015年)、没後10年(2016年)を記念し、著者が半世紀にわたって書き継いだすべての長篇を網羅する、《小島信夫長篇集成》(全10巻)の刊行を開始します。
長らく入手困難であった問題作『別れる理由』や『菅野満子の手紙』、幻の『大学生諸君!』などをふくむ全15作品を10巻に集成し、小島信夫の全貌に迫ります。
《批評集成》(全8巻)、《短篇集成》(全8巻)に引き続く、本《長篇集成》の刊行によって、小島文学の全体像の把握がようやく可能になります。ご期待ください。



《小島信夫長篇集成》(全10巻)
編集委員=千石英世・中村邦生/編集協力=柿谷浩一

①島/裁判/夜と昼の鎖(解説=春日武彦)★第4回配本(9月末発売予定)
②墓碑銘/女流/大学生諸君!(解説=石原千秋)
③抱擁家族/美濃(解説=小池昌代)
④別れる理由Ⅰ(解説=千石英世)★第1回配本(好評発売中!)
⑤別れる理由Ⅱ(解説=佐々木敦)★第2回配本(7月末発売予定)
⑥別れる理由Ⅲ(解説=千野帽子)★第3回配本(8月末発売予定)
⑦菅野満子の手紙(解説=近藤耕人)
⑧寓話(解説=保坂和志)
⑨静温な日々/うるわしき日々(解説=中村邦生)
⑩各務原・名古屋・国立/残光(解説=平井杏子)



☆A5判上製9ポ1段組み
☆各巻500〜800頁、予価7000〜10000円+税
☆第1回配本は第4巻『別れる理由Ⅰ』。以後、毎月1冊ずつ刊行。2015年3月に全巻完結予定。
☆内容見本呈。ご請求ください。(PDF→小島長篇パンフ表小島長篇パンフ裏
☆全巻をご予約・ご購入いただいた方に、非売品の『小島信夫の世界』(仮題)を進呈いたします。詳細は内容見本をご覧ください。

【関連書】
《小島信夫短篇集成》[価格税別]
①小銃/馬 解説=千石英世 8000円
②アメリカン・スクール/無限後退 解説=芳川泰久 8000円
③愛の完結/異郷の道化師 解説=堀江敏幸 8000円
④夫のいない部屋/弱い結婚 解説=平田俊子 8000円
⑤眼/階段のあがりはな 解説=いとうせいこう 6000円
⑥ハッピネス/女たち 解説=中村邦生 7000円
⑦月光/平安 解説=保坂和志 7000円
⑧暮坂/こよなく愛した 解説=千野帽子 8000円

《小島信夫批評集成》[価格税別]
①現代文学の進退 解説=中村邦生 8000円
②変幻自在の人間 解説=都甲幸治 10000円
③私の作家評伝(全) 解説=千石英世 7000円
④私の作家遍歴Ⅰ 解説=保坂和志 6000円
⑤私の作家遍歴Ⅱ 解説=宇野邦一 6000円
⑥私の作家遍歴Ⅲ 解説=阿部公彦 6000円
⑦そんなに沢山のトランクを 解説=堀江敏幸 9000円
⑧漱石を読む 解説=千野帽子 8000円

小島信夫の本/単行本[価格税別]
小説の楽しみ 1500円
書簡文学論 1800円
演劇の一場面 2000円

未完の小島信夫 中村邦生・千石英世 2500円
小島信夫の読んだ本――小島信夫文庫蔵書目録 昭和女子大学図書館編 5000円
小島信夫の書き込み本を読む――小島信夫文庫関係資料目録 昭和女子大学図書館編 5000円
水声通信② 小島信夫を再読する 1000円

 

5月新刊:あなたがこの辺りで迷わないように≪フィクションの楽しみ≫

2015年 6月 8日

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あなたがこの辺りで迷わないように
パトリック・モディアノ(著)
余田安広(訳)

判型:46判上製
頁数:176頁
定価:2000円+税
ISBN:978−4−8010−0099−5 C0097 好評発売中!
装幀者:宗利淳一

内容紹介:
ノーベル賞作家の2014年刊行の最新作!!
両親の愛情に恵まれることのなかった少年時代。苦悩に満ちた青年時代。そして、小説家となった現在の謎めいた交錯のうちに立ち現われる孤独な生の歩み。
著者の〈自伝〉的フィクションの新しい地平!

記憶の迷路……
書くことの迷路……

きみは読むだろう……
読みつづけるだろう……


著者について:
パトリック・モディアノ(Patrick Modiano)  1945年、パリ近郊ブーローニュ=ビヤンクールに生まれる。小説家。2014年、ノーベル文学賞を受賞。主な作品には、『暗いブティック通り』(平岡篤頼訳、白水社、2005年)、『八月の日曜日』(堀江敏幸訳、水声社、2003年)、『家族手帳』(安永愛訳、水声社、2013年)、『地平線』(小谷奈津子訳、水声社、2015年)などがある。

訳者について:
余田安広(よでんやすひろ)  1950年、京都府福知山市に生まれる。京都市立芸術大学、パリ国立高等音楽院、エコール・ノルマル音楽院を卒業。現在、北海道教育大学非常勤講師、ミュージック・ライター。主な訳書に、M・ビッチ/J・ボンフィス『フーガ』(白水社、1986年)、M・モラール『ライプツィヒへの旅』(春秋社、2013年)などがある。

関連書:
【パトリック・モディアノの本】
八月の日曜日/堀江敏幸訳/2200円+税
家族手帳/安永愛訳/2500円+税
地平線/小谷奈津子訳/2000円+税

 

5月新刊:ぼくは思い出す《フィクションの楽しみ》

2015年 5月 15日

ぼくは思い出す
ぼくは思い出す  
ジョルジュ・ペレック(著)  
酒詰治男(訳)

判型:四六判上製
頁数:291頁
定価:2800円+税
ISBN:978−4−8010-0095-7 C0097 好評発売中!
装幀者:宗利淳一

内容紹介:
ジョー・ブレイナード『ぼくは覚えている』に想を得て、四八〇の「忘れられた、どうでもいい凡庸な思い出」を列挙しつづける、言語遊戯の作家ならではの「記憶」をめぐる奇妙な試み。
戦後から六〇年代にかけてのフランス版枕草子!?

著者について:
ジョルジュ・ペレック(Georges Perec)  1936年、パリに生まれ、1982年、同地に没した。小説家。1966年にレーモン・クノー率いる実験文学集団「ウリポ」に加わり、言語遊戯的作品の制作を行う。主な著書には、『煙滅』(1969。水声社、2010)、『Wあるいは子供の頃の思い出』(1975。水声社、2013)、『人生 使用法』(1978。水声社、1992)などがある。

訳者について:
酒詰治男(さかづめはるお) 1944年、東京に生まれる。甲南女子大学文学部名誉教授。専攻フランス文学。主な著書に、『文学をいかに語るか』(共著、 新曜社、1996)、主な訳書に、ペレック『人生 使用法』(水声社、1992/2013)、ペレック『家出の道筋』(水声社、2011)、ペレック『Wあるいは子供の頃の思い出』(水声社、2013)などがある。

関連書:
【ペレックの作品】
家出の道筋/酒詰治男訳/2500円+税
煙滅/塩塚秀一郎訳/3200円+税
さまざまな空間/塩塚秀一郎訳/2500円+税
人生 使用法/酒詰治男訳/5000円+税
Wあるいは子供の頃の思い出』/酒詰治男訳/2800円+税
美術愛好家の陳列室/塩塚秀一郎訳/1500円+税
水声通信6号《ジュルジュ・ペレック》/1000円+税
小誌 風の薔薇5号《ウリポの言語遊戯》/1500円+税

 

5月新刊:中村真一郎手帖⑩

2015年 5月 15日

中村手帖10
中村真一郎手帖⑩
中村真一郎の会(編)
判型:A5判並製
頁数:88頁
定価:1000円+税
ISBN978-4-8010-0098-8 C0091 好評発売中!
装幀者:齋藤久美子

内容紹介:
日本語による定型押韻詩によって詩の革命を目指した若き詩人たち=〈マチネ・ポエティク〉を特集。その他、中村真一郎の人と作品を美術という側面から照射する講演や、論考、エッセイなどを多数収録する、中村真一郎研究の最前線。

目次:
中村真一郎と〈マチネ・ポエティク〉のこと 清水徹
『マチネ・ポエティク詩集』とその時代 安藤元雄
〈マチネ・ポエティク〉における押韻 菅野昭正
『マチネ・ポエティク詩集』 池内輝雄
中村真一郎と堀辰雄 影山恒男
ミメーシスと継承 鳥山玲
父、真一郎の思い出 Sr. ムジカ 中村香織
中村真一郎に甦るネルヴァル――女優の問題(4) 小林宣之
豪徳寺二丁目猫屋敷(9) 木島佐一
近況/短信/趣意書/会則

関連書:
【中村真一郎手帖】
*各界の論者による評論やエッセイなどを収める、中村真一郎研究の最前線
*①号〜⑩号まで刊(毎年5月刊)
*定価1000円+税(⑧号のみ1500円+税)

【中村真一郎の本】
小説構想への試み/2800円+税
続・小説構想への試み/4000円+税
中村真一郎 青春日記/池内輝雄・傳馬義澄編/5000円+税
城北綺譚/解説=菅野昭正/1800円+税
日本古典にみる性と愛/解説=沓掛良彦/2500円+税
全ての人は過ぎて行く/解説=飯島耕一/3000円+税

戦後文学の旗手 中村真一郎/鈴木貞美/2500円+税

 

『ポストメディア人類学に向けて 集合的知性』刊行記念イベント

2015年 5月 15日

清水高志×西川アサキ「ポスト・ドゥルーズと四つの空間――集合的知性、心身問題」

このたび、フランスの哲学者ピエール・レヴィの著作『ポストメディア人類学に向けて 集合的知性』の翻訳者のひとりである哲学者の清水高志氏をお招きして、下北沢にある本屋B&Bでトークイベントが開催されます。
『魂と体、脳――計算機とドゥルーズで考える心身問題』(講談社)、『魂のレイヤー』(青土社)などの著作がある西川アサキ氏をお相手に、現代の情報哲学者ピエール・レヴィの理論の可能性とその周辺を語り尽くしていただく2時間!
ドゥルーズの理論を、21世紀の哲学を模索するレヴィがいかに吸収し、乗り越えようとしたか?
この世界そのものにおいて「思考しているもの」とは何なのか?
心脳問題と情報空間、そしてモナドロジーの関係とは?
W・ジェイムズの純粋経験論と亡霊、思弁的実在論の結びつきとは?
個性ある論客にして友人である二人が、五月の宵にちょっと尖った現代思想をLIVE! します。

清水高志(しみずたかし)
哲学者。現在、東洋大学総合情報学科准教授。主な著書に、『セール、創造のモナド――ライプニッツから西田まで』(冬弓舎、2004年)、『ミシェル・セール――普遍学からアクターネットワークまで』(白水社、2013年)などがある。

西川アサキ(にしかわあさき)
哲学者、批評家。現在、東京大学大学院情報学環助教。主な著書に、『魂と体、脳――計算機とドゥルーズで考える心身問題』(講談社、2011年)、『魂のレイヤー――社会システムから心身問題へ』(青土社、2014年)などがある。

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日時:2015年5月30日(土)15:00~17:00(14:30開場)
場所:本屋B&B(世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F)
入場料:1500yen+1drink order
お申込み先:http://bookandbeer.com/blog/event/20150530_levy/
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【書評】パトリック・モディノ『地平線』

2015年 5月 11日

朝日新聞朝刊で『地平線』の書評が掲載されました。

「何者でもなかった頃の懐かしさ」(評・大竹昭子 朝日新聞2015年5月3日付)

 

『氷山へ』刊行記念イベント

2015年 5月 11日

中村隆之×今福龍太「豊穣な沈黙、遠回りする行動力――ミショーとル・クレジオの方へ」


「イニジ」、「氷山」、これらは、フランス語が生み出したもっとも美しく、もっとも純粋で、もっとも真実な詩のうちでも究極の二篇だ――

2008年にノーベル文学賞を受賞したル・クレジオの『氷山へ』は、彼の思考と実践に大きな影響を与えた孤高の詩人アンリ・ミショーの至高の詩編である「氷山」と「イニジ」について、包括的に、かつ詩的に綴られた珠玉の批評-エッセイです。

このたび、この本の刊行を記念し、訳者である中村隆之先生と、ル・クレジオと親交の深い、また、この本に解説を寄せてくださった文化人類学者であり批評家の今福龍太先生をお招きし、下北沢にある本屋B&Bでトークイベントを開催します。

当日は、今福先生、中村先生が持ち寄った、ル・クレジオとミショーをめぐる映像や音声なども聴きながら、うわすべりした饒舌なだけの言葉の氾濫にあらがいつつ、そして文字情報による知覚の包囲からも身を引き離し、豊穣な沈黙と遠回りする行動力について、対話していただきます。


中村隆之(なかむらたかゆき)
フランス語圏カリブ海文学。現在、大東文化大学専任講師。主な著書に、『カリブ–世界論』(人文書院、2013年)などがある。

今福龍太(いまふくりゅうた)
文化人類学、批評家。現在、東京外国語大学大学院教授。近著に、『書物変身譚』(新潮社、2014年)、『ジェロニモたちの方舟』(岩波書店、2015年)などがある。

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日時:2015年5月24日(日)15:00~17:00(14:30開場)
場所:本屋B&B(世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F)
入場料:1500yen+1drink order
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アブドゥラマン・アリ・ワベリ氏来日講演&トークイベントのお知らせ

2015年 5月 11日

昨年刊行しました、長篇小説『バルバラ』の著者アブドゥラマン・アリ・ワベリ氏が、アンスティチュ・フランセ日本の催す「フランコフォニー祭」のゲストとして来日され、各地で講演とトーク+サイン会が行われます。ぜひ、足をお運びください。また、氏の新作2点を近日中にお届けするべく、ただいま鋭意編集中です。こちらもぜひ、ご期待下さい。


5月12日(火)18:00〜
「ノマドのエクリチュールからエクリチュールのノマドへ」
小樽商科大学 札幌サテライト
入場無料(先着申し込み35名様まで)/通訳有
問い合わせ先 札幌アリアンス・フランセーズ Tel 011-261-2771

5月13日(水)12:30〜13:00(茶話会)/13:05〜14:30(講演会)
「ジブチ出身のフランス語作家WABERI氏と語ろう!」
日本女子大学 目白キャンパス ランゲージ・ラウンジ(茶話会)/香雪館203(講演会)
入場無料/予約不要/通訳有
問い合わせ先 日本女子大学文学史学科 高頭麻子 Tel 03-5981-3595

5月15日(金)19:00〜21:00
「対談:アブドゥラマン・アリ・ワベリ×陣野俊史」
アンスティチュ・フランセ東京 エスパス・イマージュ
入場無料/予約不要/通訳有
問い合わせ先 アンスティチュ・フランセ東京 Tel 03-5206-2500

5月16日(土)開場13:00/開演13:30〜
「アブドゥラマン・アリ・ワベリ氏 トーク&サイン会」
紀伊國屋書店新宿南店 6階Books Kinokuniya Tokyoイベントスペース
入場無料/予約不要/通訳有
トーク終了後にサイン会を行います。会場にて書籍を販売いたします。
問い合わせ先 紀伊國屋書店新宿南店6階Books Kinokuniya Tokyo Tel 03-5361-3316

著書紹介 『バルバラ』
死ぬ前に証言する、
消滅する前に書く。
植民地時代の悪弊、帝国主義列強の支配、氏族独裁主義の迷妄と内紛……
血塗られたジブチの歴史的悲劇、混迷する日常のなかで格闘する、ワイス、ディレイタ、ヨニス、アナブら4人の若者の抵抗を描く実験的心理小説。

著者紹介 アブドゥラマン・アリ・ワベリ(Abdourahman A. Waberi)
1965年、ジブチ共和国(元フランス領ソマリ海岸)の首都ジブチに生まれる。Le Pays sans Ombre(Serpent à plumes, 1994)でベルギー王立アカデミー・フランス語圏文学大賞およびアルベール・ベナール賞を受賞。Cahier nomade(Serpent à plumes, 1996. アフリカ文学大賞受賞作)と本書Balbala(Serpent à plumes, 1997.『バルバラ』水声社、2014)で、ジブチをテーマとする三部作をなす。その後の主な作品に、Transit(Gallimard, 2003.『トランジット』水声社、近刊)、Passage des larmes(Jean-Claude Lattès, 2009.『涙の通り路』水声社、近刊)、La Divine Chanson(Zulma, 2015)などがある。

訳者紹介 林俊(はやしたかし)
1950年、広島県三原市に生まれる。通訳、翻訳業。日本文藝家協会会員。主な著書に、『アンドレ・マルロォの「日本」』(中央公論社、1993年)、主な訳書に、イエルール・ブラウワーズ『うわずみの赤』(水声社、2001年)などがある。

 

4月の新刊:〈冒険〉としての小説

2015年 4月 28日

ピクチャ 1
〈冒険〉としての小説――ロマネスクをめぐって
赤羽研三(著)

4/6判上製
416頁
定価4,000円+税
ISBN 978-4-8010-0086-5 C0098  好評発売中!
装幀:西山孝司


生の強度として体験される〈冒険〉とは何か?


バフチン、ルカーチ、ジュネットらの物語論を踏まえ、語り/読み/登場人物における〈冒険〉から小説一般の理論を究明し、19世紀以降の小説(スティーヴンスン、ポー、フロベール、ラディゲ、カミュ)を題材に、多様なジャンルにおける〈冒険〉の諸相に肉薄する。

《本書の狙いは、小説のもつ冒険の側面を明らかにすることである。それでは、この場合の冒険とはいったい何なのか、小説における冒険とはどういう意味をもつのか。(……)読み手は小説を読むことによって、冒険というかたちで生を体験するのである。そしてまさにここにこそ小説を読む面白さ、醍醐味があるのではないか。》(本書より)

目次

はじめに
第1章 ロマネスク
第2章 冒険の様々なかたち
第3章 語りと読み手の冒険
第4章 物語の発生と進行
第5章 状況の設定と人物の行動
第6章 因果性と「思いがけなさ」
第7章 リアルとアクチュアル
第8章 状況の流動性と主体の変容
第9章 小説の締めくくり方
第10章 冒険小説における冒険とその不可能性――コンラッド『ロード・ジム』
第11章 恋愛における冒険――ラディゲ『ドルジェル伯の舞踏会』
第12章 新たな冒険の可能性――カミュ『異邦人』
おわりに


あとがき


【著者について】
赤羽研三(あかばけんぞう)  1949年、東京生まれ。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。現在、上智大学教授。専攻、現代フランス思想・詩学。主な著書に、『言葉と意味について考える Ⅰ/Ⅱ』(夏目書房、1997年)、『危機のなかの文学』(共著、水声社、2010年)、主な訳書に、ジュリア・クリステヴァ『ポリローグ』(共訳、白水社、1986年)、ミシェル・フーコー『考古学と系譜学』(共訳、新評論、1992年)、サラ・コフマン『芸術の幼年期』(水声社、1994年)などがある。

[関連書](価格税別)
物語のディスクール G・ジュネット/花輪光・和泉涼一訳 5000円
ナラトロジー入門――プロップからジュネットまでの物語論 橋本陽介 2800円
小説の楽しみ 小島信夫 1500円

 

4月の新刊:小島信夫短篇集成⑦ 月光/平安

2015年 4月 28日

小島短篇7カバ
小島信夫短篇集成⑦ 月光/平安
編集委員=千石英世・中村邦生
編集協力=柿谷浩一
解説=保坂和志
月報=春日武彦・平井杏子・佐々木敦

A5判上製
567頁
定価7000円+税
ISBN978-4-8010-0067-4 C0393 好評発売中!
装幀:西山孝司

小島さんはいつも小説のことを考えていた、小説のことばかり考えていた、その一方で小島さんは何も考えてはいなかった、本人の口から聞いた話ではいつも締切りギリギリに一晩で書いた、短篇といっても60枚か70枚あるものを一晩で書けただろうか? 一晩は極端としてもたぶん二晩で書いたんだろう。三晩ということはなかったんじゃないか。(保坂和志「解説」より)

小島信夫の全短篇を網羅するシリーズ、最終配本。
小島文学はとうとう新境地へ。愛妻との生活、別荘での日々、友人たちとの対話、芸術への思索、人智を超えたものへの関心、過去と現在、忘却と啓示――あらゆる記憶/思惟/時間が小説の〈いま・ここ〉へと流れこみ、混濁と錯綜のうちに新たな小説世界が拓かれてゆく……。
単行本未収録作品「すばらしい一日」「黒い砂」「六月の風」「ピクチュア・ハット」「対談のことから」をふくむ、全22篇(1982〜1989)を収録。
*内容見本呈。ご請求ください。


目次

月光
青衣
蜻蛉
合掌
高砂
再生
白昼夢
すばらしい一日
肖像
戦友会
マリフ
予兆
平安
浅き夢
黒い砂
日光
落花の舞
六月の風
ピクチュア・ハット
ブルーノ・タウトの椅子
湖の中の小さな島
対談のことから

解題 柿谷浩一
奥義はいまもわからない 保坂和志


【小島信夫の本】
《小島信夫短篇集成》【全巻完結】
①小銃/馬 解説=千石英世 8000円+税
②アメリカン・スクール/無限後退 解説=芳川泰久 8000円+税
③愛の完結/異郷の道化師 解説=堀江敏幸 8000円+税
④夫のいない部屋/弱い結婚 解説=平田俊子 8000円+税
⑤眼/階段のあがりはな 解説=いとうせいこう 6000円+税
⑥ハッピネス/女たち 解説=中村邦生  7000円+税
⑦月光/平安 解説=保坂和志 7000円+税
⑧暮坂/こよなく愛した 解説=千野帽子 8000円+税
★全巻セット定価=60000円+税

《小島信夫批評集成》
①現代文学の進退 解説=中村邦生 8000円+税
②変幻自在の人間 解説=都甲幸治 10000円+税
③私の作家評伝(全) 解説=千石英世 7000円+税
④私の作家遍歴Ⅰ 解説=保坂和志 6000円+税
⑤私の作家遍歴Ⅱ 解説=宇野邦一 6000円+税
⑥私の作家遍歴Ⅲ 解説=阿部公彦 6000円+税
⑦そんなに沢山のトランクを 解説=堀江敏幸 9000円+税
⑧漱石を読む 解説=千野帽子 8000円+税
★全巻セット定価=60000円+税

小説の楽しみ 1500円+税
書簡文学論 1800円+税
演劇の一場面 2000円+税

未完の小島信夫 中村邦生+千石英世 2500円+税
小島信夫の読んだ本 小島信夫文庫蔵書目録 昭和女子大学図書館編 5000円+税
小島信夫の書き込み本を読む 小島信夫文庫関係資料目録 昭和女子大学図書館編 5000円+税
水声通信②/小島信夫を再読する 1000円+税

 

4月の新刊:高松次郎 制作の軌跡

2015年 4月 28日

見積書004
高松次郎 制作の軌跡
国立国際美術館編

B5版変形
224頁
定価
3500円+税
ISBN978-4-8010-0093-3 C0070 好評発売中!
装幀:宗利淳一

1960年代から日本の現代美術を牽引した美術家の活動を、「点」「影」
「遠近法」「単体」「複合体」「平面上の空間」「形」といったテーマにそって、絵画、版画、立体作品、写真、とりわけ残された多数のドローイングを詳細に読み解くことによって考察する。言葉とものの関係を問い続けた高松の思考の推移を探る。
2015年4月7日から7月5日まで国立国際美術館(大阪)で開催中の「高松次郎 制作の軌跡」展の公式図録。400点以上の作品をカラー図版で収録。


目次
序 高松次郎の仕事  山梨俊夫
高松次郎の全体像:ドローイングと装幀・挿画の仕事を交えて、年代順に
 中西博之
作品図版
内法の無限性  松浦寿夫
高松次郎とアンフォルメル以後の抽象絵画  野田吉郎
高松次郎を斜めから見る 沢山遼
出品作品リスト
展覧会歴
主要文献

テキスト執筆者について
松浦寿夫 画家、東京外国語大学教授
野田吉郎 東京文化財研究所研究補佐員
沢山遼 美術批評家
中西博之 国立国際美術館主任研究員

関連書
世界拡大計画 高松次郎 4000円+税
不在への問い 高松次郎 4500円+税
高松次郎 言葉ともの 光田由里 3000円+税
高松次郎を読む 真武真喜子、神山亮子、沢山遼、野田吉郎、森啓輔=編
 4000円+税

 

4月の新刊:ポストメディア人類学に向けて 集合的知性 《批評の小径》

2015年 4月 28日

ポストメディア人類学に向けて
ポストメディア人類学に向けて 集合的知性
ピエール・レヴィ(著)
米山優(訳)
清水高志(訳)
曽我千亜紀(訳)
井上寛雄(訳)


判型:四六判上製
頁数:362頁
定価:4000円+税
ISBN:978−4−8010−0090−2 Ç0010 好評発売中!
装幀者: 宗利淳一


内容紹介:
実現されるべき未来――

人類学的スケールの視野をもって,21世紀におけるポストメディア時代の到来を予感させる,マーシャル・マクルーハンの「メディア論」以降,最高の情報哲学の書。


目次:

プロローグ――ノマドの惑星
 イントロダクション

第一部 社会的な絆の工学
 第一章 義(ただ)しき者たち――集合的知性の倫理学
 第二章 人間の質――集合的知性の経済
 第三章 モル的なものから分子的なものへ――集合的知性のテクノロジー
 第四章 知的都市の活動力――分子的政治のためのマニフェスト
 第五章 天使的な身体の舞踊術――集合的知性の無神学
 第六章 サイバースペースにおける芸術とアーキテクチャ――集合的知性の美学

第二部 《智慧の空間》
 第七章 四つの空間
 第八章 人類学的空間とは何か?
 第九章 アイデンティティ
 第十章 記号論
 第十一章 空間と時間の形象
 第十二章 航海の道具
 第十三章 知識の対象
 第十四章 認識論
 第十五章 諸空間の関係――政治哲学に向けて

エピローグ――クノッソスへの旅


解題(清水高志)
訳者あとがき



著者・訳者紹介:
ピエール・レヴィ(Pierre Lévy) 1956年,チュニジアのチュニスに生まれる。哲学者。ミシェル・セールに師事。フランス国立工芸技術院で情報工学を学び,グルノーブル大学で情報とコミュニケーション科学の博士号を取得。主な著書に,『ヴァーチャルとは何か?』(昭和堂,2006)などがある。

米山優(よねやままさる) 1952年,東京都に生まれる。名古屋大学大学院情報科学研究科教授(専攻,哲学・情報学)。主な著書に,『情報学の展開』(昭和堂,2011)などがある。
清水高志(しみずたかし) 1967年,愛知県に生まれる。東洋大学総合情報学部総合情報学科准教授(専攻,哲学・情報創造論)。主な著書に,『ミシェル・セール』(白水社,2013)などがある。
曽我千亜紀(そがちあき) 1973年,愛知県に生まれる。大阪産業大学人間環境学部准教授(専攻,哲学・情報社会論)。主な共訳書に,『デカルト全書簡集 第一巻』(知泉書館、2012)などがある。
井上寛雄(いのうえひろお) 1975年、広島県に生まれる。中京大学非常勤講師(専攻,哲学・情報創造論)。主な共訳書に,ピエール・レヴィ『ヴァーチャルとは何か?』などがある。

 

4月の新刊:シュルレアリスム,あるいは作動するエニグマ

2015年 4月 28日

無題
シュルレアリスム,あるいは作動するエニグマ
ジャクリーヌ・シェニウー=ジャンドロン 著
齊藤哲也 編
鈴木雅雄 ほか訳

A5判上製
376頁
定価=5000円+税
ISBN978−4−8010−0097−1 C0070 好評発売中!
装幀者=宗利淳一

シュルレアリスムは演出し,操作する。

アヴァンギャルドからも,モダニズムからも,逸脱してみせたシュルレアリスムは何をもって我々を誘惑゠挑発し続けているのだろうか。現実と表象が〈痙攣的〉に邂逅し,常に謎を作動させるディスクールを巧緻に読み解く,シュルレアリスム研究の泰斗の足跡。

【目次】
序――腐植土あるいは耕地としての言語
1 フランスにおけるシュルレアリスムの複数の斜面と複数のヴァージョン
2 おしゃべりと驚異――シュルレアリスム再考
3 非知としての未開状態から絶対知としての痙攣へ
4 雑誌の美学のために――『VVV』誌のシュルレアリスム的なページ,『ヴュー』誌によるシュルレアリスム的なページの消費
5 シュルレアリスムの領域における「もう一方の世界」,世界と言語の裏側
6 シュルレアリスムにおけるレトリックと神話的エクリチュール
7 シュルレアリスムにおける女性形のエクリチュールについて
8 交差するまなざし シュルレアリスムの提示/表象――雑誌をおもな舞台として
9 アンドレ・ブルトンの「他者」,ジャック・ラカン
10 ブルトン,アレント――政治的立場,あるいは政治的責任と思想?
編者あとがき

【著者/編者】
ジャクリーヌ・シェニウー=ジャンドロン(Jacquline Chénieux-Gendron)  1939年,フランスのトゥーレーヌ生まれ。元フランス国立科学研究所(CNRS)主任研究員。専攻,シュルレアリスム研究。著書にLe Surréalisme et le roman(L’Age d’homme, 1983),『シュルレアリスム』(星埜守之・鈴木雅雄訳,人文書院,1997年)などがある。

齊藤哲也(さいとうてつや)  1976年,北海道生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士課程満期退学。現在,明治学院大学准教授。専攻,シュルレアリスム研究。著書に『零度のシュルレアリスム』(水声社,2011年),『ヴォルフガング・パーレン――幻視する横断者』(水声社,2013年)などがある。

【関連書】
零度のシュルレアリスム/齊藤哲也/2500円+税
シュルレアリスム美術を語るために/鈴木雅雄+林道郎/2800円+税

***
この度、著者のジャクリーヌ・シェニウー=ジャンドロン氏が来日され、講演会が以下のように行われました。

★2015年4月21日(火) 18:00〜19:30
場所:東京大学 本郷キャンパス 法文1号館3階317教室
題目:「つぶやきとしての声か、言葉のあり方としての声か:ある主体の構造について ――ブルトン、フロイト、ヴァレリー」
(入場無料・予約不要・同時通訳なし)

★2015年4月24日(金) 18:00~
場所:早稲田大学 戸山キャンパス 39号館6階第7会議室
題目:「形態と不定形の弁証法は〈美学〉として成り立ちうるか? ――ダリ、マッソン、エルンスト」
(入場無料・予約不要・同時通訳なし)

 

3月の新刊: 甦るレヴィナス――『全体性と無限』読解

2015年 4月 28日

ピクチャ 1
甦るレヴィナス――『全体性と無限』読解
小手川正二郎 著

4/6判上製
352頁
定価
3,500円+税
ISBN978-4-8010-0085-8 C0010  好評発売中!
装幀:宗利淳一

『全体性と無限』がもつ真の革新性を救い出す―― 

これまで顧みられなかった理性論という観点から『全体性と無限』がもつ独自性に光をあて、主体論においてハイデガーと対峙し、なお根強い影響力の下にあるデリダ的読解を糺す。“生きている”レヴィナス哲学を甦らせる変革の書。

《本書は、レヴィナスが過去の思想家と向き合ったのと同様の態度でもって、レヴィナスの思想を「生きている哲学」として考察したい。(……)レヴィナスの哲学を、ただ盲目的に信じられる謎めいた教えや、専門家の間の訓詁学的な関心の対象としないためには、誤解を恐れずに彼の論述を具体化し、それを批判的に吟味しなくてはならない。このようにして初めて、レヴィナスの思想は時代や文化の隔たりを越えて読者一人ひとりの理解のあり方を問い直す「生きている哲学」として甦るはずだ。》(本書より)

目次

序章 甦るレヴィナス

第1部 レヴィナスの現象学

第1章 『全体性と無限』の現象学的方法
第2章 レヴィナスの思想は「他者」論か――『全体性と無限』第一部の役割
第3章 ブーバーとの対話

第2部 ハイデガーとの対決――主体・存在・真理

第4章 主体性の擁護――ハイデガーによる「主体」批判の後で
第5章 存在と真理――存在だけしかないことがなぜ「悪い」のか

第3部 デリダへの応答――『全体性と無限』の理性論

第6章 他人(autrui)と〈他者〉(l’Autre)――〈他人〉を「理解」すること
第7章 「自我への暴力」と「他者への暴力」――レヴィナスは「他者への暴力」を批判したのか
第8章 「第三者は他人の眼を通じて私を見つめる」――「第三者」とは誰か

第4部 「現れざるものの現象学」とは別の仕方で

第9章 〈他人〉との対話と〈他者〉への愛
第10章 「転回」ではなく「深化」

終章 「レヴィナス的倫理学」の可能性


参考文献
人名索引

あとがき




【著者について】
小手川正二郎(こてがわしょうじろう)  1983年、東京生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程修了。博士(哲学)。現在、國學院大學文学部助教。専攻、フランス哲学、現象学。主な著書に、『顔とその彼方――レヴィナス『全体性と無限』のプリズム』(共著、知泉書館、2014年)、『新プラトン主義を学ぶために』(共著、世界思想社、2014年)などがある。

[関連書](価格税別)
他者のユマニスム/エマニュエル・レヴィナス/小林康夫訳 2000円

 

3月の新刊:幽霊の真理 絶対自由に向かうために《水声文庫》

2015年 4月 28日

幽霊の真理
幽霊の真理 絶対自由に向かうために
荒川修作+小林康夫(著)

判型:四六判上製
頁数:304頁
定価:3000円+税
ISBN:978−4−8010−0088−9 C0070 好評発売中!
装幀者: 宗利淳一

内容紹介:
荒川の声が聞こえる――
《ぼくはこんな問いをあなたにしてみたい――「月に春はあるかねえ。火星には春があるかねえ。」》

身体の可能性を〈建築〉に見出そうとする荒川と,哲学者・小林が,美術・文学・哲学を横断しながら,あらゆる既成の概念の根幹を問い,「知の総合」を目指す,衝撃の対話。


目次:
月には春があるかねえ
共同の場があれば出発は可能だ
場それ自身が行為であり出来事なんだ
物語のない世界に行かなくちゃいけない
身体の幽霊化,イメージとしての身体
人間の歴史は間違いのカタログだ
一日も早く自由の自由に向かうために

図版一覧
あとがき


著者紹介:
荒川修作(あらかわしゅうさく) 1936年,名古屋市に生まれ,2010年,ニューヨークに没した。美術家/建築家。1961年に渡米,以降ニューヨークを拠点に,夫人で詩人のマドリン・ギンズとともに活動。主な建築作品に,「養老天命反転地」(岐阜県,1995),「三鷹天命反転住宅」(東京都,2005)など。主な著書には,『建築―宿命反転の場』(1999),『生命の建築』(藤井博巳との共著,水声社,1999)『三鷹天命反転住宅――ヘレン・ケラーのために』(2008,ともに水声社),などがある。

小林康夫(こばやしやすお) 1950年,東京都に生まれる。東京大学大学院博士課程,パリ第Ⅹ大学(ナンテール)大学院博士課程修了。現在,東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授。専攻,フランス文学,哲学。主な著書には,『無の透視法』『不可能なものへの権利』(ともに,書肆風の薔薇/水声社,1988),『思考の天球』(水声社,1998),『こころのアポリア』(羽鳥書店,2013)などがある。

 

3月の新刊:平成ボーダー文化論《水声文庫》

2015年 4月 28日

平成ボーダー文化論
平成ボーダー文化論
阿部嘉昭(著)


判型:四六判上製
頁数:434頁
定価:4500円+税
ISBN:978−4−8010−0089−6 C0070 好評発売中!
装幀者: 宗利淳一


内容紹介:
平成の不気味――
ままならない時代について

1989年以降におこった大小さまざまな事象をもとに,犯罪,メディア,若者,音楽,写真,女性,アダルトビデオ,漫画などについて縦横に論じ,「平成」という時代を裏側から考察した衝撃の日本文化論。


目次:
序章 一九八九年論
第一章 もがく仕種の可愛さこそが――「不快の快」時代の魅力的な身振りだ
第二章 「死にたい」と「殺したい」のあいだ――「十七歳」の犯罪について
第三章 全体化の虚偽,現代的自殺――入間市「ネット心中」事件について
第四章 「稀薄」がキーワード 二十代はデュシャンの泉?
第五章 人界を穿つ闇――三角みづ紀『オウバアキル』書評
第六章 境界が溶けてゆく――太陽肛門スパパーン『馬と人間』について
第七章 一点に心を集めて小さくなってゆく――九〇年代後半のゆらゆら帝国について
第八章 ロボットと性
第九章 「小さな画面」の不如意を慈しむことについて
第十章 写真都市彷徨
第十一章 世界は一人の女に集約される
第十二章 ネット時代の書簡
第十三章 ドキュメンタリーとしてのアダルト・ビデオ
終章 境界突破した身体がそれじたい境界化する――あとがきにかえて


著者紹介:
阿部嘉昭(あべかしょう) 1958年、東京都に生まれる。慶應義塾大学法学部卒業。専攻,映画・サブカルチャー研究,詩歌論。現在,北海道大学大学院文学研究科准教授。2014年,詩集『ふる雪のむこう』(思潮社,2013)で第48回北海道新聞文学賞受賞。詩論集『換喩詩学』(思潮社,2014)で第6回鮎川信夫賞受賞。主な著書に,『日本映画オルタナティヴ』(彩流社,2012),『映画監督 大島渚』(河出書房新社、2013)などがある。

 

3月の新刊:小島信夫短篇集成⑥ ハッピネス/女たち

2015年 4月 28日

小島短篇6カバ
小島信夫短篇集成⑥ ハッピネス/女たち

編集委員=千石英世・中村邦生
編集協力=柿谷浩一
解説=中村邦生
月報=富岡幸一郎・いしいしんじ・佐々木敦

A5判上製/472頁/定価7000円+税

ISBN978-4-8010-0066-7 C0393 好評発売中!

装幀=西山孝司


小島信夫は読んだ本をよく忘れる。あるいは忘れているふりをする。いや、もっと正確には忘れることを望み、むしろ忘れることを読書の方法と見なしさえしているように思えることがある。(中村邦生「解説」より)

小島信夫の全短篇を網羅するシリーズ、第6回配本。
巨篇『別れる理由』への迂遠な助走となった連作「町」の作品群、そして、『菅野満子の手紙』『寓話』など破格の長篇のかたわらで綴られ、小説とエッセイ、記憶と忘却を縦横無尽に横断/往還する、メタフィクショナルな短篇世界の全貌。
中期の佳編「ハッピネス」、自意識過剰な飼い犬との奇妙な対話の中に主従関係のねじれを描く異色作「石遊び」、手紙や自作の引用によって読者を翻弄してやまない「返信」などの他、単行本未収録作品「観客」「続モンマルトルの丘」をふくむ、全23篇(1971〜1982)を収録。
*内容見本呈。ご請求ください。


目次

人探し
観客
仮病
ハッピネス
山へ登る話
小さな神様
二度の訪問
美わしの涙
あいびき
よもつひらさか
石遊び
モグラのような
ワラビ狩り
わんこソバ
スキット
歩きながらの話
泣く話
続モンマルトルの丘
女たち
レオナルド・ダ・ヴィンチの夜
返信
有縁
『一寸先は闇』

解題 柿谷浩一
〈うろおぼえ〉という作法 中村邦生

【全巻内容】
①小銃/馬 解説=千石英世 8000円+税
②アメリカン・スクール/無限後退 解説=芳川泰久 8000円+税
③愛の完結/異郷の道化師 解説=堀江敏幸 8000円+税
④夫のいない部屋/弱い結婚 解説=平田俊子 8000円+税
⑤眼/階段のあがりはな 解説=いとうせいこう 6000円+税
⑥ハッピネス/女たち 解説=中村邦生  7000円+税
⑦月光/平安 解説=保坂和志 7000円+税
⑧暮坂/こよなく愛した 解説=千野帽子 8000円+税
★全巻セット定価=60000円+税

【小島信夫の本】
《小島信夫批評集成》
①現代文学の進退 解説=中村邦生 8000円+税
②変幻自在の人間 解説=都甲幸治 10000円+税
③私の作家評伝(全) 解説=千石英世 7000円+税
④私の作家遍歴Ⅰ 解説=保坂和志 6000円+税
⑤私の作家遍歴Ⅱ 解説=宇野邦一 6000円+税
⑥私の作家遍歴Ⅲ 解説=阿部公彦 6000円+税
⑦そんなに沢山のトランクを 解説=堀江敏幸 9000円+税
⑧漱石を読む 解説=千野帽子 8000円+税

小説の楽しみ 1500円+税
書簡文学論 1800円+税
演劇の一場面 2000円+税

未完の小島信夫 中村邦生+千石英世 2500円+税
小島信夫の読んだ本 小島信夫文庫蔵書目録 昭和女子大学図書館編 5000円+税
小島信夫の書き込み本を読む 小島信夫文庫関係資料目録 昭和女子大学図書館編 5000円+税
水声通信②/小島信夫を再読する 1000円+税

 

3月の新刊:カフカの動物物語――〈檻〉に囚われた生

2015年 4月 28日

カフカ 書影
カフカの動物物語――〈檻〉に囚われた生
山尾涼
A5判上製/256頁/定価=4000円+税
ISBN978−4−8010−0091−9 C0098 好評発売中!
装幀者=宗利淳一

〈檻〉の動物が訴えるものとは?

様々な抑圧に曝され苦しむカフカの動物たち,存在の危機に瀕する彼ら彼女ら/動物たちは隠蔽された問題を我々/人間に暴露し始める……時代の〈破れ目〉を穿つカフカの文学に,〈人間像〉再考の契機を見出す。

【目次】
はじめに
序章
第1章 〈動物物語〉とは
第2章 社会的な〈檻〉
第3章 他者との関係・身体という〈檻〉
第4章 認識という〈檻〉
最終章 動物という表象とこれからの〈動物物語〉
おわりに

参考文献
事項索引
人名索引

【著者】
山尾涼(やまおりょう)  1978年,名古屋市に生まれる。名古屋大学大学院文学研究科博士課程単位取得後退学。文学博士。専攻は,ドイツ文学。主な論文に,「生/性が否定的表象と結びつく時――カフカの短編をめぐって」(『オーストリア文学』,第28号,2012年),「世界の破れ目と回帰する〈身体〉――フロイトとカフカにまつわるアントロポロギー」(『フロイトの彼岸――精神分析,文学,思想』,日本独文学会研究叢書101号,2014年)などがある。

【関連書】
カフカと〈民族〉音楽/池田あいの/3500円+税
カフカの夢分析/フェリックス・ガタリ著,杉村昌昭訳/1800円+税