3月の新刊:ガラスの国境 《フィクションのエル・ドラード》

2015年 4月 28日

ピクチャ 1
ガラスの国境

カルロス・フエンテス 著
寺尾隆吉 訳

4/6判上製/352頁/定価=3,000円+税
ISBN 978-4-89176-956-7 C0397  好評発売中!
装幀=宗利淳一


文学は世界の救世主、このカルロス・フエンテスの信念に限界はない!(ガブリエル・ガルシア・マルケス)


《リオ・グランデの北、
リオ・ブラーボの南、
言葉よ、翔べ、
哀れなメキシコ、
哀れなアメリカ合衆国、
これほど神から遠く離れ、
これほど隣り合っているとは》

国境を接するメキシコとアメリカ。〈こちら側〉と〈あちら側〉の人間たちが生きる世界を九つの物語によって多層的に描き出し、登場人物たちの声を響かせ祖国《メキシコ》を高らかに謳いあげる、現代版〈人間喜劇〉。



目次

首都の娘
痛み
略奪
忘却の線
マキラドーラのマリンツィン
女友達
ガラスの国境
賭け
リオ・グランデ、リオ・ブラーボ

訳者あとがき


【著者/訳者について】
カルロス・フエンテス(Carlos Fuentes)  1928年、パナマに生まれ、2013年5月、メキシコシティにて没。父は外交官。幼少からラテンアメリカ各国やアメリカ合衆国を転々とし、1940年代半ば、メキシコシティに落ち着いて以降は、雑誌の創刊や小説作品の執筆など、精力的に文学活動に乗り出す。1960年代からは「ブームの牽引車」としてラテンアメリカ文学を常にリードし、膨大な数の長編・短編小説、戯曲、エッセイなどを残した。代表作は『澄みわたる大地』(1958年)、『アルテミオ・クルスの死』(1962年)、『テラ・ノストラ』(1975年)。ロムロ・ガジェゴス賞(1962年)、セルバンテス賞(1987年)、アストゥリアス皇太子賞(1994年)などを受賞した。

寺尾隆吉(てらおりゅうきち)  1971年、愛知県に生まれる。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。現在、フェリス女学院大学国際交流学部准教授。専攻、現代ラテンアメリカ文学。主な著著には、『フィクションと証言の間で――現代ラテンアメリカにおける政治・社会動乱と小説創作』(松籟社、2007年)、『魔術的リアリズム』(水声社、2012年)、主な訳書には、カルロス・フエンテス『澄みわたる大地』(現代企画室、2010年)、フリオ・コルタサル『八面体』(水声社、2014年)などがある。

 

3月の新刊:ベンヤミンにおける「純化」の思考 「アンファング」から「カール・クラウス」まで

2015年 4月 28日

ベンヤミンチラシ
ベンヤミンにおける「純化」の思考 「アンファング」から「カール・クラウス」まで  
小林哲也  

A5判上製/488頁/定価6500円+税
ISBN978-4-8010-0092-6  C0010 

 「純粋さ」から「純化」へ
これまであまり顧みられることのなかった初期のテクストから、後期の難解な「カール・クラウス」まで、多様なテクストのなかで繰り返され進化していくベンヤミンの思想を丁寧に追う、俊英の研究者によるモノグラフィー。


目次
序章 
第一部 外部への憧憬/体験の外の沈黙 
第一章 「何か別のもの」への憧憬――青年運動期のベンヤミン
第二章 青年ベンヤミンとマルティン・ブーバー
第三章 ブーバー批判から言語論へ
第二部 沈黙・決意・希望――不透過なものの思考 
第一章 沈黙と反抗――ベンヤミンのギリシア悲劇論
第二章 内在と超越――「決意」の意味
第三章 不透過なものの聴き取り
第三部 「純化」の思考へ――「カール・クラウス」における思考の展開
批評家ベンヤミンとカール・クラウス
第二章 「純粋さ」と「罪」――クラウスと表現主義
第三章 「純粋さ」から「純化」へ
終章  継続と伝達
注 
文献表 
あとがき

著者について
小林哲也(こばやしてつや)
一九八一年、北海道札幌市に生まれる。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。専
攻、ドイツ文学・思想。現在、京都大学非常勤講師。主な論文に、「第一次大戦、ブーバー、ベン
ヤミン――内面的決断と言語の問題」(『ナマール』第一八号、二〇一三年)、「不透過なものの
『聴き取り』――ベンヤミンによるゲーテの『親和力』読解」(『モルフォロギア』第三四号、二〇
一二年)、「デーモンの不平、デーモンの使命――一九三〇年代のカール・クラウス」(『思想』第
一〇五八号、二〇一二年)などがある。

関連書
森田團 ベンヤミン――媒質の哲学 定価7000円+税
三原弟平 ベンヤミンと精神分析――ボードレールからラカンへ 定価=2500円+税

 

2月の新刊:地平線《フィクションの楽しみ》

2015年 4月 28日

ピクチャ 1
地平線

パトリック・モディアノ 著
小谷奈津子 訳

4/6判上製/192頁/定価=2,000円+税
ISBN 978-4-8010-0083-4 C0097  好評発売中!
装幀=宗利淳一


ノーベル文学賞作家! 新たなる地平へ! 

青春時代の思い出の断片から浮かびあがる亡霊のようなシルエット。
かつての恋人の足跡を求めて、パリの街を彷徨するひとりの男。
かすかな記憶の糸が、40年の時を経て、恋人の生まれたベルリンへと誘う……

《何も変えずに、何もかも変えてしまった》モディアノ、今まで以上に新鮮なモディアノの誕生を告げる記憶と夢想の物語。

【著者/訳者について】
パトリック・モディアノ(Patrick Modiano)  1945年、パリ近郊ブーロニュ=ビヤンクールに生まれる。作家。2014年、ノーベル文学賞を受賞。主な作品には『暗いブティック通り』(平岡篤頼訳、白水社、2005年)、『八月の日曜日』(堀江敏幸訳、水声社、2003年)、『1945年。パリの尋ね人』(白井成雄訳、作品社、1998年)などがある。

小谷奈津子(こたになつこ)  1971年、鳥取県生まれ。レンヌ第二大学でモディアノの研究を始める。明治大学大学院博士課程満期退学。現在、明治大学ほか非常勤講師。専門、現代フランス文学、フランス語学。主な著書に、『エスプランナード』(朝日出版社、2015年)などがある。



パトリック・モディアノの本〔価格税別〕
八月の日曜日 堀江敏幸訳 2200円+税
家族手帳 安永愛訳 2500円+税
あなたがこの辺りで迷わないように 余田安広訳 近刊

 

2月の新刊:氷山へ《批評の小径》

2015年 4月 28日

氷山へ
氷山へ
J・M・G・ル・クレジオ(著)
中村隆之(訳)
今福龍太(解説)



判型:四六判上製
頁数:143頁
定価:2000円+税
ISBN:978−4−8010−0082−7 C0098 好評発売中!
装幀者: 宗利淳一


“ことばの極北”への旅――

“「イニジ」「氷山」、これらは、フランス語が生み出したもっとも美しく、もっとも純粋で、もっとも真実な詩のうちでも究極の二篇だ。”2008年にノーベル文学賞を受賞したル・クレジオの思考と実践に大きな影響を与えた孤高の詩人アンリ・ミショーの至高の詩編「氷山」「イニジ」について、“読むことは旅すること”だと語るル・クレジオが、包括的かつ詩的に綴る珠玉の批評-エッセイ。


目次:
氷山へ
イニジ/アンリ・ミショー
イニジ

ことばの氷海への至上の誘い/今福龍太
訳者あとがき


著者・訳者紹介:
J・M・G・ル・クレジオ 1940年,南仏ニースに生まれる。小説家。1963年のデビュー作『調書』でルノドー賞を受賞。2008年にノーベル文学賞を受賞。主な作品に,『物質的恍惚』(豊崎光一訳,岩波書店,2010),『悪魔祓い』(高山鉄男訳,岩波書店,2010),『隔離の島』(中地義和訳,筑摩書房,2013)などがある。

中村隆之(なかむらたかゆき) 1975年,東京都に生まれる。東京外国語大学大学院博士課程修了。現在,大東文化大学専任講師。専攻,フランス語圏カリブ海文学。主な著書に,『カリブ-世界論』(人文書院,2013)などがある。

 

2月の新刊:小島信夫短篇集成⑤ 眼/階段のあがりはな

2015年 4月 28日

小島短篇5カバ
小島信夫短篇集成⑤ 眼/階段のあがりはな

編集委員=千石英世・中村邦生
編集協力=柿谷浩一
解説=いとうせいこう
月報=佐々木敦・影山恒男・吉増剛造

A5判上製/416頁/定価6000円+税

ISBN978-4-8010-0065-0 C0393 好評発売中!

装幀=西山孝司


長篇でさえ「化かされた」私を、短篇はより激しく混乱させた。時には書いてあることの意味さえ見失うような事態にもなったし、それがとんでもなくスリリングでもあった。(いとうせいこう「解説」より)

小島信夫の全短篇を網羅するシリーズ、第5回配本。
饒舌な語り手の独り語り、書簡体小説、エッセイ的・自伝的な要素を多分にふくむ小説など、著者の模索と挑戦が読者を挑発する。
妻の入院・手術を滑稽かつ哀切に描き、『抱擁家族』のサイドストーリーとも言える「眼」、郷里への回想のうちにそこに息づく人々の本質を描き、小島文学読解のための重要な鍵を秘める「郷里の言葉」、小説とエッセイの境を曖昧化させる著者の晩年の作風を先取りする「花・蝶・犬・人」などの他、単行本未収録作品「幽霊」「友情」「花・蝶・鳥・犬」をふくむ、全22篇(1962〜1970)を収録。
*内容見本呈。ご請求ください。


目次


感情旅行
ある作家の手記
棲処
冷たい風
季節の恋
家の誘惑
洪水
小さな歴史
船の上
カフス・ボタン
或る一日
ガリレオの胸像
雨を降らせる
靴の話
夫のいない部屋
四十代
弱い結婚(1962年版)

弱い結婚(1968年版)

解題 柿谷浩一
おびやかすもの 平田俊子


【全巻内容】
①小銃/馬 解説=千石英世 8000円+税
②アメリカン・スクール/無限後退 解説=芳川泰久 8000円+税
③愛の完結/異郷の道化師 解説=堀江敏幸 8000円+税
④夫のいない部屋/弱い結婚 解説=平田俊子 8000円+税
⑤眼/階段のあがりはな 解説=いとうせいこう 6000円+税
⑥ハッピネス/女たち 解説=中村邦生  7000円+税
⑦月光/平安 解説=保坂和志 7000円+税
⑧暮坂/こよなく愛した 解説=千野帽子 8000円+税
★全巻セット定価=60000円+税

【小島信夫の本】
《小島信夫批評集成》
①現代文学の進退 解説=中村邦生 8000円+税
②変幻自在の人間 解説=都甲幸治 10000円+税
③私の作家評伝(全) 解説=千石英世 7000円+税
④私の作家遍歴Ⅰ 解説=保坂和志 6000円+税
⑤私の作家遍歴Ⅱ 解説=宇野邦一 6000円+税
⑥私の作家遍歴Ⅲ 解説=阿部公彦 6000円+税
⑦そんなに沢山のトランクを 解説=堀江敏幸 9000円+税
⑧漱石を読む 解説=千野帽子 8000円+税

小説の楽しみ 1500円+税
書簡文学論 1800円+税
演劇の一場面 2000円+税

未完の小島信夫 中村邦生+千石英世 2500円+税
小島信夫の読んだ本 小島信夫文庫蔵書目録 昭和女子大学図書館編 5000円+税
小島信夫の書き込み本を読む 小島信夫文庫関係資料目録 昭和女子大学図書館編 5000円+税
水声通信②/小島信夫を再読する 1000円+税

 

2月の新刊:タイムコレクション

2015年 4月 28日

見積書002
タイムコレクション
今井祝雄=著 大日方欣一=構成・テキスト執筆
A5判上製/120頁/定価3200円+税
ISBN978−4−8010−0081−0 C0070 好評発売中!
造本=宗利淳一

〈不可視な時間の厚みを探る〉
《具体》グループの最年少の作家のひとりとして、白の立体的な造形から出発した今井祝雄は、1970年代初めから80年代にかけて、さまざまな映像メディアを駆使し、「時間」という不可視な存在をとらえる一連の実験に挑み続けた。時間を分節し、積み重ねる作品(《RED LIGHT》 《ビデオスナップ》《タイムコレクション》など)や、ポラロイドの即時性、ビデオの同時性を活用したパフォーマンス(《時間の衣裳》《矩形の時間》《オンエア》など)をとおして「映像」と「時間」をめぐる探求の軌跡を「いま」再考する。

目次
Ⅰ フレームのうちそと 1970−74
Ⅱ 水平線〜時間の風景 1974−77
Ⅲ タイムコレクション 1977−

著者について
今井祝雄(いまいのりお)
1946年、大阪市に生まれる。美術家、成安造形大学名誉教授。
大阪市立工芸高校在学中から吉原治良に師事し、具体美術協会に参加。1966年、第十回シェル美術賞1等賞受賞。以来、内外の展覧会に出品多数。1970年代から写真やビデオによる作品を制作。
構成・テキスト執筆者について
大日方欣一(おびなたきんいち)
1960年、東京都に生まれる。フォトアーキビスト、武蔵野美術大学造形研究センター客員研究員。企画に携った展覧会に「大辻清司フォトアーカイブ展」「かたちとシュミレーション―—北代省三の写真と実験」「映像2013」などがある。

 

2月の新刊:ヴィクトル・セガレン伝

2015年 4月 28日

セガレン伝 書影
ヴィクトル・セガレン伝
著者=ジル・マンスロン
訳者=木下誠
A5判上製/688頁+別丁図版8頁/定価=10000円+税
ISBN978-4-8010-0087-2 C0098 好評発売中!
装幀=齋藤久美子

旅する作家の偉大なる生=作品。

ブルターニュからポリネシアへ移り,ゴーギャンの遺品に霊感を受け,ドビュッシーとのオペラ共作に励み,二度にわたって中国を経巡り,〈多様性〉の美学としての〈エグゾティスム〉を唱る,常に新しい形式の作品を試み,時代に先駆けたセガレンの生=作品の全貌を描き出す。

【目次】
日本語版への序文
謝辞
第1部 ブルターニュの幼年時代
第2部 学業の歳月
第3部 最初の旅
第4部 音楽から書くことへ
第5部 中の帝国から自己自身の帝国へ
第6部 「もう後ろしか見ない」
第7部 「この心地よい墓は私の墓だ」
原注
訳注
地図
書誌
人名索引
訳者あとがき

【著者/編訳者】
ジル・マンスロン(Gilles Manceron)  1946年,パリに生まれる。歴史家,フランス人権同盟(LDH)副会長。主な著書に,セガレンとアンリ・マンスロンの往復書簡集『忠実な裏切り――書簡集(1907―1918年)』(1985年),『岸から岸へ――アルジェリア戦争,記憶から歴史へ』(1993年),『マリアンヌと植民地――フランス植民地史への序説』(2002年)などがある。
木下誠(きのしたまこと)  1956年,鳥取県に生まれる。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。現在,兵庫県立大学教授。専攻,フランス文学。主な訳書に,ヴィクトル・セガレン『〈エグゾティスム〉に関する試論/覊旅』(現代企画室,1995年),ギー・ドゥボール『スペクタクルの社会』(ちくま学芸文庫,2003年)などがある。

【セガレン著作集】
第1巻 記憶なき民 木下誠訳/7000円+税
第2巻 ゴーガン礼賛/異教の思考 丹治恆次郎訳/近刊
第3巻 二重のランボー/オルフェウス王 木下誠訳/10000円+税
第4巻 天子 黒川修司訳/4000円+税
第5巻 ルネ・レイス 黒川修司訳/4500円+税
第6巻 碑/頌/チベット 有田史郎訳/6000円+税
第7巻 絵画/想像のものたち 木下誠訳/8000円+税
第8巻 煉瓦と瓦 渡辺諒訳/近刊

 

2月の新刊:シュタイナー教育基本指針Ⅱ——三歳から九歳まで

2015年 4月 28日

見積書001
シュタイナー教育基本指針Ⅱ——三歳から九歳まで
ライナー・パツラフ、ヴォルフガング・ザスマンスハウゼン/入間カイ訳
四六判上製/192頁/定価=2500円+税
ISBN978−4−8010−0084−1 C0037 好評発売中!
装幀=齊藤久美子

〈人間の心身の健康を維持するものは何か?〉
幼児期から少年期への心身の健全な成長をうながす「健康生成」の理念と実践。
保育・幼稚園教育から学校教育への連携をめざす持続的・統合的教育法。
ドイツのヴァルドルフ(シュタイナー)学校連盟/幼稚園連盟の共同出版によるシュタイナー教育のガイドライン。

目次
まえがき
序文
個性を中心に
幼児期の学習とその特性
学校の学習への移行——適切な時期はいつか?
学校での最初の数年間
まとめ
参考文献
解題 吉田敦彦
訳者あとがき

著者について
ライナー・パツラフ教授/博士
ゲルマン文学、ギリシャ文学、哲学を学び、ベルリン自由大学研究助手、ギムナジウム教師などをへて、シュトゥットガルト自由ヴァルドルフ学校高等部教師、ヴァルドルフ教育ゼミナール講師を歴任。IPSUM(教育・感覚・メデイアエコロジー)研究所所長。ボン郊外アルフターのアラヌス大学にて「子ども時代教育」の教鞭をとる。同大学名誉教授。
ヴォルフガング・ザスマンスハウゼン教授
長年にわたりヴァルドルフ教育のさまざまな施設で活動。特に社会福祉教育専門学校の指導者を務めた。現在、ヴァルドルフ幼稚園連盟における教員養成/研修に関わり、世界各地の幼稚園や教員養成機関へ助言を行っている。
訳者について
入間カイ
1963年、鎌倉市に生まれる。現在、那須内海学園那須みふじ幼稚園理事長・園長。一般社団法人日本シュタイナー幼児教育協会代表理事。ゲーテアヌム医学セクション外部研究員。主な著・訳書に『三月うさぎのティータイム』(南方新社)、『これからのシュタイナー幼児教育』(春秋社)、グレックラー/ゲーベル『小児科診察室』、『シュタイナー教育基本指針Ⅰ』(ともに、水声社)などがある。

関連書
シュタイナー教育基本指針Ⅰ ライナー・パツラフほか/入間カイ訳 2500円+税
小児科診察室 M・グレックラーほか/入間カイ訳 4000円+税
乳幼児のためのシュタイナー保育 B・ライチェル/入間カイ訳 2500円+税
七歳までの人間教育 E・M・グルネリウス/高橋巌+高橋弘子訳 1500円+税
九歳児を考える ヘルマン・コェプケ/森章吾訳 2000円+税

 

1月の新刊:小島信夫短篇集成④ 夫のいない部屋/弱い結婚

2015年 4月 28日

小島短篇4カバ
小島信夫短篇集成④ 夫のいない部屋/弱い結婚

編集委員=千石英世・中村邦生
編集協力=柿谷浩一
解説=平田俊子
月報=竜野連・吉増剛造・猪俣和也

A5判上製/568頁/定価8000円+税

ISBN978-4-8010-0064-3 C0393 好評発売中!

装幀=西山孝司


夫婦と聞くと仲良くお茶でもすすっているようなぬくぬくとした姿が一瞬浮かぶが、実際は生易しいものではない。理解しあえぬまま闘い続ける宿敵が妻であり、夫である。結婚は夫と妻の双方をおびやかす。おびやかしてくる相手に立ち向かうように、小島は繰り返し夫婦を描いた。(平田俊子「解説」より)

小島信夫の全短篇を網羅するシリーズ、第4回配本。
前巻収録作品から引き続き、夫婦の性をさまざまな角度から考究する短篇群の他、長篇『抱擁家族』のための準備期間に書き継がれた多彩な作品群。
男子中学生の同性愛のゆくえをたどる自伝的な異色作「ガリレオの胸像」、『抱擁家族』の前日譚とも言うべき「四十代」などの他、単行本未収録作品「女」「感情旅行」「冷たい風」「家の誘惑」「カフス・ボタン」「弱い結婚」(1966年版)および「鷹」をふくむ、全20篇(1959〜1966)を収録。
*内容見本呈。ご請求ください。


目次


感情旅行
ある作家の手記
棲処
冷たい風
季節の恋
家の誘惑
洪水
小さな歴史
船の上
カフス・ボタン
或る一日
ガリレオの胸像
雨を降らせる
靴の話
夫のいない部屋
四十代
弱い結婚(1962年版)

弱い結婚(1968年版)

解題 柿谷浩一
おびやかすもの 平田俊子


【全巻内容】
①小銃/馬 解説=千石英世 8000円+税
②アメリカン・スクール/無限後退 解説=芳川泰久 8000円+税
③愛の完結/異郷の道化師 解説=堀江敏幸 8000円+税
④夫のいない部屋/弱い結婚 解説=平田俊子 8000円+税
⑤眼/階段のあがりはな 解説=いとうせいこう 6000円+税
⑥ハッピネス/女たち 解説=中村邦生  7000円+税
⑦月光/平安 解説=保坂和志 7000円+税
⑧暮坂/こよなく愛した 解説=千野帽子 8000円+税
★全巻セット定価=60000円+税

【小島信夫の本】
《小島信夫批評集成》
①現代文学の進退 解説=中村邦生 8000円+税
②変幻自在の人間 解説=都甲幸治 10000円+税
③私の作家評伝(全) 解説=千石英世 7000円+税
④私の作家遍歴Ⅰ 解説=保坂和志 6000円+税
⑤私の作家遍歴Ⅱ 解説=宇野邦一 6000円+税
⑥私の作家遍歴Ⅲ 解説=阿部公彦 6000円+税
⑦そんなに沢山のトランクを 解説=堀江敏幸 9000円+税
⑧漱石を読む 解説=千野帽子 8000円+税

小説の楽しみ 1500円+税
書簡文学論 1800円+税
演劇の一場面 2000円+税

未完の小島信夫 中村邦生+千石英世 2500円+税
小島信夫の読んだ本 小島信夫文庫蔵書目録 昭和女子大学図書館編 5000円+税
小島信夫の書き込み本を読む 小島信夫文庫関係資料目録 昭和女子大学図書館編 5000円+税
水声通信②/小島信夫を再読する 1000円+税


 

『ロトチェンコとソヴィエト文化の建設』刊行記念イベント

2015年 2月 10日

河村彩×加藤賢策「ロトチェンコVSリシツキー——デザインの革命家はどっちだ?」


もう絵画はいらない、ソヴィエトにもっと本とポスターを!——20世紀初頭のロシア、革命に熱狂した芸術家たちは絵筆を捨てて社会主義建設のための創造に身を投じた。こうして興隆したのがロシア構成主義です。構成主義は合理的な生活に適した家具や、社会主義の理念を宣伝するためのポスター、インパクトのある装丁など数々のデザインを生み出し、それらは現代でも多くのアーティストやデザイナーのアイディアの源泉となっています。
抽象絵画・デザイン・写真とジャンルを超えてソヴィエト文化の建設=構成(コンストラクション)を試みたロトチェンコと、書籍や展示会場のデザインで空間と人間とのインタラクティヴな関係を模索したリシツキー。『ロトチェンコとソヴィエト文化の建設』の著者でロシア美術研究者の河村彩先生がロトチェンコを、アートディレクターでデザイナーの加藤賢策さんがリシツキーを紹介し、二人の構成主義者を対比させることで、ロシアのデザインの多様な展開と現代へのヒントを探ります。当日は魅力的で貴重な図版も多数紹介します。


河村彩(かわむらあや)
近現代美術、特にロシア・アヴァンギャルドを専門に研究。博士(学術)。東京大学、首都大学東京、早稲田大学等で講師を務める。共著に『ロシア文化の方船――ソ連崩壊から二〇年』(共著、東洋書店、2011年)など。

加藤賢策(かとうけんさく)
アートディレクター/グラフィックデザイナー。株式会社ラボラトリーズ代表。武蔵野美術大学非常勤講師。主な領域はアートや建築、思想などのグラフィックデザイン全般。

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日時:2015年2月13日(金)20:00~22:00(19:30開場)
場所:本屋B&B(世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F)
入場料:1500yen+1drink order
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1月の新刊:骨の山《フィクションの楽しみ》

2014年 12月 29日

œ‚ÌŽRƒJƒo[.indd《フィクションの楽しみ》
アントワーヌ・ヴォロディーヌ


濵野耕一郎訳
四六判上製/185頁/定価2200円+税
978-4-8010-0080-3  C0097  1月10日頃発売予定!
装幀=宗利淳一

SF? 恋愛小説? 《ポスト・エグゾチスム》的ロマンス!

〈オルビーズ〉の精神のもと、夫のジャンとともに<コロニー>のために闘い、収容所に送られることとなったマリア・サマルカンド。革命の希望さえ失われた終末論的世界で、マリアとジャンの紡ぐ、もの悲しくも美しい夢想の書。

《ポスト・エグゾチスム》という新しい文学運動の創始者であり、複数のペンネームで独自の世界観を生み出し続ける奇才による、<監禁学>小説。

【目次】
I マリア
骨の山——《シュルレアリスム的監禁学提要》 マリア・サマルカンド
一 オオハシ/二 カメ/三 コオロギ/四 オーロックス/五 ヨーロッパヤマコウモリ/六 トカゲ/七 結び

Ⅱ ジャン
骨の山——《ポスト・エキゾチスム的監禁学概要》 ジャン・ウラセンコ
一 スウェイン/二 アンデルセン/三 タルハルスキ/四 ホラーサーン /五 ラーセン/六 ウズベク/七 エピローグ
訳者あとがき

【著者/訳者について】
アントワーヌ・ヴォロディーヌ(Antoine Volodine)  1950年、フランスのシャロン゠シュル゠ソーヌに生まれる。大学でフランス文学とロシア語を学び、15年間ロシア語教師として働く。主な著書に『アルト・ソロ』(白水社、1995年)、『無力な天使たち』(国書刊行会、2012年)、メディシス賞を受賞したTerminus radieux(Seuil, 2014)などがある。

濵野耕一郎(はまのこういちろう)  1969年、神奈川県に生まれる。京都大学大学院文学研究科仏語仏文学博士課程単位取得退学。ナンシー第二大学文学部博士課程修了。現在、青山学院大学教授。専攻、フランス文学。主な著書にGeorges Bataille. La perte, le don et l’écriture(Éditions Universitaires de Dijon, 2004)などがある。

***
先日、最新作『 Terminus radieux 』でメディシス賞を受賞したばかりの、『骨の山』著者アントワーヌ・ヴォロディーヌ氏の来日が決定しました! 来日中には講演会など多数行われますので、皆様こぞって足をお運びください!

★2015年1月9日(金) 18:30-20:30
講演「男と女:ポスト・エグゾティズムの現実と幻想の中で」
(仮)
+ 対談 : 「最新作 『 Terminus radieux 』 をめぐって」
アンスティチュ・フランセ東京 エスパス・イマージュ(東京、飯田橋)

入場無料 / 予約不要 フランス語・日本語(同時通訳付)

★2015年1月9日(金)  10:00 – 11:45
文学のワークショップ「言葉と夢の世界」

アンスティチュ・フランセ東京メディアテーク(東京、飯田橋)
2000円(要予約。15名定員)フランス語(通訳なし)

★ 2015年1月13日(火) 午後6時 15分より
朗読と対談 「アントワーヌ・ヴォロディーヌの二つの小説をめぐって――『無力な天使たち』と『骨の山』」
早稲田大学 戸山キャンパス 36号館5階、 581教室
参加自由(予約不要) / 逐次通訳あり

★ 2015年01月15日(木) 午後6時より
朗読と対談 「草の名の一覧表:ポスト—エグゾティスムの作品における植物の主題」
学習院大学 文学部北2号館5階、フランス文学専攻研究室 (570)
参加自由(予約不要) / 使用言語:フランス語

★ 2015年01月16日(金) 午後3時から7時まで
アントワーヌ・ヴォロディーヌの講演 : 「ポスト–エグゾティスム:総括と展望(仮)」
討論 : 「ポスト–エグゾティスム:4つの問い」
発表者: 國分俊宏、三ツ堀広一郎、ティエリ・マレ、ミカエル・フェリエ
東京大学 駒場キャンパス、18号館4階コラボレーションルーム1
参加自由(予約不要) / 逐次通訳あり

 

1月の新刊:作家の聖別

2014年 12月 29日

sakka作家の聖別——フランス・ロマン主義 Ⅰ

ポール・ベニシュー 片岡大右+原大地+辻川慶子+古城毅訳
A5判上製/688頁/定価=8000円+税
ISBN978-4-8010-0028-5 C0098 1月10日頃発売予定!
装幀=西山孝司

フランス・ロマン主義の哲学的歴史

驚くべきこと、ほとんど奇跡とも思えることであるが、最初の羽ばたきのときには時代遅れのものに映ったこの偉大な業績は、時の流れを受けて今、永遠の空を飛翔している。——フランソワ・フュレ(革命史家)

19世紀前半、宗教的権力に代わり、世俗的な聖職者たらんとした詩人、文学者たちの「聖別」の過程を克明に追いながら、いかにして文学が高い精神的職務を担うよう求められるに至ったのかを論じる。フランス・ロマン主義を徹底的に解明する長大評論の第一巻。

〈ベニシューのロマン主義研究は、文学的なものの社会的身分規定を探求する歩みそれ自体を通して、非宗教化された社会生活を律しうる新たな正当化原理の形成という、フランス的近代の全体を貫く――そして私たちの生きる近代それ自体の根本的性格とも関わっているはずの――広範な問題系へと道を開く。〉
「ポール・ベニシューとその時代(1)」より

【目次】
作家の行程―ポール・ベニシューへのインタビュー

作家の聖別

序論

第一章 世俗的聖職を求めて
1 「文人」と新しい信仰
2 〈啓蒙の世紀〉における詩人
3 革命の危機

第二章 神聖詩人

第三章 イリュミニスムと詩―ルイ・クロード・ド・サン=マルタン

第四章 反革命と文学
1 文人の失墜
2 対哲学
3 神聖詩人とキリスト教詩人
4 感性と宗教
5 「キリスト教精髄」あるいは感性的人間の回心
6 反革命の両義性
7 ピエール=シモン・バランシュ
8 詩人の出現―ラマルチーヌの登場

第五章 自由主義派の貢献
1 セナンクール
2 初期ノディエと「瞑想者たち」
3 世俗的スピリチュアリスム―美学
4 ジェルメーヌ・ド・スタールとバンジャマン・コンスタン
5 折衷主義―クザン、ジュフロワ

第六章 神智論者の詩学

第七章 ロマン主義革命
1 王党派ロマン主義
2 『フランス詩神』
3 自由主義的ロマン主義―スタンダール
4 自由主義者と
5 統一ロマン主義、ノディエ、第二セナークル
6 ロマン主義とフランス社会

第八章 偉大な世代の登場
1 アルフレッド・ド・ヴィニー
2 ヴィクトル・ユゴー
3 サント=ブーヴ

第九章 一八三〇年と〈若きフランス〉
1 若きロマン主義とブルジョワジー
2 〈若きフランス〉またはプチ・セナークル
3 ペトリュス・ボレル
4 フィロテ・オネディ
5 ジェラール・ド・ネルヴァル
6 テオフィル・ゴーチエ

巻末の省察


人名索引

ポール・ベニシューとその時代(一) 片岡大右
訳者あとがき

【著者/訳者について】
ポール・ベニシュー(Paul Bénichou)  1908年、トレムセン(アルジェリア)生まれ。2001年パリに没した。ユルム街の高等師範学校(フランス、パリ)に学ぶ。第二次大戦中のアルゼンチン亡命を挟み、戦前・戦後にかけて長くフランスで中等教育に携わった後、1958年にハーヴァード大学(アメリカ合衆国)に招かれて、以後79年までフランス文学およびスペイン口承文学を講じた。1948年の『偉大な世紀のモラル』(朝倉剛・羽賀賢二訳、法政大学出版局、1993)に始まり、1973年の『作家の聖別』(本書)以降、『預言者の時代』(1977)、『ロマン主義の祭司』(1988)、『幻滅の流派』(1992)と書き継がれた四冊の「フランス・ロマン主義の哲学的歴史」を経て1995年の『マラルメに従って』に至る一連の著作は、17世紀以降のフランス文学・思想史を刷新する壮大なパノラマを描き出している。

片岡大右(かたおかだいすけ)  1974年北海道生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科にて博士号取得。現在、同研究科研究員。フランス文学・思想史。著書に『隠遁者、野生人、蛮人――反文明的形象の系譜と近代』(知泉書館、2012)、最近の論文に« Chateaubriand disciple infidèle de Pascal »(RHLF, à paraître en 2015)、共訳書にF・ドゥノール&A・シュワルツ『欧州統合と新自由主義――社会的ヨーロッパの行方』(論創社、2012)などがある。
原大地(はらたいち)  1973年東京都生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科単位取得退学。パリ第四大学にて博士号取得。現在、慶應義塾大学商学部准教授。フランス語・フランス文学。著書にLautréamont : vers l’autre (L’Harmattan, 2006)、『牧神の午後―マラルメを読もう』(慶應義塾大学教養研究センター選書、2011)、『マラルメ 不在の懐胎』(慶應義塾大学出版会、2014)などがある。
辻川慶子(つじかわけいこ)  1973年大阪府生まれ。京都大学大学院文学研究科単位取得退学。パリ第八大学にて博士号取得。現在、白百合女子大学准教授。19世紀フランス文学。著書にNerval et les limbes de l’histoire. Lecture des Illuminés (Genève, Droz, 2008)、共訳書にブリュノ・ヴィアール『100語でわかるロマン主義』(白水社、2012)などがある。
古城毅(こじょうたけし)  1975年東京都生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科にて博士号取得。現在、学習院大学法学部教授。政治学史。主な論文に「商業社会と代表制、多神教とデモクラシー(1)‐(5)」(『国家学会雑誌』第127巻、3・4号‐11・12号、2014)、「フランス革命期の共和政論――コンスタンと、メストル、ネッケル、スタール―」(『国家学会雑誌』第117巻、5・6号、2004)、訳書にブリュノ・ベルナルディ『ジャン=ジャック・ルソーの政治哲学―一般意志・人民主権・共和国』(共訳、勁草書房、2014)などがある。

 

12月の新刊:《フィクションの楽しみ》『古書収集家』

2014年 12月 29日

ŒÃ‘ŽûW‰ÆƒJƒo[.indd《フィクションの楽しみ》
古書収集家

グスタボ・ファベロン=パトリアウ/高野雅司 訳
四六判上製/284頁/定価=2800円+税
978-4-8010-0079-7 C0097 好評発売中!
装幀=宗利淳一

狂気は追いやられても、精神の片隅で計り知れない苦悩と不安の言動に隠れて、そのまま残っているのです。

ジャーナリスト、編集者でもある言語学者が、北米産ミステリーと60年代南米小説の実験精神を融合させた驚異のデビュー作!

『古書収集家』は野心的で複雑な小説だ……読むことを通して作品の創造に加わり、空想にふけり、この小説の豊かで味わい深い文章に秘められた緻密な意味と謎を享受することができる読者は、いつまでも本書を忘れることはないだろう。――マリオ・バルガス=リョサ

【著者について】
グスタボ・ファベロン=パトリアウ   1966年、ペルーのリマに生まれる。作家、文芸批評家、ジャーナリスト。現在、ボードウィン大学准教授。主な著書に、『反乱者――十八世紀スペイン系アメリカにおける先住民の蜂起と新興国家』(Tecnos, 2006)、『アレゴニーに抗して――十九世紀ラテンアメリカ文学における覇権と反体制』(Olms Verlag, 2011)、編書に『すべての血――ペルー政治暴力短編小説集』(Matalamanga, 2006)、『野生のボラーニョ』(Candaya, 2008)などがある。

【訳者について】
高野雅司(たかのまさし)   1976年、埼玉県に生まれる。神戸市外国語大学大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)。現在、神戸市外国語大学非常勤講師。専攻、ラテンアメリカ文学。主な論文に「ルイス・セルヌーダにおける自由の模索――『オクノス』を通して」(『Hispánica』第五十七号、日本イスパニヤ学会、2013年)などがある。

【関連書】
メルラーナ街の混沌たる殺人事件 カルロ・エミーリオ・ガッダ/千種堅訳 3500円+税

 

12月の新刊:『黒沢清と〈断続〉の映画』

2014年 12月 29日

•‘ò´ƒJƒo[.indd黒沢清と〈断続〉の映画

著者=川崎公平
A5判上製/376頁/定価=5000円+税
978-4-8010-0072-8 C0074 好評発売中!

」「」が共存するホラー映画臨界点

観る者の予断を翻弄し続ける特異な作品群によって世界の映画シーンを震撼させてきた奇才・黒沢清。
彼が思考する〈ホラー映画〉、ひいては〈映画〉というメディアそれ自体のリミットはいかにして作品に刻み込まれているのか。
『CURE』以降の6つの作品を解体・再構築しながら、断絶と接続の二重性=〈断続〉というキーワードによって、映画創作の核心に迫る初の本格的黒沢清論。

《黒沢の映画は、切り離されたりつながったりする「関係」を、単に物語内で中心に据えているだけではない。そこでは、それに重なりあうかたちで、映画それ自体における「関係」が思考されている。本書においてその映画自体の「関係」のありようは、「断続」という言葉で表現されることになるだろう――》(本文より)

〔目次〕
序章 二重性の二重化

第一部  〈関係〉の重層――『CURE』をめぐって
第一章 媒介者の肖像
第二章 「断続」をめぐる闘争

第二部 〈非‐人間〉と〈断言〉の未来——ホラーのリミット
第三章 「決定」をやりなおす
第四章 根拠なき分身

第三部  〈過去〉の明滅——出会いの準備
第五章 事後の光
第六章 記憶喪失者のフラッシュバック
終 章 「戦い」をはじめなおすために

註/参考文献/フィルモグラフィ

あとがき

〔著者について〕
川崎公平(かわさきこうへい)  1979年、北海道に生まれる。北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了。現在、北海道大学大学院文学研究科専門研究員、明治学院大学非常勤講師。専攻、映像論、日本映画論。主な著書に、『ナイトメア叢書④ 映画の恐怖』(青弓社、2007年)、『ヴィジュアル・クリティシズム――表象と映画=機械の臨界点』(玉川大学出版部、2008年)などがある。

 

12月の新刊:『アメリカ映画とカラーライン』

2014年 12月 29日

ƒAƒƒŠƒJ‰f‰æƒJƒo[.inddアメリカ映画とカラーライン――映像が侵犯する人種境界線

金澤智
46判上製、232頁、定価2800円+税
978−4−8010−0078−0 C0074 好評発売中!

装幀=宗利淳一

「20世紀の問題とは、カラーラインの問題である。」

いまや人種境界線は可視の要素ではなく、曖昧かつ不安定で不可視なものになりつつある。そのカラーライン(人種/階層)の問題を、『招かれざる客』『ジャキー・ブラウン』『8 Mile』『ビッグ・フィッシュ』などのハリウッド映画を読み解きながら現代社会の深層にさぐる最もアクチュアルなアメリカ文化・映画論。

【目次】
序 カラーライン(ズ)の世紀
Ⅰ パッシング
Ⅱ 異人種間ロマンス
Ⅲ 侵犯行為
Ⅳ 人種パフォーマンスとしてのダンス
Ⅴ 変身物語
Ⅵ 排除と誇張

図版一覧
映画作品名・人名索引

【著者について】
金澤智(かなざわさとし)   1965年、東京都生まれ。早稲田大学大学院文学研究科英文学専攻修士課程修了。専攻、アメリカ文化、比較文化。現在、高崎商科大学商学部教授。主な著書に『アメリカの旅の文学——ワンダーの世界を歩く』(共著、昭和堂、2009)、『ヘンリー・ミラーを読む』(共著、水声社、2008)、『アメリカ文化史入門——植民地時代から現代まで』(共著、昭和堂、2006)、訳書にヘンリー・ミラー『マルーシの巨像』(水声社、2004)などがある。

【関連書】
フィルム・スタディーズ グレアム・ターナー 松田憲次郎訳 2800円
『フリークス』を撮った男 DJ・スカル+E・サヴァダ 遠藤徹ほか訳 2800円
ジーン・セバーグ ギャリー・マッギー 石崎一樹訳 3500円
FBI VS.ジーン・セバーグ JR・ラーソン+G・マッギー 石崎一樹訳 2500円

 

12の新刊《ヘンリー・ミラー・コレクション》『わが生涯の書物』

2014年 12月 29日

miller13ヘンリー・ミラー・コレクション⑬
わが生涯の書物

本田康典+野平宗弘+菅原聖喜+萩埜亮+泉澤みゆき+森田起久子+佐藤亨+河野賢司 訳
四六判上製/576頁/定価=5000円+税
978-4-8010-0002-5 C0398 好評発売中!
装幀者=宗利淳一

ヘンリーのイマジネーションは、世界を、そして地下の迷路をうろつく鬼だ……ヘンリーは人を狂気にする。——アナイス・ニン

ミラーの文学と人生に決定的な影響を与えた書物について、ミラー自身が詳述する。巻末に、1950年にミラー自身が作成した読書目録を掲載。

【訳者について】
本田康典(ほんだやすのり)  一九三八年、熊本市に生まれる。早稲田大学大学院修士課程修了。宮城学院女子大学名誉教授。専攻、二十世紀英米小説。主な著書に、『D・H・ロレンスとヘンリー・ミラー』(北星堂、一九九四年)、『ヘンリー・ミラーを読む』(共編著、水声社、二〇〇八年)、主な訳書に、ヘンリー・ミラー『北回帰線』(水声社、二〇〇四年)、トゥインカ・スィーボード編『回想するヘンリー・ミラー』(共訳、水声社、二〇〇五年)などがある。
野平宗弘(のひらむねひろ)  一九七一年、千葉県に生まれる。東京外国語大学大学院博士課程修了。現在、東京外国語大学大学院講師。専攻、ベトナム文学。主な著書に、『新しい意識 ベトナムの亡命思想家ファム・コン・ティエン』(岩波書店、二〇〇九年)、『ヘンリー・ミラーを読む』(共著、水声社、二〇〇八年)、『バッカナリア 酒と文学の饗宴』(共著、成文社、二〇一二年)などがある。
菅原聖喜(すがわらせいき)  一九四八年、宮城県に生まれる。学習院大学法学部卒業。東北大学大学院法学研究科博士後期課程満期退学。東京理科大学定年退職後、現在、東北大学非常勤講師。専攻、フランス政治史。主な訳書に、ジャン・ルイ・シェフェル『大江健三郎――その肉体と魂の苦悩と再生 哲学的評論』(明窓出版、二〇〇一年)、ヘンリー・ミラー『殺人者を殺せ』(共訳、水声社、二〇〇八年)などがある。
萩埜亮(はぎのりょう)  一九八五年、東京都に生まれる。早稲田大学文学研究科博士後期課程満期退学。現在、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校博士課程に在籍。
泉澤みゆき(いずみさわみゆき)  梅光学院大学大学院博士課程修了。現在、下関市立大学非常勤講師。専攻、アメリカ文学。主な訳書に、トゥインカ・スィーボード編『回想するヘンリー・ミラー』(共訳、水声社、二〇〇五年)などがある。
森田起久子(もりたきくこ)  名古屋市に生まれる。ポートランド州立大学大学院修士課程修了。現在、東京理科大学基礎工学部准教授。専攻、アメリカ文学。主な翻訳に、カトリン・バーチェル「荒木経惟、クレイジー・ヘンリー・ミラー」(『ヘンリー・ミラーを読む』所収、水声社、二〇〇八年)などがある。
佐藤亨(さとうとおる) 一九五八年、一関市に生まれる。明治大学文学部卒業、青山学院大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。現在、青山学院大学経営学部教授。専攻、アイルランド及び現代詩研究。主な著書に、『異邦のふるさと「アイルランド」︱︱国境を越えて』(新評論、二〇〇五年)、『北アイルランドとミューラル』(水声社、二〇一一年)、『北アイルランドのインターフェイス』(水声社、二〇一四年)などがある。
河野賢司(こうのけんじ)  一九五九年、田川市に生まれる。広島大学大学院地域研究研究科修士課程修了。現在、九州産業大学教授。専攻、アイルランド及び北アイルランド演劇研究。主な著書に、『現代アイルランド文学序論――紛争とアイデンティティの演劇』(近代文芸社、一九九五年)、『現代アイルランド文学論叢』(大学教育出版、一九九七年)、『周縁からの挑発――現代アイルランド文学論考』(溪水社、二〇〇一年)などがある。

【関連書】
第一期 ヘンリー・ミラー・コレクション 全10巻 セット定価=34100円+税
第二期 ヘンリー・ミラー・コレクション⑭ 母 小林美智代訳 定価3000円+税
第二期 ヘンリー・ミラー・コレクション⑭ 友だちの本 中村亨/本田康典/鈴木章能訳 定価4000円+税

 

12月の新刊:『モーリス・ブランショ』

2014年 12月 29日

mauriceモーリス・ブランショ――不可視のパートナー

クリストフ・ビダン 上田和彦・岩野卓司・郷原佳以・西山達也・安原伸一朗訳
A5判上製/623頁/定価8000円+税
978-4-8010-0027-8  C0098  好評発売中!
装幀=西山孝司

 

「顔のない作家」の写真を暴露するような伝記ではなく、ブランショの生と作品を批判的な精神を保ちながら丹念に読み、ブランショにおける「自伝的なもの」を炙り出そうとする、モーリス・ブランショ評伝の決定版。

《いまだかつてない爆発〔……〕の起こった世界に属する「最後の人」「ありふれた人」としての彼の生を書くということ。ブランショは絶えずそうしなければならなかった〔……〕エクリチュールから生へ、生からエクリチュールへと向かうこの絶え間ない動きを書くことは、あらゆる伝記において賭けられていなければならないのだが、しかしそれはすぐさま、いかなる伝記の賭け金でもありえなくなる。この動きを、あらゆる想像的なものの外、つまり第三者の場所で、つねに他者の名において担われる注意深さのうちで書かれなければならない》——序より

目次
序/謝辞/Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ/Ⅳ/Ⅴ/Ⅵ/註/モーリス・ブランショ著作目録/人名索引/伝記的なものをめぐる伝記的エッセイ 郷原佳以  /訳者あとがき

著者/訳者についてー
クリストフ・ビダン(Christophe Bident)  一九六二年生まれ。高等師範学校、パリ第七大学大学院博士課程修了。博士(文学)。パリ第七大学助教授を経て、現在、ピカルディー大学教授。主な著書に、『ベルナール=マリー・コルテス、ジェネアロジー』(ファラーゴ社、二〇〇〇)、などがある。

上田和彦(うえだかずひこ)  一九六四年、熊本県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科仏語仏文学博士課程修了。現在、関西学院大学法学部教授。専攻、フランス文学・思想。主な著書に、『レヴィナスとブランショ――〈他者〉を揺るがす中性的なもの』(水声社、二〇〇五)などがある。
岩野卓司(いわのたくじ)  一九五九年、埼玉県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科仏語仏文学博士課程満期修了、パリ第四大学大学院哲学研究科博士課程修了。博士(哲学)。現在、明治大学法学部・教養デザイン研究科教授。専攻、思想史。主な著書に、『ジョルジュ・バタイユ――神秘経験をめぐる思想の限界と新たな可能性』(水声社、二〇一〇)などがある。
郷原佳以(ごうはらかい)  一九七五年、東京都生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得満期退学。パリ第七大学大学院博士課程修了。博士(文学)。現在、関東学院大学准教授。主な著書に、『文学のミニマル・イメージ――モーリス・ブランショ論』(左右社、二〇一一)などがある。
西山達也(にしやまたつや)  一九七六年、神奈川県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得満期退学。ストラスブール大学大学院博士課程修了。博士(哲学)。現在、西南学院大学准教授。主な訳書に、マルティン・ハイデガー、フィリップ・ラクー=ラバルト『貧しさ』(藤原書店、二〇〇七)などがある。
安原伸一朗(やすはらしんいちろう)  一九七二年、石川県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程単位取得満期退学。パリ第八大学大学院博士課程修了。博士(文学)。現在、日本大学商学部准教授。主な訳書に、ジャン・ポーラン『百フランのための殺人犯――三面記事をめぐる対談』(書肆心水、二〇一三)などがある。

 

12月の新刊:《小島信夫短篇集成》③『愛の完結/異郷の道化師』

2014年 12月 29日

kozima3小島信夫短篇集成③
愛の完結/異郷の道化師

編集委員=千石英世・中村邦生
編集協力=柿谷浩一
解説=堀江敏幸
月報=吉増剛造・猪俣和也
A5判上製/600頁/定価8000円+税
ISBN978-4-8010-0063-6 C0393 好評発売中!

装幀=西山孝司

夫婦のあいだだけとはかぎらない揺れ動く男女関係のなかで、愛に似たなにかが萌し、またそれが愛として完結したとすると、じつはもう愛の本質から外れたことになる。小島信夫が初期の作品で追い求めていたのは、愛からはみ出していながら、そのはみだしをふくめた全体が愛と呼ばれうるという構造的な矛盾と柔軟性だった。(堀江敏幸「解説」より)

小島信夫の全短篇を網羅するシリーズ、第3回配本。
人間の生を鋭く穿ちつづける小島の小説世界は、アメリカ滞在での経験、そして夫婦のセックスをめぐる考察を経て、新たな段階へと突入する――
生(性)と死が交錯する謎めいた名篇「愛の完結」、姦通というモチーフを男と女それぞれの視点から探究する「黒い炎」「神のあやまち」、カフカ的戦争小説とも呼ぶべき不条理劇「城壁」などの他、単行本未収録作品「赤い布のついたビン」「清滝寺異変」「ケ・セラ・セラ」「塙善兵衛のこと」「東京の忍術使い」をふくむ、全20篇(1956〜1959)を収録。
*内容見本呈。ご請求ください。

目次

巡視
愛の完結
赤い布のついたビン
清滝寺異変
黒い炎
ケ・セラ・セラ
覗かれる部屋
神のあやまち
教壇日誌
狼藉者のいる家
広い夏
異郷の道化師
贋の群像
アメリカを買う
デイトの仕方
城壁
汚れた土地にて
家と家のあいだ
塙善兵衛のこと
東京の忍術使い

解題 柿谷浩一
完結することのない愛を支える方法 堀江敏幸

【次回配本】
④夫のいない部屋/弱い結婚 解説=平田俊子 予価8000円+税

【小島信夫の本】
《小島信夫批評集成》
①現代文学の進退 解説=中村邦生 8000円+税
②変幻自在の人間 解説=都甲幸治 10000円+税
③私の作家評伝(全) 解説=千石英世 7000円+税
④私の作家遍歴Ⅰ 解説=保坂和志 6000円+税
⑤私の作家遍歴Ⅱ 解説=宇野邦一 6000円+税
⑥私の作家遍歴Ⅲ 解説=阿部公彦 6000円+税
⑦そんなに沢山のトランクを 解説=堀江敏幸 9000円+税
⑧漱石を読む 解説=千野帽子 8000円+税

小説の楽しみ 1500円+税
書簡文学論 1800円+税
演劇の一場面 2000円+税

未完の小島信夫 中村邦生+千石英世 2500円+税
小島信夫の読んだ本 小島信夫文庫蔵書目録 昭和女子大学図書館編 5000円+税
小島信夫の書き込み本を読む 小島信夫文庫関係資料目録 昭和女子大学図書館編 5000円+税
水声通信②/小島信夫を再読する 1000円+税

 

11月の新刊:『うまいガ野菜』

2014年 12月 29日

yasai-A5-cover.inddうまいガ野菜――料理人が教える本当においしい野菜の作り方と食べ方

我田大

A5判並製/95頁オールカラー/定価1200円+税
978-4-8010-0073-5  C2077  絶賛発売中!


とにかくうまい野菜が食べたい! との思いから、見よう見まねで始めた、板前さんのゼロからの野菜作り!

新潟県の南魚沼発、化学肥料ナシ、栄養たっぷり、みてくれが悪くてもOK! の本当においしい野菜をまるごと味わう本!

ワガタには、うまいものを沢山教わった。
ワガタが言うなら、問答無用に何でも食べたい。——南伸坊(イラストレーター)


目次

まえがき/エンドウ/クレソン/二十日大根/チコリ/ケンタッキーワンダー/ヘチマ/ナス/カグラナンバン/冬瓜/ユーゴー(ユウガオ)/カボチャ/キャベツ/ゴマ/ツケナ/ゴボウ/ニンジン/ネギ/オモイノホカ/小豆/椎茸/里芋(ハタイモ)/コシヒカリ
我田大(わがた・ひろし)  一九四七年、新潟県南魚沼郡石打村(現・南魚沼市)生まれ。東京都立大学(社会人類学専攻)在学中から料理の修行をしたり、雑誌『ガロ』周辺の人々と遊ぶ。現在、朝は仕入れ、昼は自宅のある新潟県塩沢町で畑の仕事に汗を流し、夜には六日町で季節料理の店「大(だい)」の主人となる。著書に『野菜がうまい』(筑摩書房、一九九四年)、『畑の料理人』(恒文社、二〇〇二年)がある。

 

 

11月の新刊:『高松次郎を読む』

2014年 12月 29日

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編者 真武真喜子、神山亮子、沢山遼、野田吉郎、森啓輔
執筆者 高島直之、石子順造、刀根康尚、針生一郎、中原佑介、宮川淳、尾野正晴、倉俣史朗、川俣正、ジョセフ・ラヴ、神山亮子、寺山修司、李禹煥、鷹見明彦、藁科英也、菅木志雄、東野芳明、高梨豊、梅津元、たにあらた、宇佐美圭司、真武真喜子、谷藤史彦、神田直子
A5判上製、288頁、定価4000円+税 好評発売中!
978−4−8010−0074−2  C0070
装幀=宗利淳一

〈「問い」を発明、発見すること。解決するのではなく、より直接的、総合的で難解な、そしてしびれるほどに美しい「問い!」そのものの発明や発見にはげむこと……しかし、それは何を意味し、何を強いられることになるだろうか?〉
1960年代後半から日本の「現代美術」を牽引し、40年にわたり制作をつづけた高松次郎。その60年代の「点」「影」「遠近法」のシリーズ、ハイレッド・センターのイベントから90年代の絵画作品までの多彩な活動、思考の全体を見渡す高松次郎作品論集。

【目次】
Ⅰ ハイレッド・センター、直接行動から批評まで
〈不在〉への想像力——「世界拡大計画」をめぐって 高島直之/ハイレッド・センターにみる美術の〈現代〉 石子順造/ハイ・グループあるいは幻影の時代のグループ 刀根康尚/高松次郎の10年 針生一郎
Ⅱ 影をめぐって
幻の影を慕いて……(1) 中原佑介/高松次郎個展 宮川淳/高松次郎論——
存在論的行為者への文学的数学愛好者からの手紙 石子順造/「トリックス・アンド・ヴィジョン 盗まれた眼」展について 尾野正晴/建築工事仮囲いに“異変” 倉俣史朗/アートサーカス(日常からの跳躍)川俣正
Ⅲ 物質と知覚
「高松次郎個展」の問題提起 石子順造/国際大賞—高松次郎《THE STORY》 ジョセフ・ラヴ/1970年代初頭の日本のゼログラフィー・アート――高松次郎を中心に 神山亮子/この七つの文字 寺山修司、高松次郎——表象作業から出会いの世界へ 李禹煥/鍵のかかった窓に射した影——日本の反芸術と高松次郎 鷹見明彦/「もの派」とは何であったか――場所・行為・プロセスをめぐって 高島直之
Ⅳ 実在から関係へ
知覚の統御 中原佑介/高松次郎における1970年代——立体造形の展開について 藁科英也/高松次郎〈拡大する断片〉 菅木志雄/70年代の「陰翳礼讃」 高松次郎=「光と影」 東野芳明/地続きでない風景 高梨豊/「写真の写真」を見ること 梅津元
Ⅴ 絵画へ
面における秩序の感覚——高松次郎の平面作品 たにあらた/平面上の空間——高松次郎「平面上の空間」より 宇佐美圭司/「単体」から読む「平面上の空間」 真武真喜子/身体のエクリチュール 谷藤史彦/高松次郎の「形」をめぐって 神田直子

解題
主要参考文献
「世界拡大計画」のための問い――あとがきに代えて 真武真喜子+神山亮子

【編者について】
真武真喜子(またけまきこ)   1951年生まれ。同志社大学文学部美学芸術学専攻卒業。2003年3月まで北九州市立美術館学芸員。国際芸術センター青森学芸員を経て、2010年から、インディペンデント・キュレーター。2003年、高松次郎『世界拡大計画』『不在への問い』を共同編集。2004年、府中市美術館、北九州市美術館開催の「高松次郎―思考の宇宙」展に企画協力した。
神山亮子(かみやまりょうこ)  1971年生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科修士課程修了。専攻、戦後日本の美術史。開設準備室を経て、2000年から府中市美術館学芸員。「高松次郎―思考の宇宙」展を企画担当。主な論文に「可能性のドローイング」(『高松次郎 All Drawings』 大和プレス、2009年)がある。

沢山遼(さわやまりょう)  1982年生まれ。武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程修了。専攻、美術批評。主な論文に、「繋辞なき反復――高松次郎の非―命題」(『Jiro Takamatsu Critical Archive vol.1』ユミコチバアソシエイツ、2012年)がある。
野田吉郎(のだよしろう)  1981年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻博士課程満期退学。専攻、表象文化論、美術批評。現在、東京文化財研究所研究補佐員。
森啓輔(もりけいすけ)  1978年生まれ。武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程修了。専攻、日本近現代美術、美術批評。現在、ヴァンジ彫刻庭園美術館学芸員。主な論文に、「高松次郎『単体』と『複合体』の間──境界に揺らぐ波」(『Jiro Takamatsu Critical Archive vol.4』ユミコチバアソシエイツ、2012年)がある。

【関連書】
世界拡大計画 高松次郎 4000円+税
不在への問い 高松次郎 4500円+税
高松次郎 言葉ともの――日本の現代美術1961−72 光田由里 3000円+税

【関連展覧会】
高松次郎ミステリーズ  東京国立近代美術館 2014/12/2—2015/3/1  開催中
高松次郎 制作の軌跡  国立国際美術館 2015/4/7—7/5 開催予定