11月の新刊:《小島信夫短篇集成》②『アメリカン・スクール/無限後退』

2014年 12月 29日

kozima2小島信夫短篇集成②
アメリカン・スクール/無限後退


編集委員=千石英世・中村邦生
編集協力=柿谷浩一
解説=芳川泰久
月報=伊藤氏貴・松本潤一郎・猪俣和也
A5判上製/608頁/定価8000円+税 好評発売中!
ISBN978-4-8010-0062-9 C0393
装幀=西山孝司

関係性としての建築に、構造を生み出してゆく建築に、いわば関係しながら成長してゆく要素を、当の建築に住まわせてゆくのがこの時期の小島信夫の発明である。そしてその要素とは、女である。小島信夫は、いわば建築物の真の主体としての女を、この時期に見いだしている。(芳川泰久「解説」より)

小島信夫の全短篇を網羅するシリーズ、第2回配本。
終戦後の日米関係を鋭く諷刺する芥川賞受賞作「アメリカン・スクール」以後、小島文学はどのような変遷をたどるのか?
最晩年にいたるまで脳裏を離れなかった〈信仰〉の問題を先取りする「神」、冥界を思わせる空間を舞台に繰り広げられる珍妙な追走劇「鬼」、カフカ的な戦争小説(?)「無限後退」などに加え、単行本未収録であった「ツムジ風」「雪の降る夜」「浮浪女ビクトリア」「滝壺とメーデー」「勝手な人」「宿り木」をふくむ26篇(19541956)を収録。
*内容見本呈。ご請求ください。
【目次】
アメリカン・スクール





R宣伝社
花と魚
憂い顔の騎士たち
温泉博士

チャペルのある学校
カメラ遭難せず
ツムジ風

ある掃除夫の観察
離れられぬ一隊
雪の降る夜
浮浪女ビクトリア
遅れる男
受験シーズン
滝壺先生とメーデー
勝手な人
草ぼうきの唄
無限後退
宿り木
 

解題 柿谷浩一
建築と女 芳川泰久
 

 

【次回配本】
③愛の完結/異郷の道化師 解説=堀江敏幸 予価8000円+税

 

【小島信夫の本】
《小島信夫批評集成》
①現代文学の進退 解説=中村邦生 8000円+税
②変幻自在の人間 解説=都甲幸治 10000円+税
③私の作家評伝(全) 解説=千石英世 7000円+税
④私の作家遍歴Ⅰ 解説=保坂和志 6000円+税
⑤私の作家遍歴Ⅱ 解説=宇野邦一 6000円+税
⑥私の作家遍歴Ⅲ 解説=阿部公彦 6000円+税
⑦そんなに沢山のトランクを 解説=堀江敏幸 9000円+税
⑧漱石を読む 解説=千野帽子 8000円+税

小説の楽しみ 1500円+税
書簡文学論 1800円+税
演劇の一場面 2000円+税

未完の小島信夫 中村邦生+千石英世 2500円+税
小島信夫の読んだ本 小島信夫文庫蔵書目録 昭和女子大学図書館編 5000円+税
小島信夫の書き込み本を読む 小島信夫文庫関係資料目録 昭和女子大学図書館編 5000円+税
水声通信②/小島信夫を再読する 1000円+税

 

11月の新刊:《批評の小径》『みどりの国 滞在日記』

2014年 12月 29日

‚Ý‚Ç‚è‚̍‘ƒJƒo[.indd《批評の小径》
みどりの国 滞在日記


著者=エリック・ファーユ
訳者=三野博司
四六判上製/200頁/定価=2500円+税
978-4-8010-0077-3 C0097 好評発売中!
装幀=宗利淳一

フランス版『枕草子』ここにあり!

注目のフランス人作家が,南は屋久島から北は宗谷岬まで,その眼と耳と肌で日本各地を味わいながら,所々に隠れた異国の神秘に触れてうつろう内面を,率直に綴った美しい〈日記〉。著者への最新インタビューも収録。

【目次】
8月 驟雨のあとに煙る藁屋根
9月 台風の日の獅子舞
10月 不気味の谷を歩く
11月 琉球王国にて
12月 雪が果てしなく
エリック・ファーユ,日本を語る
訳者あとがき

【著者/編訳者】
エリック・ファーユ(Éric Faye)  1963年、リモージュ(フランス)に生まれる。エコール・シュペリユール・ド・ジュルナリスム(リール)に学ぶ。ロイター通信の記者として勤務しながら、1990年より創作活動に入る。主な著書に、『雨の海クルーズ』(Croisière en mer des pluies, 1999),『痕跡のない男』(L’Homme sans empreintes, 2008)、『長崎』(Nagasaki, 2010. 邦訳,水声社,2013年)、『不滅になって,そして死ぬ』(Devenir immortal, et puis mourir, 2012)などがある。



三野博(みのひろし)  1949年,京都市に生まれる。クレルモン=フェラン大学大学院博士課程修了。現在,奈良女子大学文学部教授。専攻,フランス文学。主な著者に,Le Silence dans l’œuvre d’Albert Camus, José Corti, 1987,『カミュ,沈黙の誘惑』(2003年),『増補改訂版 カミュ「異邦人」を読む』(2013年,いずれも彩流社),『「星の王子さま」で学ぶフランス語文法』(2007年),『「星の王子さま」事典』(2010年,いずれも大修館書店)などがある。

【エリック・ファーユの本】
『長崎』松田浩則訳/1800円+税
『わたしは灯台守』松田浩則訳/2500円+税

 

11月の新刊:『ロトチェンコとソヴィエト文化の建設』

2014年 12月 29日

_kawamura_book_cover03ロトチェンコとソヴィエト文化の建設
河村彩

A5判上製/376頁+別丁図版8頁/定価=6000円+税 好評発売中!
ISBN 978−4−8010−0076−6 C0070
装幀者: 宮村ヤスヲ

革命期ソヴィエト,ロトチェンコが夢見たものは――

抽象絵画・デザイン・写真などの視覚表現を刷新したロトチェンコ。これまでの研究書では取り上げられなかった抽象絵画やフォト・ルポルタージュなどを分析し,同時代の芸術家や批評家の理論および実践との関係をたどる。アートを超えた,社会主義社会の生活文化の創造があきらかになる。

【目次】
はじめに

第一部 絵画からコンストラクションへ
第一章 システムとしての絵画
第二章 コンストラクション

第二部 デザイン――生活建設
第三章 生産主義理論
第四章 事物は同志――家具のデザイン
第五章 意味と造形の組織化

第三部 写真――社会主義の視覚的言語
第六章 視覚の革命
第七章 ドキュメンタリーと集団制作
第八章 『建設のソ連邦』

おわりに

【著者紹介】
河村彩(かわむらあや) 1979年,東京都に生まれる。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。専攻はロシアおよびソヴィエトを中心とする近現代美術,表象文化論。現在,日本学術振興会特別研究員。主な著書に,『ロシア文化の方舟――ソ連崩壊から二〇年』(共著,東洋書店,2011年)などがある。

【関連書】
ロシア・アヴァンギャルドの世紀――構成×事実×記録 江村公 4000円+税
危機の時代のポリフォニー――ベンヤミン,バフチン,メイエルホリド 桑野隆 3000円+税
全体主義芸術 イーゴリ・ゴロムシトク/貝澤哉訳 7000円+税
ボリシェヴィズムと〈新しい人間〉――20世紀ロシアの宇宙進化論 佐藤正則 3500円+税
最後の絵画 ニコライ・タラブーキン/江村公訳 3000円+税
零の形態――スプレマチズム芸術論集 カジミール・マレーヴィチ/宇佐見多佳子訳 4000円+税

 

11月の新刊:『イヴ・タンギー』

2014年 12月 29日

Œ©–{ƒCƒE?ƒV?ƒƒƒP“üeイヴ・タンギー――アーチの増殖

長尾天
A5判上製/336頁(+別丁図版8頁)/定価=5000円+税
ISBN978−4−8010−0075−9 C0071 好評発売中!
装幀者=齋藤久美子

シュルレアリスムの極限へ。

我々をたえず読解へと誘いながらも、けっして語りえない領域を指し示すに留まるイヴ・タンギーのイメージ。デ・キリコの形而上絵画,シュルレアリスムの方法論,心霊学との構造的類似,バイオモーフィズムの潮流,エスと集合的無意識,そして2番目のパートナーであるケイ・セージ……タンギーを取り巻く様々なコンテクストを通して,〈語りえないイメージ〉の構造を説き明かす。

【目次】
序論 アーチの増殖
第1章 生涯,作品,先行研究
第2章 イメージの領域
第3章 デ・キリコの無意味
第4章 無用な記号の消滅
第5章 未知の物体
第6章 生命形態的
第7章 タンギーの星
第8章 セージの答え
結論

【著者】
長尾天(ながおたかし)  1980年、東京都に生まれる。早稲田大学大学院文学研究科芸術学(美術史)専攻博士課程修了。専攻は,20世紀美術史,イメージ論。主な論文に,「イメージの領域――シュルレアリスムにおけるイヴ・タンギーの特殊性」(『美学』第223号,美学会,2005年),「未知の物体――イヴ・タンギーとエクトプラズム」(『早稲田大学大学院文学研究科紀要』第53輯3分冊,2007年),「アーチの増殖」(『水声通信』23号,水声社,2008年)などがある。

 

10月の新刊:『オペラのメデイア』

2014年 12月 29日

coverオペラのメデイア

著者=梅野りんこ
5判上製/312頁/定価=4500円+税
978-4-8010-0056-8 C 0073 好評発売中!
装幀=川崎三木男+関和美

魔女メデイアとは何者か?

ルイ14世の威光を称えるべく,17世紀に誕生したフランス・オペラ。そこに幾度となく登場する魔女メデイアは,父を裏切り,子を殺し,夫を懲罰し続ける……近代ヨーロッパに底流するミソジニー(女性嫌悪)の一端を,オペラの台本を通して浮き彫りにする。


【目次】

序章 研究の背景
第1章 オペラの歴史と絶対王政
第2章 オペラ『テゼ』
第3章 オペラ『メデ』
第4章 オペラ『ジャゾンまたは金羊毛』
第5章 オペラ『メデとジャゾン』
第6章 比較と考察
終章 メデ表象の意味

【著者】
梅野りんこ(うめのりんこ)  1947年,福岡県に生まれる。1971年,東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。2012年,横浜国立大学環境情報学府博士課程後期修了。学術博士。元横浜市会議員(1995‐2003年)。専攻,オペラ史,ジェンダー史,近代ヨーロッパ史。主な論文に「17世紀フランス・オペラとその社会――リュリの”テゼ”とシャルパンティエの”メデ”から見た近代ヨーロッパ」(『技術マネジメント研究』第8号,2009年)、訳書に,J・ピルチャー,I・ウィラハン『キーコンセプト ジェンダー・スタディーズ』(共訳,新曜社,2009年)などがある。

【関連書】
オペラティック ミシェル・レリス/大原宣久・三枝大修訳 3000

 

10月の新刊:《サド全集》『フランス王妃イザベル・ド・バヴィエール秘史 他』

2014年 12月 29日

ƒTƒg?11-ƒnƒR-“üeサド全集第11巻
フランス王妃イザベル・ド・バヴィエール秘史 他

著者=ドナシアン・アルフォンス・フランソワ・ド・サド
訳者=原好男・中川誠一
A5判上製函入/480頁(+別丁図版4頁)/定価=7000円+税
978-4-89176-881-2 C0397 好評発売中!
装幀=中山銀士

歴史を操る女たちの競演!

14―15世紀,シャルル6世治下におけるフランス王妃イザベルの恐るべき策略の数々。11世紀,ザクセン大公妃アーデルハイトをめぐる愛と陰謀のアラベスク。サド晩年の想像力が飛翔する,悪徳と美徳に彩られた凄絶な歴史絵巻。

【目次】
フランス王妃イザベル・ド・バヴィエール秘史
ザクセン大公妃アーデルハイト・フォン・ブラウンシュヴァイク 11世紀の事件
解説

【訳者】
原好男(はらよしお)  1940年,大分県日出市に生まれる。東京大学大学院博士課程中退。立教大学名誉教授。専攻,18世紀フランス文学。主な著書に、『ルソー 著作と思想』(共著,有斐閣,1979年),『パリ,歴史の風景』(共著,山川出版社,1997年),主な訳書に,カッシーラー『18世紀の精神』(思索社,1989年),サド『アリーヌとヴァルクールあるいは哲学的物語』(水声社,1998年)などがある。
中川誠一(なかがわせいいち)  1951年,東京に生まれる。武蔵大学人文学部卒業後,武蔵大学大学院修士課程修了,筑波大学博士課程中退。現在,武蔵大学,千葉大学,国学院大学,二松学舎大学で非常勤講師を勤める。専攻,フランス文学。主な論文に「シャトーブリアンにおける風景」などがある。

【サド全集 既刊書】
第6巻 恋の罪,壮烈悲惨物語 私市保彦・橋本到訳/8000円+税
第8巻 アリーヌとヴァルクールあるいは哲学的物語(上) 原好男訳/4500円+税
第9巻 アリーヌとヴァルクールあるいは哲学的物語(下) 原好男訳/5500円+税
第10巻 ガンジュ公爵夫人 橋本到訳/3500円+税

 

10月の新刊:《批評の小径》『オペラティック』

2014年 12月 29日

opera《批評の小径》
オペラティック


ミシェル・レリス 大原宣久・三枝大修訳
四六判上製/265頁/定価3000円+税
978-4-8010-0060-5  C0098  好評発売中!
装幀=宗利淳一

レリス美学の精髄!

作家/民族学者/美術批評家/闘牛愛好家などさまざまな顔をもつレリス。
レリスはオペラに何を見て、何を得たのか? 幼少期からオペラに親しみ、深い影響を受けてきた作家の未発表草稿をまとめた、異色のオペラ論。

《私がオペラに見出すものは、祝祭的な雰囲気のなかで味わう、純粋に美的な楽しみだ。つまり、まぎれもない、愛好家としての楽しみである。
まじりっけのないこうした楽しみ(哲学的、道徳的な省察とはまったく関係なしに、ただ美しさだけを堪能すること)をオペラに期待してしまう》——本文より


ミシェル・レリス(Michel Leiris)  一九〇一年、パリに生まれ、一九九〇年、サン=ティレールに没した。作家、民族学者。シュルレアリスム運動に参加したのち、脱退。全四巻の自伝的作品『ゲームの規則』や、『幻のアフリカ』など、多数の作品を残した。
大原宣久(おおはらのりひさ)  一九七七年、東京都生まれ。東京大学大学院博士課程修了。東京大学助教(フランス現代文学)。
三枝大修(さいぐさひろのぶ)  一九七九年、千葉県生まれ。ナント大学博士課程修了。成城大学経済学部専任講師(フランス近代詩)。

 

10月の新刊: 《小島信夫短篇集成》⑧『暮坂/こよなく愛した』

2014年 12月 29日

kozima8小島信夫短篇集成⑧
暮坂/こよなく愛した


編集委員=千石英世・中村邦生
編集協力=柿谷浩一
解説=千野帽子
月報=岡田啓・千葉一幹・生野毅
A5判上製/608頁/定価8000円+税 好評発売中!

ISBN978-4-8010-0068-1 C0393

装幀=西山孝司
 

ここにあるのは、つんと済ました壺のような(ふりをした)小説ではない。これを読むと、小説というものが読者から自律した作品であるとはかぎらないということ、そして小説というものが読者に向けて、読者の目を見て、読者にも自分の目を見せて、堂々と発せられた言葉でありうるということがわかる。小説はコミュニケーションなのだ。なんて自由なんだ。(千野帽子「解説」より)

 

小島信夫のすべての短篇小説を網羅するシリーズ、第1回配本(1巻・8巻同時配本)。
家族とは、信仰とは、記憶とは、そして〈書くこと〉とは何なのか……?
大正、昭和、平成を生きた小説家の最晩年、創作と現実のあわいを揺蕩いながら綴られた、文学の新しい地平を指し示す異色の短篇群。
単行本未収録であった「ニンゲンの顔」「出雲の神々」「KK氏の手ぶり」「庭の紅葉」をふくむ27篇を収める(19902004)。
*内容見本呈。ご請求ください。
 

目次
 

それはハッピーなことですわ
羽衣
殺祖
ニンゲンの顔
自娯
鴛鴦
蓬萊
出雲の神々
聖骨
暮坂
天南星
路上
野晒
その一週間
「厳島詣」
K・K氏の手ぶり
備前兼光

こよなく愛した
養老
庭の紅葉
ある話
すべて倒れんとする者
青ミドロ
ラヴ・レター
記憶
小さな講演のあと
 

解題 柿谷浩一
文学と〈うさんくさい〉ものとの間で 千野帽子
 

 

【第1回同時配本】
①小銃/馬 解説=千石英世 8000円+税

【次回配本】
②アメリカン・スクール/無限後退 解説=芳川泰久 8000円+税
 

【小島信夫の本】
《小島信夫批評集成》
①現代文学の進退 解説=中村邦生 8000円+税
②変幻自在の人間 解説=都甲幸治 10000円+税
③私の作家評伝(全) 解説=千石英世 7000円+税
④私の作家遍歴Ⅰ 解説=保坂和志 6000円+税
⑤私の作家遍歴Ⅱ 解説=宇野邦一 6000円+税
⑥私の作家遍歴Ⅲ 解説=阿部公彦 6000円+税
⑦そんなに沢山のトランクを 解説=堀江敏幸 9000円+税
⑧漱石を読む 解説=千野帽子 8000円+税

小説の楽しみ 1500円+税
書簡文学論 1800円+税
演劇の一場面 2000円+税

未完の小島信夫 中村邦生+千石英世 2500円+税
小島信夫の読んだ本 小島信夫文庫蔵書目録 昭和女子大学図書館編 5000円+税
小島信夫の書き込み本を読む 小島信夫文庫関係資料目録 昭和女子大学図書館編 5000円+税
水声通信②/小島信夫を再読する 1000円+税
 

 

10月の新刊: 《小島信夫短篇集成》①『小銃/馬』

2014年 12月 29日

小島短篁E›†æˆE小島信夫短篇集成①
小銃/馬


編集委員=千石英世・中村邦生
編集協力=柿谷浩一
解説=千石英世
月報=近藤耕人・青木健・松本和也
A5判上製/608頁/定価8000円+税 好評発売中!
ISBN978-4-8010-0061-2 C0393
装幀=西山孝司

小島信夫において小説の創作は生命の倫理であったのだ。創造すること以外に、いかにすれば、生きるにあたいする生命を生きることができるのか。「おお太陽が輝く」。それが小島信夫における創造の倫理であった。「血みどろになってうなるかの如く廻転しながら永遠に鋭い光線を放射している」もの、それが創造だった。それが生きようとすることだった。(千石英世「解説」より)

著者生誕100年記念!
小島信夫のすべての短篇小説を網羅するシリーズ、第1回配本(1巻・8巻同時配本)。
今まで単行本化されることのなかった、中学時代の作「太陽が輝く」および同人誌『崖』に掲載の「男と女と神様の話」をふくむ、小島信夫の少年期から壮年期までの27篇(1927〜1954)を収録。
みずみずしい初期の作品群から、「小銃」「吃音学院」「微笑」などの代表作、著者随一の怪作「馬」までを収め、〈小説家=小島信夫〉の誕生と成長の過程をたどる。
*内容見本呈。ご請求ください。

目次

太陽が輝く
春の日曜の一日
彼の思い出を盗んで
裸木

鉄道事務所
死ぬと云うことは偉大なことなので
往還
公園
男と女と神様の話
よみがえる
汽車の中
佐野先生感傷日記
卒業式
ふぐりと原子ピストル
燕京大学部隊
小銃
大地
雨の山
吃音学院
丹心寮教員宿舎

殉教
城砦の人
微笑
護送者


解題 柿谷浩一
作家の初期作品という場合 千石英世

【第1回同時配本】
⑧暮坂/こよなく愛した 解説=千野帽子 8000円+税
【次回配本】
②アメリカン・スクール/無限後退 解説=芳川泰久 8000円+税

【小島信夫の本】
《小島信夫批評集成》
①現代文学の進退 解説=中村邦生 8000円+税
②変幻自在の人間 解説=都甲幸治 10000円+税
③私の作家評伝(全) 解説=千石英世 7000円+税
④私の作家遍歴Ⅰ 解説=保坂和志 6000円+税
⑤私の作家遍歴Ⅱ 解説=宇野邦一 6000円+税
⑥私の作家遍歴Ⅲ 解説=阿部公彦 6000円+税
⑦そんなに沢山のトランクを 解説=堀江敏幸 9000円+税
⑧漱石を読む 解説=千野帽子 8000円+税

小説の楽しみ 1500円+税
書簡文学論 1800円+税
演劇の一場面 2000円+税

未完の小島信夫 中村邦生+千石英世 2500円+税
小島信夫の読んだ本 小島信夫文庫蔵書目録 昭和女子大学図書館編 5000円+税
小島信夫の書き込み本を読む 小島信夫文庫関係資料目録 昭和女子大学図書館編 5000円+税
水声通信②/小島信夫を再読する 1000円+税

 

受賞報告:パトリック・モディアノ

2014年 10月 22日

パトリック・モディアノ氏にノーベル文学賞

スウェーデン・アカデミーは今月9日、2014年のノーベル文学賞をフランス人作家のパトリック・モディアノ氏に授与することを発表しました。受賞理由は「記憶を扱う芸術的手法によって、最もつかみがたい種類の人間の運命について思い起こさせ、占領下の生活、世界観を掘り起こした」としています。
また、小社で刊行している以下の翻訳作品は10月25日頃に増刷が出来あがる予定です。

『八月の日曜日』(堀江敏幸訳) 2200円
『家族手帳』(安永愛訳) 2500円

 

8月の日曜日・カバーoutline-[更新済み]
八月の日曜日

著者=パトリック・モディアノ
訳者=堀江敏幸
4/6判上製/228頁/定価=2200円+税
978-4-89176-475-9 C0097 好評発売中

ニースの青い空、白い建物、棕櫚の木々。舗道に映る〈私たち〉の影、そしてあの男――。巨大なダイヤモンド《南十字星》をめぐり繰り広げられる孤独な男女の逃避行。フランスで最も人気の高い小説家によるミステリアスな恋愛小説。

 

e5aeb6e6978fe6898be5b8b3efbc9de382abe38390e383bc1家族手帳

著者=パトリック・モディアノ
訳者=安永愛
4/6判上製/240頁/定価=2500円+税
978-4-89176-930-7 C0097 好評発売中

父になったばかりのパトリックは、娘の出生が記録された「家族手帳」を手にする。
しかし、彼は自分がどこで生まれたのか、父母が何という名前だったのか、知らないのだった……。
残された両親の断片的記憶を手がかりに、失われた“自分の出生”を事実と想像を織り交ぜて物語化する鮮烈な自伝小説。

 

*   また、ユーモアで笑わせた後、なるほどと考えさせられる研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」の今年の受賞者は北里大学の馬渕清資教授ら4人で、「バナナの皮がやっぱり滑る」ことを科学的に証明しました。小社では、「バナナの皮で滑るギャグ」をマンガ・映画・文学・TV番組などのメディアを通して分析した『バナナの皮はなぜすべるのか?』(黒木夏美)を刊行しておりますので、こちらもぜひお読みください。

banana_cover『バナナの皮はなぜすべるのか?』

著者=黒木夏美
A5判並製/256頁/定価=2000円+税
978-4-89176-777-8 C0095 好評発売中

 

《小島信夫短篇集成》(全8巻)刊行開始!

2014年 10月 22日

人間の生への深い洞察と、独特の浮遊感を孕んだ文体によって古今に類例を見ない実験的な作品世界を創造し、日本の現代文学に新風を吹き込んだ小説家、小島信夫(1915〜2006)。
このたび、生誕100周年を前にし、著者が生涯にわたって書き継いだ全短篇を網羅する、《小島信夫短篇集成》(全8巻)の刊行がはじまります。
〈生きること〉の不可思議を鋭く穿つ初期の代表作から、〈書くこと〉とは何かを問いかけて止まない晩年の作品群、さらには長らく入手困難であった作品や単行本未収録作品もふくめた、170篇以上を一挙に集成しました。
〈文学〉の限界へと果敢に挑み続けた小島信夫の短篇世界が、ようやく全貌をあらわします。

【刊行にあたって】
小島信夫の短篇世界は走る世界だ。人物たちも作中を小走りに走っていることが多いが、文章も走っている。囚われないということを求めているのである。新しい感覚、新しい世界感覚を求めている。新鮮さを実現しようとしているのである。世界の風を全身で感じ取ろうとする。それには走ることだ。その結果、小島信夫の短篇は、美しく華麗な文章でつづられる珠玉の短篇となることを避ける。美しく華麗であることがミジメに見えるからである。世界は動いているのだ。人のこころは揺れながら走っている。そのなかで美しく華麗であることは、もう動かない、もう走らないとうなだれることを意味する。
わが国の戦後小説に、風刺と寓話の深淵を開示した作家、喜劇の予定調和を破って笑劇の実存世界を開示した作家、大正に生まれ、昭和を走り抜け、平成をジョグした小島信夫の短篇世界全域を全8巻にまとめた《小島信夫短篇集成》の出現である。

《小島信夫短篇集成》(全8巻)
編集委員=千石英世・中村邦生/編集協力=柿谷浩一

①小銃/馬(解説=千石英世、8000円+税)★第1回配本(10月27日発売)
②アメリカン・スクール/無限後退(解説=芳川泰久)★第2回配本(11月下旬発売)
③愛の完結/異郷の道化師(解説=堀江敏幸)★第3回配本(12月中旬発売)
④夫のいない部屋/弱い結婚(解説=平田俊子)
⑤眼/階段のあがりはな(解説=いとうせいこう)
⑥ハッピネス/女たち(解説=中村邦生)
⑦月光/平安(解説=保坂和志)
⑧暮坂/こよなく愛した(解説=千野帽子、8000円+税)★第1回配本(10月27日発売)

*A5判上製9ポ1段組み
*各巻300〜600頁程度
*予価5000〜8000円(+税)程度
*第1回配本は2冊同時発売。以後、毎月1冊刊行。2015年4月に全巻完結予定。
*内容見本を用意しております。ご請求ください。

 

10月の新刊:『気配、その美』

2014年 10月 22日

kehai_cover2-1『気配、その美』

著者=千種さつき
A5判並製/224頁/定価=2800円+税
ISBN 978-4-8010-0071-1 C0076 好評発売中!

Creativity of Tea, Now!

ニューヨーク、パリ、ローマ、東京…… 世界各地で友情の〈花〉が開く。Tea-activist SATSUKI のピュアな魂が放つ〈美〉の茶会のすべて。
《茶会の日が決まると、そこへ向けて一気に集中力が増す。頭の中にいろんな実験道具が並べられ、使い方を調べ、調合し、その日を待つ。釜、茶碗、水差などの茶道具、軸、花などの取り合わせをはじめ、季節に合わせた、抹茶。それを引き立てる水、茶会を象徴する菓子、かすかな匂い、人の動作、時には空気を揺らす音、それが闊達な作用をそれぞれに及ぼす時、茶会に場の神が降りてくる。と、それは美の気配が立ち上がる瞬間なのである。》(「まえがき」より)

【目次】
まえがき

《時》をくみあげる茶会
一、 湧き上がる湯……ニューヨーク「温泉茶会」
二、 平安朝の茶会を夢見て……五島美術館「墨林茶会」
三、 中秋の月の光にアフリカの精霊が……東京日仏学院「ワフリカ茶会」
四、 宙点前と「地獄の首都」……セゾン現代美術館「遭遇の茶会」
五、 危機のなかの春……ローマ市主催「3.11義援金募集茶会」
六、 立ち上がる肉体……セゾン現代美術館「青の茶会」
七、 言葉そして鏡……放心庵「坂部先生を送る茶会」

茶会へいざなう《物》

スーツケース……道具は海を越えていく
袖……長いたもとにひそむ謎
足袋……野生を隠す足元の白
菓子……甘い魔力を引きよせる
茶箱……脱皮する茶道具

座談会――晩秋の軽井沢で〈茶〉を語る

跋――「気配の美」 小林康夫

謝辞

【著者】
千種さつき(ちぐささつき)  1953年、福岡県に生まれる。お茶の水女子大学卒業。お茶は、裏千家、櫻井宗養・宗幸先生に師事。お茶の伝統の中にひそむ「気配の美」を求めて、世界各地で実験的な茶会を開催している。

 

9月の新刊:《叢書記号学的実践》『物語における時間と話法の比較詩学』

2014年 10月 22日

物語における書影『物語における時間と話法の比較詩学―― 日本語と中国語からのナラトロジー』

橋本陽介
A5判上製/518頁/定価=7000円+税
ISBN978−4−8010−0057−5 C0098 好評発売中!
装幀者:中山銀士

これまでの物語論の議論を振り返りながら,テクスト言語学的な見地にもとづき個別言語における物語の言語使用を比較・分析しつつ、現行の物語論を日本語と中国語の立場から更新する。ナラトロジーの新しい地平を拓く気鋭の著者の野心作。

【目次】
序論 物語の比較詩学とは何か
第1章 物語論の術語の再検討から比較詩学へ
第2章 語りの位置と物語における時間
第3章 語りの位置と話法
結論 本書の提出する一般理論への課題

【著者】
橋本陽介(はしもとようすけ) 1982年、埼玉県に生まれる。慶應義塾大学大学院文学研究科中国文学専攻博士課程単位取得。博士(文学)。専攻、中国語を中心とした文体論、比較詩学。現在、慶應義塾大学非常勤講師(中国語)。主な著書に、『7カ国語をモノにした人の勉強法』(祥伝社、2013)、『ナラトロジー入門――プロップからジュネットまでの物語論』(水声社、2014)などがある。

【関連書】
ナラトロジー入門――プロップからジュネットまでの物語論 橋本陽介 2800円+税
フィクションの修辞学 W・C・ブース/米本弘一・服部典之・渡辺克昭訳 7000円+税
昔話の形態学 ウラジーミル・プロップ/北岡誠司+福田美智代訳 5500円+税
物語のディスクール G・ジュネット/花輪光・和泉涼一訳 5000円+税
物語の詩学――続・物語のディスクール G・ジュネット/和泉涼一・青柳悦子訳 3000円+税
フィギュールⅢ G・ジュネット/花輪光監訳 3500円+税
小説と映画の修辞学 シーモア・チャトマン/田中秀人訳 5000円+税

 

9月の新刊:『経験と出来事』

2014年 10月 22日

経験と出来事カバー『経験と出来事―― メルロ=ポンティとドゥルーズにおける身体の哲学』

小林徹
A5判上製/405頁/定価=6000円+税
ISBN978−4−8010−0069−8 C0098 好評発売中!
装幀者:atelier fusain

揺れ動く〈身体〉――

「経験」に根差したメルロ=ポンティの思考と,絶えず「出来事」へと滑り込んでいくドゥルーズの思考とを往還しながら,現代における〈身体〉の在り処を指し示す。《「私」とは、実は、無数の他者を含んで変奏され続ける意識のメロディーなのではないだろうか。「世界」とは、実は何よりもまず、絶えずおのれを刷新し、新しいものを無限に生み出していくような創造的力動の劇場なのではないだろうか。「ここでいま」過ぎ去っていくものとは、いったい何なのか。われわれは「現在」の只中で、〈変化〉の方へと目を向け直さねばならない……。》

【目次】
序論

第一部 意味の発生
第一章 世界の経験/第二章 語る言葉と語られた言葉/第三章 言葉と沈黙/第四章 意味の論理学/第五章 出来事の実現と反実現/第六章 思考の発生学

第二部 肉と襞
第一章 世界の奥深さ/第二章 〈肉〉の存在論に向けて/第三章 〈意識〉の哲学――レイモン・リュイエル/第四章 〈情報〉の哲学――ジルベール・シモンドン/第五章 世界という卵/第六章 襞から襞へ

第三部 幻覚的瞬間
第一章 現象的領野/第二章 スタイルの発生/第三章 線の冒険――メルロ=ポンティとアンリ・ミショー/第四章 精神の試練――ドゥルーズとアンリ・ミショー/第五章 絵画の力/第六章 運動と時間――二つの映画論

結論

【著者】
小林徹(こばやしとおる) 1975年,東京都に生まれる。パリ第1大学大学院哲学科博士課程修了。博士(哲学)。専攻、フランス現代哲学。現在,慶應義塾大学ほか非常勤講師。主な論文に,「身体を横断するもの――レイモン・リュイエルの思想」(『フランス哲学・思想研究』第18号,2013)などがある。

 

9月の新刊:《批評の小径》『夢かもしれない娯楽の技術』

2014年 10月 22日

夢かもしれない『夢かもしれない娯楽の技術』

著者=ボリス・ヴィアン
編訳者=原野葉子
四六判上製/264頁/定価=2800円+税
978-4-8010-0058-2 C0097 好評発売中!
装幀=宗利淳一

日常を優雅に遊ぶヴィアン版人生使用法

コルビュジエ風DIYのすすめ、クラシックカーへの偏愛、億万長者になる方法、市バスの生態学、旅行記、戦争論、ロボット社会で生き延びる道……
現実と虚構のあわいで軽やかに綴られたエッセイを、「くらす」「でかける」「まなぶ」の3部に収録。ささやかな日々の暮らしをとびきり贅沢に過ごすための、突拍子もないアイディアが満載!

【目次】
第1部 くらす
極小サイズのアパルトマン
読者への回答
アパルトマンを見つけてしまって……
君に億万長者の素質はあるか?
お上品なだけじゃだめ……思いやりが大事
ディープキスよ永遠なれ
2000年の日曜日
もしも、あと24時間しか生きられないとしたら?

第2部 でかける
乗合バス
1900年風のバカンス
まだ新車を買うなんて!
バカンス行くのも楽じゃない
夢かもしれない娯楽の技術

第3部 まなぶ
民衆の知恵についての監督官=発行人への手紙
超重要問題ならびにその他もろもろについての監督官=発行人への手紙
道徳的等式についての監督官=発行人への手紙
戦争ぺてん師についての副執政官男爵閣下への手紙
建築とSF
文芸批評の効用
詩人ロボットなんかこわくない

訳者解説

【著者/編訳者】
ボリス・ヴィアン(Boris Vian)  1920年、パリ郊外のヴィル=ダヴレーに生まれ、1959年、パリに没する。作家、詩人、翻訳家、ジャズ・トランペット奏者、シャンソン歌手など多彩な方面で活躍した。パリ中央工芸学校を卒業後、技師として勤務するかたわら、旺盛な創作・評論活動を開始。「脱走兵」を始めとするシャンソンの作詞や、ジャズ評論によっても知られる一方、作家としてはヴァーノン・サリヴァン名義による『墓に唾をかけろ』(1946年)で発禁処分をうける。文学作品が正当な評価を得たのは死後のことである。代表作に、小説『日々の泡』(1947年)、『心臓抜き』(1953年)のほか、戯曲『帝国の建設者』(1959年)、旅行案内『サン=ジェルマン=デ=プレ入門』(1974年)などがある。



原野葉子(はらのようこ)  1975年、広島市に生まれる。京都大学大学院博士課程修了。現在、広島文教女子大学講師。専攻、20世紀フランス文学。主な訳書に、レーモン・クノー『文体練習』(共訳、水声社、2012年)、主な論文に、「Poetica pataphysica ボリス・ヴィアンにおけるパタフィジック的想像力について」(博士論文)、「文学空間のn次元を探索する――ペレック/ウリポ/パタフィジック」(『水声通信6』、2006年4月号)などがある。

 

9月の新刊:『まなざしに触れる』

2014年 10月 22日

まなざしに触れる『まなざしに触れる』

著者=鷹野隆大(写真)+新城郁夫(文)
A5判上製/152頁/定価3000円+税
978−4−8010−0047−6 C0072 好評発売中!
ブックデザイン=宗利淳一

 

〈あらゆる境界を侵犯していく影に導かれつつ、政治的かつ美学的な力動として現れる鷹野隆大の写真のまなざしに、私たちは貫かれることになる。〉

主に男性ヌードを撮ることでジェンダーを問う写真家と、その写真のもつ社会へのエロス的侵犯を論じるジェンダー/日本現代文学研究者によるコラボレーション。2人の著者のまなざしはどのように交わり、どのように接するのか。鷹野の写真作品78点を収録。

【目次】
あなたへの距離に触れる
接することと、触れること
物象化に抗して
みずからから抜け出る
対象に見られること
秘密

反=場所
避難都市としての身体

特装版『まなざしに触れる』
A5判上製/クロス装、クロス貼函入/152頁/オリジナルプリント2葉+サイン+エディションナンバー入/収録作品78点/限定30部/定価80000円+税
978−4−8010−0059−9 C0072

オリジナルプリントには下記のAまたはB(各15部)の2枚があります。ご購入にあたって、ご希望がある場合には、AまたはBとご指定下さい。
ただし先着順ですので、品切のさいはご容赦下さい。

A-1
021
A-2
022
B-1
053
B-2
054

【著者】
鷹野隆大(たかのりゅうだい) 1963年、福井県に生まれる。早稲田大学政経学部経済学科卒業。写真集『In My Room』(蒼穹舎、2005年)で第31回木村伊兵衛写真賞受賞。主な個展に、「モノクロ写真」(ユミコ チバ アソシエイツ ビューイングルーム新宿、2012年)、「立ち上がれキクオ」(ツァイト・フォト・サロン、2012年)、「おれと」(ナディフアパート、2009年)などがある。
新城郁夫(しんじょういくお) 1967年、沖縄に生まれる。立教大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。現在、琉球大学教授。主な著書に、『沖縄を聞く』(みすず書房、2010年)、『到来する沖縄』(2007年)、『沖縄文学という企て』(2003年、ともにインパクト出版会)などがある。

 

フリオ・コルタサル生誕100周年、記念シンポジウムが開催されます。

2014年 8月 21日

2014年はアルゼンチンの世界的作家、フリオ・コルタサルの生誕100周年にあたります。それを記念し、セルバンテス文化センター東京では9月15日にシンポジウムを開催する運びとなりました。

弊社では今年2月にコルタサルの処女短編集『対岸』を、8月には円熟期の作品『八面体』を刊行しておりますが、本シンポジウムでは両短編集の訳者、寺尾隆吉先生が登壇されるほか、作家の池澤夏樹先生、ラテンアメリカ文学研究者のグレゴリー・サンブラーノ先生などが参加されます。

いまなお根強い人気をほこり、ラテンアメリカ最高の短編作家に肉薄する本シンポジウムにぜひ足をお運びください。



日時:2014年9月15日(月)14:00〜

会場:セルバンテス文化センター東京

参加ご希望の方はセルバンテス文化センターの下記ウェブサイトよりご予約ください(入場無料)。
http://tokio.cervantes.es/FichasCultura/Ficha96443_67_25.htm

[作家紹介]
フリオ・コルタサル(Julio Cortázar) 1914年、ベルギーのブリュッセルに生まれ、1984年、パリに没した。1918年、両親とともに故国アルゼンチンへ戻り、幼少時から読書三昧の日々を送る。1937年から45年までの地方教員時代を経て、すこしずつ詩や短編小説の創作を手掛けるようになる。1951年、短編集『動物寓意譚』を発表した後にパリへ移り、以降、『遊戯の終わり』(1956年)、『秘密の武器』(1959年)、『すべての火は火』(1966年)などの短編集を書き続けた。1963年発表の『石蹴り遊び』でラテンアメリカ文学の〈ブーム〉に合流し、多くの作家と親交した。1960年代後半以降は、キューバの革命政府を積極的に支持し、またニカラグアのサンディニスタ民族解放戦線を支援したほか、軍事独裁政権反対運動に加担したが、晩年まで『愛しのグレンダ』(1980 年)、『ずれた時間』(1982年)などの秀作を書き続けた。

《好評発売中》
すべての火は火 2300円+税
対岸 2000円+税
八面体 2200円+税

詳細はセルバンテス文化センターのウェブページをご覧ください
http://tokio.cervantes.es/FichasCultura/Ficha96443_67_25.htm

 

8月の新刊:《フィクションのエル・ドラード》『八面体』

2014年 8月 21日

八面体=カバー『八面体』

フリオ・コルタサル/寺尾隆吉訳
四六判上製/240頁/定価=2200円+税
978-4-89176-955-0 C0397  8月27日発売予定
装幀=宗利淳一

フリオ・コルタサル生誕100年!

日常のなかに突如として闖入してくる《鮮烈な夢のイメージ》を作品へと昇華させるコルタサルが、実験的な語りの手法を用いて《自分の最も奥深い部分》を表現し、幻想と日常の交錯を多面的に描き出した傑作短篇8篇を収録する1974年刊行の短篇集『八面体』の全訳。
付録として、白昼夢を見ているかのような3つの短篇(『最終ラウンド』)に加えて、実践的な短篇小説論(『短篇小説とその周辺』)も併録。

《コルタサルが遺してくれたのは、彼の思い出と同様に色褪せることのない美しさを備えた芸術作品だ。》(ガブリエル・ガルシア・マルケス)

【目次】
八面体
リリアナが泣く
手掛かりを辿ると
ポケットに残された手記

そこ、でも、どこ、どんなふうに
キントベルクという名の町
セベロの諸段階
黒猫の首

最終ラウンド
シルビア
旅路
昼寝

短編小説とその周辺

【著者】
フリオ・コルタサル(Julio Cortázar)  1914年、ベルギーのブリュッセルに生まれる。1918年、両親とともにアルゼンチンへ戻り、幼少から読書三昧の日々を送る。1937年から四五年までの地方教員時代を経て、すこしずつ詩や短編小説の創作を手掛けるようになる。1951年、短編集『動物寓意譚』を発表した後にパリへ移り、以降『遊戯の終わり』(1956年)、『秘密の武器』(1959年)、『すべての火は火』(1966年)などの短編集を書き続けた。1963年発表の『石蹴り遊び』でラテンアメリカ文学のブームに合流し、多くの作家と親交した。1960年代後半以降は、キューバ革命政府を積極的に支持し、ニカラグアのサンディニスタ民族解放戦線を支援したほか、軍事独裁政権反対運動に加担したが、晩年まで『愛しのグレンダ』(1980年)、『ずれた時間』(1982年)などの秀作を書き続けた。一九八四年、パリに死去。

【訳者】
寺尾隆吉(てらおりゅうきち)  1971年、愛知県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。現在、フェリス女学院大学国際交流学部准教授。専攻、現代ラテンアメリカ文学。主な著書には、『フィクションと証言の間で――現代ラテンアメリカにおける政治・社会動乱と小説創作』(松籟社、2007年)、『魔術的リアリズム――20世紀のラテンアメリカ小説』(水声社、2012年)、主な訳書には、セルヒオ・ラミレス『ただ影だけ』(水声社、2013年)、『疎外と叛逆――ガルシア・マルケスとバルガス・ジョサの対話』(水声社、2014年)などがある。

◎好評をいただいている《フィクションのエル・ドラード》シリーズに新たなタイトルが加わります。今後も本シリーズにご注目ください。

《フィクションのエル・ドラード》(★印は追加タイトル。定価の表示のあるものは既刊)
襲撃 レイナルド・アレナス/山辺弦訳 (★)
気まぐれニンフ ギジェルモ・カブレラ・インファンテ/山辺弦訳 (★)
バロック協奏曲 アレホ・カルペンティエル/鼓直訳
時との戦い アレホ・カルペンティエル/鼓直訳
方法再説 アレホ・カルペンティエル/寺尾隆吉訳 (★)
対岸 フリオ・コルタサル/寺尾隆吉訳  2000円+税
八面体 フリオ・コルタサル/寺尾隆吉訳  2200円+税 (★)
境界なき土地 ホセ・ドノソ/寺尾隆吉訳  2000円+税
ロリア侯爵夫人の不思議な失踪 ホセ・ドノソ/寺尾隆吉訳 (★)
夜のみだらな鳥 ホセ・ドノソ/鼓直訳
ガラスの国境 カルロス・フエンテス/寺尾隆吉訳+税 (★)
案内係 ほか傑作短篇集 フェリスベルト・エルナンデス/浜田和範訳 (★)
別れ フアン・カルロス・オネッティ/寺尾隆吉訳  2000円+税
人工呼吸 リカルド・ピグリア/大西亮訳
圧力とダイヤモンド ビルヒリオ・ピニェーラ/山辺弦訳 (★)
ただ影だけ セルヒオ・ラミレス/寺尾隆吉訳  2800円+税
孤児 フアン・ホセ・サエール/寺尾隆吉訳  2200円+税
傷跡 フアン・ホセ・サエール/大西亮訳 (★)
マイタの物語 マリオ・バルガス・ジョサ/寺尾隆吉訳 (★)
コスタグアナ秘史 フアン・ガブリエル・バスケス/久野量一訳
* タイトル、訳者は予告なく変更になる場合があります。ご了承下さい。

【コルタサルの作品】
すべての火は火  2300円+税

 

8月の新刊:《フィクションの楽しみ》『わたしは灯台守』

2014年 8月 21日

灯台守書影わたしは灯台守

エリック・ファーユ/松田浩則訳
四六判上製/256頁/予価2500円+税
978-4-8010-0053-7 C0097 8月27日発売予定
装幀=宗利淳一

灯台を除けば、この風景の中で永遠に変わらないものなど何もないだろう。

大海原に佇立する灯台。そこにはひとりの灯台守。
孤独の中で彼は書く。自問し、自答する。訴える。苦悩する。妄想する……。
世界から隔絶された男の魂の叫びと囁きを、陰鬱でありながらユーモラスに綴る表題作をはじめ、不条理で幻想的、ときに切なくノスタルジックな珠玉の9篇を収録。

【目次】
列車が走っている間に
六時十八分の風
国境
地獄の入り口からの知らせ
セイレーンの眠る浜辺
ノスタルジー売り
最後の
越冬館
わたしは灯台守
訳者あとがき

【著者】
エリック・ファーユ(Éric Faye) 1963年、リモージュ(フランス)に生まれる。エコール・シュペリユール・ド・ジュルナリスム(リール)に学ぶ。ロイター通信の記者として勤務しながら、1990年より創作活動に入る。主な著書に、『雨の海クルーズ』(Croisière en mer des pluies, 1999)、『痕跡のない男』(L’Homme sans empreintes, 2008)、『長崎』(Nagasaki, 2010. 松田浩則訳、水声社、2013年)、『不滅になって、そして死ぬ』(Devenir immortel, et puis mourir, 2012)などがある。

【訳者】
松田浩則(まつだひろのり) 1955年、福島県いわき市生まれ。東京大学大学院博士課程中退。現在、神戸大学大学院人文学研究科教授。専攻、フランス現代文学。主な著書に、『ポール・ヴァレリー『アガート』訳・注解・論考』(共著、筑摩書房、1994年)、主な訳書に、ミシェル・トゥルニエ『海辺のフィアンセたち』(紀伊国屋書店、1998年)、ドニ・ベルトレ『ポール・ヴァレリー』(法政大学出版局、2008年)、エリック・ファーユ『長崎』(水声社、2013年)などがある。

【エリック・ファーユの本】
長崎 松田浩則訳 1800円+税
フクシマを越えて(仮題) 三野博司訳 近刊

 

8月の新刊:『アントナン・アルトー 自我の変容』

2014年 8月 21日

アルトー=カバー『アントナン・アルトー 自我の変容――〈思考の不可能性〉から〈詩への反抗〉へ』

熊木淳
A5判上製/368頁/定価=5000円+税
978-4-8010-0052-0 C0098 8月28日発売予定
装幀=宗利淳一

明晰なる狂気のストラテジー

テクスト/俳優、父/子、思考/言葉……〈前のもの〉による〈後のもの〉への支配を自身の〈病〉として引き受けたアントナン・アルトー。初期の書簡から演劇論、そして晩年の思考までをつらぬくものは、先立つ〈起源〉への徹底的な反抗であった。あらゆる系譜を逆転させる戦略的な視点から現代詩への影響を論じた最もアクチュアルなアルトー読解。

【目次】


第1部 診断と治療
第1章 診断
第2章 治療

第2部 残酷の変容
第1章 残酷なき演劇
第2章 残酷演劇
第3章 事後的残酷

第3部 詩への反抗
第1章 言葉への抗い
第2章 糞便詩
第3章 現代詩人としてのアルトー



【著者】
熊木淳(くまきあつし)  1975年、東京都に生まれる。リヨン高等師範学校博士課程修了。博士(フランス文学)。現在、早稲田大学ほか非常勤講師。専攻、フランス文学。主な論文に、「診断と治療――アントナン・アルトーとシュルレアリスムとの決別について」(『日本フランス語フランス文学会 関東支部論集』第21号、2012 所収)、« Deux séries d’images dans L’Art et la Mort »(Cahiers Artaud, n°1, Éditions les Cahiers, 2013)、« Bernard Heidsieck : de la poésie sonore à la poésie de la quotidienneté »(Thélème, vol.29, 2014)などがある。