8月の新刊:『アントロポゾフィー協会の進化について』

2014年 8月 21日

アントロ書影アントロポゾフィー協会の進化について

パウル・マッカイ/入間カイ訳
46判/167頁/定価2500円+税
ISBN978-4-8010-0054-4 C0014 好評発売中
装幀=齋藤久美子

アントロポゾフィー協会はどのように進化するのか? 33年の周期で発展してゆくその過程で発生する課題を示しつつ、時代の運命ときわめて深く結びついた、これからの協会のあり方を語る、ゲーテアヌム理事による講演集。

【目次】
まえがき(上松佑二)
秘教性と公共性——アントロポゾフィー協会の「明らかなる秘密」について
序/アントロポゾフィー協会の進化について/アントロポゾフィー協会の課題について/いかにすればクリスマス会議の基盤に立ちつつ、世界への架け橋を形成できるか?/付記
ミカエル共同体としてのアントロポゾフィー協会——礎石のことばにおける「私たち」について
序/I 個性化と現代の社会的要請/礎石のリズムと人間本質の構成要素/霊我の質的表現としての「私たち」/II カルマ連関における原則と例外/九世紀の出来事/四世紀の出来事/死の秘儀と悪の秘儀/第二の磔刑と復活/自由意志からの行為/カルマ真実の再生
付録 礎石のことば/定礎の言葉(上松佑二訳)/黒板に書かれた《リズム》

訳者あとがき

【著者】
パウル・マッカイ(Paul Mackay)  1946年香港生まれ。国際金融の分野で数年働いたあと、1996年より、普遍アントロポゾフィー協会理事、2000年より、ドルナッハのゲーテアヌム精神科学自由大学社会部門代表、2012年よりアーレスハイムのヴェレダ株式会社管理委員会会長。
【訳者】
入間カイ(いるまかい) 1963年、鎌倉市に生まれる。現在、那須内海学園那須みふじ幼稚園理事長・園長。一般社団法人日本シュタイナー幼児教育協会〔http://jaswece.org/〕代表理事。ゲーテアヌム医学セクション外部研究員。主な著・訳書に『三月うさぎのティータイム』(南方新社)、『これからのシュタイナー幼児教育』(春秋社)、『小児科診察室』(グレックラー/ゲーベル共著、水声社)などがある。

【シュタイナーの本】
輪廻転生とカルマ 西川隆範訳 2500円+税
人智学指導原則 西川隆範訳 2500円+税
霊視と霊聴 西川隆範訳 2000円+税
医学は霊学から何を得る事ができるか 中村正明訳 1500円+税

【入間カイの本】
シュタイナーが協会と自由大学に託したこと ルドルフ・シュタイナー 入間カイ訳 3500円+税
乳幼児のためのシュタイナー保育 バーナデット・ライチェル 入間カイ訳 2500円+税
シュタイナー教育基本指針Ⅰ ライナー・パツラフ、クラウディア・マッキーン他 入間カイ訳 2500円+税

 

8月の新刊:『シュタイナーが協会と自由大学に託したこと』

2014年 8月 21日

シュタイナーが協会と自由大学に託したこと_書影シュタイナーが協会と自由大学に託したこと
ルドルフ・シュタイナー/入間カイ訳
四六判上製/287頁/定価=3500円+税
978−4−8010−0055−1 C0014 好評発売中
装幀=齊藤久美子

 

〈もし世界を真に洞察したければ、汝自身の魂の深みをのぞきこむがよい。〉

1923年のいわゆる「クリスマス会議」でシュタイナーは、いままでのアントロポゾフィー協会を「普遍アントロポゾフィー協会」に発展させて再出発するにあたり、「私たちの課題は、考えられる限り深い秘教性と、もっとも広い公共性をひとつにつなぐこと」だ、と述べた。本書の第一部は、協会のあり方をめぐって、「協会員への手紙」と題して、ゲーテアヌムの「協会員のための通信」に毎週掲載されたものであり、第二部の「精神科学自由大学について」では、アントロポゾフィーそのものを深め、育成してゆくために、自由大学とそこへ入会しようとする人々にシュタイナーが託した思いが講演と文章によって語られている。また、本書に関連した「アントロポゾフィー指導原理」の1から78までをも収録した。

【目次】
第一部 協会員への手紙
1923年クリスマス会議による普遍アントロポゾフィー協会の形成/普遍アントロポゾフィー協会の理事会/アントロポゾフィー運動のあゆみと協会の課題/協会の、アントロポゾフィーに対する正しい関係/アントロポゾフィーにおける協会員の集い/会員の協会への関わり方/アントロポゾフィーの指導原理/認識への努力と自己教育への意志/協会内の活動/協会における活動/個々人によるアントロポゾフィーの真実の形成/アントロポゾフィーの真実の伝え方/アントロポゾフィーの「教え」について/支部の集いの形成について/人間の「形象」としての本性/支部の集いの中に存在すべき「気分」について/支部の集まりに必要な「気分」——追記/クリスマス会議の働きに関する追記/霊性の理解と運命の体験について/指導原理をいかに用いるか
第二部 精神科学自由大学について
アントロポゾフィー協会の有機的生成過程とその未来の課題/アントロポゾフィー協会の体制における精神科学自由大学、その各部門への文節化/自由大学第一学級への受け入れ条件/精神科学自由大学/精神科学自由大学青年部門について/プラハにおける一連のアントロポゾフィーの催しについて/シュトゥットガルトにおけるヴァルドルフ学校教育会議
付録 アントロポゾフィー指導原理
訳者あとがき

【著者】
ルドルフ・シュタイナー(Rudolf Steiner) 1861年、クラリエヴェック(現クロアチア領)に生まれ、1925年、ドルナッハ(スイス)に没した。ゲーテの自然科学研究、評論活動で知られ、ブラバツキーの神智学協会に参加、のちに独自の人智学(アントロポゾフィー)協会を設立し、神秘学のみならず、教育、建築、医学、農業などの分野にも大きな業績を残した。主な著書には、『自由の哲学』、『神智学』、『神秘学概論』(ともに筑摩書房、他)、『霊界の境域』、『医学は霊学から何を得ることができるか』(ともに水声社)などがある。
【訳者】
入間カイ(いるまかい) 1963年、鎌倉市に生まれる。現在、那須内海学園那須みふじ幼稚園理事長・園長。一般社団法人日本シュタイナー幼児教育協会〔http://jaswece.org/〕代表理事。ゲーテアヌム医学セクション外部研究員。主な著・訳書に『三月うさぎのティータイム』(南方新社)、『これからのシュタイナー幼児教育』(春秋社)、『小児科診察室』(グレックラー/ゲーベル共著、水声社)などがある。

【シュタイナーの本】
輪廻転生とカルマ 西川隆範訳 2500円+税
人智学指導原則 西川隆範訳 2500円+税
霊視と霊聴 西川隆範訳 2000円+税
医学は霊学から何を得る事ができるか 中村正明訳 1500円+税

【入間カイの本】
アントロポゾフィー協会の進化について パウル・マッカイ  2500円+税
乳幼児のためのシュタイナー保育 バーナデット・ライチェル 2500円+税
シュタイナー教育基本指針Ⅰ ライナー・パツラフ、クラウディア・マッキーン他 2500円+税

 

7月の新刊:『マンガを「見る」という体験』

2014年 8月 21日

カバー『マンガを「見る」という体験――フレーム、キャラクター、モダン・アート』

編者=鈴木雅雄
執筆者=伊藤剛/野田謙介/齊藤哲也/加治屋健司/中田健太郎
A5判並製/268頁/定価=2800円+税
978-4-8010-0051-3 C0095  好評発売中
装幀=宗利淳一

マンガの視覚文化論

コマ/フレーム、キャラクターを通して、われわれはどのようにマンガを眺めているのか。マンガ批評、文学研究、美術史を専門とする気鋭の論者たちが、マンガをめぐる時間・運動・言説の問題を自在に語り、新たな理論的枠組から視覚体験としての〈マンガ〉を問いなおす。

【目次】
第Ⅰ部 マンガの時間、絵画の時間
消える男/帰ってくる男――マンガから見た絵画・シュルレアリスム(伊藤剛)
瞬間は存在しない――マンガ的時間への問い(鈴木雅雄)

第Ⅱ部 マンガのコマ、絵画のフレーム
マンガにおけるフレームの複数性と同時性について――コマと時間をめぐる詩論(一)(野田謙介)
分裂するフレーム――シュルレアリスム〈と〉マンガ(齊藤哲也)

第Ⅲ部 マンガをめぐる言説、美術をめぐる言説
マンガと美術――現代美術批評の観点から(加治屋健司)
マンガ表現と絵画の境界をどう考えるか――フィギュ―ルという接点(中田健太郎)

第Ⅳ部 シュルレアリスムの視覚体験とマンガ
ロプロプが飛び立つ――動いてしまうイメージの歴史のために(鈴木雅雄)

【編者/執筆者】
鈴木雅雄(すずきまさお) 1962年、東京都生まれ。東京大学大学院地域文化研究科博士課程満期退学。現在、早稲田大学教授。専攻、シュルレアリスム研究。著書に、『シュルレアリスム、あるいは痙攣する複数性』(平凡社、2007年)、『ゲラシム・ルカ――ノン=オイディプスの戦略』(水声社、2009年)、訳書に、バンジャマン・ペレ『サン=ジェルマン大通り一二五番地で』(風濤社、2013年)などがある。

伊藤剛(いとうごう) 1967年、愛知県生まれ。名古屋大学理学部卒業。現在、東京工芸大学准教授。マンガ批評家。著作に、『テヅカ・イズ・デッド』(NTT出版、2005年)、『マンガを読む。The Manga Reviews』(青土社、2008年)などがある。
野田謙介(のだけんすけ) 1977年、大阪府生まれ。京都大学総合人間学部卒業。マンガ研究者・翻訳者。雑誌『Pen』No.204の特集「世界のコミック大研究。」の企画・構成を手がける。訳書に、ティエリ・グルンステン『マンガのシステム――コマはなぜ物語になるのか』(青土社、2009年)、エマニュエル・ギベール『アランの戦争――アラン・イングラム・コープの回想録』(国書刊行会、2011年)などがある。
齊藤哲也(さいとうてつや) 1976年、北海道生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士課程満期退学。現在、明治学院大学准教授。専攻、シュルレアリスム研究。著書に、『零度のシュルレアリスム』(水声社、2011年)、『ヴォルフガング・パーレン――幻視する横断者』(水声社、2012年)などがある。
加治屋健司(かじやけんじ) 1971年、千葉県生まれ。ニューヨーク大学大学院美術研究所博士課程修了。現在、京都市立芸術大学芸術資源研究センター准教授。専攻、現代美術史・批評史。著書に、『中原佑介美術批評選集』(共編著、現代企画室+BankART出版、2011年〜)、訳書に、ボワ/クラウス『アンフォルム――無形なものの事典』(共訳、月曜社、2011年)などがある。
中田健太郎(なかたけんたろう) 1979年、東京都生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程満期退学。現在、日本大学非常勤講師。専攻、シュルレアリスム研究。マンガ批評家。著書に、『ジョルジュ・エナン――追放者の取り分』(水声社、2013年)、論文に、「理論の見る夢――オートマティスムの歴史」(『思想』、2012年第10号)などがある。

 

7月の新刊:《別冊水声通信》『バタイユとその友たち』

2014年 8月 21日

バタイユ書影別冊水声通信 バタイユとその友たち

A5判並製/419頁/定価=3000円+税
ISBN978-4-8010-0046-9  C0090
絶賛発売中!
 

反抗か、共謀か。

ソレルス、サルトル、ブルトン、ブランショ、ヴァール、クノー、レリス……同時代の思想家たちとバタイユとの知られざる関係を明らかにし、新たなバタイユ像に肉薄する! バタイユ「至高者」ほか、本邦初訳のテクストを多数収録。
 
【目次】

偉大なるバタイユ(インタビュー) フィリップ・ソレルス 杉浦順子訳
至高者 ジョルジュ・バタイユ 濱野耕一郎訳
ジョルジュ・バタイユとの対話 文学における悪と幼児性 ピエール・デュメイエ 岩野卓司訳
『文学と悪』を読んで ジャン・ヴァール 大島ゆい訳
ジャン・ヴァール『フランス哲学便覧』評 ジョルジュ・バタイユ 合田正人訳


1952年10月18日付のノート(ノート11、未発表断章) ジョルジュ・バタイユ 郷原佳以訳
アンリ・パストゥロー『人間の傷』評 ジョルジュ・バタイユ 鈴木雅雄訳
アンドレ・ブルトン『時計のなかのランプ』評 詩と世界の終末の誘惑 マルコム・ド・シャザル
と悦楽 ジョルジュ・バタイユ 鈴木雅雄訳
コーズ『開幕からの決裂』 ジョルジュ・バタイユ 有馬麻理亜訳
メルロ=ポンティへの公開書簡 ジョルジュ・バタイユ 澤田直訳


問われる共同体 ナンシーとブランショによるバタイユの共同体から出発して 岩野卓司
バタイユとブランショの分かちもったもの 「1952年10月18日付のノート」から出発して 郷原佳以
焼け残るものへの眼差し 1940年代のブランショはバタイユをいかに読んだか 門間広明
共鳴とすれ違い 「コントル=アタック」前後のブルトン、バタイユそしてライヒ 有馬麻理亜
ブルトンとバタイユにおける主体の位置 ジャクリーヌ・シェニウー=ジャンドロン 齊藤藤哲也訳
バタイユとブルトン イメージと芸術の誕生をめぐるふたつの思考 長谷川晶子
自由と瞬間 バタイユの「分身」サルトル? 永野潤


ヘーゲルとの最初の格闘 レーモン・クノー 加藤美季子訳
アレクサンドル・コジェーヴとの対話 哲学者に関心はなく賢人を探し求めています ジル・ラプージ
ュ 加藤美季子・丸山真幸訳
バタイユに宛てた7通の手紙 アレクサンドル・コジェーヴ 丸山真幸訳
錯綜する友情 クノーによるバタイユ追悼文を読む 加藤美季子
コジェーヴの反革命思想とそのバタイユとの差異 丸山真幸


バタイユとサルトル カミュの「歴史に対する反抗」を巡って 伊藤直
実存の眩暈 バタイユのレヴィナス読解をめぐって 伊原木大祐
やさしき悲痛 レリス・バタイユ交流史における二人の女性の死から 大原宣久
バタイユとカミュにおける反抗、至高性、遊び=賭け 概念論的研究 レーモン・ゲ=クロズィエ
千々岩靖子訳 伊藤直解題
バタイユとユイスマンス 築山和也
アンドレ・マルローの美術論批判 ゴンブリッチ、バタイユ、ブランショ、メルロ=ポンティ 永井敦


【別冊水声通信】
坂部恵 2800円+税
ジュリアン・グラック 2500円+税
セクシュアリティ 2800円+税

【関連書】
水声通信30/ジョルジュ・バタイユ 2000円+税
水声通信34/『社会批評』のジョルジュ・バタイユ 2500円+税
バタイユと文学空間 福島勲 3000円+税
ジョルジュ・バタイユ 神秘経験をめぐる思想の限界と新たな可能性 岩野卓司 4500円+税
ジョルジュ・バタイユの《不定形》の美学 江澤健一郎 4500円+税

 

7月の新刊:《水声文庫》『ナラトロジー入門』

2014年 8月 21日

ナラトロジー=カバーナラトロジー入門――プロップからジュネットまでの物語論

橋本陽介
四六判上製/244頁/定価2800円+税 好評発売中!
978−4−8010−0049−0 C0098
装幀=宗利淳一

 

プロップ,トドロフ,バルト,ジュネットは,どのように物語を分析したのか?

ロシア・フォルマリズムから、ヤコブソン、ソシュール、バンヴェニストの言語学を経由してナラトロジーに至るまでの系譜をたどりながら、バルトやジュネットなどの理論を体系的に考察する。文学研究の世界に多大な影響を与えつづける「ナラトロジー(物語論)」について,古今東西の文学作品を例にしながら平易に詳述した実践的な入門書。

【目次】

第一章 「物語の構造」とは――プロップからバルトまで
第二章 ナラトロジー誕生までの理論的背景
第三章 「作者」と「語り手」について
第四章 物語の「時間」
第五章 視点(焦点化)と語る声
第六章 日本語における焦点化の仕方とオーバーラップ
まとめ

【著者】
橋本陽介(はしもとようすけ) 1982年、埼玉県に生まれる。慶應義塾大学大学院文学研究科中国文学専攻博士課程単位取得。博士(文学)。専攻、中国語を中心とした文体論、比較詩学。現在、慶應義塾大学非常勤講師(中国語)。主な著書に、『7カ国語をモノにした人の勉強法』(祥伝社、2013)、『物語における時間と話法の比較詩学――中国語と日本語からのナラトロジー』(水声社、2014)などがある。

【関連書】
フィクションの修辞学 W・C・ブース/米本弘一・服部典之・渡辺克昭訳 7000円+税
昔話の形態学 ウラジーミル・プロップ/北岡誠司+福田美智代訳 5500円+税
小説と映画の修辞学 シーモア・チャトマン/田中秀人訳 5000円+税
物語のディスクール G・ジュネット/花輪光・和泉涼一訳 5000円+税
物語の詩学――続・物語のディスクール G・ジュネット/和泉涼一・青柳悦子訳 3000円+税
フィギュールⅢ G・ジュネット/花輪光監訳 3500円+税

 

7月の新刊:『リノット』

2014年 8月 21日

見本リノットジャケ
リノット――少女時代の日記 1914−1920

アナイス・ニン/杉崎和子訳
四六判上製/252頁/定価=2500円+税
978−4−8010−0048−3 C0098 好評発売中
装幀=齊藤久美子
〈神様、お願いします。……どうか作家にしてください。……処女作ではなく20冊目の本を書いている作家にしてください。〉

のちにヘンリー・ミラーらと愛の遍歴をかさね世界的に性愛の作家として知られることになる女性の11歳から17歳までの日記。離婚した父母への思い、多彩な読書歴、初恋、そして小説家になりたいという強い意志を繊細な観察眼と豊かな感性でいきいきと描く。

【著者】

アナイス・ニン(Anais Ninn) 1903年、パリに生まれ、1977年、ロスアンジェルスに没した。9歳のとき両親が離婚し、11歳で母、二人の弟とアメリカに渡り、日記を書き始める。その後ヘンリー・ミラーとの交遊を含む60年におよぶ膨大な日記の出版で注目を浴びる。おもな作品に『近親相姦の家』『インセスト』『ヘンリー&ジューン』『人工の冬』などがある。

【訳者】
杉崎和子(すぎさきかずこ) 横浜市に生まれる。ホイッティアー大学BA、MA、オクシデンタル大学Ph D。 カリフォルニア州立大学講師、桜美林大学・名城大学・岐阜聖徳学園大学の教授を歴任。岐阜聖徳学園大学名誉教授。アナイス・ニン・トラスト理事、ハンティントン図書館研究員。主な著書に、『カリフォルニアを目指せ―—幌馬車隊3200キロの旅』(彩流社)、主な訳書に、ニン『インセスト』(彩流社)、ニン『ヘンリー&ジューン』(角川書店)、ニン『リトル・バード』などがある。

【アナイス・ニンの本】
人工の冬 矢口裕子訳 2800円+税
ミノタウロスの誘惑 大野朝子訳 2500円+税

【関連書】
この世で一番幸せな男 M・V・ディアボーン 室岡博訳 4500円+税
回想するヘンリー・ミラー トウィンカ・スィーボード 本田康典+小林美智代+泉沢みゆき訳 2000円+税
ヘンリー・ミラー・コレクション 編集=飛田茂雄+本田康典+松田憲次郎
第1期 全10巻(完結)………セット定価 34100円+税
第2期 全6巻(刊行中)………⑪巻「母」3000円+税/⑭巻「友だちの本」4000円+税

 

7月の新刊:『モダニスト ミナ・ロイの月世界案内』

2014年 8月 21日

ミナジャケモダニスト ミナ・ロイの月世界案内——詩と芸術

フウの会編
執筆・翻訳=高田宣子、吉川佳代、大久保誠、カーラー国見晃子、松沢英子、柳田昌子、ヤリタミサコ、吉田実登里、ロジャー・L・コノヴァー、高島誠
A5判上製/387頁+別丁図版8頁/定価=4000円+税 好評発売中
978-4-8010-0042-1 C0093
装幀=齊藤久美子

〈女たちよ、もしも自己実現したいなら……中途半端は許されない―—伝統でできたゴミ山の表面をひっかく程度では、改革はありえません。完全な廃棄しかないのです。〉

19世紀末にロンドンで生まれ、十代後半からパリ、フィレンツェで画家、女優、デザイナーとして活躍し、その後、詩集『ジョアンズへのラヴソング』『ライオンたちの戯れごと』などを発表したミナ・ロイは、エズラ・パウンド、T・S・エリオットらの賛辞を浴び、またマルセル・デュシャンにも影響を与え、ブランクーシ、ジョセフ・コーネルらとも親交をふかめた。その詩、散文の翻訳アンソロジーと研究者たちの論考によって、ロイの芸術家としての全体像を読み解き、その多面性を浮き彫りにする本邦初の試み。

【目次】
詩篇
散文
論考 月世界の案内人、ミナ・ロイの生涯 吉川佳代/ミナ・ロイ―—世紀の詩人 ロジャー・L・コノヴァー/「ジョアンズへのラヴソング」——逸脱する恋愛ポリティックス 吉川佳代/ミナ・ロイと与謝野晶子とフェミニストたち ヤリタミサコ/隠れた美を照らし出す 松沢英子/モダンの光跡——表現の探求者に捧げる 高田宣子/ミナ・ロイ―—月とランプシェイドの詩人 高島誠
年譜/参考文献/図版一覧
解説
編者あとがき

【執筆者、訳者】
高田宣子(たかたのりこ)東京都に生まれる。シカゴ大学大学院人文研究科修了。専攻、英語圏の女性詩人。現在、明治学院大学ほか非常勤講師。主な著訳書に、『英米文学の地平 W・ワーズワスから日系アメリカ人作家まで』(共著、金星堂、2012)、シルヴィア・プラス『湖水を渡って シルヴィア・プラス詩集』(共訳、思潮社、2001)、ジョン・ソルト『北園克衛の詩と詩学—―意味のタペストリーを細断する』(共訳、思潮社、2010)などがある。
吉川佳代(よしかわかよ)東京都に生まれる。サザンコネティカット州立大学英語学科修士課程修了。文学博士(昭和女子大学)。専攻、現代英米詩。現在、サザンコネティカット州立大学ほか非常勤講師。主な訳書に、アルベルト・マングェル、ジアンニ・グアダルーピ、高橋康也監訳『完訳 世界文学にみる架空地名大事典』(共訳、講談社、2002)などがある。

【関連書】
カミングズの詩を遊ぶ ヤリタミサコ+向山守編訳 2000円+税

 

6月の新刊:『チュチュ 世紀末風俗奇譚』

2014年 7月 30日

見本tutu題箋チュチュ 世紀末風俗奇譚

プランセス・サッフォー

野呂康+安井亜希子訳

 

四六判並製函入/288頁/定価=3500円+税

978-4-8010-0007-0 C0097 好評頃発売中!

装幀=齋藤久美子

 

知られざる19世紀最大の奇書

世紀末のパリを舞台に俗悪ブルジョワの主人公モーリ・ド・ノワロフが繰り広げる、キッチュで奇矯な行動の数々。奇想天外にして荒唐無稽な想像世界が現出する。エログロ、近親相姦、フリークス、腐猫の宴、糞尿譚、罵詈雑言がいたるところ鏤められた露悪趣味の極北。知られざる傑作、珍書中の珍書を本邦初紹介。

【著者】
プランセス・サッフォー(Princesse Sapho) 著者名も偽名と思われ、さまざまな説が存在する。詳細は不明。

【訳者】
野呂康(のろやすし) 1970年、東京都に生まれる。東京都立大学大学院人文科学研究科仏文専攻博士課程単位取得退学。文学博士。現在、岡山大学言語教育センター准教授。主な著書に、『古典資料センター所蔵「マザリナード」の現在』(一橋大学社会科学古典資料センター、2010年)、主な訳書に、ガブリエル・ヴィットコップ『ネクロフィリア』(共訳、国書刊行会、2009年)、クリスチアン・ジュオー『マザリナード 言葉のフロンド』(共訳、水声社、2012年)などがある。

安井亜希子(やすいあきこ) 1974年、新潟県に生まれる。東京都立大学大学院人文科学研究科仏文専攻修士課程修了。フランス語産業翻訳者。主な訳書に、ガブリエル・ヴィットコップ『ネクロフィリア』(共訳、国書刊行会、2009年)、フランソワ=ベルナール・ユイグ『DNAと犯罪捜査――各国の現状とデータベースの発展』(白水社、2011年)がある。

 

6月の新刊:『アナーキストの大泥棒』

2014年 7月 30日

大泥棒=カバー入稿アナーキストの大泥棒――アレクサンドル・ジャコブの生涯

アラン・セルジャン

髙橋治男訳

四六判上製/392頁/定価=3200円+税

978-4-8010-0045-2 C0023 好評発売中!

装幀=宗利淳一

 

すべてを生産している人々には何もなく、何も生産しない奴らがすべてを所有している!

稀代の大泥棒にしてフランス最後のアナーキストの初のモノグラフ

 

見習い水夫として遠洋航路の舟に乗り込んだ少年時代……アナーキストとして私有財産と闘う非合法主義運動に参加した16歳……警官殺害の裁判で才気煥発の答弁を警官殺害の裁判で行い新聞を賑わせた一味の首領時代……南米ギアナの流刑地で過ごした23年間と何度となく試みる脱走劇……

波瀾万丈の冒険と流刑地での地獄を潜り抜けた稀代のアナーキスト、アレクサンドル・ジャコブの唯一の評伝。

 

【目次】
第1章 人物紹介/第2章 海からの呼び声/第3章 黒旗/第4章 非合法主義の見習い期間/第5章 夜の仕事師たち/第6章 逮捕/第7章 驚天動地の被告/第8章 流刑地/第9章 サリュー諸島/第10章 墓場での四年間/第11章 最も危険な男/第12章 ある友情/第13章 デーモン最後のいたずら/訳者あとがき

【著者】
アラン・セルジャン(Alain Sergent) 本名はアンドレ・マエ。1908年、パリに生まれ、1982年にパリの精神病院で没する。小学校卒業後すぐに働き始め、人民戦線期に共産党に入党したが、やがてガストン・ベルジュリの《社会戦線》に参加。ドイツの占領開始とともにドリオのPPFに入党。さらにジョルジュ・スーレスの片腕となって極右の《社会革命行動党》の活動を支えた。解放後に投獄されたが、占領下でレジスタンス派を助けたこともあってか、半年で釈放され、セルジャンのペンネームで作家活動を開始し、自伝的小説二点、『パンと遊び』、『私はその不良青年のあとを追った』の他、『アナーキーの歴史』や『アナーキストたち』を書き、アナーキズム運動の歴史家として優れた業績を残している。

【訳者】
髙橋治男(たかはしはるお) 1936年、千葉県に生まれる。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。中央大学法学部教授を経て、現在は同名誉教授。専攻、フランス文学、思想。共著に『希望と幻滅の軌跡』(中央大学人文科学研究所、1987年)、主な訳書にT・B・ジェルーン『歓迎されない人々――フランスのアラブ人』(晶文社、1994年)、ミシェル・ラゴン『フランス・プロレタリア文学史――民衆表現の文学』(水声社、2011年)などがある。

 

6月の新刊:『レメディオス・バロ』

2014年 7月 30日

レメディオス・バロ
レメディオス・バロ――絵画のエクリチュール・フェミニン

カトリーヌ・ガルシア

湯原かの子訳

A5判上製/272頁/定価=4000円+税

978-4-8010-0044-5 C0070 好評発売中

装幀=宗利淳一


私たちが生命と呼ぶものは非現実であり、死と呼ぶものも非現実であり、ただ織布・画布(トワル)だけが現実なのだ。――オクタビオ・パス

人間として、芸術家として、女性であるということの根源的問いを発しつづけた画家レメディオス・バロ。シュルレアリスムの実験的手法、秘教思想に学びつつ、死と再生、人間と世界の宇宙的循環を、画布の上で自由に織りなす独創的な幻想世界を、女性性による創造の秘密から探究する。
「バロはいくつかの作品で、編物をする女性を入れ子構造にし、自分自身の創作行為を描いている。作品制作は、たえず織り直される織物に似て、進展、啓示、閃きがあるが、後戻り、反復、停滞もある。人間と世界のイマージュが決定的に定義されることはなく、つねに刷新されうるのである。」(本文より)

【目次】
第一章 レメディオス・バロとその研究方法
1 マージナルな絵画
2 伝記的要因――バロはシュルレアリストか?
  アカデミックな美術教育 一九〇八―一九二四
  シュルレアリスムへの傾倒 一九二四―一九三一
  前衛芸術家との接触――実験的初期作品 一九三一―一九四〇
  メキシコ亡命とその影響 一九四〇―一九四七
  円熟する創作活動――独創的な作品 一九四七―一九六三
3 ハイブリッドな絵画
4 人物、フォルム、女性の地位――自己探求か?
5 神話的人物像――新しい空間の探求か?

第二章 アポリア
1 抑圧的な運命、耐え忍ぶべき社会的役割 『予感』『塔の方へ』『ご婦人方の幸福』『オーロラ』
2 取るに足らない知識 『突然変異した地質学者の発見』『反抗的な植物』
3 他者の存在の脅威 『曲がりくねった道』『恋人たち』
4 自己観察の虚しさ 『出会い』『模倣』
5 アポリアの人物像

第三章 新たな地平へ
1 神話的時間と地理的空間の探検 『枯葉』『オリノコ河の水源の探検』『不毛の道』
2 キリスト教神話の探求 『邂逅』『奇術師または軽業師』
3 人間の運命の再検討 『天体の狩人』
4 女性の役割の探求 『地球のマントに刺繍しながら』『ミノタウロス』『笛を吹く人』『星光線による創造』『赤い編物をする女』
5 新たな地平を開く人物像

第四章 均衡
1 運命を支配する 『星粥』『宇宙の中心』
2 見いだされたアイデンティティ 『出逢い』『座った女』
3 糸を紡ぐ女のイマージュ 『ヴェロナの編物をする女』『織物をする女』
4 存在の充実、創造的次元 『鳥の創造』
5 均衡のとれた人物像

第五章 独創性
1 独自な空間の構築
1―1 空間の探求
    所与された空間
    選択された空間
    夢想された空間
1―2 独自な空間
    マチエールの効果
    パースペクティヴ
    変容した空間
2 構築、脱構築――地面
  滑らかな地面、固い地面
  変幻自在な地面
  変容した地面
3 光と影
  「なにも見ていない」
  光溢れる宇宙の夜
  影
4 女性人物の表象――身体の夢想
  特徴のない身体
  束縛された身体
  身体の夢想
  気化した身体――表現不可能か?
  他者を宿す身体
5 存在の生地――変容する衣服
  お仕着せの衣服
  衣服、批評の対象
  変容する衣服
  入れ子構造の衣服

結論 バロにおけるエクリチュール・フェミニン

図版一覧

レオメディオス・バロ略歴

参考文献

訳者解説


【著者】
カトリーヌ・ガルシア(Catherine Garcia) パリ第八大学でスペイン文学、スペイン絵画を学び、とくに女性表現者による創作について研究する。スペイン語・スペイン文学のアグレジェ(教授資格保有者)として、現在パリで教鞭をとる。本書は著者初の単著にして、フランス語によるバロに関する最初の本格的なモノグラフィである。
 
【訳者】
湯原かの子(ゆはらかのこ) 上智大学仏文科卒。九州大学大学院、上智大学大学院を経てパリ第四大学文学博士号取得。フランス文学・比較文学専攻。上智大学他非常勤講師。評伝作家。主な著書に、カミーユ・クローデル――極限の愛を生きて』(朝日新聞社、1988)、『ゴーギャン――芸術・楽園・イヴ』(講談社、1995)、『絵のなかの生』(ミネルヴァ書房、2003)、『藤田嗣治――パリからの恋文』(新潮社、2006)、主な訳書に、テレーズ・ムールヴァ『その女(ひと)の名はロジィ――ポール・クローデルの情熱と受苦』(原書房、二〇一一)、クレール・ド・デュラス夫人『ウーリカーーある黒人娘の恋』(水声社、二〇一三)などがある。
 
【関連書】
齊藤哲也『ヴォルフガング・パーレン 幻視する横断者』〈シュルレアリスムの25時〉 3500円+税
齊藤哲也『ヴィクトル・ブローネル 燦光するイメージ』〈シュルレアリスムの25時〉 3500円+税
谷口亜沙子『ジョゼフ・シマ 無音の光』〈シュルレアリスムの25時〉 3200円+税

【湯原かの子の本】
ウーリカ――ある黒人娘の恋 クレール・ド・デュラス夫人 1500円+税

 

6月の新刊:『ホロコーストを逃れて』

2014年 7月 30日

ホロジャケ入稿ホロコーストを逃れて――ウクライナのレジスタンス

ジェニー・ウィテリック

池田年穂訳

46判上製/224頁/定価2500円+税

978−4−8010−0043−8 C0022 6月25日頃発売予定

装幀=齋藤久美子

 

ウクライナのソルカには第二次大戦前、6000人のユダヤ人がいたが、生き延びたのはたった30人。ナチのポーランド侵攻、ユダヤ人迫害に抵抗しユダヤ人家族、脱走した若いドイツ兵をも匿った母と娘。ナチをあざむく母の知恵と武力に頼らぬ闘いの日常とそれぞれの家族の絆の物語。
【目次】
第1部 ヘレナ/第2部 ブロネック/第3部 ミコワイ/第4部 ヴィルハイム/第5部 再びヘレナ/エピローグ/訳者あとがき
【著者】
ジェニー・ウィテリック(Jenny Witterick) 1961年、台湾に生まれる。ウェスタン・オンタリオ大学卒業後、リチャード・アイヴィー・スクール・オブ・ビジネスを修了。本書がデビュー作にして各国語に翻訳されベストセラーとなっている。

【訳者】
池田年穂(いけだとしほ) 1950年、横浜市に生まれる。慶應義塾大学文学部史学科卒業、同大学院修士課程終了。現在、慶應義塾大学教授。専攻、移民論、アメリカ社会史。訳書に『ユダヤ人を救え』『日系人を救った政治家ラルフ・カー』などがあり、『生寡婦』の翻訳でカナダ首相出版賞受賞。

【池田年穂の本】
日系人を救った政治家ラルフ・カー ――信念のコロラド州知事 アダム・シュレイガー 4500円+税
ユダヤ人を救え!――デンマークからスウェーデンへ エミー・E・ワーナー 2800円+税
奴隷制を生きた男たち ジェームズ・ウォルヴィン 3500円+税
石が叫ぶだろう――アメリカに渡った日本人牧師の自伝 シゲオ・シマダ 3500円+税

 

5月の新刊:《水声文庫》『戦後文学の旗手 中村真一郎』

2014年 7月 30日

貞美書影
戦後文学の旗手 中村真一郎――『死の影の下に』五部作をめぐって

鈴木貞美

四六判上製/200頁/定価=2500円+税

ISBN978-4-8010-0040-7 C0095 好評発売中

装幀=宗利淳一

実験的構成の小説により戦後の日本文学を力強く領導した中村真一郎の作品群には戦前・戦中期の歴史が深く刻まれていた。
初期五部作(《死の影の下に》)のテクストと作家をめぐる文芸・文化の状況とを自在に往還しながら、中村真一郎文学の淵源に迫る。

【目次】
序 戦後文学の旗手、中村真一郎

『死の影の下に』

『シオンの娘等』

『愛神と死神と』

『魂の夜の中を』

『長い旅の終り』

注/登場人物一覧/年表/あとがき

【著者】
鈴木貞美(すずきさだみ) 1947年、山口県生まれ。東京大学卒業。博士(学術)。国際日本文化研究センター名誉教授(日本文芸・文化)。専攻、日本近現代における文芸・思想・文化。主な著書に、『日本の「文学」概念』(作品社、1998年)、『日本の文化ナショナリズム』(平凡社、2005年)、『わび・さび・幽玄』(共編著、水声社、2006年)、『生命観の探究』(作品社、2007年)、『「日本文学」の成立』(作品社、2009年)、『自由の壁』(集英社、2014年)などがある。

【鈴木貞美の本】
『わび・さび・幽玄』 鈴木貞美・岩井茂樹編 6000円+税

【中村真一郎の本】
小説構想への試み 2800円+税
続・小説構想への試み 4000円+税
中村真一郎 青春日記 池内輝雄・傳馬義澄編 5000円+税
城北綺譚 解説=菅野昭正 1800円+税
日本古典にみる性と愛 解説=沓掛良彦 2500円+税
全ての人は過ぎて行く 解説=飯島耕一 3000円+税

【中村真一郎手帖】
*各界の論者による評論やエッセイなどを収める、中村真一郎研究の最前線
*①号〜⑨号まで刊(毎年5月刊)
*定価1000円+税(⑧のみ1500円+税)

 

5月の新刊 :《批評の小径》『マラルメ セイレーンの政治学』

2014年 7月 30日

セイレーン=カバー入稿マラルメ セイレーンの政治学

ジャック・ランシエール

坂巻康司/森本淳生訳

装幀=宗利淳一
四六判上製/232頁/定価=2500円+税

978-4-8010-002407 C0098 好評発売中

来るべきフィクションの祝祭

オリジナルが消滅した時代に模倣再現的な表象のコードとヒエラルキーを放棄し、イデーの純粋な描線=エクリチュールによる〈共同体〉を作り出すことを夢見たマラルメ。詩を未来の宗教に変え、出現と消滅とを分節化するフィクションの力とは何か。稀代の哲学者による透徹したマラルメ読解の白眉。

〈マラルメは、セイレーンを、詩それ自体の紋章へと変える。〔……〕セイレーンはもはや、人を欺くフィクション上の存在ではない。セイレーンはフィクションによる行為、フィクションによる宙づりそのものである。〔……〕セイレーンという隠喩が示すもの、詩篇が実現させているものとはまさに、いまだ受容の準備ができていない時代と「想像上の場」において熟慮された、詩の出来事と詩の危険なのである。〉(本書より)

【目次】
序言/詩句という泡/神秘の詩学/霊的心情の頌歌/書物の義務/訳者あとがき

【著者】
ジャック・ランシエール(Jacque Rancière) 1940年、アルジェ生まれ。哲学者。パリ第8大学名誉教授。アルチュセールに師事するもその後訣別。政治哲学、文学批評、美学など幅広い分野で活躍。主な著書に、『プロレタリアの夜』(1981年)、『文学の政治学』(2007年)、邦訳に『感性的なもののパルタージュ――美学と政治』(法政大学出版局、2009年)、『言葉の肉――エクリチュールの政治』(せりか書房、2013年)など多数ある。

【訳者】
坂巻康司(さかまきこうじ) 1967年、埼玉県生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(パリ第8大学)。現在、東北大学大学院国際文化研究科准教授。専攻、フランス文学・比較文学。著書に、『フランス文学小事典』(共著、朝日出版社、2007年)、訳書に、C・ビエ/C・トリオー『演劇学の教科書』(共訳、国書刊行会、2009年)などがある。
森本淳生(もりもとあつお) 1970年、東京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程中退。博士(ブレーズ・パスカル・クレルモン第2大学)。現在、一橋大学大学院言語社会研究科准教授。専攻、フランス文学。著書に、『小林秀雄の論理――美と戦争』(人文書院、2002年)、Paul Valély. La genèse du sujet et l’imaginaire. De la psychologie à la poïétique(Lettre Modernes Minard, 2009)、訳書に『ヴァレリー集成III 詩学の探究』(共編訳、筑摩書房、2011年)などがある。

好評発売中! (価格税別)
【批評の小径】
ロラン・バルト 最後の風景 ジャン=ピエール・リシャール 2000円
フローベールにおけるフォルムの創造 ジャン=ピエール・リシャール 3000円
日本のうしろ姿 クリスチャン・ドゥメ 2000円

【マラルメ関連書】
マラルメの〈書物〉 清水徹 2000円
マラルメと音楽 黒木朋興 7000円
世紀末の白い爆弾 中畑寛之 8000円
〈彼女〉という場所 永倉千夏子 12000円

 

5月の新刊:『マチネ・ポエティク詩集』

2014年 7月 30日

配色見本マチネジャケマチネ・ポエティク詩集

福永武彦、加藤周一、原條あき子、中西哲吉、窪田啓作、白井健三郎、枝野和夫、中村真一郎

A5判上製/244頁/定価4000円+税

978−4−8010−0041−4 C0092

装幀=齋藤久美子

太平洋戦争のさなか、1942年に結成された〈マチネ・ポエティク〉グループの同人たちによってなされた日本語による定型押韻詩の試み。1948年に刊行された初版本を定本に、安藤元雄、大岡信による詳細な解説をも付して、日本語による〈詩の革命〉を再考する。
【目次】序 詩の革命/詩篇 福永武彦 加藤周一 原條あき子 中西哲吉 白井健三郎 枝野和夫 中村真一郎/『マチネ・ポエティク詩集』について 安藤元雄/押韻定型詩をめぐって 大岡信

【中村真一郎の本】
小説構想への試み 2800円+税
続・小説構想への試み 4000円+税
中村真一郎 青春日記 池内輝雄・傳馬義澄編 5000円+税
城北綺譚 解説=菅野昭正 1800円+税
日本古典にみる性と愛 解説=沓掛良彦 2500円+税
全ての人は過ぎて行く 解説=飯島耕一 3000円+税

【中村真一郎手帖】
*各界の論者による評論やエッセイなどを収める、中村真一郎研究の最前線
*①号〜⑨号まで刊(毎年5月刊)
*定価1000円+税(⑧のみ1500円+税)

 

5月の新刊:『ジュール・ヴェルヌ伝』

2014年 7月 30日

ヴェルヌ伝ジュール・ヴェルヌ伝

フォルカー・デース

石橋正孝訳

 

A5判上製/702頁/定価=10000円+税

978-4-8010-0030-8 C0098 好評発売中

装幀=宗利淳一
 

ヴェルヌのすべてがわかる決定版評伝
 
19世紀のブルジョワとして、カトリック、王党派、保守主義の価値観を奉じる、穏当な、あまりに穏当な「市民ヴェルヌ」。自らを語らず、読書と個人の経験を織り交ぜながら、魅力溢れる文学の素材とする「作家ヴェルヌ」。一次資料、未刊行資料を博捜しながら〈驚異の旅〉の新しい読み直しを提唱するヴェルヌ研究の世界的権威による、本邦初のジュール・ヴェルヌ評伝。
「自他に対して苛烈なアイロニーを向けていたこの作家は、個性を主張することを嫌い、ほとんど自己否定の域に達している。それが作品に幸いしたのかどうかは議論の分かれるところであるにせよ、一種の真空のように周囲の介入を呼び寄せ続けていることこそ、ヴェルヌの作家としての個性に他ならない。」(訳者あとがきより)
 

【目次】

第一章 ナント(一八二八―一八三九)
第二章 未来の作家の学校時代(一八三四―一八四八)
第三章 あらゆるジャンルを股にかける情熱――初期作品
第四章 パリにおける法学部生(一八四八―一八五一)
第五章 リリック座の秘書(一八五二―一八五五)
第六章 現代の門口で―十九世紀のパリ
第七章 愛という名の陥穽(一八五五―一八五七)
第八章 金融取引所と美術(一八五七―一八六〇)
第九章 旅の流儀―デビュー前夜(一八五九―一八六二)
第十章 エッツェル、スタール……そしてヴェルヌ
第十一章 作家としての天命に目覚める(一八六三―一八六七)
第十二章 アメリカ合衆国、ル・クロトワ、プロイセン軍の侵攻(一八六七―一八七一)
第十三章 〈驚異の旅〉
第十四章 再始動(一八七一―一八七四)
第十五章 多事多難(一八七五―一八七八)
第十六章 ジュール・ヴェルヌと科学――魅惑と戦慄
第十七章 蒸気を全開にして(一八七八―一八八二)
第十八章 錨を下ろす(一八八二―一八八六)
第十九章 成功という荒波、栄光という迷宮
第二十章 「暗黒の期間」(一八八六―一八八七)
第二十一章 アミアン市議会にて(一八八八―一八九一)
第二十二章 ジュール・ヴェルヌ氏宅にて―その「文学的実験室」の概要
第二十三章 幻滅(一八九二―一八九五)
第二十四章 事件の渦に呑まれて(一八九六―一九〇〇)
第二十五章 長引くお別れ(一九〇〇―一九〇五)
第二十六章 死後の生―奇跡か、いかさまか  

付録一 ガストン・ヴェルヌ関連資料
付録二 ジュール・ヴェルヌの収入および遺書

図版出典一覧
出典と書誌
人名索引

訳者あとがき
 
【著者】
フォルカー・デース(Volker Dehs) 1964年、ブレーメン生まれ。ゲッティンゲン在住。ゲッティンゲン大学、ナント大学で文学・美術史・哲学を学ぶ。ジュール・ヴェルヌ協会会報編集長、ジュール・ヴェルヌ国際センター会員。著書に『ジュール・ヴェルヌ伝』、『ヴェルヌ研究書誌ガイド』ほか。編著に『ヴェルヌ・エッツェル往復書簡集』(全5巻)ほか。ヴェルヌの主要作品のドイツ語訳・解説を手がけるほか、絵本画家としても活躍している。
 
【訳者】
石橋正孝(いしばしまさたか) 1974年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程取得退学。パリ大8大学大学院博士課程終了。博士(文学)。現在、立教大学観光学部助教。日本ジュール・ヴェルヌ研究会会長、フランス・ジュール・ヴェルヌ協会会報編集委員。主な著書に、『大西巨人 闘争する秘密』(左右社、2010)、『〈驚異の旅〉または出版をめぐる冒険』(左右社、2013)、主な訳書に、ジャン=ポール・ドキスほか『ジュール・ヴェルヌの世紀』(東洋書林、2009、共訳)、アンヌ・ボケル、エティエンヌ・ケルン『罵倒文学史』(東洋書林、2011)、アニエス・アンベール『レジスタンス女性の手記』(東洋書林、2012)などがある。
 
【関連書】
水声通信27号《ジュール・ヴェルヌ》 2000円+税

 

4月の新刊:『言語と狂気』

2014年 7月 30日

言語と狂気言語と狂気――シュレーバーと世紀転換期ドイツ

熊谷哲哉

A5判上製/312頁/定価=4500円+税

装幀=齊藤久美子

978-4-8010-0037-7 C0010 好評発売中
 
精神の韻律を読むための
言語による抵抗

フロイト、ラカンの精神医学、キットラーのメディア論、心霊科学、進化思想など、多領域へと接続するシュレーバー『回想録』の「根源言語」の現代的意義を問う。自己/他者、意味/無意味、雑音/音楽を聴取する、シュレーバーによる神経言語の試みを解き明かす。

「シュレーバーにおける知覚ないし精神活動とは、とりもなおさず彼の世界にあふれる言葉である。見られ、聞き取られ、考えられたものごとは、すべて神経に書き込み可能な情報として言葉へと変換可能なものが、神経に感じ取られるのである。…ゆえに神経とは、『回想録』に遍在する言葉と、痛みや病気とともに、自分ひとりの感覚として腐敗や死を受け入れなければならない身体という成立した概念が交差し、せめぎあう場所なのである。この場所こそ、シュレーバーが死者の魂となることも、腐敗した死体となることもなく、時空を超えた現象を知覚し、生と死、この世とあの世の境目を生きる人間として見出した結び目だったのである。」(本文より)

【目次】
はじめに

序章 ダニエル・パウル・シュレーバーと『ある神経病者の回想録』
一、シュレーバーとその一族
二、『ある神経病者の回想録』という本について
三、シュレーバーの『回想録』はどのように読まれてきたか
四、本書の構成

第一章 言語をめぐるたたかい――録音再生装置と雑音の世界
一、雑音
二、抵抗
三、ピアノの破壊、あるいは雑音と音楽が交差するところ
四、音楽と雑音、そして言葉だらけの世界

第二章 光線としての言葉――世界の可視化への欲求
一、『回想録』の出版と「科学的」心霊主義の時代
二、光線とシュレーバーの知的背景
三、光線と図像化される世界
四、可視化される魂の活動
五、外部と内部、あるいは可視化された世界をつなぐ光
六、不可知の領域の発見

第三章 神経と宇宙――カール・デュ・プレルとシュレーバー
一、シュレーバーにおける神経
二、神経と宇宙
三、カール・デュ・プレルの宇宙論とシュレーバー
四、結び目としての神経

第四章 教育者と医者――「魂の殺害」と迫害体験
一、魂の殺害とは
二、迫害者とは父親か――モーリツ・シュレーバー批判と実像
三、もう一人の迫害者、フレックシヒ
四、『回想録』におけるフレックシヒと魂の殺害

第五章 「脱男性化」とは何か
一、「脱男性化」するシュレーバー
二、脱男性化はどう考えられてきたか
三、人体計測者たちの不安と性の動揺
四、生殖と脱男性化
五、腐敗としての脱男性化

第六章 「神経言語」と言語危機の時代
一、言語としての「神経言語」
二、「神経芸術」と言語の危機
三、フロイトにおける空想の問題
四、シュレーバーにおける「書くこと」

第七章 目的・進化・自由意志――神と自然をどう捉えるか
一、シュレーバーにおける宗教的な問題
二、シュレーバーと進化論的世界認識
三、自然発生と自由意志
四、自己意識と隙間に現れる神

終章 シュレーバーと神、そして新たな人類
一、各章のまとめ
二、神とシュレーバーの関係はどう変化したか
三、世界の収束と新たな人類
四、言語と狂気――シュレーバーの言語をめぐる思考と世紀転換期ドイツ



参考文献

索引

あとがき


【著者】
熊谷哲哉(くまがいてつや) 1976年、栃木県生まれ。明治大学文学部文学科卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。専攻、近現代ドイツ文学、ドイツ文化論。現在、京都大学、近畿大学等非常勤講師。著書に『携帯&スマホでドイツ語』(共著、郁文堂、2014年)、『芸術教養シリーズ14 西洋の芸術史 文学上演篇Ⅱ ロマン主義の胎動から世紀末まで』(共著、幻冬舎、2014年)などがある。

 

4月の新刊:『山高帽と黒いオーバーの背』

2014年 7月 30日

山高帽と黒いオーバーの背

山高帽カバー
近藤耕人

四六判上製/232頁/定価=2500円+税

ISBN978-4-8010-0025-4 C0093 好評発売中

装幀=伊勢功治
 
モンマルトルのユトリロ、セーヌ河岸の意識の流れ、ペール・ラシェーズのバルザック、モンジュの『裸の島』、パレ・ロワイヤルのマグリット、地下鉄の女。
みずからのことを決して語ろうとはしない〈わたし〉が、パリをさまよう中で見た光景、出会った人、通り過ぎていった空間と時間……。
現実とフィクションのはざまを往還する珠玉の短編小説集。

【目次】
ダブリンの黒い水溜り
骸骨寺の墓石
山高帽と黒いオーバーの背
世界で会った人びと
あとがき

【著者】
近藤耕人(こんどうこうじん) 1933年、東京に生まれる。東京大学英文科卒。戯曲に『風』(1962年、第一回文芸賞戯曲部門佳作入選)、主な著書に、『映像と言語』(紀伊國屋書店、1965年)、『見ることと語ること』(青土社、1988年)、『アイルランド幻想紀行』(彩流社、1999年)、『ドン・キホーテの写真』(未来社、2002年)、『石の中から聞こえる声』(水声社、2007年)、『ミメーシスを越えて』(水声社、2008年)、『目の人』(彩流社、2012年)、主な訳書に、スーザン・ソンタグ『写真論』(晶文社、1979年)、ジェイムズ・ジョイス『さまよえる人たち』(彩流社、1991年)などがある。

【近藤耕人の本】[価格税別]
石の中から聞こえる声 2500円
ミメーシスを越えて――ヨーロッパ文学における身体と言語 4000円

 

4月の新刊:中村真一郎手帖⑨

2014年 7月 30日

中村手帖9書影中村真一郎手帖⑨

中村真一郎の会 編

A5判並製/120頁/定価=1000円+税

ISBN978-4-8010-0039-1 C0091

装幀=齋藤久美子

〈中村真一郎の会〉機関誌の第9号。
池澤夏樹「『夏』を読む」の他、翻訳論、作品論、エッセイなどを多数収録する、中村真一郎研究の最前線。

【目次】
中村真一郎さんの思い出 加賀乙彦
『夏』を読む 池澤夏樹
昭和37年の全体小説論 井上隆史
翻訳家・中村真一郎 三枝大修
中村真一郎と電パチ 貴船哲治
中村真一郎と信仰 Sr. ムジカ 中村香織
中村真一郎と村次郎と芥川比呂志 深澤茂樹
中村真一郎とジャン・ジロドゥ
真一郎の綴り方と図画 松本茂

連載
中村真一郎に甦るネルヴァル――女優の問題(3) 小林宣之
豪徳寺二丁目猫屋敷(8) 木島佐一

短信/趣意書/会則

【中村真一郎手帖】
*各界の論者による評論やエッセイなどを収める、中村真一郎研究の最前線
*①号〜⑨号まで刊(毎年5月刊)
*定価1000円+税(⑧のみ1500円+税)

【中村真一郎の本】
小説構想への試み 2800円+税
続・小説構想への試み 4000円+税
中村真一郎 青春日記 池内輝雄・傳馬義澄編 5000円+税
城北綺譚 解説=菅野昭正 1800円+税
日本古典にみる性と愛 解説=沓掛良彦 2500円+税
全ての人は過ぎて行く 解説=飯島耕一 3000円+税

 

4月の新刊:『諷刺画家グランヴィル』

2014年 7月 30日

諷刺画家グランヴィル諷刺画家グランヴィル――テクストとイメージの19世紀

野村正人
A5判上製/424頁/定価=6000円+税
装幀=宗利淳一
978-4-8010-0029-2 C0098 好評発売中

 

挿絵画家として戦うこと

19世紀の視覚文化を体現した諷刺画家グランヴィル。観相学、骨相学の影響下、獣頭人間を使った政治や社会風俗を諷刺する肖像画や風俗画から、ロマン主義的挿絵本、『寓話』『ガリヴァー旅行記』等の挿絵の制作にいたるまで、徹底して挿絵画家で有り続けたのはなぜなのか? グランヴィルの作品世界を読み解き、出版・文化史的観点から考察する。

「グランヴィルが文章と挿絵を同時につくる企画に関心を持っていたのは[……]文章にたいする挿絵の従属性を乗り越えようとする信念を持っていたからである。挿絵は文章の添え物にとどまったり、先行する文章の意味を説明する役割に甘んじたりするのではなく、ひとつの独立した創作物であるべきであり、また、ともすれば軽視されがちな挿絵画家は芸術家として評価されなくてはいけない、と考えたのである。」(本文より)

【目次】
序章 グランヴィルの生涯

第一章 フランスの出版文化とその背景
1 二つの出版革命
   グーテンベルクの革命
   十九世紀の出版革命 
2 出版文化と技術革新
   紙と印刷機
   版画の技術革新
   テクストとイメージの共存
   交通と通信の発展
   腕木通信と電信
3 出版文化と社会
  フランス大革命と印刷物
  出版業界の世代交代
  出版革命の停滞
  出版界の飛躍的発展
  読者層の変化
  教育の普及
4 出版界の変化
  書物の価格と読書室
  新聞小説の誕生
  書籍の値下げ
  新聞と書籍の競合
  編集・出版者の使命
  ロマン主義挿絵本

第二章 顔――内面を映す鏡
1 グランヴィル『今日の変身物語』
2 観相学と骨相学
  古代・中世の観相学
  デッラ・ポルタの観相学
  ル・ブランの観相学
  ラファターの観相学
  骨相学の流行
3 顔と諷刺
  顔と表情への関心
  肖像画と風俗画
  ボワイイの「表情さまざま」
  グランヴィルの「表情さまざま」
  観相学の流行
  観相学の応用
  顔の単純化
  顔と狂気
  狂気と諷刺
  ドーミエと狂気
  グランヴィルと狂気
4 観相学と生態研究
  観相学の拡張
  バルザックと生態研究
  「外見から判断される内面」
  「歩き方の理論」
  『群衆の人』
  グランヴィルと生態研究
  モードの諷刺
5  人間と動物のアナロジー
  動物の寓意
  人間の頭と動物の身体
  「博物学の陳列室」
  動物の頭と人間の身体―光学と観相学
  幻灯
  変身の中間状態
  動物類似の試み
  グランヴィルとラファター
  形態類似の想像力

第三章 政治諷刺の経験
1 判じ絵としての諷刺画
  七月王政期の諷刺新聞
  「検閲の復活」
  「ガルガンチュア」
  詩と絵画
  判じ絵としての図像
  政治諷刺画の変化
  挿絵の難解さ
2 『カリカチュール』の連作
  グランヴィルの連作
  「自由の女神征伐のための大十字軍」
  言葉とイメージ
  肖像画の問題―グランヴィルとドーミエ

第四章 ラ・フォンテーヌ『寓話』の挿絵
  グランヴィルとラ・フォンテーヌ
1 ラ・フォンテーヌ『寓話』の挿絵本
  十七世紀のラ・フォンテーヌ『寓話』
  十八世紀のラ・フォンテーヌ『寓話』
  十九世紀のラ・フォンテーヌ『寓話』
2 グランヴィルによる『寓話』の挿絵
  グランヴィルの挿絵の特徴
  寓話詩の挿絵と動物
  博物学と動物園
  図像としての動物
3  動物の世界と人間の世界
  獣頭人間と寓話
  グランヴィルの試行錯誤
  テクストに忠実な挿絵
  動物と小道具
4 挿絵が示すもの
  場面か解釈か
  動物と人間の並行関係
5 『寓話』と同時代の諷刺
  挿絵の時代設定
  『寓話』と政治諷刺
  『寓話』と社会諷刺
6  グランヴィルその後
  ギュスターヴ・ドレの挿絵

第五章 グランヴィルと『動物たちの私的公的生活情景』
1 『動物たちの私的公的生活情景』の企画
  『動物たちの私的公的生活情景』の概要
  『動物たちの私的公的生活情景』の趣意書
2 『動物たちの私的公的生活情景』の制作過程
  エッツェルの仕事
  エッツェルと作家たち
  エッツェルにおける理想の本
  編集・出版者の力と限界
3 『動物たちの私的公的生活情景』におけるテクストとイメージ
  作品の扉絵とエピローグ
  獣頭人間による諷刺
  『アフリカライオン、パリへの旅』の物語
  『アフリカライオン、パリへの旅』の挿絵
  パリのカフェ 
  動物たちのカーニヴァル
  『白ツグミ物語』の挿絵

第六章 『もうひとつの世界』の挿絵
  『もうひとつの世界』という作品
1 文学と挿絵の確執
  挿絵画家の独立宣言
  事件の経緯
  文筆家と挿絵画家の確執
2 テクストとイメージの共存
  出版文化と芸術家の協調
3 文学から見た挿絵
  バルザックと挿絵
  挿絵にたいする反感――ラジュヌヴェ
  挿絵への不信――フローベール
4 イギリスとフランスの挿絵
  イギリスの事情
  ディケンズと挿絵
  イギリスとフランスの違い
5 リアリズム以降の挿絵
  挿絵本の転機
  「画家の本」
  挿絵画家から芸術家へ
6 空想旅行記としての『もうひとつの世界』
  空想旅行の系譜
  ユートピア文学の構成要素――(1)旅の目的
  ユートピア文学の構成要素――(2)ユートピアの場所
  『もうひとつの世界』の諸国遍歴
  巨人と矮人
  ユートピア文学の構成要素――(3)旅の手段
  『もうひとつの世界』の旅行術
7 異種混合のヴァリエーション
  博物学的な変身――「植物園の午後」
  カーニヴァル的変身
  動物間の異種混合
  さかさまの世界
  「四月の魚」
  「変身もの」の拡張――「貯金箱の行進」
  諷刺とペシミズム
8 形態の連続的変化
  ジョフロワ・サン=ティレールの自然観
  形態の絶えざる変容
  夢のイメージ
9 グランヴィルの宇宙論
  宇宙論とブルジョワの神話
  宇宙のアレゴリー
  ものの悪意
  十九世紀的なアレゴリー
  観念と表現の齟齬
  「モザイク」的な出版文化
  テクストとイメージの戦い 

終章 最後のグランヴィル

補遺 蟬はどこに消えたのか――ラ・フォンテーヌの「蟬と蟻」
  「蟬と蟻」
  蟬と歌
  十八世紀までの蟬の形象化
  人間の顔をした蟬
  諷刺としての寓話
  芸人の神話的イメージ
  二本足で立つ蟬
  蟬とキリギリスの混同
  グランヴィルの「蟬と蟻」
  日本の蟬のゆくえ

 図版一覧



文献一覧

人名索引

あとがき


【著者】
野村正人(のむらまさと) 1952年、愛知県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程(仏文学)満期退学。ギュスターヴ・フローベール『ボヴァリー夫人』についての研究でパリ第4大学博士号取得。東京農工大学工学部教授(同大学名誉教授)を経て、2005年より、学習院大学文学部フランス語圏文化学科教授。主な著訳書に、アラン・コルバン『時間・欲望・恐怖――歴史学と感覚の人類学』(共訳、藤原書店、1993)、『言葉と〈言葉にならぬもの〉との間に』(共著、行路社、1995)、パトリック・バルビエ『カストラートの歴史』(筑摩書房、1995)、ベルナール・コマン『パノラマの世紀』(筑摩書房、1996)、エミール・ゾラ『金』(藤原書店、2003)、『ロラン・バルト著作集6 テクスト理論の愉しみ』(みすず書房、2006)などがある。

 

4月の新刊:『哲学とナショナリズム』

2014年 7月 30日

哲学ナショ書影
哲学とナショナリズム――ハイデガー結審

 

中田光雄

A5判上製/298頁/定価=4000円+税

ISBN978-4-8010-0011-7 C0010 好評発売中

 

ハイデガーにとってナショナリズムとは、ナチズムとは何だったのか? そして彼の哲学は《現実》といかに切り結んだのか?

ナショナリズムの理念と存在概念の再検討を通して、いまなお議論を誘発しつづける〈ハイデガーとナチズム〉の問題設定を刷新する。

 

【目次】
要旨

まえがき
〈ハイデガーとナチズム〉論争史の現状
〈ハイデガーとナチズム〉批判と審判のルール
〈ハイデガーとナチズム〉成立の場と止揚の場

序 未公刊講義ゼミの新公刊――E・ファユによる告発とS・ジジェクの再審
1 国家と総統国家
2 民族と人種
3 〈人間とは何か〉〈われわれとは誰か〉〈われわれは真に存在しているか〉
4 ハイデガー、もうひとつの「未完のプロジェクト」

Ⅰ 「存在」……とは? 端的に言って……
1 〈〜である〉(Was-sein)と〈〜がある〉(Daß-sein)――極限概念としての「存在」
2 脱−形而上学的な、動き(Bewegung)、運動(Bewegung)、道の生起(Be-weg-ung)としての「存在」

Ⅱ 「われわれ」の時間性と動態性(Bewegtheit)
1 我、実存・現存在、現−存在、世界−内−存在
2 民族、国家、国民
3 歴史

Ⅲ ハイデガー、ドイツ・ナショナリズム、ドイツ哲学
1 ナショナリズムとドイツ・ナショナリズム
2 ドイツ哲学と政治――西欧・英米の観点から

Ⅳ ハイデガーとナチズム
1 ハイデガーにとってナチズムは「運動」(Bewegung)である
2 ハイデガーにとっての「ナチズム運動」(Be-weg-ung)

結 ナチズム運動からヨーロッパ運動へ
1 〈Bewegung〉概念――圧縮と開展
2 〈Be-weg-ung〉事態――現在と未来

注/参考文献/あとがき
【著者】
中田光雄(なかたみつお) 1939年生まれ。東京大学教養学部教養学科卒。同大学院人文科学研究科博士課程中退。パリ大学大学院哲学科博士課程修了。仏国文学博士(Doc. es Lettres)。筑波大学名誉教授。仏国学術勲章。主な著書に、『ベルクソン哲学』(東京大学出版会、1977年)、『抗争と遊戯』(勁草書房、1987年)、『文化・文明』(創文社、1990年)、『政治と哲学』(上下、岩波書店、2002年)、『ベルクソン読本』(共著、法政大学出版局、2005年)、『正義・法−権利・脱−構築』(創文社、2008年)、『現代を哲学する』(理想社、2008年)などがある。

【中田光雄の本】
現代思想と〈幾何学の起源〉――超越論的主観から超越論的客観へ 4000円+税
差異と協成――B・スティグレールと新ヨーロッパ構想 5000円+税