4月の新刊:『ミラーさんとピンチョンさん』

2013年 4月 22日

mp02ミラーさんとピンチョンさん

レオポルト・マウラー/波戸岡景太訳

A5判並製/184頁/定価=1500円+税
978-4-89176-964-2 C0098 4月25日頃発売予定
装幀=宗利淳一+田中奈緒子



「ピンチョン、おれたちは道に迷ったのか?」

世界の崖っぷちをあざやかに描く、
オフビートなグラフィック・ノベル、ついに初来日!


軽妙な描線に導かれる 乾いた笑い そして憂鬱……。


野暮ったい測量器具を片手に荒野をゆく2人の中年男、その名もミラーとピンチョン。くしくも現代アメリカを代表する作家と同じ姓をもつ、彼らのゆく手に待ち受けるのは、女、ワニ、奇蹟、金星、そしてオオカミ少年……?ウィーン発、新世紀型エンターテインメント!


e38394e382afe38381e383a3-8ヘンリー・ミラーとトマス・ピンチョンをおもわせる主人公たちが、『メイスン&ディクスン』さながらに荒野を測量しながら旅をする、というロード・コミック、ついに日本初上陸!

簡潔ながらも的確な描線が余韻のある笑いをうまく引き出して、ちょっとつげ義春を思わせる描写の数々。そして伏線に満ちた展開が、最後まで読むものをひっぱり続けます。ミラーやピンチョンを読んでなくても楽しめることうけあい、読み終わったらミラーやピンチョンが読んでみたくなることもうけあい、です!(原書2009年刊)

長めの解説を寄せている訳者の波戸岡景太さんのブログでも、作者やキャラクターたちの紹介などが随時アップされています。あわせてご覧ください!(→

また、女優で熱心な読者家としても知られる 小橋めぐみさん にも、さっそくとりあげていただきました(→)。小橋さん、ありがとうございます!


【好評既刊】
ピンチョンの動物園 波戸岡景太 2800円+税
動物とは「誰」か? 波戸岡景太 2200円+税
コンテンツ批評に未来はあるか 波戸岡景太 2500円+税
ヘンリー・ミラー・コレクション 各2500〜5000円+税

 

『ただ影だけ』作品ガイド

2013年 4月 22日

e3819fe381a0e5bdb1e381a0e38191efbc9de382abe38390e383bc小社の新たなラテンアメリカ文学シリーズ〈フィクションのエル・ドラード〉の第1弾として発売後ご好評をいただいている、セルヒオ・ラミレス『ただ影だけ』(寺尾隆吉訳)では、原作者がニカラグアの元副大統領ということもあり、ニカラグアで実在した人物、実際にあった事件にインスピレーションを受け、史実とフィクションを織り交ぜながらさまざまな仕掛けを施しながら、独自の物語空間を展開しています。

そこで今回は、在ニカラグア日本大使館で勤務経験もあり、ニカラグアの政治が専門でいらっしゃる笛田千容さんに、物語を読む際のキーとなるニカラグアの歴史について解説をいただきました。『ただ影だけ』を読んだ後に一読していただけると、より一層作品の理解が深まるのはもちろんのこと、本を開く前にも本書のガイドとしてお読みいただけるものとなっております。

また本書は、新刊・既刊・ジャンルを問わず本を紹介している書評サイト「 Book Newsでも取り上げて頂きました。ラテンアメリカ文学の背景や、作品に登場する(実在する)歌の動画も載せてあり、大変わかりやすい紹介です。そちらもあわせて御覧ください。



こっち側のブタ野郎」はいかにしてつくられたか

——セルヒオ・ラミレス『ただ影だけ』の歴史的背景

ニカラグアは南北アメリカ大陸をつなぐ中米地峡に位置する。太平洋と大西洋、両洋間の結節点という地理的特徴から、中米地峡を貫く交通路の重要性は、スペイン植民地時代から認識されていた。しかしそれが運河計画という形で浮上するのは、カリフォルニアが米国に併合され、ゴールドラッシュに沸き始めた1848年以降のことである。翌1849年、米国の運輸王コーネリアス・ヴァンダービルトは、同国の東海岸とサンフランシスコを結ぶニカラグア航路を創業し、ニカラグア運河計画の先鞭をつけた。蒸気船でカリブ海からコスタリカとの国境沿いを流れるサン・フアン川を遡上し、淡水湖としては世界屈指の規模を誇るニカラグア湖を横断する。そこから太平洋岸までは幾つかの異なるルートが想定されるが、距離にしてパナマ地峡のおよそ四倍。それでも、標高差が小さいニカラグア地峡は、運河建設の有力な候補地とされた。

はじめにニカラグア運河計画について触れた理由は、それがこの物語の遠景をなす19世紀後半から20世紀前半にかけての歴史的事件――ウィリアム・ウォーカーの侵略や、サンディーノ戦争――と密接に絡んでいるからである。保守党の将軍ポンシアーノ・コラルを処刑し、ニカラグアの大統領に就任した自由党側の米国人傭兵隊長ウォーカーの背後には、ニカラグア地峡通行権の独占を目論む米国資本の思惑が渦巻いていた。パナマ地峡における運河建設・管轄権の取得を画策した結果、1903年にパナマをコロンビアから独立させた米国政府は、ニカラグア運河計画をドイツや日本に持ちかけた自由党の独裁者ホセ・サントス・セラヤに対する保守党のクーデターに力を貸した。そして、自由党の反乱を抑えるために海兵隊を派遣し、米国への運河建設権の譲渡を含む「ブライアン=チャモロ協定」(1911年)を締結した。但し、その代償として海兵隊は、自由党の将軍アウグスト・セサル・サンディーノ率いる国民主権防衛軍との戦いに手を焼くことになる。

保守党と自由党の抗争は独立後の中南米諸国に共通するが、ニカラグアの場合、運河計画などをめぐる米国の干渉に晒された結果、保守党政権が長く続いた。19世紀後半、周辺国で自由主義が支配的となっても、ニカラグア自由党は侵略者ウォーカーを招き入れた不始末により権威を失墜していたため、なかなか政権をとることができなかった。ようやく登場したセラヤ自由党政権(1893-1909年)は前段のとおり、米国政府が後押しする保守党のクーデターにより失脚した。

そのことは、ニカラグアの資本家階級の発達の仕方に次のような影響を与えた。保守党と自由党は同国最古の都市グラナダとレオンをそれぞれ本拠地とする。保守党が砂糖や牧畜、商業などを手掛ける一方、自由党はコーヒーや綿花といった先進工業国向け一次産品の栽培を導入し、商業営利的農業の拡大と国際市場への参入を推進した。むろん、作中で保守党の名家であるチャモロ一族が綿花事業を手掛けているように、経済活動と党派制は完全に一致するものではない。とはいえ、セラヤ政権による自由主義改革が短命に終わったニカラグアでは、同時期の隣国エルサルバドルやグアテマラで見られたような、強大な権力を持つ「コーヒー・オリガルキー」は台頭しなかった。彼らによって土地を取り上げられた先住民や、農園で働く貧しい人々の反乱を抑えるために、資本家階級が軍部を重用し、権力を握らせることもなかったのである。

以上のような歴史的背景――強力な国軍の不在と米国海兵隊の駐留、自由主義改革の頓挫と国の実権を掌握する資本家階級の不在――が、ソモサ個人および一族による独裁を可能にした。中規模コーヒー農園主の息子アナスタシオ(通称タチョ)・ソモサ・ガルシアは、海兵隊が撤退前に創設を指導した国家警備隊の総司令官の座に就くと、サンディーノを暗殺し、自由党を牛耳り、大統領の座に就いた。そして、事実上の国軍となった国家警備隊を基盤に、タチョ、その長男ルイス、そして本作の中心人物の一人で、「ソモサ王朝」最悪の恐怖政治を敷いた次男アナスタシオ(通称タチート)の、三代にわたる独裁体制を築いたのである。

タチョは米国への留学経験から英語に堪能で、同国に挑戦的な態度をとることもなく、善隣政策(国家主権の尊重など)を掲げつつも自国の対外政策に従順であることを中米・カリブ地域諸国に期待する米国政府にとっては、都合の良い独裁者であった。そのことを端的に表すのが、フランクリン・ルーズベルト大統領の発言として伝わる「ソモサはブタ野郎だが、こっち側のブタ野郎だ」というわけである。冷戦が深刻化するなか、独裁の長期化も容認された。父親のタチョから国家警備隊総司令官の座を継承し、1967年に大統領の座に就いた次男タチートは、米国のウェストポイント陸軍士官学校仕込みの腕にものを言わせて、反対派や革命勢力を弾圧した。タチートの息子アナスタシオ(通称チグイン)・ソモサ・ポルトカレロは、高齢化・官僚化し始めた国家警備隊のいわば活性剤として、新たに創設された歩兵訓練学校(EEBI)の長官に就任した。そして、ベトナム戦争帰りの元米軍特殊部隊戦闘員を顧問に招聘し、若手精鋭部隊を操って白色テロを展開した。

ソモサは急速かつ不正に富を蓄積しながら、その恩恵に預かろうとする側近や、独裁者に協力的な経済界のメンバーからなる権力集団を形成していった。まず、米国が第二次世界大戦に参戦したことをうけてニカラグア政府も枢軸国に宣戦布告すると、ドイツ人移民やイタリア人移民の資産(コーヒー農園など)を接収し、私物化した。先住民の共有地を解体し、コーヒーや綿花の栽培地を広げた。作中、タチートが手掛ける肉用生体牛の輸送船が出航するが、これはもともと牧畜を手掛けていた南東部(保守党)の経済エリートにコスタリカやパナマへの肉牛の輸出を禁じ、一族が独占したものである。ラニカ航空や国営宝くじ会社も、1960年代頃に多角化されたソモサ系企業の一例である。なかでも国民の恨みをかったのは、貧窮者から血液を買いとり、抽出した血漿(プラズマ)を米国の医療業界に販売していたプラズマフェレシス社である。国民の「血」を売り渡すという、吸血鬼的イメージが政権に与えたダメージもさることながら、そのことを批判した『プレンサ』紙社主・主筆ペドロ・ホアキン・チャモロが暗殺されたことで、国民の間に抗議の波が広がったことは作中にあるとおりである。

一方、ソモサ一族、およびソモサ派と呼ばれる権力集団を敵手とするニカラグアの革命運動は、階級闘争を掲げる人々を含みながらも、多分に階級横断的な国民運動としての性格を持ち合わせていた。キューバ革命に刺激を受けて武装したサンディニスタ民族解放戦線(FSLN)が、反米・反帝国主義の英雄サンディーノをシンボルに掲げたことにも、その一端が表われている。かつてサンディーノ戦争に参加したエルサルバドルの革命家ファラブンド・マルティは、階級闘争よりもナショナリズムに燃えるサンディーノとの温度差を感じて連帯を諦め、距離を置くようになったと言われる。ニカラグアの革命運動は当時既に、資本家階級を敵手とする隣国エルサルバドルの革命運動とは異なる性格を見せ始めていた。

それ故か、ニカラグアのエリート層はFSLNを必ずしも敵視しない。作中人物イグナシオ・コラルのように、社会正義を求めてFSLNに協力するのも、決して珍しいことではなかった。チグインの手下に暗殺された新聞社社主ペドロ・ホアキン・チャモロは保守党の名家の出身で、その未亡人ビオレタ・チャモロは1990-97年の大統領だが、彼らの四人の子供のうち、二人はFSLNのメンバーである。FSLNの「クリスマス作戦」で唯一命を落としたカスティージョ前農牧大臣(作中ではパラシオス前国家開発院長官)の娘は、その後ソモサ派ではなく、父親の仇とも言えるFSLNの一員に加わっている。ニカラグア革命は、その階級横断的な性格が、ときに出自や身分によって隔てられた人々を結びつけ、ときに家族や友人たちを引き離してきたのである。

最後に、本作では実在した人物や事件とラミレスの創作が錯綜するが、特筆すべきは主人公アリリオ・マルティニカと、「性悪のメサリナ」である。前者はタチートの腹心として国会議長などを務めたコルネリオ・ヒュック、後者はタチートの愛人ディノラ・サンプソンを強く彷彿とさせる。以下、この二人の人物を中心に、物語の背景やその後日談などについて述べる。

ディノラ・サンプソンは、もともとラジオ局に務める典型的なパーティー・ガールであった。それが1962年頃タチートに引き合わされ、家屋敷などを与えられて贅沢三昧の生活を送るようになり、国の財産で奢侈淫逸にふける独裁者のイメージを国民に植え付けた。タチートの側近らに自分への忠誠を誓わせるなど、愛人の威を借りて女帝のように振る舞っていた。作中、メサリナのイメージを「マラカニアン宮殿に外国製靴三千足」で知られるフィリピンの元独裁者夫人イメルダ・マルコスに重ねているのも頷ける。

影のファーストレディであるディノラに対し、公式のファーストレディであるホープ・ポルトカレロは、良くも悪くも、同国の上流階級を象徴する存在である。母親は名門テバイレ=サカサ一族の出身で、自身はマイアミで生まれ育った。ジャクリーヌ・ケネディ米大統領夫人と並び称される社交界のファッション・リーダーで、一族と縁の深いニカラグアの国民的詩人ルベン・ダリオの名を冠した国立劇場の建設計画に尽力した。

二人の確執(というか、この場合ディノラの一方的な嫌がらせ)が関係省庁を巻き込んで劇場建設の妨げになったというのは、あり得る話のように思われる。ただし、同計画が始動したのは1966年だが、1967年にルイスからタチートへの政権交代があり、その後ルイスが他界したことなどから空白期間が生じた可能性もある。1972年のマナグア大地震に耐えられたほどの建造物であるから、基礎工事などに予定外の時間を費やしたかもしれない。いずれにせよ、本来であればダリオの生誕百周年にあたる1967年頃を目指していたはずの劇場の完成が、1969年までずれこんだことは事実である。

コルネリオ・ヒュックは、自由党党首や国会議長などを歴任し、非軍事面から独裁政権を支えた。妻のリア・プラタも、自由党女性部の幹部に名を連ねた。詳細は定かではないが、革命の二年ほど前にタチートとの関係がこじれたことは事実のようである。ヒュックは1979年、家族を国外に脱出させた後、所有していた農園から誘拐・殺害され、1994年に遺体で発見された。遺体はパジャマ姿のまま、後ろ手に縛られていたという。

主人公アリリオ・マルティニカが民衆裁判にかけられるくだりは、革命後、必ずしも旧ソモサ派とは言えない企業や私邸までをも接収の対象とし始めたFSLNのやり方を彷彿とさせる。それは、広場にFLSNの支持者を集め、誰それの私有財産を接収することの是非を問い、拍手や歓声をもって正当性を確保するというものである。むろん、コルネリオ・ヒュックは紛う方なきソモサ派であるから、その財産は政令に基づき申し分なく接収されたであろう。

ただし、接収された財産の行方は必ずしも明確ではない。不動産ロンダリングが横行し、国の登記制度や財産調査制度に大きな欠陥があるからだ。ヒュックがリバス県トーラ市内に所有していた美しい海辺の土地(作中名はサンタ・ロレナ)は近年、米国資本等によるリゾート開発候補地として脚光を浴びると同時に、名義がごちゃごちゃになっていることも露呈した。果たして、1980年代のサンディニスタ政権期に軍部から外国人投資家などを経てヒュックの遺族に買い戻されたのか、ボラーニョス政権期に公的部門持株会社(CPONRAP)からアレマン前大統領の関連会社に渡ったのか、依然として国有地なのか。同一の不動産に対し異なる不動産権の主張がある。

一方、マサヤ市の邸宅は市庁舎として使われている。2001年、そこに市長として初登庁したのは、ヒュックの孫のカルロス・イバン・ヒュックである。1994年、祖父の遺体埋葬のために一族の亡命先であるマイアミより帰国したカルロスは、ニカラグア政界でのしあがれると思ったのか、そのまま同国に留まった。そして、政治に関与してはならないという母親の以前からの言いつけに背き、一族の出身地であるマサヤの市長選に出馬し、当選を果たしたのである。そして任期満了から二年後の2008年、在任中の公金横領と不正蓄財で起訴される。

このように、汚職そして法治の欠如という、本作で描かれる権力の濫用の副産物は、今日もニカラグアに暗い影を投げかけている。


笛田千容
(東京大学大学院総合文化研究科北米・中南米地域文化講座助教)

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フィクションのエル・ドラード

ただ影だけ

セルヒオ・ラミレス/寺尾隆吉訳
装幀=宗利淳一デザイン
四六判上製/328頁/定価=2800円+税
978-4-89176-950-5 C0397 4月5日頃発売予定

小社より新たなラテンアメリカ文学シリーズ、
〈フィクションのエル・ドラード〉刊行開始!


アイロニーと距離感、内面性とユーモア。
セルヒオ・ラミレスは銅のような三面記事から
言葉と想像力で黄金を生み出す錬金術師だ。——カルロス・フエンテス


1979年、ソモサ独裁政権の崩壊を目前に控えたニカラグア、ソモサの私設秘書官として権力の影で活動していたアリリオ・マルティニカは海からの逃亡を企てるも革命軍に捕らえられ、独裁政権の悪行に加担した嫌疑で民衆裁判にかけられる……

証言、尋問、調書、供述、手紙。事実のなかに想像を巧みに織り交ぜ、鮮烈な描写と圧倒的な語りの技法のもとに、歴史的事件の裏側をフィクションの力で再構築する現代ラテンアメリカ文学の新たな傑作。

 

4月の新刊:『ヴァレリーの芸術哲学、あるいは身体の解剖』

2013年 3月 31日

e383b4e382a1e383ace383aae383bce69bb8e5bdb1ヴァレリーの芸術哲学、あるいは身体の解剖

伊藤亜紗

四六判上製/280頁/定価=3000円+税
978-4-89176-926-0 C0098 4月3日頃発売予定
装幀=前田晃伸



読者を開放せよ!
読者に身体を与えよ!
身体の未知なる機能を開拓せよ!


詩を使って身体を解剖し、機能を開拓する——20世紀最大の詩人ポール・ヴァレリーが夢見た「純粋性」とは何だったのか。『カイエ』等の膨大な断片から、作品論、時間論、身体論を再構成する作業を通じて、その謎に迫る。気鋭の研究者による画期的なヴァレリー論。

《しかし、われわれはあまりにも、ヴァレリーを「書くこと」に閉じ込めすぎたのではないか。(……)作品が社会に流通して読者のもとにとどくという事実にヴァレリーはきわめて自覚的であったし、この事実について思考をめぐらした結果、みずからの創造性を、この創造以降のプロセスに賭けていたようにさえ見える。別の言い方をすれば、ヴァレリーの創造行為は、書くという狭義の創造が終わったあとの過程をも含むと考えるべきではないのか。もちろんそれは作者の手のおよばない領域だ。しかし、手がおよばないからこそ可能であるような創造もあるのではないか。ヴァレリーの「もうひとつのプロジェクト」とは、そのような創造後の創造に関わるものだ。》(本文より)


【目次】


序 創造後の創造


Ⅰ 作品
第一章 装置としての作品
第二章 装置を作る

Ⅱ 時間

第一章 形式としての「現在」
第二章 抵抗としての「持続」——注意をめぐって
第三章 行為の法則化——リズムをめぐって

Ⅲ 身体

第一章 《主観的》な感覚
第二章 生理学





おわりに——ひとつの夢を本気で見ること

 

4月の新刊 :『ただ影だけ』

2013年 3月 27日

e3819fe381a0e5bdb1e381a0e38191efbc9de382abe38390e383bcフィクションのエル・ドラード

ただ影だけ

セルヒオ・ラミレス/寺尾隆吉訳
装幀=宗利淳一デザイン
四六判上製/328頁/定価=2800円+税
978-4-89176-950-5 C0397 4月5日頃発売予定



小社より新たなラテンアメリカ文学シリーズ、
〈フィクションのエル・ドラード〉刊行開始!


アイロニーと距離感、内面性とユーモア。
セルヒオ・ラミレスは銅のような三面記事から
言葉と想像力で黄金を生み出す錬金術師だ。——カルロス・フエンテス


1979年、ソモサ独裁政権の崩壊を目前に控えたニカラグア、ソモサの私設秘書官として権力の影で活動していたアリリオ・マルティニカは海からの逃亡を企てるも革命軍に捕らえられ、独裁政権の悪行に加担した嫌疑で民衆裁判にかけられる……

証言、尋問、調書、供述、手紙。事実のなかに想像を巧みに織り交ぜ、鮮烈な描写と圧倒的な語りの技法のもとに、歴史的事件の裏側をフィクションの力で再構築する現代ラテンアメリカ文学の新たな傑作。

◎ 次回配本は2013年5月、現代アルゼンチン文学の最重要作家、
フアン・ホセ・サエールの『継子』(仮)を予定しております。どうぞご期待ください。

 

4月の新刊:『褐色の世界史』

2013年 3月 23日

e8a490e889b2e381aee4b896e7958ce58fb2_cover褐色の世界史――第三世界とはなにか

ヴィジャイ・プラシャド/粟飯原文子 訳

四六判並製/2段組447頁/定価4000円+税
ISBN978-4-89176-927-7 C0022 3月末日〜4月1日頃発売





「第三世界というプロジェクト、それはこれまでヨーロッパが

答えられなかった問題を解決することなのだ」――フランツ・ファノン


焦眉の世界情勢をとらえるうえで、必読の1冊!

アジア、アフリカ、ラテンアメリカ、そしてアラブなどで、なぜ、いまも「問題」が勃発するのか。焦眉の世界情勢を歴史的にとらえるためのスタンダードワーク。激動の20世紀を〈第三世界〉の視座から描き出し、その未発のままの歴史/運動/現在をトータルに概括する話題の書。気鋭の訳者による渾身の解説(50枚)を付す。



【本書に寄せられた讃辞】

I・ウォーラーステイン
「今日実行可能な政治プログラムを策定するうえで不可欠な知識」

E・ガレアーノ
「正史や主流メディアの陰に潜む輝かしい世界を発見する手がかり」

P・ギルロイ

「ヴィジャイ・プラシャドは貴重な歴史資源を掘り起こした」

 

4月の新刊:『三島由紀夫 〈表面〉の思想』

2013年 3月 23日

e4b889e5b3b6e794b1e7b480e5a4ab_cover三島由紀夫  〈表面〉の思想

川上陽子

A5判上製/275頁/定価=4000円+税
ISBN978-4-89176-949-9 C0095 3月末日〜4月1日頃発売!




〈私〉という牢獄——。

明晰かつ鍛錬された思考をもって戦後文学/思想を牽引した三島由紀夫にとって、〈私〉とは誰だったのか?
『仮面の告白』『金閣寺』から『豊饒の海』にいたる代表作の精緻な分析を通して、現実/虚構/言語/肉体に囚われた作家の〈表面〉をあぶりだす試み。

《本書でとりあげたような三島由紀夫の小説作品の最大の魅力、そしておもしろさは、〈私〉からの脱獄の試みが、作品世界内で展開するのみならず、〈作者〉という〈個〉によって構築された作品構成そのものにおいても——その土台に亀裂を入れることなどによって——繰り返しなされていた点にあった。》

 

4月の新刊:『魂のたそがれ』

2013年 3月 23日

e9ad82e381aee3819fe3819de3818ce3828c魂のたそがれ  世紀末フランス文学試論

湯沢英彦

四六判上製/306頁/定価=3200円+税
ISBN978-4-89176-966-6  C0098  4月1日頃発売!




ユイスマンス、ジャン・ロラン、メーテルランク、ラシルドなど、
19世紀末を生きた作家たちの作品を読み解きながら、
魂のありかを見失った「終わり」の時代の人々の、
迷いと焦りと闘いを浮かびあがらせる渾身の評論。




目次

第Ⅰ部 〈斬首〉の不安、〈身体〉の過剰
第一章 ピエロとマネキン——あるパントマイム脚本をめぐって
第二章 パイナップルと魂——ジャン・ロラン『ブーグルロン氏』
第三章 「然るべき場所にあるものなど何もない」——メーテルランク『温室』、ラシルド『ヴィーナス氏』その他
第四章 「ただ最悪のことが起きる」——ユイスマンス『流れのままに』他二篇
第五章 狂想のマチエール——ユイスマンス『仮泊』

第Ⅱ部 〈彼方〉の幻影、〈断片〉の揺らめき
第六章 不可思議なものへの愛——ジャン・ロラン『象牙と陶酔のお姫さまたち』
第七章 「この世ならぬ源」を求めて——ユイスマンス『出発』、『スヒーダムの聖女リドヴィナ』など
第八章 世界との愚直な絆——写真家アジェとサン=セヴラン教会
第九章 「巫女」の時代の終わり——ヒステリーと霊媒をめぐる諸言説について
第十章 未知なる魂のために——プルーストの問いかけ

 

3月の新刊:『小島信夫の書き込み本を読む』

2013年 3月 23日

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小島信夫文庫関係資料目録

昭和女子大学図書館編

A4判上製112頁/定価5000円+税
ISBN978-4-89176-965-9  C0095  3月29日頃発売!




小島信夫の「読書遍歴」を知るための必携書!


昭和女子大学図書館の「小島信夫文庫」には、作家の草稿や創作ノート、メモ、日記など、1500点以上が収蔵されており、本書はその貴重な資料の全貌を目録にして収録する。さらに晩年まで手許に置かれた蔵書への「書き込み」を読解し、小島信夫の実像に肉薄するエッセイも併載。

執筆=江口雄輔、中西裕、平井杏子、近藤耕人、竜野連、
中村邦生、千石英世、柿谷浩一、猪俣和也

 

3月の新刊:『ベケットを見る八つの方法』

2013年 3月 23日

beckett_a5_cover_olベケットを見る八つの方法——批評のボーダレス

岡室美奈子・川島健編

A5判上製385頁/定価4500円+税
ISBN978-4-89176-898-0  C0098  3月29日頃発売!



小説、哲学、演劇、美術、メディアなど、多様で深遠な、
知のるつぼともいえるベケット作品を精査した、
ノーベル賞受賞者クッツェーをはじめとする、
国内外の研究者たちによるベケット研究の最前線。


不可視の領域への刺すようなまなざしを持つ人、ベケット(J・M・クッツェー)



目次

序文 川島健

Ⅰ 第一の方法——クッツェーの目で見る
サミュエル・ベケットを見る八つの方法  J・M・クッツェー (田尻芳樹訳)
「サミュエル・ベケットを見る八つの方法」を読む——訳者解説にかえて  田尻芳樹

Ⅱ 第二の方法——境界を探る
これこれの日に__これこれの世界で——ベケットのラディカルな限定性  スティーヴン・コナー(対馬美千子訳)
境界線上で——サミュエル・ベケット『あのとき』を読む  エヴリン・グロスマン(大野麻奈子、藤原曜訳)
それっていったいどんな種類の名前?——ベケットの名前の戦略  川島健

Ⅲ 第三の方法——主体を欺く
「ところでこれは何の声?」  ブリュノ・クレマン(西村和泉訳)
内省と統括のキアスム —— 『名づけえぬもの』と『反古草紙』における光・言葉・主体  西村和泉
ベケットの後期戯曲におけるイメージとディスポジション  アントニー・ウルマン(川島健訳)

Ⅳ 第四の方法——イメージを読む

創生、子供の遊び、沈黙の凝視——サミュエル・ベケットとパウル・クレー  アンジェラ・ムアジャーニ(垣口由香訳)
ダダからディディへ——ベケットとその世紀の芸術  イノック・ブレイター(木内久美子訳)
絵画と詩とモナドロジー——手紙と日記から見たベケットの詩学形成  森尚也

Ⅴ 第五の方法——道化る
ベケット、ベル、道化  メアリー・ブライデン(川島健訳)
勝負の楽しみ——『勝負の終わり』におけることば遊びと範列  クリス・アッカリー(長島確訳)

Ⅵ 第六の方法——想起/予期する
「記憶は心の胃である」——ベケットにおけるアウグスティヌスの記憶の概念  対馬美千子
戦争の記憶と証言——『すべて倒れんとする者』における言語の不可能性と不確実性をめぐって  堀真理子
上演の未来  S・E・ゴンタースキー(堀真理子訳)

Ⅶ 第七の方法——人間をやめる
「どうみても人間にゃぁ見えねぇ」——ベケットと動物  シェイン・ウェラー(森尚也訳)
『人べらし役』における「小さな人々」──ベケットと十八世紀的自然  井上善幸

Ⅷ 第八方法——幽霊にとり憑く
ベケット・マクルーハン・テレビ——メディア・メッセージ・「混乱」  リンダ・ベン=ツヴィ(久米宗隆訳)
『見ちがい言いちがい』と「間」について  近藤耕人
自動降霊機械としてのテレビ——ベケット『__雲のように__』おける霊媒/媒体をめぐって  岡室美奈子

参考文献
あとがき 岡室美奈子

 

3月の新刊:『一八世紀印刷職人物語』

2013年 3月 23日

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ニコラ・コンタ/宮下志朗訳

四六版上製/205ページ/2500円+税
ISBN978-4-89176-948-2  C0098  3月20日頃発売!




産業革命前夜、ある一人の若者が見習い印刷工として、
ヴァンサン親方の工房の門をくぐった……。

徒弟ジェロームの厳しい修業時代を描きながら、工房への入会儀礼、印刷工の組合やその規定、地下印刷の裏側など、ニコラ・コンタ自身の体験をもとに、当時の印刷工房の様子をいきいきと詳細につたえる、貴重なドキュメント。

本邦初訳のレチフ・ド・ラ・ブルトンヌ「レチフ、職工長となる」も収録。

目次

第一部 徒弟制度
第一章「試用期間」
第二章 雇用証書
第三章 エプロン授与式
第四章 徒弟修業の最初の二年間における、さまざまな仕事
第五章 印刷仕事の労働力
第六章 徒弟修業の二年目
第七章 親方の一家団欒の夕食
第八章 田舎の別荘での娯楽
第九章 年期を終えずに出ていった徒弟を戻すにあたって起こったこと

第二部 職人組合
第一章 「四時」と呼ばれる入会儀礼
第二章 物まねと、彼らの隠語
第三章 親方が一葉ごとに植字工に支払う賃金
第四章 印刷作業、一〇〇〇枚あたりの賃金
第五章 印刷に使う活字の価格表
第六章 職人たちへの慈善
第七章 「礼拝堂」の特別収入
第八章 聖マルティヌスの祝日に支払われる罰金などについて
第九章 サン=ジャン=ポルト=ラティーヌの祝日
第一〇章 職工長の役割
第一一章 「もぐり」と呼ばれる御法度仕事

付録 レチフ、職工長となる

 

3月の新刊:『川上弘美を読む』

2013年 3月 23日

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松本和也

4/6版上製/272ページ/2,800円+税
ISBN 978-4-89176-939-0 C 0095 好評発売中




《この物語が、いつの時代のものなのか、
どこの言葉で語られたものなのか、誰も知りません。……》


「あのこと」のさなかにも書き続けられた『七夜物語』。「あのこと」の後に書かれた『神様2011』、『センセイの鞄』、『真鶴』など代表作を〈ゆらめき〉の諸相から読み解く。川上弘美の〈いま・ゆくえ〉を浮き彫りにする書き下ろし。



【松本和也の本】
太宰治『人間失格』を読み直す——定価2,500円+税
現代女性作家論——定価2,800円+税

 

3月の新刊:『髑髏の世界』

2013年 3月 23日

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一休宗純和尚の跡をたどる

中川徳之助

A5版上製/252ページ/5,000円+税
ISBN 978-4-89176-933-8 C 0095 好評発売中




一休とは何者か。

〈風狂〉の僧、〈人間〉一休宗純の〈生〉の軌跡を
詩偈のなかによみとき、その実像にせまる。


《慚愧と自負に支えられる一休の「狂」は、世間の通念、常識に拘束されずに自己の生きかたを守ろうとするとともに、世間の常識、通念によりかかってみずからを権威付け、反省の見られない生き方を「俗」としてこれに反発し、挑戦する。ここに「狂」のエネルギーが噴出する。》(本文より)

 

2月の新刊:『モスクワ芸術座の人々——去りゆくソヴィエト時代』

2013年 2月 20日

e383a2e382b9e382afe383afe88ab8e8a193e5baa7_coverモスクワ芸術座の人々——去りゆくソヴィエト時代

アナトーリー・スメリャンスキー /木村妙子 訳

四六版上製/344ページ/3500円+税
ISBN 978-4-89176-934-5 C 0074 2月25日頃発売予定



〈ソヴィエト文明〉を飾る演劇人たちの内幕!
現代演劇をリードしたソヴィエトの演出家たち
——エフレーモフ、エフロス……


60〜70年代に輝きを放ち、社会を揺るがす震源地となったソヴィエト演劇。百年の歴史をもつモスクワ芸術座と関わりつつ、権力と闘いながら自由な表現を求めて時代に対抗した演劇人たちの姿をとおして、忘れられた〈ソヴィエト文明〉を検証する。

《演劇のメカニズムはすばらしく頑丈にできている。潜水艦のように、船室ひとつが水浸しになったって、別の船室ではまだまだ息ができる。イデオロギーがあらゆる部屋の仕切りを破壊しようとしたってそうはいかない。笑いのある地下室が、いつも万一のために備えてある。》(本文より)

 

編集部から:「小島信夫批評集成」特典単行本

2013年 1月 31日

大変お待たせいたしました……!

kojima_curious32011年に小社より刊行した『小島信夫批評集成』(全8巻)の全巻ご購読者にもれなくお届けする特典『ふしぎな昂奮』が、ようやく完成いたしました! 本批評集成の逸文より、批評家/エッセイストとしての作家の魅力あふれる10篇を精選収録。140部の限定本です。申込みハガキ等でご登録いただいていたみなさまには、すでに書店様を通じて届いているかと存じます。ぜひ、ご賞玩ください。

このたびは刊行が遅れて誠に申しわけございませんでした。どうか引き続き小社刊行物にご注目ください。



小島信夫

ふしぎな昂奮

四六判並製80頁/輸送函入り/2013年1月発行
限定140部(各册ナンバー入り)

「あ」の会のこと/咲山三英『雲と水滴』を読んで/円空随想/読書会/様子を見ているということ/被写体/夏目漱石『門』/自己宣伝/その周辺/引用句への誘い

*函は輸送用のものですので、お取り替えはご容赦ください。
*本書は『小島信夫批評集成』全巻ご購読者のみにお頒けするもので、
一般書店等での販売や本書のみの販売はいたしません。
*万一未着の場合は、小社(tel. 03-3818-6040:営業部/ヤマグチ)まで
ご照会ください。ご確認のうえご連絡させていただきます。

 

1月の新刊:『草原讃歌』

2013年 1月 31日

e38396e383ade382b0e794a8e88d89e58e9fe8ae83e6ad8cefbc9de382abe38390e383bc草原讃歌

ナンシー・ヒューストン/永井遼訳

四六判/上製276頁/定価2,800円+税
ISBN 978-4-89176-938-3 C0097 好評発売中


ヨーロッパからの移民、土地を追われるカナダ・インディアン。
自然を支配する西欧文明、そして自然との共存をめざす土着の文化。
堅実な妻、奔放な愛人。創造、それこそが愛——。


相反する価値観にひきさかれながら、20世紀を生き抜いた祖父の遺稿。その断片をつなぎつつ、孫娘が家族四代の歴史を背景に人間の救済/再生を物語る。故郷カナダへの讃歌ともいえるヒューストンの代表作。



【ナンシー・ヒューストンの本】


暗闇の楽器
————永井遼訳/定価2,800円+税

赤外線————いぶきけい訳/定価2,800円+税

 

公演情報

2013年 1月 31日

2月に以下の劇団の公演が東京・両国のシアターX(カイ)で行なわれます。
「オハイオ即興劇」「あしおと」「ゴドーを待ちながら」等ベケットの代表作をとりあげた評論集『サミュエル・ベケット!』(小社刊、3990円)を公演期間中販売しております。ぜひあわせて手にとってみてください。



あのアイルランドから、気鋭の劇団「マウス オン ファイア」初来日公演!
サミュエル・ ベケット作「オハイオ即興劇」「あしおと」「あのとき」「行ったり来たり」……消滅するまえに……

ベケット後期の作品を、作家自身が作成した演出ノートに基づき創出された4つの  “ 演劇詩 ” 。

公演期間:2013年2月13日〜17日

チケット 先着60席 限定! 1,000円!

http://www.theaterx.jp/13/130213-130217p.php

お問い合わせ:シアターX(カイ)
Webサイト:http://www.theaterx.jp/
メールアドレス:info@theaterx.jp
〒130-0026 東京都墨田区両国2-10-14
TEL:03-5624-1181 FAX:03-5624-1155

 

1月の新刊:『リモンの子供たち』

2013年 1月 9日

rqefbc8fe383aae383a2e383b3e381aee5ad90e4be9be3819fe381a1_coverレーモン・クノー・コレクション3

リモンの子供たち

塩塚秀一郎訳
四六判/上製395頁/定価3200円+税
ISBN978-4-89176-863-8 C0397 1月10日頃発売!


太陽は糞便でできている!

実在の〈狂人〉たちをテーマに『不正確科学百科事典』を執筆する、シャンベルナックとブルジョアの一家、リモン家。二つの世界が交錯しながら、突飛な〈狂人〉たちの言行が、破局へ向かう時代の空気を照らし出す。人間の愚かさを根源的に問う、クノーの知られざる傑作。

日本ウリポ史上、最大の新シリーズ、ついに完結!

* 本コレクションは、今回配本分をもって完結となります。長い間のご愛読、誠にありがとうございました。
なお、全巻ご購読特典は、塩塚秀一郎氏(『リモンの子供たち』)、久保昭博氏(『地下鉄のザジ』『はまむぎ』)の共訳で、現在鋭意編集中です。出来次第のお届けとなります。もう少々お待ちください。

 

年末年始の営業と2012年の刊行図書一覧

2012年 12月 26日

12月の営業は28日(金)をもって仕事納めとさせていただき、
新年は1月7日(月)より営業させていただきます。
27日以降にご注文いただいた書籍については、
年明けの搬入となりますので、なにとぞご了承ください。
1年間、小社の刊行物をご愛読いただき、誠にありがとうございました。

年明け1月に配本となる『リモンの子供たち』で、
《レーモン・クノー・コレクション》もひとまず完結。
また、新シリーズ《ロックの名盤!》が、
『レッド・ツェッペリン Ⅳ』『アバ』を皮切りに始まりました。
その他、来年も水声社ならではの企画を準備中です。
どうぞお楽しみに!

なお、恒例になってきた2012年の刊行書籍一覧を以下に掲出します。
現在発売中の『図書新聞』(2013年1月1日号)に掲載されているものです。
年末年始の読書計画にお役立てくだされば幸いです(クリックで拡大)。
ブログの更新も本日かぎり(の予定)です。よいお年を!

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12月の新刊 :『タンバレイン』

2012年 12月 26日

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クリストファー・マーロウ/高田茂樹訳
A5判上製/288頁/定価=4000円+税
978-4-89176-931-4 C0098 絶賛発売中




獲るか、獲られるか。生か、死か。


15世紀初頭、中央アジアに興り、地中海沿岸からインドにまで
領土を拡げたティムール大帝の野心とあくなき欲望を壮大に描き、
エリザベス朝演劇の幕開けとなった傑作戯曲。



関連書
『エリザベス朝演劇の誕生』
編=玉泉八州男
執筆=高田茂樹+荒木正純+井手新+成田篤彦ほか
7000円+税

 

12月の新刊 :『道元とシュタイナー』

2012年 12月 26日

e98193e58583cover道元とシュタイナー

塚田幸三
四六判上製/272頁/定価=2800円+税
978-4-89176-932-1 C0014 絶賛発売中
《ロサ・ミスティカ叢書》
装幀=中山銀士


道元の『正法眼蔵』とシュタイナーの人智学のなかに、
〈輪廻〉と〈カルマ〉についての深い思考をめぐらせ、
道元の仏教とシュタイナー人智学の共通基盤をさぐる斬新な試み。

《現代人はシュタイナーが超感覚的な霊的世界について論じると、
神秘思想だといって特定のレッテルを貼ろうとします。それは
キリスト教界でも仏教界でも同じように見られる傾向ではないでしょうか。
しかし、その意味で言えば、道元の説く世界もまさしく
神秘的な物語の世界です。道元は13世紀に説いた神秘思想を、
シュタイナーが20世紀に再び説いたと言えるのではないでしょうか。
そこに求められているのは、宗教を科学的に理解することではなく、
自然科学に還元されてしまった宗教の復権だと思われます。》
(本文より)



関連書
『シュタイナー思想入門』 西川隆範 2000円+税
『輪廻転生とカルマ』 R・シュタイナー/西川隆範訳 2500円+税
『社会改革案』 R・シュタイナー/西川隆範訳 2500円+税