10月の新刊:『別れ』

2013年 10月 11日

別れ=書影別 れ

フアン・カルロス・オネッティ/寺尾隆吉訳
装幀=宗利淳一デザイン

四六判上製/168163頁/定価=2000円+税
978-4-89176-953-6 C0397 10月11日頃発売予定

 

〈フィクションのエル・ドラード〉 第4回配本はウルグアイの作家フアン・カルロス・オネッティの『別れ』(「この恐ろしい地獄」「失われた花嫁」の傑作短編を含む)をお届けします。


オネッティは書くという魔法によって、挫折を勝利に変えた。(マリオ・バルガス・ジョサ)

田舎町のホテルにひとりの男がやってきた。無愛想な人柄……若い娘との待ち合わせ……妻子の来訪…… 町人たちは噂し、疑り深い語り手は男の背景にひとつの物語を紡いでいくのだが……
語り手の視点から言葉巧みに読み手を作品世界へと誘い、作者自らこの作品を偏愛した秀逸な中編。

表題作のほか、モンテビデオで起きた実話を憎愛と復讐の物語へと変貌させた「この恐ろしい地獄」。婚礼というオブセッションに取り憑かれた狂女を幻想的に描いた「失われた花嫁」の傑作短編を収録。

 

〈フィクションのエル・ドラード〉
世界文学に依然として強烈なインパクトを放ち続けるラテンアメリカ文学。いまだ紹介されていない才能ある作家たちや評価の定まった巨匠たちの、とりわけ想像力に富む小説(フィクション)を中心に厳選し、文学シーンの最前線をお届けするシリーズです。

 既刊好評発売中 (価格税別)

セルヒオ・ラミレス『ただ影だけ』……2,800円

フアン・ホセ・サエール『孤児』……2,200円

ホセ・ドノソ『境界なき土地』……2,000円

 

 

10月の新刊:『ヘブライ人キリスト』

2013年 10月 11日

ヘブキリカバーヘブライ人キリスト

――福音書はいかにして成立したか

クロード・トレスモンタン/道躰章弘訳
A5判上製/364頁/定価5000円+税
ISBN978-4-89176-994-9 C0016 10月中旬発売予定!

 

福音書はヘブライ語で書かれた!

数世紀来、ギリシャ語で書かれた文書であるとの説が自明視されてきた新約聖書。しかし、福音書のテクストを厳密に読みほどくうちに、ヘブライ語文書にしか見られないはずの表現が散見されはじめた……。
フランス語、ギリシャ語、ヘブライ語を往還しながら、新約聖書の内奥に隠された真の姿「ヘブライ語文書」へと肉迫する、キリスト教研究の新たな境地を切り拓く画期的論考。

 

 

9月の新刊:『これは小説ではない』

2013年 9月 20日

これは小説ではない書影4cこれは小説ではない

デイヴィッド・マークソン/木原善彦 訳

装幀=宗利淳一
四六判上製/320頁/定価=2,800円+税
978-4-89176-986-4 C0097 9月27日頃発売予定

 

これは小説か、あるいは究極の反小説か?

作家、芸術家を襲う病気、狂気、不遇、死因……トリビアルな伝記的記述が積み重ねられていく、未曾有の〈死の類別目録〉小説。ジョイス、ベケットに比せられる実験的な米国小説家デイヴィッド・マークソンの「まったく物語のない小説」。

 

 

9月の新刊:『マラルメと音楽』

2013年 9月 20日

マラルメと音楽マラルメと音楽
――絶対音楽から象徴主義へ

黒木朋興
A5判上製/504頁/定価=7000円+税
978-4-89176-981-9 C0098 9月25日頃発売予定
装幀=齋藤久美子



〈音楽〉の追求、あるいは文学への裏切り。

象徴主義を代表する詩人マラルメ、その韜晦な詩句は〈音楽〉といかなる関係をとり結んでいたのか? ヴァーグナーによる〈絶対音楽〉との影響から、ハンスリックら当時の音楽学者の理論を丹念に洗いなおすことにより、詩人と〈音楽〉の関係を刷新する意欲的な論考。


関連書
〔価格税別〕

マラルメの〈書物〉 清水徹 2000円
祝祭としての文学  佐々木滋子 5000円
世紀末の白い爆弾 中畑寛之 8000円
〈彼女〉という場所 永倉千夏子 12000円

 

 

9月の新刊:『長崎』

2013年 9月 20日

長崎カバー長 崎

エリック・ファーユ/松田浩則訳

装幀=宗利淳一デザイン
四六判上製/142頁/定価=1800円+税
978-4-89176-988-8 C0097 9月25日ごろ発売!


侵入した女は何者なのか――

 平凡な独身男性シムラは、ある日、自宅の押し入れに見知らぬ女が潜んでいることを知る。彼女はシムラに気づかれることなく、一年にわたってそこに住み続けていたというのだ。やがて少しずつ、彼女の過去が明らかになってゆく……。

舞台は現代の長崎。有明海の風景や、市街を走る路面電車、炊飯器からコンビニ弁当まで、さまざまなギミックが駆使され、リアルだが、どこか奇妙な小説世界が展開される。実際に起きた出来事を題材として、現代社会に生きる人々の孤独な宿命を描きだす、気鋭の著者の意欲作!

 

 

読者の皆様へ

2013年 8月 21日

読者の皆様へ

 

日頃より小社刊行物をご愛読いただき、ありがとうございます。

小社はかねてより、取次店との間で、いわゆる「再販売価格維持契約」を締結し、定価販売を旨としてまいりましたが、一部の小売書店(とくにインターネット書店)がポイントサービスに名をかりた値引販売を行っているのはまことに遺憾です。

このたび小社は、10%という高率の値引販売を1年近くにわたって継続しているアマゾン社および同社に書籍を卸している日販、大阪屋に対して、8月6日付で、下記のような申し入れを行いました。かりにアマゾン社が値引販売をやめないのであれば、小社としては、更なる対応措置をとらざるを得ないと考えております。

なお、申し添えれば、小社の加盟しております日本出版者協議会の会員社50社以上が、同様の趣旨の申し入れを3社に対して行っております。

読者の皆様のご支持、ご支援をどうぞよろしくお願い致します。

2013年8月20日

(株)水声社 代表取締役
鈴木宏

 

 *

 

 申入書

 

貴社ポイントサービスから小社商品を除外してください

2013年8月6日

Amazon.com Int’l Sales, Inc. 御中

株式会社 水声社
代表取締役 鈴木宏
東京都文京区小石川 2—10—1
tel.03-3818-6040 fax.03-3818-2437

謹啓

 日頃は、小社出版物の販売にご尽力いただき、誠にありがとうございます。

 さて、貴社が昨年8月より、「〈Amazon Student〉プログラム」の名のもとに、10%ものポイントサービスを実施しつづけていることは、極めて遺憾です。ポイントカードによる販売行為は、公正取引委員会の判断をまつまでもなく、値引であり、再販売価格維持契約違反であることは明白です。同時に、契約を遵守されている書店との公正な競争を阻害し、ひいては、再販制度そのものを崩壊させかねません。これらの点につきましては、小社の加盟する日本出版者協議会が貴社に対して再三にわたり、問題を指摘し、改善を求めてきたはずですが、今日に至るも何らの改善もみられないのは、まことに遺憾です。小社としましては、貴社による値引販売をこれ以上放置することはできません。

 つきましては、小社の出版物を貴社のポイントサービスの対象から1ヵ月以内に除外されるよう、お願い申し上げます。

 なお、貴社が小社商品をポイントサービスの対象から除外しないということであれば、小社としましては、取次店に対して、小社商品の貴社への出荷を停止するよう指示することになる可能性もあり得ますことをあらかじめお知らせいたします。

 誠に勝手ながら、小社要望につき、文書にて8月20日までにご回答いただきますようお願い申し上げます。

謹白

申入書

 

アマゾン・ポイントサービスから小社商品を除外するよう、アマゾンに対する指導を要望します

2013年8月6日

日本出版販売株式会社

  代表取締役社長 平林彰 殿

株式会社 水声社
代表取締役 鈴木宏
東京都文京区小石川 2—10—1
tel.03-3818-6040 fax.03-3818-2437

謹啓

 日頃は、小社出版物の販売にご尽力いただき、誠にありがとうございます。

 さて、Amazon.com Int’l Sales, Inc.が昨年8月より、「〈Amazon Student〉プログラム」の名のもとに、10%ものポイントサービスを実施しつづけていることは、ご高承の通り、極めて遺憾な事態です。ポイントカードによる販売行為は、公正取引委員会の判断をまつまでもなく、値引であり、再販売価格維持契約違反であることは明白です。同時に、契約を遵守されている書店との公正な競争を阻害し、ひいては、再販制度そのものを崩壊させかねません。これらの点につきましては、小社の加盟する日本出版者協議会が貴社に対して再三にわたり、問題を指摘し、改善を求めてきたはずですが、今日に至るも何らの改善もみられないのは、まことに遺憾です。小社としましては、Amazon.com Int’l Sales, Inc.による値引販売をこれ以上放置することはできません。

 つきましては、小社の出版物をAmazon.com Int’l Sales, Inc.のポイントサービスの対象から早急に除外するよう、Amazon.com Int’l Sales, Inc.に対して指導いただきますようお願い申し上げます。

 なお、Amazon.com Int’l Sales, Inc.が小社商品をポイントサービスの対象から除外しないということであれば、小社としましては、小社商品のAmazon.com Int’l Sales, Inc.への出荷を停止するようお願いすることになる可能性もあり得ますことを、あらかじめお知らせいたします。

 誠に勝手ながら、8月20日までに文書にてご回答いただきますようお願い申し上げます。

謹白

申入書

 

アマゾン・ポイントサービスから
小社商品を除外するよう、アマゾンに対する指導を要望します

2013年8月6日

株式会社大阪屋
代表取締役社長 南雲隆男 殿

株式会社 水声社
代表取締役 鈴木宏
東京都文京区小石川 2—10—1
tel.03-3818-6040 fax.03-3818-2437

謹啓

 日頃は、小社出版物の販売にご尽力いただき、誠にありがとうございます。

 さて、Amazon.com Int’l Sales, Inc.が昨年8月より、「〈Amazon Student〉プログラム」の名のもとに、10%ものポイントサービスを実施しつづけていることは、ご高承の通り、極めて遺憾な事態です。ポイントカードによる販売行為は、公正取引委員会の判断をまつまでもなく、値引であり、再販売価格維持契約違反であることは明白です。同時に、契約を遵守されている書店との公正な競争を阻害し、ひいては、再販制度そのものを崩壊させかねません。これらの点につきましては、小社の加盟する日本出版者協議会が貴社に対して再三にわたり、問題を指摘し、改善を求めてきたはずですが、今日に至るも何らの改善もみられないのは、まことに遺憾です。小社としましては、Amazon.com Int’l Sales, Inc.による値引販売をこれ以上放置することはできません。

 つきましては、小社の出版物をAmazon.com Int’l Sales, Inc.のポイントサービスの対象から早急に除外するよう、Amazon.com Int’l Sales, Inc.に対して指導いただきますようお願い申し上げます。

 なお、Amazon.com Int’l Sales, Inc.が小社商品をポイントサービスの対象から除外しないということであれば、小社としましては、小社商品のAmazon.com Int’l Sales, Inc.への出荷を停止するようお願いすることになる可能性もあり得ますことを、あらかじめお知らせいたします。

 誠に勝手ながら、8月20日までに文書にてご回答いただきますようお願い申し上げます。

謹白


 

夏期休業について

2013年 8月 9日

平素より小社の刊行物にご声援を賜り、誠にありがとうございます。

小社は8月12日(月)より16日(金)まで
夏期休業をいただき、19日(月)より、通常通り営業を開始いたします。
期間中ご不便をおかけすることもあるかと存じますが、
なにとぞよろしくお願い申し上げます。

 

 

公開講座のご案内

2013年 7月 22日

小社より好評発売中の『ジョルジュ・バタイユ——神秘経験をめぐる思想の限界と新たな可能性』の著者、岩野卓司さんによる公開講義が行われます。中沢新一さんが所長となって立ち上げられた、明治大学の「野生の科学研究所」()にて、3回にわたって行われますので、ふるってお運びください。

第一回「贈与の現象学」


講師:岩野卓司


コメンテーター:中沢新一

日時:2013年7月31日(水)18:00〜

場所:明治大学野生の科学研究所
資料代:500円

明治大学野生の科学研究所では、本学教授岩野卓司先生を講師に招き、「贈与の哲学ージャン・リュック=マリオンの思想」と題する公開連続講座を行います。この研究会は、これまで当研究所が主として行って来た人類学・社会学・経済学の方向から、現代における「贈与」の主題の重要性についての研究に、現代フランス哲学を代表する一人であるジャン・リュック=マリオンの思想を考察することによって、さらに新しい展望を開こうという試みです。
マリオンはハイデッガーの強い影響のもとに現象学を研究してきた哲学者であり、同時にカトリック神学・哲学の奥深い研究者としても知られている。「存在」と「贈与」のつながりに今までにない視点からの探求が進められ、デリダの贈与論批判に対して、強力な批判の論陣を張ってきたことでも知られています。
日本にまだあまり知られていない、このマリオンの思想について、岩野先生による解説をふまえ、贈与の研究をさらに深化させていくための方向性を開いていきます。

第1回 贈与の現象学

交換と贈与。(モース、レヴィ=ストロース、バタイユ)
哲学における贈与論(ハイデッガー、デリダ)
形而上学(存在-神学)批判
現象学とその神学的転回
フッサールの「原理のなかの原理」と〈贈与〉(donation)
自然的態度の変更 :エポケー(主体、客体、対象性、存在者、存在者性の還元):贈与(don)から〈贈与〉(donation)へ
出来事と偶然
飽和した現象(phénomène saturé):啓示
贈与される者(l’adonné):主体に先立つもの、応答、責任
(主に扱うマリオンのテクスト:Réduction et donation, Etant donné )

第2回 デリダVSマリオン:贈与をめぐる論争

デリダ:贈与の不可能性
マリオン:贈与(don)と〈贈与〉(donation)の差異
可能性の条件と出来事:アプリオリ(言語)と絶対的アポステオリ(経験)
現前性なき現前者の可能性
コーラ(場)と否定神学
Es gibt:「ある」
啓示(Offenbarung)と開示(Offenbarkeit)
(主に扱うマリオンのテクスト:Etant donné, Figures de phénoménologie)

第3回   キリスト教と贈与

偶像(idole)と聖像(icône):不可視なものの可視化と可視を通して不可視のものを表現すること
存在なき神:×を施された神:贈与としての神
愛:贈与
聖体の秘跡と時間論:イエスの死と復活をベースにした「過去」と「未来」
中心の時間論:現在は神の贈与の結果
キリスト教の哲学:発見的思考
(主に扱うマリオンのテクスト:L’idole et la distance, Dieu sans l’être)



バタイユ書影ジョルジュ・バタイユ
——神秘経験をめぐる思想の限界と新たな可能性
岩野卓司
A5判上製/336頁/定価4500円+税
ISBN978-4-89176-778-5  C0098  絶賛発売中!

伝統への反逆者、バタイユ。

その思想はアリストテレスから続く、伝統的な哲学の系譜・形而上学に裏付けられ、またそれを乗り越えるものだった……。バタイユの経済理論、哲学・文学作品を精査し、形而上学そのものを問い直しながら、その「外」へと開かれた「経験」の思想をあばく、極限の哲学。

 

7月の新刊:『日系人を救った政治家ラルフ・カー』

2013年 7月 22日

7月_ラルフカーカヴァー日系人を救った政治家ラルフ・カー
——信念のコロラド州知事


アダム・シュレイガー/池田年穂訳
四六判上製/456頁/定価=4500円+税
978-4-89176-973-4 C0022 好評発売中

 
「〈ニッポン人〉を傷つけるなら、まず〈私〉を傷つけよ!」
第二次世界大戦中、政治的キャリアを犠牲にしても、合衆国憲法に則って日系人を擁護した政治家がいることを、いま、どれほどの人が知っているだろうか……。


《ラルフ・カーはアメリカの杉原千畝である。(……)第二次大戦中、合衆国民を差別することは憲法に反するという確固とした信念から各州が嫌がった日系人を引き受け、収容にも反対した。(……)カーは頑固な男だったのだろう。でも信念を貫く時は頑固さが必要である。(……)いざというとき、いかに生くべきか、カーは我々に教えてくれる。》——藤崎一郎(前駐米大使)

 

 

 

7月の新刊:『薔薇の柩』

2013年 7月 18日

薔薇書影薔薇の柩

山崎剛太郎詩集
A5判変形上製/56頁/定価=2500円+税
978-4-89176-983-3 C0092 好評発売中!

 

 

マチネ・ポエティク最後の詩人・山崎剛太郎。
95歳、研ぎ澄まされた瞳が見据える
過去と現在、生と死、そして愛、あるいは永遠……。


寂寥の現実と甘美な幻想とを巧みに交錯させながら、静かに過ぎゆく日常の時間を豊かに、そして壮絶にうたいあげた新作11篇にくわえ、敗戦直後に執筆された幻の未発表詩篇5篇を収録。

 

* 

【既刊】

山崎剛太郎詩集 夏の遺言 3000円+税

 

 

7月の新刊:『境界なき土地』

2013年 7月 12日

境界なき土地_書影境界なき土地 

ホセ・ドノソ/寺尾隆吉訳
装幀=宗利淳一デザイン
四六判上製/176頁/定価=2000円+税
978-4-89176-952-9 C0397 7月16日頃発売予定

 

〈フィクションのエル・ドラード〉、第3回配本はホセ・ドノソの中篇小説『境界なき土地』をお届けします。

悪魔的精神世界に酔いしれろ!

大農園主ドン・アレホに支配され、文明から取り残され消えゆく小村を舞台に、性的「異常者」たちの繰り広げる奇行を猟奇的に描き出す唯一無二の〈グロテスク・リアリズム〉。バルガス・ジョサに「最も完成度の高い作品」といわしめたチリの知られざる傑作。

《錯綜した神経症的世界と豊かな文学的想像力》(マリオ・バルガス・ジョサ)

《そこに描き出された世界では、あらゆる生物が歪み、普通とされる次元を失っていきます。すべてがほとんど判別不可能な実体となり、道徳的、性的、感情的に正常とされるものの規範が意味を失って、バラバラと崩れ落ちていきます。》(ホセ・ドノソ)
〈フィクションのエル・ドラード〉
世界文学に依然として強烈なインパクトを放ち続けるラテンアメリカ文学。いまだ紹介されていない才能ある作家たちや評価の定まった巨匠たちの、とりわけ想像力に富む小説(フィクション)を中心に厳選し、文学シーンの最前線をお届けするシリーズです。

セルヒオ・ラミレス『ただ影だけ』……2,800円(価格税別)

フアン・ホセ・サエール『孤児』……2,200円(価格税別)
* お問い合わせの多い アレホ・カルペンティエル『バロック協奏曲』は鋭意作業中です。いましばらくお待ちください。

 

7月の新刊:『100兆の詩篇』

2013年 7月 12日

100兆001100兆の詩篇

レーモン・クノー
塩塚秀一郎・久保昭博訳
B5判変型並製/31頁/定価2500円+税
ISBN978-4-89176-967-3  C0097 7月12日頃発売!

 

一行ずつバラバラに組み合わせることができる10篇のソネ(14行詩)、つまり10の14乗=100兆通りの組み合わせが可能な、一冊あれば一生涯楽しめること請け合いの、クノーの伝説的な作品です。

1日中、365日読んでも、2億年近く楽しめる、一生、いや何百万生、遊べる詩集!

* 2011年から2013年にかけて小社より刊行した〈レーモン・クノー・コレクション〉(全13巻)の全巻予約ご購読者に300部限定で特典『100兆の詩篇』をお届けしましたが、その後、市販してほしいというご要望を多数いただき、販売することに決定しました。

 

発売中の新刊:『ユートピア的身体/ヘテロトピア』

2013年 7月 4日

ユートピア001ユートピア的身体/ヘテロトピア

ミシェル・フーコー
佐藤嘉幸訳
装幀=中山銀士+金子暁仁
A5判上製/144頁/定価=2500円+税
ISBN978-4-89176-980-6 C0010 好評発売中!


身体による、権力への抵抗!

権力による服従化とともに存在し、抵抗へと反転しうる身体を考察する「ユートピア的身体」と権力への抵抗と、権力の解体の可能性を秘めた反=場所を模索する空間論「ヘテロトピア」の二篇を収録。

本邦初訳のジュディス・バトラー「フーコーと身体的書き込みのパラドックス」も収録!

 

発売中の新刊:『レイモン・アロンとの対話』

2013年 7月 4日

レイモンアロン001レイモン・アロンとの対話

ミシェル・フーコー
西村和泉訳
装幀=中山銀士+金子暁仁
A5判上製/95頁/定価=1800円+税
ISBN978-4-89176-979-6 C0010 好評発売中!

 

権力はいかに行使されるのか?

二十世紀を代表する思想家ミシェル・フーコーと社会学者レーモン・アロン。立場のまったく異なる二人が、歴史解釈、主体の問題について語りあう、異例の対談。

 

 

6月の新刊:『神秘の書』

2013年 6月 26日

神秘の書神秘の書

オノレ・ド・バルザック
私市保彦・加藤尚宏・芳川泰久・大須賀沙織訳
A5判上製クロス装クロス函入/432頁/定価=8000円+税
ISBN978-4-89176-971-0  C0097  好評発売中!



バルザックが目指した究極の美!

中世のパリで天上界を夢見る二人の異邦人を描いた「追放された者たち」、その卓越した想像力と知力のために寄宿舎学校や現実に耐えられず狂気に陥る青年「ルイ・ランベール」、両性具有の不思議な存在「セラフィタ」。バルザックに大きな影響を与えた神秘思想家スウェーデンボルグの思想を小説化した三篇に、本邦初訳の序文がついた、完全版。

バルザックが「私は書いたもののなかでもっとも美しい作品」と語った、『人間喜劇』の極北に位置しながら、『人間喜劇』全体に光を放射するバルザック文学の真骨頂!

 

 

6月の新刊:『音楽をひらく』

2013年 6月 26日

‰¹ŠyƒWƒƒƒP“üeŒ©–{音楽をひらく——アート・ケア・文化のトリロジー

中村美亜

四六判上製/256頁/定価3000円+税
ISBN978-4-89176-982-6 C0073 好評発売中!

 

なぜ、わたしたちは《音楽》から《生きるよろこび》を得るのか? 現代の多文化社会で、音楽はいかにして他者理解を可能にするのか——音楽を「生きのびるための叡智」として再発見し、《実践としての音楽》を問う気鋭の論考。

《本書が取り上げる「音楽」という対象は、人間生活のほんの一部の営みに過ぎないかもしれない。だが、人間の内と外を結ぶ音を通じたコミュニケーション、また、そうした行為から生み出される価値システムの創造への洞察は、未来志向のコミュニケーションや共存について考える重要な示唆を与えてくれるはずである。》


目次

 序章


第1部 ケアとして考える

 第1章 コト的アプローチ — 「音楽の力」をめぐって

 第2章 ミュージッキング再考 — 〈語り〉とケア


第2部 文化として位置づける

 第3章 〈プレリュード〉 —  音楽と〈語りなおし〉

 第4章 知覚・認識・記憶 — 音楽文化と身体

 第5章 〈Living Together ラウンジ〉 —  音楽的儀式とメモリーワーク

 断章 〈フェスティバル FUKUSHIMA!〉


第3部 アートとして再定義する

 第6章 音楽とフェティシズム — 価値とコミュニケーションへの新たな視座

 第7章 芸術実践のポリティクス — 芸術・ケア・文化への新たな視座


注/参考文献/あとがき/付録

 

6月の新刊:『未完の国』

2013年 6月 26日

mikannokuni未完の国――近代を超克できない日本

アラン=マルク・リウー/久保田亮 訳

A5判上製/382頁/定価6000円+税
ISBN978-4-89176-978-9 C0031 好評発売中!




ニッポンのゆくえ

江戸期、明治維新、転向と敗戦、高度経済成長、そして東日本大震災——。「開かれた国」であるがゆえに未だ生成途上にあるこの国の歴史と未来を、フランス人哲学者が浮き彫りにする出色の論考。

《本書の目的は日本の現状を理解すること、そしてまた、1990年以来、日本が入り込んだあの危機と移行のプロセスを理解し、その中で起こった変化と改革を見定めることにある。〔……〕2011年3月11日を境に、日本はもはやかつての日本ではなくなっている。そして、世界もまた日本とともに変わってしまった。なぜ、どのようにして変わったのか、それを本書の中で見ていくこととしよう。

 

目次

序 事例としての日本

第1章 前‐近代化のプロセス——徳川時代の知と権力

一、徳川時代の社会システムの特色

二、知識体制

三、知識の社会的地位

四、知の秩序とその進化

五、三つの事例

第2章 近代化の条件

一、王政復古

二、開国の象徴的秩序

三、知識人——非自己実現的階層

第3章 近代化の思想

一、明治知識人の社会的地位

二、福沢諭吉による知の概念

三、開化の衝撃

四、近代

五、「本位」

六、文明化——原典と再読

第4章 近代性

一、近代性の概念

二、日本における近代性

三、森鷗外による混沌

四、漱石の近代性

第5章 近代化の終焉と近代性の超克

一、転向の概念

二、超国家主義的国家および国の概念

三、一九四二年東京——超克のジレンマ

四、一九四九年京都——ニヒリズムとアメリカニズム

五、戦後知識人——「悔恨の共同体」

第6章 近代の回帰——「知識社会」へ

一、ポストモダン運動とその時代

二、日本におけるポストモダンの時代とその変化

三、大いなる移行——「知識社会」としての日本

四、新たな近代化の始まり

五、二〇〇五年から見た二〇五〇年——研究政策にとっての社会的転換点

六、危機と災害を越えた再建

七、民主的進歩と新たな社会モデル

八、連続的制度イノベーション


結論 解体から再建へ——日本はどこへ行くのか?

註 /訳者あとがき

 

6月の新刊:カンブリア革命

2013年 6月 26日

kanburiaカンブリア革命

永澤 護

四六判上製/274頁/定価3000円+税
ISBN978-4-89176-974-1 C0010 好評発売中!



いまこの現実とは、世界の終焉なのか、あるいははじまりなのか?

Facebookではすでに知る人ぞ知る人物の全貌があきらかに。《カンブリア革命》とはなにか? ページをひらけば、そこにまばゆいばかりの思考が待っている!
——酒井隆史(大阪府立大学)


 

目次

序章 資本と国家を繋ぐ〈装置〉=〈私たち〉

第1章 汎優生主義

Interlude1 生体政治工学

第2章 広場へと向かって

Interlude2:《私たち=人間》の消滅とその彼方――ミシェル・フーコー『言葉と物』をめぐって

第3章 自己の身体・クオリア・終わりなき経験

第4章 未来の記憶から今ここへ

附録
来るべき(起こってしまった)カタストロフを描いた詩作品
私の歩んだ道(永澤春栄)

 

受賞報告(『ブルーノ・シュルツ』『ドストエフスキーと小説の問い』)

2013年 6月 21日

小社より昨年刊行された加藤有子さんの『ブルーノ・シュルツ 目から手へ』が第4回表象文化論学会賞を、また番場俊さんの『ドストエフスキーと小説の問い』が同じく奨励賞を受賞いたしました。おめでとうございます!

詳細は表象文化論学会のホームページをご覧下さい(

 



 

bluno_cover加藤有子

ブルーノ・シュルツ——目から手へ

A5判上製376頁/定価=4800円+税
ISBN 978-4-89176-899-7 C0098 好評発売中

 

 

ナチスに射殺されたポーランドの小説家/画家の全貌。

短篇集『肉桂色の店』、『砂時計の下のサナトリウム』、ガラス版画集
『偶像賛美の書』などをとおして、イメージ・言語のジャンルをこえた
表象へと向かう独自の世界観をトータルに捉える世界初のモノグラフィ。

*シュルツに関する最新の情報を盛り込んだ年表を収録。
*日本初公開の図版も多数掲載。


《「手」の制作による再現にとって、言語的要素と視覚的要素の区別は
二次的なものであり、現実/虚構の明確な区別も消滅する。目から手へ。
シュルツが手によって示す芸術制作は何かの模倣、再現ではなく、目と
手の分業によらない対象の提示である。》


 

* 

 

e38389e38395e38388e382a8e38395e382b9e382ade383bc_coverドストエフスキーと小説の問い

番場俊

A5版上製/368頁/5000円+税
978-4-89176-925-3 C 0098 好評発売中

 

 

小説、この反時代的なもの。

これまでの研究者たちがほとんど口にしてこなかった問い——
「小説とは何か」を、昨今のブームも視野に入れ、
ドストエフスキー論の新たな機軸を打ち出す注目の書。

文学史上最高の小説が『カラマーゾフの兄弟』だとしたら、
作者であるドストエフスキーは「小説」という形式を
いかにして探求してきたのか……。
フロイトの精神分析、バフチンの多声性の理論を踏まえ、
「手紙」「告白」「メディア」「時間」をテーマに
ドストエフスキー理解の新たな次元を切り開く。



【目次】

序章

Ⅰ 手紙

第1章  手紙の暴力

第2章  文学と手紙、感応の遊戯

第3章  盗まれた手紙

Ⅱ 告白

第4章  「告白小説」のプラン

第5章  告白の現実的条件

Ⅲ メディア

第6章  『罪と罰』と同時代ジャーナリズム 


第7章  メディア・リテラシーの練習問題

第8章  文学の生まれるところ

Ⅳ 『カラマーゾフの兄弟』

第9章  ゼロ年代のドストエフスキー

第10章 小説の問いから『カラマーゾフの兄弟』へ

第11章 ジャンルの闘争

第12章 『カラマーゾフの兄弟』から小説の問いへ


終章 小説の時間 

註/あとがき

 

 

V. プラシャド 『褐色の世界史』刊行記念トークイベント 

2013年 6月 3日

4月に刊行されたヴィジャイ・プラシャド著『褐色の世界史——第三世界とはなにか』は、激動の20世紀を《第三世界というプロジェクト》の視座から描き出し、その未発のままの歴史/運動/現在をトータルに概括する話題の書として欧米での評価が高く、長く邦訳が待たれていました。著者のヴィジャイ・プラシャドは、サイード亡き後、世界情勢についてもっとも精力的に語る論客として、注目を浴びていますが、本書も刊行以来、各誌紙で好評をいただいております。

◉ 柄谷行人氏(哲学者、『朝日新聞』6月1日付)
「本書から、私は第三世界に関する基礎的な史実を学んだ。〔……〕「第三世界」を滅ぼしたのは、この新帝国主義である。しかし、本書を読んで、私はこう思った。そう遠くない将来に、「第三世界」に代わるものが生まれるだろう、そして、それは新たな国連と結びつくだろう。」

◉ 池上善彦氏(元『現代思想』編集長、『図書新聞』4月27日号)
「著者の指摘するように〔……〕未だ世界全体の第三世界プロジェクトは再開されていない。しかしそこにこそ現在の我々の指針がある。考え抜いたと思った果てに、さらに世界は広がっている。世界は我々が考えるよりずっと広いものなのだ。本書を読んでそれを実感する。」


◉ 野中大樹氏(『週刊金曜日』4月19日号)
「第三世界はすでに消えたのか、今もあるのか。訳者である粟飯原文子氏は、あとがきでこう記す。『第三世界が『プロジェクト』であるのなら、決して消え去ってしまうことはない』と。」




また、来たる 6月16日(日)午前10時30分より、本書の刊行を記念して、ジュンク堂書店池袋本店においてトークイベントをおこないます。
今回のトークイベントは、本書の価値をいちはやく見出した池上善彦さん(元『現代思想』編集長)と、訳者の粟飯原文子さん(アフリカ文学・文化史)が、「21世紀に第三世界を考える——新しい世界史と日本のためのパースペクティヴ」と題して行ないます。ふるってお運びください!

*なお、本イベントは、おなじく粟飯原さんの訳によるアルンダティ・ロイ著『ゲリラと森を行く』を刊行する以文社さんとの共催になります。

「21世紀に第三世界を考える——新しい世界史と日本のためのパースペクティヴ」

講師:池上善彦(元『現代思想』編集長)×粟飯原文子(アフリカ文学・文化史)

日時:2013年6月16日(日) 午前10時30分〜

場所:ジュンク堂書店 池袋本店 TEL 03-5956-6111

入場料:1000円(ワンドリンク付)

 

——

e8a490e889b2e381aee4b896e7958ce58fb2_cover褐色の世界史――第三世界とはなにか

ヴィジャイ・プラシャド/粟飯原文子 訳

四六判並製/2段組447頁/定価4000円+税
ISBN978-4-89176-927-7 C0022 好評発売中!

 

「第三世界というプロジェクト、それはこれまでヨーロッパが答えられなかった問題を解決することなのだ」――フランツ・ファノン


焦眉の世界情勢をとらえるうえで、必読の1冊!

アジア、アフリカ、ラテンアメリカ、そしてアラブなどで、なぜ、いまも「問題」が勃発するのか。焦眉の世界情勢を歴史的にとらえるためのスタンダードワーク。激動の20世紀を〈第三世界〉の視座から描き出し、その未発のままの歴史/運動/現在をトータルに概括する話題の書。気鋭の訳者による渾身の解説(50枚)を付す。



【本書に寄せられた讃辞】

I・ウォーラーステイン
「今日実行可能な政治プログラムを策定するうえで不可欠な知識」

E・ガレアーノ
「正史や主流メディアの陰に潜む輝かしい世界を発見する手がかり」

P・ギルロイ

「ヴィジャイ・プラシャドは貴重な歴史資源を掘り起こした」