書評:ネグリ思想の精髄

2012年 2月 3日

spinoza_cover昨年11月に刊行されて以来、根強く読者を獲得しているのが、
イタリアの思想家、アントニオ・ネグリの
「スピノザとわたしたち』(信友建志訳)。
1月29日付の朝日新聞読書面(ニュースの本棚)では
「スピノザが来た」と題されたコラムで
紹介されたこともあって()、
お問い合わせの電話を多数いただいております。

本書はいっけん難解なスピノザ×ネグリの対決でありながら、
「ネグリによる現代スピノザ入門」として読むことも可能なのですが、
年末の『 図書新聞』紙に掲載された杉村昌昭さん(龍谷大学名誉教授)の
書評が、本書のきわめて明晰な解説にもなっているので、
杉村さん、および図書新聞さんの許可をいただいたうえで、
ここに再掲させていただきます。
ぜひ、本書をひもとくさいの参考にしてください!

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ネグリ思想の精髄——スピノザをポスト近代の思想家として定位する

杉村昌昭



チュニジアに始まったアラブ革命はまたたくまにアラブ世界全域に広がり、少し遅れてギリシャの債務危機をきっかけにスペインから始まった “怒れる者たち” の反世界金融権力の運動は大西洋をわたってウォール・ストリートの占拠活動にまでいたった。しかし、十年以上前に『帝国』で世界デビューしたアントニオ・ネグリの思想は、こうした現状を一種予言的に示唆したものであるにもかかわらず、このかん衰退して久しい感がある。奇妙なもので、歴史に先がけて提示した世界の見取り図が現実にその軌跡を描き始めると忘れられていくのである。

そのネグリは3年前(2008年)にG8サミットが北海道で開催された年、当時企画されていた日本における反サミットの運動とは無関係であったにもかかわらず日本入国を拒否された。しかしネグリを改めて招請する企画が昨年(2010年)から始まっていて、シンポジウムの日程などもほぼ本決まりになった時点で、3月11日の東日本大震災が起きてオジャンになったという(これはもともと東京アカデミズムの動向に疎遠な私が人伝に聞いた話で、どこのどなたがこれを企画したのか、詳しいことは寡聞にして知らない)。ネグリはよほど日本と縁のない人物なのかもしれない。

それに反してスピノザはいまも『エチカ』がよく読まれ、専門的な研究雑誌が刊行され続けてもいるのだから、マルクスとまではいかなくても、もっと日本と親和性があるのかもしれない。その日本に縁のないネグリが縁のあるスピノザについて著したのが本書である。

ともあれ、ネグリが本書で試みているのはスピノザをポスト近代の思想家として定位することである。もともとネグリは獄中で書いた『野生のアノマリー——スピノザにおける力能と権力』以来、ことあるごとにスピノザを “今日化” し “現働化” することに意を注いできた。そのエッセンスが本書『スピノザとわたしたち』であると言っていいだろう。

では、スピノザはなにゆえポスト近代の思想家であるとネグリは言うのだろう。それは主にスピノザのコナトゥス(自存力)という概念の解釈にかかわる。コナトゥスとは、スピノザによると「あらゆるものはその存在のなかに居続けようと努力する」という「もの」の傾向性の謂だが、この「もの」とは、宇宙の万物であり、拡大解釈すれば、自然界という存在から人間がつくりだしたすべてのもの、集団、企業、国家などあらゆる社会的制度や組織、あるいは思想的産物や芸術作品など抽象的なものまでも含む広大な射程を持ったものとして理解することができる。

しかし、こうした「もの」を人間の社会的創造物に限定して政治思想的観点からその生成変化の相でとらえると、それは保守的にも革新的にも解釈可能である。たとえば3月11日の大震災と原発事故以降、日本政府、経済産業省、東京電力といった組織体はこれまでどおりの「存在のなかに居続けようと」必死になって努力している。これもコナトゥスのなせるわざであろう。一方、日本国民はこうした行政権力や経済権力の動きに異を唱えながらも、どうしようもなく「自らの存在のなかに居続ける」道を選んでいるように見える。いつになったら、「自らの存在」を内側から壊して変身することになるのか、予測がむつかしい。しかし他方で、少なくとも「自らの存在のなかに居続ける」ためにも、自らが変化するしかないという刷新の気分も醸成されてきている。そのような情動が大きなうねりとなったとき初めて、コナトゥスがその革新的力を発揮することになるのかもしれない。

とはいえ、現状は “あれかこれか”(たとえば原発維持か原発廃絶か)という二項対立的な選択を迫られているように見えながら、実は “あれもよしこれもよし”( “脱原発” という表現にしても、原発をやめようと言いながら続けていくという一種自己矛盾的な二重肯定の吐露ではないか)が社会空間に瀰漫している。これはコナトゥスが日本的に機能している状態と言わねばなるまい。言い換えるなら保守的コナトゥスの支配する日本的なポスト近代の断面であり、こういう回路で日本社会はスピノザ哲学と親和性があるのだ。しかしネグリがスピノザのコナトゥスを援用しながら切り開こうとするポスト近代の風景は当然のごとくこれとは異なる。そこに底流するのはコナトゥスの革新的解釈である(これについてはあとで述べよう)。

いずれにしろ、コナトゥスとは状況によって保守的にも革新的にも作動する両義性を持った力であると考えることができるだろう。こうした一種特異な普遍性を帯びるべく錬成された概念は、必然的に相対立することもある複数的解釈が可能な領域を切り開く。たとえばドゥルーズ/ガタリの “リゾーム” という概念がそうだ。フロイトの無意識をポジティブに言い換えたこの概念は、社会変動あるいは組織編成の場面に適用すると、深い変革をもたらす革命的概念にもなりうる一方、軍隊や企業が旧来のピラミッド型の組織構造からより効果的な横断的編成構造(軍事で言うなら“ゲリラ戦術”)に転換するときの功利的なキー概念にもなりうる(実際 “リゾーム” をビジネス活動の組織編成に応用した論文もある)。

ネグリはコナトゥスを革命的進路の模索に適用し、すみずみまで内部化された世界(諸個人に内在する多様な分子的要素は社会、国家を超えて、世界全体にまで連鎖している)における革命主体としてマルチチュードという概念をひねりだす。世界を内側から破壊して革命的再創造を可能にするのは、この内部世界における多数者としてのマルチチュードの情動に依拠した力能しかないというわけだ。これは代表制民主主義を底支えする近代の二項対立図式(たとえばブルジョア資本権力対プロレタリ革命勢力といった)からの脱却であり、したがって賞味期限のきれた代表制民主主義を乗り越えるポスト近代民主主義の素描にほかならない。

本書は、内在性、民主制、力能、情動というスピノザから抽出した四つのキー概念を駆使して近代の政治思想に対する先進的な批判を展開しながら、《共同性》という古くて新しい概念を独自に刷新して《共》(コモン)という概念を創出し、ポスト近代の政治的地平を展望しようとするネグリ思想の精髄と言えるだろう。このネグリの思想的展望をどう解釈するかはわれわれに課された課題だが、訳者の信友建志が力のこもった「解説」のなかで、そのすぐれた実践例を提示している。(龍谷大学名誉教授・現代思想)

*『図書新聞』2011年12月24日号
*なお、杉村さんによる最新の翻訳でジャン=クレ・マルタンによる
『フェルメールとスピノザ——〈永遠〉の公式』も、
以文社さんから好評発売中です。あわせてご覧ください!

Courtesy of Mr. Masaaki Sugimura and Toshoshimbun.

 

1月の新刊:『ルイユから遠くはなれて』

2012年 1月 30日

rqefbc8fe383abe382a4e383a6e3818be38289e981a0e3818fe99ba2e3828ce381a6_coverレーモン・クノー・コレクション6

ルイユから遠くはなれて

三ツ堀広一郎訳
4/6判上製232頁/定価2200円+税
ISBN978-4-89176-866-9  C0397 1月31日頃発売!

白昼夢からなる現実からなる白昼夢

ボクシングの世界チャンピオン、ローマ教皇、盗賊団の首領、
巨大シラミの研究者……ありえたかもしれない無数の人生を夢見、
白昼夢にふけるジャック・ロモーヌ。ある時、故郷のルイユを飛び出し……。
夢と現実が交錯する、きわめて凡庸できわめて奇想天外な冒険小説。

日本ウリポ史上、最大の新シリーズ、第四回配本!
【本邦初訳!】

*去る1月28日のトークイベント(@リブロ池袋本店)は
おかげさまで大変な盛況裡に終えることができました。
ご来場のみなさま、誠にありがとうございました!

 

長谷邦夫さんのトークイベント

2012年 1月 26日

小社刊『桜三月散歩道——あるマンガ家の自伝』
各誌紙で絶賛の長谷邦夫さんが「あの時代」を語り尽くす
トークイベント、いよいよ明日です!
長谷さんの肉筆イラスト入り限定版、
『パロディ漫画大全』特装版も持っていきます!
長谷さんのサイン会も予定しております!
プロデューサーのサエキけんぞうさんも気合いビシビシ!(→

ふるってご来場ください!



私の龍馬イラスト展 in お江戸
開催記念
オープニングパーティ


■ 日時
:2012年1月27日(金)開場17時/開演18時
■ 場所:森下文化センター 多目的ホール (ここ→
■ 料金:予約1700円/当日2000円 /チケット予約:森下文化センター 03-5600-8666

http://www.kcf.or.jp/morishita/concert_detail_010200300034.html

特別セッショントーク

「時代を切り開いた先駆者たち〜ガロ・COM  マンガの時代」

出演:南伸坊(『ガロ』編集者)、長谷邦夫(『COM』連載漫画家)
進行役:サエキけんぞう
マンガ界の先駆者、『ガロ』と『COM』。
どの ようにマンガに夜明けをはたしたのか!?

★「華麗なる競演!ライブペインティング大会」
ある「お題」をもとに、漫画家がその場でイラスト対決!
どんな珍品が飛び出すか?! 乞ご期待1
(*作品はイベント中にチャリティー販売いたします)

★ミニライブ サエキけんぞう&Boogie the マッハモータース
とり・みき、久住昌之、も、歌います!

■ 出演:蛭子能収、とりみき、久住昌之、花くまゆうさく、後藤友香、島田虎之 介、
富崎NORI、手塚能理子(『アックス』編集長)、他
※その他、来場者プレゼント大会、グッズ販売もあり!出品作家も多数来場予定!

イベント協力/青林工藝舎
企画・制作/パールネット

一般問い合わせ◎森下文化センター
〒135-0016 東京都江東区森下3-12-17 TEL03-3644-8111 FAX03-3646-8369

http://www.kcf.or.jp/morishita/index.html

東日本大震災チャリティー
私の龍馬イラスト展  in お江戸】開催概要

http://www.kcf.or.jp/morishita/event_detail_010200400065.html

 

1月の新刊:『マクシム・アレクサンドル』(シュルレアリスムの25時)

2012年 1月 13日

e382a2e383ace382afe382b5e383b3e38389e383abe382abe38390e383bc_e585a5e7a8bf《シュルレアリスムの25時》待望の続刊!
鈴木雅雄

マクシム・アレクサンドル 夢の可能性、回心の不可能性

四六判上製288頁/定価2800円+税
ISBN978-4-89176-769-3 C0398  1月20日頃発売


言語、宗教、シュルレアリスムによって
引き裂かれ続けた、永遠の漂流詩人!


人は、彼を、絶望を忘れることはない——ルイ・アラゴン


ユダヤ教/キリスト教、独語/仏語、夢/現実、
そしてシュルレアリスム……。あらゆるものに引き裂かれ、
その内部にも、外部にも生きることができないまま
詩を書き続けたマクシム・アレクサンドル。
シュルレアリスムが個人に何をもたらしたのか、もたらしうるのか、
ひとりの凡庸な詩人の足跡をたどりながら再考する試み。

理論的テクスト『個人的神話学』を収録!




さて、残すところ3週間たらずとなりました、
書店イベント「レーモン・クノーってだれ?」
当日は、〈レーモン・クノー・コレクション〉第4回配本、
『ルイユから遠くはなれて』(三ツ堀広一郎訳、本邦初訳)の
先行発売が決定しました!
クノーマニアも、クノーをはじめて読む方も、ふるって足をお運びください。

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レーモン・クノーってだれ?

豊崎由美(ライター)×塩塚秀一郎(フランス文学者)

作家? 編集者? ウリピアン? アマチュア数学者? 元シュルレアリスト? ガリマール社で百科全集の編集を担当し、マルセル・デュシャンやウンベルト・エーコも参加する秘教的な芸術研究集団《コレージュ・ド・パタフィジック》の中心的メンバーであり、奇妙キテレツな文学集団《ウリポ(潜在文学工房)》の発起人でもあり、またその作品もSFから偽名小説、自伝的小説など多岐にわたり、様々な顔を持つレーモン・クノー。一つの出来事を99通りのいい方で語った『文体練習』で知られる作家ですが、日本ではこれまで断片的にしか紹介されてこなかったこのクノーなる人物とはいったいどんな人なのか? そしてどんな(奇妙な?)作品を書いたのか?

さまざまなジャンルの小説を読破し、フリーライター、ウクレレ奏者、書評家とあらゆる顔を持つ豊崎由美氏と、普段は穏やかな大学の先生でありながら、不可能な翻訳に挑戦しつづける塩塚秀一郎氏。お二人に、クノーの、またその作品の魅力について、たっぷりと語っていただきます。

2012年1月28日(土)19時〜_
会場:西武池袋本店別館9階池袋コミュニティ・カレッジ28番教室_
定員:50名
参加チケット:1000円(税込)
チケット販売場所:西武池袋本店書籍館地下1階リブロリファレンスカウンター
お問合せ:リブロ池袋本店 03-5949-2910
くわしくはこちらをクリック→http://www.libro.jp/news/archive/002281.php

◆講師プロフィール:

豊崎由美(とよざき・ゆみ)
1961年生まれ。ライター、書評家。主な著書に『そんなに読んで、どうするの?』(アスペクト)、『どれだけ読めば、気がすむの?』(アスペクト)、『文学賞メッタ斬り!』(共著、パルコ出版)など。

塩塚秀一郎(しおつか・しゅういちろう)
1970年生まれ。パリ第三大学文学博士。現在早稲田大学理工学術院准教授。主な訳書に、ジョルジュ・ペレック『さまざまな空間』、『美術愛好家の陳列室』、『煙滅』、レーモン・クノー『あなたまかせのお話』など。

 

2012年のために、2011年の水声社

2012年 1月 6日

たしか昨年もアップしたような気がしますが、
ことしも昨2011年に刊行した小社の書籍一覧をアップします。
(『図書新聞』2012年1月1日号に掲載された広告データですが)

いずれも水声社ならではの、実質のある本ばかりです。
お買い逃しのありませんよう、お早めに!
(クリックすると拡大します)


suiseisha_2011all

 

《メルラーナ祭り in 立川》のご案内

2012年 1月 5日

旧年中は大変お世話になりました。
ぜひ本年も小社の刊行物へのご支援を賜りますよう
あらためてお願い申し上げます。




まずは書店イベントのご案内です。
昨年12月の刊行以来、その混沌たるエクリチュールで
読者をカオスに誘い込み、大きな話題となっている
C. E. ガッダ『メルラーナ街の混沌たる殺人事件』
刊行記念イベントのご案内です。
この世紀の怪著をすでに読破されたかたも、
あるいは現物の前で手をこまねいているかたも、
ふるって足をお運びください。

———

『メルラーナ街の混沌たる殺人事件』(水声社)発売記念
和田忠彦さん×豊崎由美さん トークイベント

2.12 ORIONSHOBO-NORTE EVENT

『メルラーナ街の混沌たる殺人事件』の発売を記念して、
本書の解説を担当されたイタリア文学者の和田忠彦さんと、
発売の強い契機を作られた書評家の豊崎由美さんをお招きして、
トークイベントを開催いたします。

◆開催概要◆

日 時 + 2012年2月12日(日)16:00〜(開場15:30)

会 場 + オリオン書房ノルテ店 パークアベニュー3F
JR立川駅北口徒歩3分/多摩都市モノレール立川北駅徒歩1分

入場料
+ 500円

参加方法等の詳細は、オリオン書房のHP(→)、
もしくは以下の電話番号までお問い合わせください。
TEL. 042-522-1231(AM10:00〜PM9:00)

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merulanaカルロ・エミーリオ・ガッダ/千種堅訳

メルラーナ街の混沌たる殺人事件

四六判上製416頁/3500円+税
ISBN978-4-89176-859-1  C0097 絶賛発売中!
解説:和田忠彦
装幀:宗利淳一+田中奈緒子


ジョイス、プルースト、カフカに比肩する、
イタリア・ポストモダン小説の金字塔。

書評家・豊崎由美さんが偏愛し、
「復刊熱望
のツイートで大反響!
40年ぶりによみがえる奇跡の《改訳決定版》
旧版よりぐっと読みやすくなって、ついに刊行。


ムッソリーニ政権下のローマ。
成金街の宝石盗難事件—殺人事件。
奮闘する敏腕警部。
すったもんだに迷走する大捜査線。
混乱。
脱線。
紛糾。
そして、真犯人は……?


めくるめくドタバタ捜査劇の行方やいかに !?
これぞ《フィクションの楽しみ》をご堪能あれ!

 

年末年始の営業について

2011年 12月 27日

12月の営業は29日(木)をもって仕事納めとさせていただき、
新年は1月5日(木)より営業させていただきます。
年内にご注文いただいた書籍も、
搬入は年明けとなりますので、なにとぞご了承ください。
1年間、小社の刊行物をご愛読いただき、誠にありがとうございました。

本年は、3月11日の東北関東大震災をはじめとして、
世界史を揺るがす大きな災害、事件が多発しました。
20世紀的な世界が一掃され、
本格的に新たな時代に突入した感を深くしていますが、
それに動じることなく、
みなさまに楽しんでいただけるような書籍を刊行して参ります。
どうぞさらなる1年もお力添えをお願い申し上げます。
(編集部 Shi)

 

1月の新刊:『スペイン人とは誰か』

2011年 12月 27日

e382b9e3839ae382a4e383b3e4babae381a8e381afe8aab0e3818b012アメリコ・カストロ/本田誠二訳

スペイン人とは誰か——その起源と実像

A5判上製541頁/定価=8000円+税
ISBN 978-4-89176-885-0 C0022 1月上旬頃発売予定



レコンキスタ以前、〈スペイン〉は存在しなかった!

〈エスパニョール〉という語の起源を掘り起こし、
〈スペイン〉のアイデンティティを新たな観点から捉え返す。
スペイン史学・文学・語学など、〈スペイン〉に携わる
すべての領域にとっての最重要文献!!




現代スペインを代表する歴史学者/文芸批評家が、
人文科学の広範な資料を渉猟し、
スペインとスペイン人の起源を根底からくつがえす
〈新たな真実〉を論証する。
スペイン本国で大論争をまきおこした
『外来語としての〈エスパニョール〉』
そして
『スペイン人はいかにしてスペイン人となったか』
の2冊を併録。

 

12月の新刊:『桜三月散歩道』

2011年 12月 20日

nagatani長谷邦夫

桜三月散歩道 あるマンガ家の自伝

四六判上製総432頁(別丁図版16頁)/定価3500円+税
ISBN 978-4-89176-887-4 C0095 12月22日頃発売!
装幀:宗利淳一+田中奈緒子


数々の《伝説》を生んだパロディ・マンガ家の、
そのありのままの半生記——怒濤の書き下ろし1000枚!


赤塚不二夫、手塚治虫、石ノ森章太郎との出会いと別れ。
山下洋輔、タモリ、筒井康隆、井上陽水ら、異能たちとの交友——。
その誕生から現在にいたるまでの歩みこそが、
戦後サブカル史そのものでもあるような七十有余年!
秘蔵写真30点以上掲載!



【イベント情報】

来る1月27日(金)、ミュージシャン、音楽批評家として活躍中の
サエキけんぞうさんプロデュースによるチャリティーイベントで、
長谷邦夫さんと南伸坊さんの対談、さらにサイン会が実現!
『COM』と『ガロ』という戦後文化を画期した2大コミック誌をめぐって、
貴重なセッションになることうけあいです。ふるってご参加ください! 

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《東日本大震災チャリティー》

私の龍馬イラスト展 in お江戸オープニングパーティー

@森下文化センター(東京都江東区。会場はここをクリック→

2012年1月27日(金)

開場17時/開演18時
(龍馬イラスト展は9時より、物販は17時より開始いたします。)

予約1700円/当日2000円

◎出演:サエキけんぞう 島田虎之介 しりあがり寿 花くまゆうさく
長谷邦夫 南伸坊 手塚能理子 その他イラスト展参加作家多数

◎特別トークセッション

「時代を切り開いた先駆者たち〜ガロ・COM——マンガの時代」

〈出演〉南伸坊 × 長谷邦夫 〈進行役〉サエキけんぞう

日本マンガの黎明期を象徴する二大雑誌をテーマに
関係者、作家、愛読者が三つ巴で繰り広げるトークセッション。
龍馬が新時代を切り開いたように、日本のマンガ界では
『ガロ』と『COM』がその先駆者となった。
日本マンガに夜明けは来たのか!?

◎ライブペインティング大会
お題を元に、漫画家がその場で書き下ろし。
どんな名作、珍作が誕生する!?
その他、出品作家の著作即売及びサイン会、
プレゼント大会ほか出し物盛りだくさん。乞うご期待!
(イベント協力/青林工藝舎)

 

12月の新刊:『昭和あるいは戯れるイメージ』

2011年 12月 20日

showa淺沼圭司

昭和あるいは戯れるイメージ

——『青い山脈』と『きけ わだつみのこえ』
四六判上製250頁/定価2800円+税
ISBN 978-4-89176-889-8 C0095 12月下旬発売予定

イメージとしての〈昭和〉。
そして、自己と他者の記憶、不在の体験を想起し
その時代の心性をテクスト化するイメージ論。


《現在のイメージ状況のなかにあって、その状況を超えたことばを発することは、
あるいは既存のイメージ体系に依拠しない、
あたらしいモデル=イメージを創出することはもはや不可能なのだろうか。》

 

12月の新刊:『ロラン・バルト』『ロートレアモンと文化的アイデンティティー』『オイリュトミーが育むこころとからだ』

2011年 12月 19日

12月に刊行予定の新刊ラッシュはまだ続くのですが、
まずは海外文学/思想のこの3冊から。
いずれも12月22日頃から全国の書店に配本予定です。



barthes桑田光平

ロラン・バルト——偶発事へのまなざし

四六判上製243頁/定価=2500円+税
ISBN 978-4-89176-886-7 C0098  12月22日頃発売
装幀=宗利淳一+田中奈緒子


文学、この危険な横断——。

『水声通信』連載分へ大幅に加筆修正、
俊英の手になる瞠目のバルト論。


《バルトの「私」は軽い。それは、新しい「私」を求める軽さである。だが、その根底には、「私」にまとわりつく意味への疲労がある。疲労した「私」は、エクリチュールを通して「私」をいくらか放棄することで、意味もいくらか放棄しようとする。しかし、どれだけ「私」を放棄しても、「私」であるという感覚からは逃れることができない。それは再び疲労の源泉となる。この無限に続く弁証法が「テクスト」と呼ばれるものを産出したのであり、この運動それ自体を、バルトは「テクスト」と呼んだのである。》——本書より

【目次】

Ⅰ「始まり」をめぐって

疲労について
いかにして共に生きるか
どこから始めるべきか

Ⅱ「イメージ」をめぐって
まなざしについて
〈モアレ〉のまなざし
イメージの休息——ダニエル・ブーディネの写真
『偶発事』、あるいは落葉拾い
サイ・トゥオンブリ、あるいは脱ぎ落とされたズボン

Ⅲ「教育」をめぐって

教育の余白——ぼんやりとしながら……
セミナー「恋愛のディスクール」を読む
(1)方法について
(2)テクストからモアレへ
(3)パリノーディアー
(4)終わりなきエクリチュール

Ⅳ「ロラン・バルト」をめぐって
詩人バルト?
中国のバルト
テクストと実存

————————-

lautreamontレイラ・ペロネ=モイセス+エミール・ロドリゲス・モネガル
寺本成彦訳

ロートレアモンと文化的アイデンティティー

——イジドール・デュカスにおける文化的二重性と二言語併用

A5判上製174頁/定価=2500円+税
ISBN 978-4-89176-860-7 C0098  12月22頃発売

ロートレアモンを読み換える、〈南米〉からの声。

14歳で渡仏したウルグアイ出身のイジドール・デュカス。
その彼がスペイン語を話せないわけがない!
いままで不問のまま放置されたバイリンガルの問題に焦点をあて、
詩人の本質に肉薄する意欲的な研究。

《イジドール・デュカスは、ウルグアイ人であった。そのこと自体は誰にとっても、まったく耳新しいことではない。少なくとも逸話としてなら。このよく知られた事実〔……〕から、他の事実が導き出されてくる。デュカスはバイリンガルであったに違いないのだ。信憑性のある仮説として考えられているにもかかわらず、文学上の結果に対してその事実が持つインパクトは——完全にとまではいわないまでも——ほとんど忘れ去られてしまっている。〔……〕それゆえ、彼が流暢にスペイン語を話したということを認めるべきなのだ。それは常識的な問題に他ならなかったのだ。》

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oiryutomii秦理絵子

オイリュトミーが育むこころとからだ——動きの教育学

A5判上製154頁/定価=2200円+税
ISBN 978-4-89176-884-3 C0073 12月22日頃発売




イリュトミー100年!

本邦初のオイリュトミー教育/芸術論。

オイリュトミーが子どもたちの様々な感覚に働きかけ、
その成長をいかにひきだすか。
——シュタイナー学校のカリキュラムの展開にそって
オイリュトミーの教育的可能性をさぐる。

 

今月の新刊:『赤外線』『『ユリシーズ』と我ら』『ジュリアン・グラック』

2011年 12月 13日

今月は年末ということもあって、小社も新刊ラッシュなのですが、
まずは 19日ごろ配本予定の話題作3冊をまとめてお知らせします。



e8b5a4e5a496e7b79a002ナンシー・ヒューストン/いぶきけい訳

赤 外 線

四六判上製360頁/定価2800円+税
ISBN 978-4-89176-854-6 C0097 12月19日頃発売!



世界を駆けめぐる写真家の自由奔放な男性遍歴。


わたしを貫く男たちの
あの瞬間を赤外線カメラで撮る——
女の視点から男の性をあからさまに描き,
フランスでセンセーショナルな話題を呼んだ,
バイリンガル作家の過激な最新小説。

▼ナンシー・ヒューストンの本
〈既刊〉『暗闇の楽器』(永井遼・いぶきけい訳) 定価2800円+税
〈近刊〉『草原讃歌』(永井遼訳) *乞うご期待!

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e383a6e383aae382b7e383bce382ba004デクラン・カイバード/坂内太訳

『ユリシーズ』と我ら——日常生活の芸術

A5判上製392頁/定価5000円+税
ISBN 978-4-89176-853-9 C0098 12月19日頃発売!



「難解なジョイス」という神話を崩す。
マリリン・モンローをも魅了した『ユリシーズ』。
アイルランド文学・演劇研究の第一人者が
20世紀最大の作家ジョイスの代表作を
〈身体〉という視点から自在に読み解く。

●『ユリシーズ』の全18章を, 「目覚める」「歩く」
「食べる」「夢見る」などといった人間の日常の, 主として
身体的な行為で読み解いていることは独創的であり,
平易な言葉で深い含意を伝えていることも特筆に値する。
〔……〕『ユリシーズ』のいずれか一つの章に特化した
研究論文は世に無数にあるが, 統一的な視点で,
抽象的な概論に陥らず, 具体的に詳しく全章を
読み通す議論は稀である点でも,
『「ユリシーズ」と我ら』は突出している。——「訳者あとがき」より


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e382b0e383a9e38383e382af005別冊水声通信第2号

ジュリアン・グラック

A5判並製264頁 定価2500円+税
ISBN 978-4-89176-850-8 C0098 12月19日頃発売!



生誕百年を迎え、新たな観点で論じられつつある、
二十世紀フランス文学の重鎮ジュリアン・グラック
「最後の古典作家」の散文のダイナミズムと現代性を浮き彫りにすべく、
グラックのテクストのほか、日仏の著者・研究者による詩・エッセイ・論文、
およびインタビュー記事や略年譜/著作解題などの資料を満載。

[執筆]——ジュリアン・グラック、ミシェル・トゥルニエ、
ピエール・ミション、ドミニク・ラブルダン、ミシェル・ミュラ、
パトリック・マロ、マリアンヌ・ロレンジ、天沢退二郎、安藤元雄、
堀江敏幸、塚本昌則、永井敦子、三ツ堀広一郎。

 

〈レーモン・クノー・コレクション〉刊行記念イベントのご案内

2011年 12月 12日

小社より絶賛刊行中の〈レーモン・クノー・コレクション〉全13巻の
刊行を記念したイベントが開催されます。
クノーについては一家言あるかたも、このシリーズではじめてクノーに
触れたかたも、ぜひぜひふるって足をお運びください。


レーモン・クノーってだれ?

豊崎由美(書評家)× 塩塚秀一郎(フランス文学者)

作家? 編集者? ウリピアン? アマチュア数学者? 元シュルレアリスト?
ガリマール社で百科全集の編集を担当し、マルセル・デュシャンやウンベルト・
エーコも参加する秘教的な芸術研究集団《コレージュ・ド・パタフィジック》の
中心的メンバーであり、奇妙キテレツな文学集団《ウリポ(潜在文学工房)》の
発起人でもあり、またその作品もSFから偽名小説、自伝的小説など多岐にわたり、
様々な顔を持つレーモン・クノー。

一つの出来事を99通りのいい方で語った『文体練習』で知られる作家ですが、
日本ではこれまで断片的にしか紹介されてこなかったこのクノーなる人物とは
いったいどんな人なのか? そしてどんな(奇妙な?)作品を書いたのか?

さまざまなジャンルの小説を読破し、フリーライター、ウクレレ奏者、書評家と
あらゆる顔を持つ豊崎由美さんと、普段は穏やかな大学教師でありながら、
不可能な翻訳に挑戦しつづける塩塚秀一郎さん。お二人に、クノーの、
またその作品の魅力について、たっぷりと語っていただきます。

◎ 2012年1月28日(土)19時〜_


◎ 会場
:西武池袋本店別館9階池袋コミュニティ・カレッジ28番教室_

◎ 定員
:50名

参加チケット:1000円(税込)

チケット販売場所:西武池袋本店 書籍館 地下1階 リブロリファレンスカウンター

お問合せリブロ池袋本店 03-5949-2910
くわしくはこちらをクリック→(



【講師プロフィール】

豊崎由美(とよざき・ゆみ)
1961年生まれ。ライター、書評家。主な著書に『そんなに読んで、どうするの?』(アスペクト)、
『どれだけ読めば、気がすむの?』(アスペクト)、『文学賞メッタ斬り!』(共著、パルコ出版)など。

塩塚秀一郎(しおつか・しゅういちろう)
1970年生まれ。パリ第三大学文学博士。現在早稲田大学理工学術院准教授。主な訳書に、
ジョルジュ・ペレック『さまざまな空間』、『美術愛好家の陳列室』、『煙滅』、
レーモン・クノー『あなたまかせのお話』など。

 

12月の新刊:『メルラーナ街の混沌たる殺人事件』

2011年 11月 29日

merulanaカルロ・エミーリオ・ガッダ/千種堅訳

メルラーナ街の混沌たる殺人事件

四六判上製416頁/3500円+税
ISBN978-4-89176-859-1  C0097 12月5日頃発売!
解説:和田忠彦
装幀:宗利淳一+田中奈緒子


ジョイス、プルースト、カフカに比肩する、
イタリア・ポストモダン小説の金字塔。

書評家・豊崎由美さんが偏愛し、
「復刊熱望
のツイートで大反響!
40年ぶりによみがえる奇跡の《改訳決定版》
旧版よりぐっと読みやすくなって、ついに刊行。


ムッソリーニ政権下のローマ。
成金街の宝石盗難事件—殺人事件。
奮闘する敏腕警部。
すったもんだに迷走する大捜査線。
混乱。
脱線。
紛糾。
そして、真犯人は……?


めくるめくドタバタ捜査劇の行方やいかに !?
これぞ《フィクションの楽しみ》をご堪能あれ!


 

12月の新刊:『ドリス・レッシングを読む』

2011年 11月 28日

lessing大社淑子

ドリス・レッシングを読む

四六判上製272頁/3000円+税
ISBN978-4-89176-883-6  C0098 12月2日頃発売!
装幀:齋藤久美子


アフリカ、SF、コミュニズム、そして性愛。
いま、レッシング文学の扉がひらく——。


旺盛な想像力を駆使した多彩な作品で知られる、
2007年度ノーベル文学賞受賞作家、ドリス・レッシング。
半世紀以上におよぶ彼女のほぼ全作品を読み解き、
その本質に肉薄する、待望の作家論にして読書ガイド。



【ドリス・レッシングの本】
生存者の回想 大社淑子訳…………2200円
シカスタ 大社淑子訳………………3800円
暮れなずむ女 山崎勉訳……………2500円

 

編集部より:映画『阪急電車』と水声社

2011年 11月 25日

突然ですが、今春、全国でロードショー公開されて大好評を得た、有川浩さん原作、中谷美紀さん、戸田恵梨香さん出演の映画『阪急電車 片道15分の奇跡』をご覧になったかたも、少なくないことと存じます。わたくし編集某も関西出身なので懐かしく観たものでしたが、この映画にスピンオフ作品があるのをご存知でしょうか? それが、テレビ等で放映されて話題になった『阪急電車 片道15分の奇跡 征志とユキの物語』です。

hankyuこの作品は、原作に描かれていながらオミットされた、征志(永井大さん)とユキ(白石美帆さん)、ふたりの恋のはじまりとその行方を追ったファンタスティックな短篇ドラマなのですが、じつはこのなかに、水声社も出演しているのです!

舞台が図書館という非常にブッキッシュな物語だけに、「本」がふたりの恋の重要な小道具となります。主人公たちはSFがお好きなようで、早川書房さんの本が人気なのですが(笑)、征志さんのほうは、なんと小社の演劇関連書を2冊も手にしてくれています。いやー、こんなところにも読者がいたとは、うれしいことですよ。さあ、どの本のことか、お分かりになったかたはエラい。すごい。

ということで、このたびDVD化された『阪急電車 片道15分の奇跡 征志とユキの物語』、エンドロールにはしっかり小社もクレジットされていますので、ぜひぜひご覧になってみてください。本編26分に特典映像が17分で、お値段も1900円+税と、とてもリーズナブルですよ!(編集某)

*小社の単行本を抜擢してくださった東條政利監督(本作では監督助手)のご配慮に感謝します。

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11月の新刊:『コンテンツ批評に未来はあるか』

2011年 11月 18日

content_cover波戸岡景太

コンテンツ批評に未来はあるか

四六判上製232頁/2500円+税
ISBN978-4-89176-882-9  C0095 11月21日頃発売



ここから世界を書き換えろ!

データベース化が進行し、人間と社会とが
ますます乖離してゆく現在、
《コンテンツ》はどのように語りうるのか?
村上春樹や『シュタインズ・ゲート』、エミネム、
『もののけ姫』にいたる多彩な表現を通して、
この《21世紀》を新たに読み直すための果敢な実践。



《実体と記憶と起源。およそすべての文化的営みは、
これら抜きでは語れない。そして、コンテンツという概念は、
これら三者の結びつきが欠落した世界の可能性を示唆する。
はたして、その世界は私たちの「未来」なのか。
コンテンツ批評のこれからを考えることは、
私たちの世界を再考することを意味するのだ。》——本文より



【ジュンク堂書店池袋店でトークイベント開催!】


会場……ジュンク堂書店池袋本店 4階喫茶にて。入場料1,000円(ドリンク付)
定員……40名
受付……1階サービスカウンターにて。電話予約承ります。
TEL. 03-5956-6111/ FAX.03-5956-6100

http://www.junkudo.co.jp/tenpo/evtalk.html#20111020ikebukuro

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波戸岡 景太『コンテンツ批評に未来はあるか』(水声社)刊行記念

コンテンツ批評とはなにか?

波戸岡 景太(アメリカ文学者)× 大澤 真幸(社会学者)

2011年12月8日(木)19:30~

「コンテンツ」は、デジタル化が進行する現在のメディア状況のなかで、
おそらくもっとも流布しているキータームです。
これは、映像であれ楽曲であれテキストであれ、その作り手と受け手との
あいだをとりもつメディアが発達し、多様化した結果、
逆説的に売り買いされることになった作品の、「中身」「実質」「意味」を
あらわす言葉ですが、では、その「コンテンツ」を「批評する」とは、
具体的にどういうことでしょうか?
今回は、アメリカ文学者の波戸岡景太さんの新著、
『コンテンツ批評に未来はあるか』(水声社)刊行※を記念して、
いま論壇にもっとも精力的に発言している社会学者・大澤真幸さんをゲストに、
アニメ化も話題のゲーム『シュタインズ・ゲート』から、
アメリカ現代文学の最高峰トマス・ピンチョンの世界に至る、
幅広いコンテンツの〈群れ〉を対象に、
新世紀の「批評」を対話的に実践する試みとなります。

波戸岡景太(はとおか・けいた)
1977年、神奈川県に生まれる。明治大学准教授。専攻、アメリカ文学。
著書に、『ピンチョンの動物園』(水声社)、『オープンスペース・
アメリカーー荒野から始まる環境表象文化論』(左右社)がある。

大澤真幸(おおさわ・まさち)
1958年、長野県に生まれる。社会学者。月刊誌『THINKING「O」』主宰。
著書に『身体の比較社会学』(I・II、勁草書房)、『増補 虚構の時代の果て』
(ちくま学芸文庫)、『文明の内なる衝突』(NHKブックス)などがある。

 

11月の新刊:『最後の日々』

2011年 11月 15日

rqefbc8fe69c80e5be8ce381aee697a5e38085_coverレーモン・クノー・コレクション2

最後の日々

宮川明子訳
4/6判上製288頁/定価2500円+税
ISBN978-4-89176-862-1  C0397 11月30日頃発売!


歴史に埋もれた、小さな物語たち

冴えない哲学科の大学生たちとカフェに集う老人たち。
時に交錯し、時にすれ違う彼らの運命を、
星占いで予言しながら見守るカフェのボーイ。
彼らの最後の日々を描きながら、
第二次大戦前の不穏なパリの雰囲気を伝える、クノーの自伝的小説。
【本邦初訳!】

*レーモン・クノー・コレクション次回配本は、
2012年1月末頃、『ルイユから遠くはなれて』を配本予定です。

*『地下鉄のザジ』『サリー・マーラ全集』『聖グラングラン祭』も絶賛発売中!


*日本ウリポ史に残る特典付き! 全巻ご購読の予約の締め切り迫る!
以上、くわしくはこちら→

*すぐれた着眼と批評性のある企画を続々刊行している月曜社さんの人気ブログ、
「ウラゲツ☆ブログ」()でも、ご紹介いただきました。
Kさん、いつもありがとうございます!
クノーが新刊で読めるのは、いまや小社と月曜社さんだけかも!?

 

11月の新刊『歴史とエクリチュール』

2011年 11月 15日

e6adb4e58fb2e381a8e382a8e382afe383aae38381e383a5e383bce383abクリスチアン・ジュオー著
嶋中博章・杉浦順子・中畑寛之・野呂康訳

歴史とエクリチュール

A5判上製304頁/定価4000円+税
ISBN 978-4-89176-858-4 11月15日発売

フランス気鋭の歴史家、クリスチアン・ジュオーを本邦初紹介!

――文学作品は〈歴史〉となりうるか?
歴史資料/文学作品の背後にある〈行為〉を読み解き、
新たな歴史解釈の方法論を提示する。
日本で行われた講演、また彼の重要な論考を訳出し、
未発表論文のシムノン論を加えた日本オリジナル版に、
訳者による詳細な解説を付す。

『絶対王政期の文学的事象と政治社会的制度との関係について
注目すべき業績を挙げたクリスチアン・ジュオーの仕事が、
日本語で本格的に紹介される。十七世紀から二十世紀(ベンヤミン、シムノン)に
いたるまでの多彩な論考の秀れた翻訳と解説が、フランスにおける歴史研究の
最新の方法論的意識に接する機会をあたえてくれる。』――廣田昌義


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目次



講演
・マザリナード 著述家、出資者、公衆
・マザリナードと雑報――1652年、パリに流通した反ユダヤ文書群
・「太陽王」時代における政治権力の無力さと全能の力
・17世紀におけるエクリチュールと行為
――論争と論戦に関する研究のための方法論的展望

論考
・歴史と文学史の出会い――アラン・ヴィアラ著『作家の誕生』(注釈と批評)
・「実践の形式」における「国家理性」から、
ルーダンでの行為としての「国家理性」へ――歴史における時間の区分
・ベンヤミン、「偉大なる世紀」そして歴史家
――ひとつの仕事をふり返ること
・過去を見る/見ない――メグレと口の固い証人たち
・より高度な方法的意識の覚醒に向けて
――クリスチアン・ジュオーの認識と方法(野呂康)

 

11月の新刊:『スピノザとわたしたち』

2011年 11月 7日

spinoza_coverアントニオ・ネグリ/信友建志訳

スピノザとわたしたち

四六判上製218頁/2500円+税
ISBN978-4-89176-855-3  C0010 11月10日頃発売



この現代を《スピノザ的》に組成せよ!


スピノザという異形の運命に立ち戻り、
その批判的/転覆的意味、
および彼によって先取りされた《共》の哲学を、
現代思想に布置するための、ネグリ自身による、
最もラディカルなガイダンス。


訳者によるアクチュアルな解説を付す。

〈目次〉
序 章 スピノザとわたしたち
第1章 スピノザ——内在性と民主制の異端
第2章 力能と存在論——ハイデッガーかスピノザか
第3章 スピノザ政治思想の展開におけるマルチチュードと個別性
第4章 スピノザ——情動の社会学

解説「成功への希望は反乱の傾向を生じさせる」(信友建志)