イベント情報『美術館・動物園・精神科施設』刊行記念

2010年 7月 28日

museum美術家にして批評家の白川昌生さんによる最新刊、
『美術館・動物園・精神科施設』刊行を記念して、
新宿にある 模索舎 さん主催のイベントが開催されます。
現代アートの病理を容赦なく剔抉し、
酷暑に冷気を呼び込むことが予測される
ユニークなセッションとなることまちがいなし。
日曜夕方からではありますが、ふるって足をお運びください!



対談 《帝国》の時代のアート

白川昌生さん(美術家)×イルコモンズさん(元美術家)

日時:8月1日(日曜) 18時〜

場所:Cafe★Lavanderia
(東京都新宿区新宿2-19-9広洋舎ビル1階)
◎ワンドリンク制

主催:模索舎(03-3352-3557)

 

7月のイベント/トークセッション

2010年 7月 5日

以下の2つは、いずれもジュンク堂書店池袋本店でおこなわれます。
くわしいインフォメーションはこちら(→)。
いずれも白熱のセッションが期待されます。ふるって足をお運びください!

*  *  *

(1)白川昌生『美術・動物園・精神科施設』刊行記念イベント

生きるための/治療としての/批判としての芸術


日時:2010年7月10日(土)19:00〜
講師:白川昌生(美術家)×毛利嘉孝(社会学者)

概要:グローバル化した現代世界のなかで、芸術も市場主義の舞台から
おりることは不可能になっている。近代芸術が市場・投機と共犯する形で
形成されてきた歴史のなかで、今日、芸術に何が可能か、
人は芸術に何を求めるのか? 社会的動物としての
人間の存在理由そのものを問い直しつつ、人間のサバイバルの可能性、
危機意識のなかの芸術の可能性を熱くかたる。

プロフィール:
白川昌生(しらかわよしお)
1948年生まれ。美術家。群馬県立女子大学講師。
主な著書に『美術、市場、地域通貨をめぐって』、『美術・記憶・生』、
『美術・マイノリティ・実践』(すべて水声社)などがある。

毛利嘉孝(もうりよしたか)
1963年生まれ。東京芸術大学音楽学部音楽環境創造科准教授。
社会学(カルチュラルスタディーズ)専攻。
主な著書に『ポピュラー音楽と資本主義』(せりか書房)、
『ストリートの思想』(NHK出版)などがある。

会場——4階喫茶にて。入場料1,000円(ドリンクつき)
定員——40名(残席わずか!)
ジュンク堂書店 池袋本店
TEL.03-5956-6111



(2)『クリスチャン・ボルタンスキーの可能な人生』刊行記念イベント

ボルタンスキーは語る  生、死、記憶、喪失そして芸術について

日時:2010年7月16日(金)19:00〜
講師:クリスチャン・ボルタンスキー×松浦寿夫

瀬戸内国際芸術祭での「心臓音のアーカイヴ」のために
来日するクリスチャン・ボルタンスキー。
今月中旬には弊社から自伝が刊行されるのを記念して、
幼年時代、家族のこと、1960年代から今日までの
彼の芸術的軌跡、そしてこれからの活動について、
世界のアートの動向にてらしながら、存分に語り尽くします。
対話者には、美術批評家として、画家として、
多方面で活躍中の松浦寿夫さんをお招きします。

プロフィール:
クリスチャン・ボルタンスキー
1944年パリに生まれる。芸術家。

松浦寿夫
1954年東京に生まれる。東京外国語大学外国語学部教授。
美術批評家。主な著書に『村山知義とクルト・シュビッタース』(共著)、
主な訳書に『クリムトとピカソ、1907年』(すべて水声社)などがある。

会場——4階喫茶にて。入場料1,000円(ドリンクつき)
定員——40名(満員御礼!)
ジュンク堂書店 池袋本店
TEL.03-5956-6111


クリスチャン・ボルタンスキ—+カトリーヌ・グルニエ
佐藤京子 訳

ボルタンスキ—の可能な人生

A5判上製/320頁/定価4500円
ISBN978-89176-789-1   C0070 7月中旬発売!

 

書評『第二の手』

2010年 7月 5日

三月に刊行されました『第二の手、または引用の作業』
(アントワーヌ・コンパニョン著/今井勉訳)の書評が
相次いで掲載されました。各媒体のみなさま、
どうもありがとうございます!(編集部 ka)

→今福龍太氏(7月4日付『読売新聞』)
「引用という行為を手がかりに『書くこと』の意味と歴史に
迫ろうとした刺戟的な論考である」


→土田知則氏(7月10日付『図書新聞』)
「誰かがやり遂げなければならなかった作業。〔……〕
『引用』という複雑なプロセスを精査する際、この書物は間違いなく、
類例なき指針として役立ち続けることになるだろう」



secondhandアントワーヌ・コンパニョン 今井勉訳

第二の手、または引用の作業

四六判上製/576頁/定価8000円+税
ISBN978-4-89176-774-7 c0098 絶賛発売中

 

6月は新刊ラッシュ!

2010年 6月 21日

今月の水声社は新刊ラッシュです。
すでに刊行されていながらブログでご紹介するのが
遅れていたものも含めて、計10冊!

ついに全10巻が完結した《ヘンリー・ミラー・コレクション》や、
待望の《シュルレアリスムの25時》第3回配本などシリーズものをはじめ、
文学批評から短歌論まで、以下にずらっと取り揃えましたので、
お目にとまった《この1冊》がございましたら、ぜひぜひ、
おなじみの書店/ネット書店でお買い求めください。(編集部 Naovalis)

 

6月の新刊『〈殺し〉の短歌史』

2010年 6月 21日

koroshi_cover-2現代短歌研究会 編

〈殺し〉の短歌史

A5判上製280頁/定価2800円+税
ISBN978-4-89176-787-7  C0095  6月25日頃発売

殺すくらゐ 何でもない
と思ひつゝ人ごみの中を
濶歩して行く
——————(夢野久作)


短歌というメディアは、
いかに《時代》と切り結んできたのか?


1910年の大逆事件から、第2次世界大戦、前衛短歌、
戦後の政治運動を経て、21世紀の無差別連続殺人事件に
いたるまで、この100年におよぶ〈殺し〉の近現代を、
短歌という《方法》によって剔抉する。
《短詩型新時代》の旗手たちによる稀有な成果。

執筆:田中綾、谷岡亜紀、松澤俊二、森本平、
中西亮太、福島久男、秋元進也、田中拓也、森井マスミ、
大野道夫、川本千栄、黒瀬珂瀾、三井修

 

6月の新刊『宗教とファシズム』

2010年 6月 21日

fascism_cover竹沢尚一郎 編

宗教とファシズム

A5判上製/372頁/定価5000円+税
ISBN978-4-89176-788-4  C0010  6月25日頃発売

陶酔
非合理
カルト
翼賛



民衆の統合支配はどのようにして実現するのか?
ナチス、大本教、イタリアにおける実践など、しばしば
その類縁性を指摘される《宗教》と《ファシズム》の関係を、
歴史的・文化的諸相によって捉え返し、
いま – この時代の経験へと逆照射する画期的な論集。

執筆竹沢尚一郎、川村邦光、大谷栄一、新免光比呂、
深澤英隆、山中弘、有田英也、久保田浩、江川純一、
平藤喜久子、松村一男

 

6月の新刊『水の音の記憶』

2010年 6月 21日

mizuno_cover結城正美

水の音の記憶——エコクリティシズムの試み

四六判上製/272頁+別丁図版1葉/定価3000円+税
ISBN978-4-89176-790-7  C0095  6月25日頃発売


エコクリティシズム宣言!



文学表現は、はたして《環境》と共生しうるのか?
田口ランディ、石牟礼道子、森崎和江、T・T・ウィリアムスらの
再読を通して検証される、《人 – 自然》の新たな結びつき。
瑞々しい感性が放つ、鮮烈な環境文学論の誕生。

 

6月の新刊《シュルレアリスムの25時》第3回配本!

2010年 6月 21日

lecomte_cover谷昌親著

ロジェ・ジルベール=ルコント 虚無へ誘う風

四六判上製/360頁/定価3500円+税
ISBN978-4-89176-765-5  C0398  6月25日頃発売


酷熱の叙情をもつ、真の詩人
——アントナン・アルトー


生を壊し、死を導き入れる、異端のシュルレアリスト。

◎ルネ・ドーマルとの共作詩篇など多数収録!

ルネ・ドーマルらと<大いなる賭け>グループを主宰し、
ブルトンと対立しながらも、あくまでシュルレアリスムに
こだわり続けたロジェ・ジルベール=ルコント。
アヘンに溺れたスキャンダラスな詩人の生を追いながら、
彼が追究した新たなシュルレアリスムの可能性を浮き彫りにする。

 

6月の新刊:ヘンリー・ミラーをめぐる2冊!

2010年 6月 21日

ヘンリー・ミラー・コレクション〈全10巻〉
ついに完結!


m001第8巻(最終配本)
〈薔薇色の十字架刑 Ⅲ〉

ネクサス

田澤晴海 訳
四六判上製464頁/定価4500円+税
ISBN 978-4-89176-773-0  C0397 6月22日頃発売!




作家志望の主人公は、最愛の妻モーナと同性愛の芸術家ステイシャとの
奇妙な共同生活を営みながら、雄大な構想の小説を書き続けてゆく。
若きミラーが初めてヨーロッパへ旅立つ直前の1927年を背景にした
自伝的長編三部作の完結篇。新訳決定版!





待望のヘンリー・ミラー研究&入門書

miller_cover小林美智代著

ヘンリー・ミラーの文学——愛の欠落から追求へ

四六判上製304頁/定価3500円+税
ISBN 978-4-89176-795-2 C0098 6月28日頃発売!

色彩語性描写超現実


20世紀アメリカの反骨の文豪ヘンリー・ミラーは、
パトスの知を伝えるための革命的な方法探求者だった
——その主要作品の表現と形式を考察し、
ミラー文学への新たな理解を提示する画期的論考。年譜・書誌情報収載。

 

6月の新刊『危機の中の文学』

2010年 6月 21日

kikino_cover危機のなかの文学——今、なぜ、文学か?

A5判上製/274頁/定価3800円+税
ISBN978-4-89176-785-3 c0098 好評発売中!



文学の自明性を疑う!





政治、経済、社会、文化のあらゆる領域で
激動する21世紀の世界において、文学は成立するのか?
するとしたら、いかなるかたちで、何のために?
危機のなかの文学を問う。

執筆:赤羽研三、大鐘敦子、沖田吉穂、神田浩一、
北山研二、佐々木滋子、澤田肇、立花史、中山眞彦、
原田操、宮本陽子、横山安由美、吉田裕

 

6月の新刊『ルイ=ルネ・デフォレ』

2010年 6月 21日

desforets_cover佐藤典子著

ルイ=ルネ・デフォレ——「読むこと」という虚焦点

A5判上製/304頁/定価4000円+税
ISBN978-4-89176-796-9 c0098 6月22日頃発売

バタイユが、ブランショが賞讃した
「虚無のことば」




「隠蔽することで新たな真実を獲得する」と語った作家、
デ・フォレ。気鋭の研究者が、「書く/読む主体」という観点から、
そのメタフィクショナルな小説に迫る、日本初のモノグラフ!


[関連書]
ルイ=ルネ・デ・フォレ/清水徹訳

『おしゃべり/子供部屋』

四六判上製328ページ/定価2800円+税
ISBN978-4-89176-742-6 絶賛発売中!
装幀:中島かほる

 

6月の新刊:ヴィクトル・セガレン著作集3

2010年 6月 21日

segalenヴィクトル・セガレン/木下誠訳

『二重のランボー/オルフェウス王』

四六判上製函700頁 定価10000円+税
ISBN 978-4-89176-545-3  C0098 好評発売中!

《エグゾティスム》を追求した作家の集大成、
ついに待望の第3巻刊行!




20世紀初頭、フランスの海軍船医としてタヒティ、
ポリネシア、セイロンをめぐって仏教を学び、
ランボーの足跡を訪ねた著者がフランスに帰国後、
中国へ向うまでの思考の軌跡。

文学と生、幻想と覚醒、音楽と言葉のあいだで苦闘した、
ランボー、ゴーダマ・シッダールタ、オルフェウス。
著者が憑かれ、自らの分身を認めたこの3人をめぐって、
生涯にわたって書かれ続けた終わりなき4作品、
そしてドビュッシーとの往復書簡を収録する。

 

6月の新刊『シュタイナー幼稚園のうた』

2010年 6月 21日

e382b7e383a5e382bfe382a4e3838a高橋弘子編著

シュタイナー幼稚園のうた

B5判並製64頁/定価1000円+税
ISBN978-4-89176-784-6 C0073 6月25日頃発売
*新刊委託はありません。返条付き注文で出荷します。

おとなもこどもも、
さあ、うたいましょう!



ドイツの、そして日本のシュタイナー幼稚園でうたわれている
《流れゆく雲のような》、《雨の降る音のような》美しいうた、
楽しいうたを、楽譜とともに65曲収録する日本でただ1冊の、
シュタイナー幼稚園の歌曲集。

 

編集部通信:バナナの本はまだすべるのか?

2010年 6月 16日

banana_coverバナナというフルーツに
関心のある読者はもちろん、
お笑い関係者や映画関係者のみならず、
古今東西の文献からの圧倒的
かつ豊富な引用の実例によって、
ブッキッシュな読者をも驚愕のズンドコに……
もとい、ドン底におとしこんだのが、
黒木夏美『バナナの皮はなぜすべるのか?』

な、なんと、おかげさまでよもやの重版決定!
(とはいえ、最小ロットではありますが)。
担当編集者も目と耳と心を疑っております。

これまでご紹介の労をとってくださった各紙誌、
そしてブログやツィッター等ウェブで広めていただいた
みなさまのおかげです。ありがとうございます。。。
すでにご注文いただいていたお客様のお手許にも、
もうすぐ届きますので、いましばらくお待ちください。
まだお買い求めいただいていないかたは、
ぜひともお気に入りの書店/ネット書店へ、
じゃんじゃんと注文をお寄せください。

……とアップしたら、今週末(20日付)
朝日新聞の書評欄でも紹介されるとの報が!
お楽しみに!




さて、このかんも6月7日発売の『アエラ』誌に
小さいながらとてもユニークな 書評 が掲載され、
また、8日付の静岡新聞朝刊の名物コラム「大自在」では、
本書にことよせて、菅政権の趨勢(!?)が論じられました。
(リンク切れながらその一部はこちら→

banana_hokkaiそして去る13日には、
北海道新聞文芸面のコラムで、
北海学園大学准教授で
歌人の田中綾さんが、本書を
紹介してくださりました
左の画像をクリック)。

著者の黒木さんが俳人でもあるせいか、
本書には、バナナの皮をめぐる短歌や俳句も
ふんだんに引用されているのですが、
田中さんが着目したのは、会津八一のもの。

わがすてしバナナのかはをながしゆくしほのうねりをしばしながむる


田中さんはこの歌を「瀬戸内海のうねる潮が、
小さな黄色い皮をダイナミックにのみこんでいった光景への
感嘆だろう」と解釈していますが、その色と音が聞こえてくるような、
じつに色彩感あふれる名評ですね。田中さん、ありがとうございました。



ちなみに、その田中綾さんも主要な執筆者のひとりである、
『〈殺し〉の短歌史』(現代短歌研究会編)も、
今月末、6月25日ころの配本予定で現在印刷・製本中です。
この本は、100年前の大逆事件から、第2次世界大戦、
60/70年安保、前衛歌人、そして21世紀のアキバ事件まで、
日本の近現代史のさまざまな〈殺し〉を詠んだ短歌をめぐって、
《短詩型新時代》の旗手として活躍中の歌人や研究者たちが、
縦横に論じまくった1冊です。

詳細は近日中にこのブログでご紹介いたしますが、
こちらも『バナナの皮〜』に負けず劣らずの奇書(!?)として、
ぜひともご注目ください。(編集部:Naovalis)

 

編集部通信/『暗闇の楽器』の反響その2

2010年 6月 7日

ナンシー・ヒューストンの『暗闇の楽器』、好評です。

kurayami002発売後まもなく女性誌『BAILLA』6月号に
江南亜美子さんの紹介記事が載り、
5月6日に東京・表参道の
青山ブックセンター本店で行われた
トークイベント「われらの〈世界文学〉」
(野崎歓×沼野充義×柴田元幸)で、
野崎歓さん「これぞ世界文学という作品」の一つに
『暗闇の楽器』を挙げていましたが、
それからひと月後の6月6日付け『日本経済新聞』読書欄に
同氏による書評が掲載されました。
「時代小説の波瀾に満ちた面白さと、現代小説としての知的な刺激を
たっぷりと味わわせてくれる秀作である」

実によくポイントをおさえた評価をしておられます。

また、『ダ・ヴィンチ』7月号の「注目の新刊情報コーナー」にも、
「独創的なアイデアを楽しみたい」と紹介されました。

さらに、『悪童日記』の翻訳者として知られる慶応大学教授の堀茂樹さんも
『暗闇の楽器』邦訳版を読んで絶賛、訳文もすぐれているとおっしゃっていて、
近々、力のこもった書評を書かれる予定です。

それから最新ニュースをひとつ。
日本語版『暗闇の楽器』が出た5月に、フランスのほうでは
ナンシー・ヒューストン4年ぶりの新作小説Infrarouge(赤外線)が上梓され、
話題になっています。フィレンツェを主な舞台にしたこの新作では、
東京も描かれ、日本の著名なカメラマンの名も出てきますが、
『暗闇の楽器』の現代の物語の世界をより深化させ、
かなり過激な内容になっているようです。
ヒューストンの創作力はますます凄みを増していて、
今後の活躍が本当に楽しみな世界的作家のひとりです。(編集部So)


kurayami001ナンシー・ヒューストン/永井遼・いぶきけい訳

暗闇の楽器

四六判上製328頁/定価2800円+税
ISBN 978-4-89176-783-9  好評発売中!

『天使の記憶』『時のかさなり』によって多くの読者の心を震わせた
ナンシー・ヒューストンの最高傑作——待望の邦訳なる!




【高校生が選ぶゴンクール賞受賞作】

美貌の女性作家をめぐる複雑な人間関係を
内面から描く現代のマンハッタンの物語。
17世紀フランスの暗黒時代を果敢に生き抜く
双子のみなしご兄妹の数奇な運命。
——二つの世界が時空を超えて
パラレルに展開する奇跡の小説。

『悪童日記』以来の文学的衝撃と感動が甦る!

 

編集部通信/不況でも みんなですべれば こわくない 5・30は バナナ記念日

2010年 6月 4日

banana_cover去る5月30日、日曜。

すでにお読みになったかたも多いとは存じますが、
はからずも全国紙2紙の書評面を飾ってしまったのが、
「バナナの皮ですべるギャグ」だけで250ページを埋め尽くした
世界初の本、黒木夏美さん(web「本の中のキートン」管理人)
『バナナの皮はなぜすべるのか?』です。


読売新聞(本よみうり堂)には、左ページ上段にどかんと書評が。
評者は既成の文学史を積極的に読み直している黒岩比佐子さん
タイトルからイロモノ的に見なされがちではあるけれども、
じつは硬派な本書の魅力を、あますところなく伝えてくださいました
黒岩さん、ありがとうございました!

「本よみうり堂」ウェブ版はこちら(→
黒岩さんのブログ(→



nikkei001いっぽう、日本経済新聞 の読書面。
「あとがきのあと」というインタビュー欄に、
著者の黒木さんが近影入りで登場しました。
本書のモティーフはもちろん、
「救いようもなく暗い一面がある人間社会には、
一隅を照らすような愉快なギャグが必要だ」

という持論を展開しています。
「書評より取材を〜」と言って、
著者の在住する中国地方まで足を運んでくださった、
文化部のTu さん、ありがとうございました!



さらに、ほかのメディアに先駈けて、
いち早く本書の紹介記事を全国に配信してくださったのが、
共同通信 の Ta さん。おかげさまで日本全国津々浦々の地方紙に
順次掲載されています。弊社に届いている紙面を列挙すると……

【共同通信配信分】
5月15日付 岩手日報
16日付 中国新聞
22日付 沖縄タイムス
23日付 神奈川新聞
〃  福井新聞
〃  河北新報
〃  上毛新聞
〃  秋田魁新報
〃  山陰中央新報
〃  宮崎日日新聞
〃  新潟日報
30日付 東奥日報
〃  岐阜新聞
〃  山形新聞
〃  南日本新聞  (以上、順不同)


ほかにもあるのかも? Taさん、ありがとうございました!



おかげさまで現在は品薄状態が続いており、
各書店さまにはご迷惑をおかけしていますが、
まだ一部書店・ネット書店には店頭在庫がありますので、
ぜひともお買い求めいただければ幸いです。

巷では「すべらない話」がもてはやされている昨今、
そんな風潮に叛旗をひるがえさんとして(?)、
帯にも麗々しく「絶対、すべる」と謳ってみたのですが、
「すべらない本」、いえいえ、「すべりしらずの本」となりますよう、
なにとぞお力添えをお願いいたします!(編集部 Naovalis)


黒木夏美

バナナの皮はなぜすべるのか?

A5判並製252頁/定価2000円+税
ISBN978-4-89176-777-8  C0095 大好評発売中!

——–
もくじ
——–
夜の終わりに
バナナの皮で笑うわけ
バナナの皮は誰かの手製
バナナの涙
世界に冠たるバナナの皮
お笑いに王道あり
永遠のお約束
バナナの皮の文学史
戦前日本のバナナの皮
アメリカ喜劇映画の神々
バナナの皮がギャグになるまで
バナナの皮の罪と罰
ストップ・ザ・スリップ
バナナの皮のモラル
踏み出す一歩
あとがき

 

6月の新刊/バルザックの新シリーズ刊行開始!

2010年 6月 4日

balzac_cover-31バルザック芸術/狂気小説選集1
【絵画と狂気】

知られざる傑作 他

私市保彦・芳川泰久・澤田肇・片桐祐・
奥田恭士・佐野栄一訳

四六判上製336頁/定価3000円+税
ISBN978-4-89176-791-4 C0397 6月5日頃発売!


内的夢想の氾濫によって現代を幻視する、
《過剰》と《想像力》の作家・バルザック。
狂気と現実のあわいを横断するベスト・セレクションにして、
すべて新訳の新シリーズ、刊行開始!(全4巻)


生命ある絵を追い求め、10年を費やして
「カトリーヌ」を描いた老画家フレンホーフェル。
長らく秘密にされていた、その絵の本当の姿が
明らかになったとき、画家は……。

ピカソやセザンヌが主人公に自分を重ね合わせたという
表題作のほか、「絵画」と「狂気」が交錯する6篇を収録。


目次

鞠打つ猫の店(澤田肇訳)
財布(片桐祐訳)
知られざる傑作(芳川泰久訳)
ピエール・グラスー(私市保彦訳)
海辺の悲劇(奥田恭士訳)
柘榴屋敷(佐野栄一訳)

解説:画家の群像と情念に侵された風景(私市保彦)


【内容見本進呈】
ご希望の方は、80円切手を同封のうえ、
下記弊社営業部までお申し込み下さい。
112-0002  東京都文京区小石川 2-10-1-202

 

『絵本の子どもたち』書評など

2010年 5月 27日

5月23日(日曜)付け『毎日新聞』の「今週の本棚」で、
『絵本の子どもたち』(寺村摩耶子著)の書評が掲載されました。
かなりのスペースを割き、評者の川本三郎さんが
この本の見どころ読みどころを見事に紹介してくださっています。
まだ目にしていない方はここにリンクをはっておきますので、
ぜひご覧になってみてください。
すぐにでも本屋さんへ駆けつけたくなることでしょう。
(こちら→

それから、著者の寺村摩耶子さんに対するインタビュー記事が、
白泉社で発行している『月刊MOE』7月号(6月3日発売)に
1頁で掲載されます。こちらも要チェック!(編集部So)



ehon_cover寺村摩耶子著

『絵本の子どもたち 14人の絵本作家の世界』

A5判上製320頁+カラー口絵8頁 定価3500円+税
ISBN 978-4-89176-779-2  C0095
全国書店絵本・芸術書コーナーほかで好評発売中!

子どもの本を舞台に、
美しい作品を作りつづけている絵本作家たち。
14人のクリエイターたちの魅力あふれる世界を
200点以上の絵本をとおしてみつめた注目の絵本作家論集!
貴重な資料であると同時に、驚きと楽しさにみちた生のドキュメント。

カラー口絵8頁ほか図版多数収録。


——絵本の森への招待。14の入口——
片山健/長新太/スズキコージ/井上洋介/
荒井良二/飯野和好/たむらしげる/
宇野亜喜良/酒井駒子/沢田としき/
谷川晃一/島田ゆか/南椌椌/木葉井悦子

 

編集部通信/世界も認める すべりっぷり

2010年 5月 21日

banana_cover一部の好事家の頬をニヤリとゆるませる本として、
密やかに話題を呼びつつある〈奇書〉が、
4月末に満を持して刊行された、
黒木夏美著『バナナの皮はなぜすべるのか?』です。

このタイトルのためにしばしば誤解されるのですが、
本書は、バナナにかこつけて処世術を解いたノウハウ本でも、
はたまたバナナの皮でのすべりかたを、
科学的物理的に検証した本でもありません。

ある日、本当にバナナの皮が道端に落ちているのをみた著者が、
古今東西の映画、コミック、文学作品、インターネットをくまなく検索、
有史以来、最も有名かつ普遍的な「バナナの皮ですべる」という
ギャグの由来と現在をひたすら調べまくった労作なのです。
徹頭徹尾、バナナの皮とそのギャグだけで、
250ページになんなんとする誌面を埋めた、
世界ではじめての本!
——と言うことができましょう。

banana_0515_iwateこのような著者の営為を広く世に知らしめるため、
まず共同通信さまが「気になるこの本」として配信してくださり、
すでに『岩手日報』(5/15日付=左の画像=クリック)、
『中国新聞』(5/16付)などなどに掲載されました。

さらに今月末には、いわゆる4大紙の1紙に
著者インタビューが掲載される予定
になっています。
*さらに 5月30日付読売新聞の書評が追加になりました!
思わぬところから取材や書評掲載のオファーが舞い込んできており、
バナナの皮の中毒患者は、確実に、じわりじわりと増えつつある情勢です。

たとえ2日分の夕飯をバナナにしてでも
いちどは手にしてみたくなる本、『バナナの皮はなぜすべるのか』
ちなみにカバーはあのロックの名盤のパロディです。

まだ未読のかたがいらっしゃったら、
ぜひお買い求めいただければ幸いです。(編集部 Naovalis)


黒木夏美

バナナの皮はなぜすべるのか?

A5判並製252頁/定価2000円+税
ISBN978-4-89176-777-8  C0095 大好評発売中!


もくじ
夜の終わりに
バナナの皮で笑うわけ
バナナの皮は誰かの手製
バナナの涙
世界に冠たるバナナの皮
お笑いに王道あり
永遠のお約束
バナナの皮の文学史
戦前日本のバナナの皮
アメリカ喜劇映画の神々
バナナの皮がギャグになるまで
バナナの皮の罪と罰
ストップ・ザ・スリップ
バナナの皮のモラル
踏み出す一歩
あとがき

 

編集部通信/『暗闇の楽器』の反響その1(編集部 So)

2010年 5月 10日

libro1今年は寒い春が続いていたのに、
このところ急に初夏の陽気。
天候に恵まれたGWを戸外で
ゆったりと過ごされた方も多いのでは。
私も久々に原稿やゲラと格闘する世界から離れ、
数日間、自転車で都内散策に出かけました。
ついでに書店も行けるだけ覗いてきましたが、
最新刊の『暗闇の楽器』が大型店では
目立つところに平積み・山積みされていました!
(左上の写真は池袋リブロの新刊台のコーナー、
その下のポップ付きは青山ブックセンター本店です)

少し驚いたのは、「フランス文学」なのに、
「アメリカ文学」に分類している書店が多かったこと。
書店員さんも忙しくて、「ナンシー・ヒューストン」という
著者名に惑わされ勘違いしたのかも。
これと逆のケースが昨秋刊行したアナイス・ニンの『人工の冬』で、
アメリカ文学なのに「フランス文学」と分類している書店が結構ありました。
これも早稲田大学の都甲幸治さん式に言うならば、
ナンシー・ヒューストンは「偽フランス文学」で、アナイス・ニンは
「偽アメリカ文学」だからこそ起こる勘違い現象なのかもしれません。

aoyamabc それはともかく、刊行後間もないのに、
連休が明けると『暗闇の楽器』を
さっそく読んだという方々から
次々と感想が寄せられてきました。
みなさん、担当者の私も驚くほど、
すごく核心をついた読み方をされているので、
ここに一部紹介させていただくと——




「……物語の凄さに圧倒されています。本当にこの著者は、
言葉を選び抜き、音楽や光の使い方が卓越していますよね。
ナダの名前の由来など、小さなエピソードがとにかく魅力的。
読みはじめから物語にからめとられました。
『時のかさなり』もすばらしかったですが、この『暗闇の楽器』も、
今年のベスト1になりそうな勢いです」
(東京在住YMさん)

「連休初日に『暗闇の楽器』を本屋さんで見つけて、
ちょうど連休中に読み終えました! とても面白かったです。
小説内に複数の声がわんわんと響いていて、でもそれは
すべて一人の作家(ナンシー・ヒューストンまたはナディア)のものであり。
……となにか気の利いた感想を書こうとしたのですが、
とてもたくさんのものを抱え込んでいる小説で、
一回ではとても読み切れなかった気がします。
時間と空間を超えて一人に収斂する複数の声、という意味で
『時のかさなり』と似たものを感じ、私にとってはそこが面白いポイントでした。
とにかくこういう、内容以前に、「小説」という器を意識した作品はすごく好きです。
今さらフィクションを書くならこういうふうにしてもらわないとって思います。
でもそれを変な実験的作品にせず、小説としての見事な完成度でもって仕上げてしまう
ナンシー・ヒューストンはますます気になる作家になりました。
以前に出た『天使の記憶』も読んでみようと思います。
でも翻訳するのはすごく難しい小説のように思いました。特にナディアのパート。
西洋人の女の人の独り言は日本語にしてしまうと
どうもエキセントリックで現実ばなれしてしまう。
「復活のソナタ」のパートは情景が強烈に残ります。
特にバルブが子どもを産み落とす章は迫真の筆致ですごい。
ここだけもう一回読み返してしまいました。
それにしてもこれが高校生に支持されるって、
フランスの高校生はレベル高いですね……。
どういうことなんでしょう?」
(東京在住AYさん)

「女性が直面する生きづらさという重いテーマを扱っているにもかかわらず、
物語性の豊かさと確かな筆力によって手に汗にぎる思いで読了し、
(帯の「絶望そして希望の物語」そのものの)見事なラストに感嘆しました
(訳文もこなれていて読みやすかった)。
この本に巡り会えて本当に良かったと心から感謝しています。
まず、作家の「わたし」(ナディア)の日常と、
「わたし」が執筆中の小説「復活のソナタ」が
交互に配置されるという構成が素晴しい。
次に三人のヒロイン(小説での17世紀のバルブ、
ハンガリー系のヴァイオリニストで「わたし」の母エリザ、
そして「わたし」)を通して、女性だけが背負う諸問題
(妊娠と出産、レイプ、中絶、避妊、魔女裁判など女性への偏見、
結婚して放棄せざるをえないキャリア、家事労働の空しさ、
夫の浮気と暴力 etc.)と真正面から向き合う見事な覚悟に胸打たれます
(その意味で、角田光代〔『対岸の彼女』『八日目の蝉』など〕の先達といえる)。
母語ではない仏語で書く作家で、双子が登場する小説というと、
やはりアゴタ・クリストフ(『悪童日記』三部作)を想起しますが、
天才型のクリストフに対し、こちらは秀才型か。
また、明快で率直な描写や物語性の豊かさから、
ジョン・アーヴィングなどのアメリカ文学の系譜を感じました」
(鎌倉在住YS氏)

「『暗闇の楽器』、読み終えました。
緊密な構成の作品ですね。「おんな」の肉体と精神と心の
激しいぶつかりのせいで、床が地震のように大きくゆれ
(実際は、自分自身がゆれているのですが)、めまいを感じました。
否定的な意味合いをもつNではじまる名前のNadiaが、
自分には「わたし」がないということで、
Nada(無)と自分自身のことを呼びかえる記述には、
どきりとしました。最後には主体をとりもどして、
Nadiaという名前に戻るのですが、
そこに関与しているのは母親の存在を意識したことでした。
この結末は、身につまされてよくわかる箇所でした。
ナンシー・ヒューストンも否定的なNではじまる名前です。
この世のあらゆるネガティヴなものを集結させた結果、
作家の心に転化が生じたようです。
女性が創作すると、男性が創作するよりも、
自然な転化がおこるということを
目の当たりにしました。ヒューストンには無理がありません。
彼女は今後もいい作品を多く書いていくことでしょう」
(大阪在住MKさん)